省エネ・節電

暖房にかかる電気代はいくら?暖房器具の比較や節約方法を解説!

冬の光熱費で気になるのが暖房代ではないでしょうか。寒いとついつい暖房器具の温度を上げてしまいがちになります。暖房器具の中でもよく使用するエアコンは、ちょっとした工夫をすることで大きな節約につながります。

今回は、各種暖房器具の消費電力や、電気代、エアコンを節電する方法、ご自宅でも実践できる電気代を抑えるコツなどをご紹介します。暖房代が気になる季節だからこそ、ツボを押さえた節電にチャレンジしましょう。

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夏と冬ではどちらが電気代がかかる?

2021年に発表された総務省の「家計調査」 [1]によると全国の家庭の水道光熱費のうち、電気代は全体の約50%を占めています。さらに冬の方が夏の電気代に比べて高くなる傾向にあることが分かっています。

水道光熱費の内訳(4人家族の場合)

水道・光熱費(全体) 18,620円 - -
 電気代 9,032円 全体の約50%
 ガス代 4,229円 全体の約22%
 光熱費 1,116円 全体の約5%
 上下水道料 4,242円 全体の約22%

夏季と冬季の電気代の比較

夏の電気代平均(単身~5世帯) 8,948円
冬の電気代平均(単身~5世帯) 9,290円

その理由としては、冬は夏に比べて外気温との差が大きいためエアコンなどで設定した温度になるまで電力を余分に使用すること。また、夏に比べて日照時間が短く、外出の機会も減ることが挙げられます。

暖房器具で電気代が高いもの、安いものは?

消費電力および電気代は、暖房器具によって異なります。しかし、具体的にどれが高くて、どれが安いか把握されていない方も多いでしょう。

たとえばエアコンは「電気代が高い」と思われがちです。確かに最大の消費電力だけを見てみると、他の暖房器具に比べてパワーがあります。しかし実際には、部屋の温度に合わせて消費電力が変動するので、エアコンの1時間あたりの電気代は4~40円程度(※1)。消費電力を抑える効率的な使い方ができれば、意外にも安いことが分かります。

一方、セラミックファンヒーター(電気ヒーター)は機種にもよりますが、1時間あたりの電気代は20~36円程度(※2)が目安です。エアコンと比較すると消費電力を抑えた使い方が難しく、長時間使用すると電気代に大きな差が出てしまいます。

このように、暖房器具の電気代はイメージだけでは把握が難しいものです。ぜひこの機会に、種別ごとの電気代について知っておきましょう。

※1 ダイキン S25ZTES-W(8畳タイプ)を参照
※2 パナソニック DS-FS1200を参照

暖房器具の電気代や特徴を比較!

一覧で見ていただくと分かるとおり、エアコンは省エネ目線で見ても優れた暖房器具です。上手に活用することで、冬の電気代を抑えることができるでしょう。

部屋全体を温める暖房器具(8~10畳)

消費電力目安 電気代目安 ※1
(1時間あたり)
エアコン 8畳タイプ ※3 635W ※2
(130~1,290W)
19.7円
(4.0~40.0円)
10畳タイプ ※4 860W ※2
(135~1,420W)
26.7円
(4.2~44.0円)
カーボンヒーター ※5 350~900W 10.9~27.9円
赤外線ストーブ ※6 330~1,150W 10.2~35.7円
オイルヒーター ※7 500~1,200W 15.5~37.2円
パネルヒーター ※8 500~1,200W 15.5~37.2円

身体を温める暖房器具

消費電力目安 電気代目安 ※1
(1時間あたり)
電気ブランケット ※9 55〜75W ※2 1.7〜2.3円
こたつ ※10 80〜160W ※2 2.5〜5.0円
ホットカーペット(1畳) ※11 120〜165W ※2 3.7〜5.1円
セラミックファンヒーター ※12 640~1,170W 19.8~36.3円
ハロゲンヒーター ※13 800~1,200W 24.8~37.2円

※1 公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会の電気代目安単価(2022年7月22日改定)より、1kWhあたり31円として計算
※2 該当機種の定格出力時の消費電力
※3 ダイキン S25ZTES-Wを参照
※4 ダイキン S28ZTES-Wを参照
※5 コロナ DH-C922を参照
※6 コロナ CH-1222Rを参照
※7 アイリスオーヤマIWH2-1208D-Wを参照
※8 デロンギHXJ60L12を参照
※9 パナソニック DC-H5を参照
※10 山善 EYC-80601を参照
※11 パナソニック DC-1NKB1を参照
※12 パナソニック DS-FS1200を参照
※13 テクノス PH-1211を参照

エアコン(暖房)代を節約するコツ7選

エアコン代は、暮らしの中ですこし工夫をすることで節約することが可能です。ここからは、部屋を暖かく保ちながら、電気代の節約にもつながる一石二鳥のコツをご紹介します。

短時間の外出であればつけっぱなしにしておく

30分程度の短時間、外に出かけるのであれば、エアコンの電源はOFFにしないのがおすすめです。

エアコンは部屋を設定温度まで暖める際に、もっともパワーを使います。一方、室温を保つだけであれば、消費電力は大幅に抑えることができます。例えば、あるエアコン(8畳タイプ)の1時間当たりの消費電力は、4~40円程度(※1)です。これは、暖まった部屋を維持する場合など最低出力で運転するケースもあれば、寒い部屋を一気に暖める場合など最大出力で運転するケースもあることを意味します。

つまり、電気代を抑えるためには、最大出力での運転をなるべく避けることが大切です。外気温や部屋の断熱性能の影響も大きく、一概には言えませんが、一般的には30分程度の外出であれば、つけっぱなしにした方がおトクとされています。

※1 ダイキン S25ZTES-Wを参照

エアコンの設定温度

エアコンの設定温度を下げる

エアコンの消費電力を左右する主な要素は、室温と外気温のギャップ、風量、そして設定温度です。つまり「真冬に冷え切った部屋を急いで高温まで暖める」といったシチュエーションは、もっとも電気代がかかります。

ただし、ここで設定温度を1度下げると、実はかなり消費電力が抑えられます。例えば、冬の暖房の設定温度を21℃から20℃にした場合、年間での電気代は1,650円の節約になります(※2)。設定温度に達したときに暑くてエアコンを切っているような方は、先に設定温度の見直しをおすすめします。

設定温度が低いままだと部屋が暖まるまでに時間がかかりすぎるのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。その場合まずは通常の温度設定にして、部屋が暖まってきたら設定温度を下げるという方法でもかまいません。

重要なのは、まずご自身が快適に過ごせる室温を知ることです。その上で、エアコンの設定温度を調整しましょう。

※2 外気温6℃で、エアコン(2.2W)の暖房設定温度を21℃から20℃に下げた場合(使用時間:9時間/日)[2]

自動運転にする

風量はエアコンの電気代に大きく関わります。そのため、少しでも節約しようと「弱」設定にしているケースもあります。しかし、これは逆に電気代を高くする原因になっているかもしれません。

一般的なエアコンの風量とは、「風を送り出す力」と言い換えられます。「弱」設定では温風が全体に行き届かず、部屋が暖まるのに時間がかかってしまいます。その時間が長ければ長いほど、電気代も比例して高くなっていくのです。とは言え、常に「強」設定にするのも経済的ではありません。そこで役立つのが「自動運転」設定です。

自動運転では、室温の測定が行われます。その結果をもとに、設定温度に対して現在必要な風量が自動設定されます。部屋が冷え切っているなら「強」設定が選ばれるでしょう。ある程度時間が経ち部屋が暖まったら、自動でモードが「中」や「弱」へと切り替わります。人が室温に合わせて設定を手動で切り替えるのは簡単ではありません。自動運転機能に風量を任せることで、もっとも効率的に部屋を暖められます。

サーキュレーターを使う

暖かい空気は体積が軽くなるため、上に向かって浮かんでいきます。これはエアコンの風も同じ。「部屋の天井から上半身にかけては快適だが、足下が冷えたまま」といった状況も、この空気の性質が理由です。

サーキュレータを使用する

問題解決に役立つのがサーキュレーターです。特徴は、扇風機のように対象を冷やすのではなく、羽根を使って空気の循環を生むのに特化している点。うまく使うと、上部に溜まりがちな暖かい空気を部屋全体へと巡らせて、効率的に室温を上げられます。ポイントは、エアコンの対角線上に配置して、上向きに風を送ることです。

なお、サーキュレーターを持っていなかったり、スペース等の関係で設置が難しかったりといった場合は、エアコンの風向きを下向きに設定してください。下に溜まっている冷気が問題なのですから、床に向けて暖気の風を送るのが効果的です。

窓の断熱をする

断熱・遮熱はエアコンの効率を高める非常に重要なポイントです。しかし、壁の断熱・遮熱リフォームにはかなりの金額がかかりますし、何より賃貸物件の場合には現実的ではありません。一方、窓は比較的取り組みやすいおすすめの断熱対策ポイントです。

外の冷気は、窓から入り込んできます。また、冷えたガラスは室内の熱を奪い、部屋の温度を下げる要因にもなります。ホームセンターで購入できる断熱シートを窓に貼ることで、手軽な断熱対策が可能です。

また、断熱素材のカーテンもおすすめです。値段は通常のカーテンに比べ高くなりますが、確実に効果が得られるという意味でコストパフォーマンスにも優れます。

エアコンのフィルターや室外機周りの掃除をする

エアコンは構造上、ある程度使っているうちに必ずフィルターにホコリが溜まります。これを放置すると、運転効率が落ちて部屋が暖まるのに時間がかかる(=電気代がかかる)ようになります。

また、室外機の吹き出し口の正面には障害物となるようなものを置かないようにしましょう。ここに障害物があると、やはりエアコンの効率を下げてしまいますのでご注意ください[3]

エアコンは2週間に1度の定期的なフィルター清掃が効果的です。環境省によると、これによって約6%の節電になるといいます[3]。長期間にわたり放置していたのでなければ、掃除機で全体的にホコリを吸い込み、フィルターを水洗いすれば完了です。

とはいえ、自分で完全に掃除するのはむずかしいエアコン。お悩みの方にオススメしたいのが専門業者によるエアコンクリーニングです。

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1時間から2時間くらいおまかせするだけで、故障や事故の心配をせずエアコン掃除は完了します。特に、年2回のシーズン前の大掃除にはオススメですよ。

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古い型のエアコンは買い替えを検討

もしも現在お使いのエアコンが10年以上前に購入したものなら、買い替えによって大きな節電効果が得られる可能性があります。

修理に出すという手もありますが、保証期間を過ぎた器具の場合どうしても費用が高くつきがち。さらに、近年発売されたモデルは、より省エネ性能が高い傾向にあります。結果として、新品への買い替えがおトクになるケースは少なくありません。

理由は暖房効率の低下です。10年以上という長期間にわたって使い続けたエアコンは、さまざまな部分に劣化が起こっている可能性があります。「運転自体はしているが、なかなか部屋が暖まらない」といった場合には、買い替えを検討しましょう。場合によっては、年間で2,900円程度の節電になる(※)ケースもあります[4]

※節電額の算定に使用される電力料金目安単価は2022年7月に27円から31円に改定されています。この節電額は改定前の目安単価で算出しています。

エアコン以外の暖房器具(電気ストーブ、電気ブランケットなど)の節約法

節電ができる暖房器具はエアコンだけではありません。使い所を工夫すれば、暖房代を効果的に抑えられます。例えば比較的消費電力が高い電気ストーブは、短時間だけ使うのがおすすめです。トイレや洗面所など、常に暖まっている必要のない場所で活用すれば、効率的な節約につながるでしょう。

エアコンの設定温度を下げて節電を行う場合には、電気カーペットや電気ブランケット、こたつなどの消費電力が少ない暖房器具との組み合わせをお試しください。部屋全体が暖まっていなくても、快適に過ごせるはずです。

なお、室温を高めるのではなく、加湿器などを使って湿度を上げることで体感温度を上げる[5]という方法もあります。

このように、暖房器具は目的に合わせた利用が節電の肝です。ひとつの暖房器具に頼るのではなく、上手に組み合わせて効果的に暖を取りましょう。

まとめ

工夫次第で冬の節電は大きな効果を生みます。まずはエアコンの使い方を見直すことからスタートし、その後は他の暖房器具を活用してみましょう。部屋の温度を快適に保ちつつ節約ができるよう、今回ご紹介したポイントをぜひ実践してみてください。

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