ブリ 出世魚
季節の食材

出世魚「ブリ」の名前の順番は?ハマチ・カンパチ・ヒラマサとの違いも解説

「出世魚」と呼ばれるブリは、成長とともに名前が変わる珍しい魚です。しかし、ブリの名前がどのような順番で変化するのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。そもそも「出世魚」とは何か、よく知らない方もいるかもしれません。

そこで今回は、ブリの名前が変化する順番について、出世魚の概要も踏まえながら解説します。また、ハマチやカンパチといった他の出世魚についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

ブリの名前が変化する順番

ブリは出世魚に分類される魚で、成長度合い・大きさに応じて名前が変化していきます。「ブリ」という呼称に変化するまでの名前は、地域によって大きく異なります。

以下の表では、東北・関東・北陸・関西・九州それぞれの地方で呼ばれている名称の変化をまとめました。また、ブリの名前は成長の順番だけでなく、サイズによって異なることも覚えておくとよいでしょう。

東北地方
  1. ツバエリ(稚魚)
  2. コズクラ(35㎝以下)
  3. フクラギ/フクラゲ(35~60㎝)
  4. ガンド/ガンドブリ(60~80㎝)
  5. ブリ(80㎝以上)
関東地方
  1. ジャコ/モジャコ(稚魚)
  2. ワカシ/ワカナゴ(35㎝以下)
  3. イナダ(35~60㎝)
  4. ワラサ(60~80㎝)
  5. ブリ(80㎝以上)
北陸地方
  1. ツバス/ツバイソ(稚魚)
  2. コゾクラ/コズクラ/ハマチ(35㎝以下)
  3. フクラギ(35~60㎝)
  4. ガンド/ガンドブリ(60~80㎝)
  5. ブリ(80㎝以上)
関西地方
  1. ジャコ/モジャコ(稚魚)
  2. ワカナ/ツバス/ヤズ(35㎝以下)
  3. ハマチ(35~60㎝)
  4. メジロ(60~80㎝)
  5. ブリ(80㎝以上)
九州地方
  1. ワカナゴ(稚魚)
  2. ヤズ(35㎝以下)
  3. ハマチ(35~60㎝)
  4. メジロ/コブリ(60~80㎝)
  5. ブリ(80㎝以上)

なお、ブリと同程度に有名な魚にハマチがいますが、ハマチが成長するとブリになるため実は同じ種類の魚です。成長につれ見た目も変わるので、「実はブリと同じ魚だと知らなかった」という方も多いかもしれませんね。

「80㎝」を超えるとブリになる

「ブリ」という名前になるのは、80cm以上に成長してからとされています。ブリの呼び名の次は存在しないため、出世魚として成長し切った状態ということです。

大きさでブリの名前が変化

そもそも出世魚とは?【大きさで名前が変わる魚の総称】

出世魚とは、成長とともに名前を変化させていく魚の総称です。戸籍法が制定される明治時代以前まで続いていた、武士・学者の風習が由来となっています。

明治時代まで、武士や学者は「成人」を迎えると自身の名前を幼名から大人の名前に変え、併せて身に付けるものも変える風習がありました。また当時は、出世に応じて身分ごとに改名する風習もあり、こういった風習から名前の変わる魚を「出世魚」とするようになったといわれています。

北陸・関西・九州方面では「ハマチ」も有名

ハマチは、ブリが成長する過程で使われる名前の一つです。北陸・関西・九州地方では、「ハマチ」という名前が「ブリ」と同じくらいよく知られています。

一方、東北地方や関東地方では、ハマチという名前が成長過程の呼び名として含まれていないため、ブリとハマチを別の魚だと思っている人もいるかもしれません。しかし、実際には呼び名が異なるだけで、ブリとハマチは同じ種類の出世魚です。

成長とともに味わいも変化する

出世魚は成長の過程で、名前だけでなく味わいや食感も変化します。成長過程ごとに最適な調理方法も異なるため、覚えておくと良いでしょう。

例えば、脂がしっかり乗ったブリやハマチは、刺身や焼き魚などが合いますが、ブリと比べて脂が乗っていない幼魚の「ツバス」は、火を入れずに刺身で食べるのがおすすめです。

どんな調理法にも合うブリですが、ブリは天然物と養殖物があり、それぞれ適した味わい方があります。天然ブリは脂が少なめなので、刺身・焼き物はもちろん、鍋物やムニエルにもおすすめです。一方、養殖ブリは脂が多めで、刺身や焼き物、お寿司などに向いています。

ブリの刺身

ブリ以外の出世魚と変化の順番一覧

ブリは出世魚の中でも有名な名前ですが、出世魚はブリだけではありません。ここでは、ブリ以外の主な出世魚をまとめています。

カンパチ
  1. ショッコ/シオッコ
  2. シオゴ
  3. アカハナ
  4. カンパチ
コハダ
  1. シンコ(関西地方では「ツナシ」)
  2. コハダ
  3. ナカズミ
  4. コノシロ
スズキ
  1. コッパ
  2. セイゴ
  3. フッコ(関西地方では「ハネ」)
  4. スズキ
サワラ
  1. サゴチ(関西地方では「サゴシ」)
  2. ナギ(関西地方では「ヤナギ」)
  3. サワラ
ボラ
  1. オボコ(関西地方では「ハク」)
  2. イナッコ/スバシリ
  3. イナ
  4. ボラ
  5. トド
クロダイ
  1. チン
  2. チンチン(関西地方では「ババたれ」)
  3. カイズ/ケイズ(関西地方では「チヌ」)
  4. クロダイ(関西地方では「オオスケ」)
マグロ
  1. メジ/カキノタネ(関西地方では「ヨコワ」)
  2. チュウボウ
  3. マグロ
ヒラマサ 成長段階で名前が変わることはないが、ヒラ・ヒラス・ヒラソウジといった別名がある

ブリと同様、成長を終えた段階でよく知られる名前になるものもあれば、成長過程の名前が有名になっている出世魚までさまざまです。

なお、ヒラマサは、ヒラ・ヒラス・ヒラソウジなど、多くの別名を持つ魚です。それにより出世魚と勘違いされやすいですが、成長段階で名前が変わるわけではなく、出世魚ではありません。

「カンパチ」「ヒラマサ」とブリは別の魚

ブリと混同されやすい魚として知られているのが、「カンパチ」と「ヒラマサ」です。

「ブリ御三家」とも呼ばれるカンパチやヒラマサは、とくに見た目の点において混同しやすいといえるでしょう。しかし、細部をしっかり確認すればそれぞれに違いがあります。

たとえばカンパチの場合、ブリと比べて体全体が丸っこく黄色味を帯びています。最も大きな違いは、カンパチという名前の由来でもある「八」の黄色模様が口から背ヒレにかけて黒く浮き上がっている点です。

カンパチ

カンパチ

一方でヒラマサの場合は、少し見分けるのが難しくなります。体に走る黄色いラインと胸ヒレと近いのがヒラマサ、胸ヒレから離れているのがブリと覚えておくのが良いでしょう。また、カンパチ同様、ブリに比べて体全体が丸みを帯びています。

ヒラマサ

ヒラマサ

ちなみに、ヒラマサは「ブリ御三家」ではあるものの、出世魚ではないため、ブリのように成長過程で名称が変化しません。

ブリ・ハマチ・カンパチ・ヒラマサのおすすめレシピ

出世魚は、成長に伴い名前が変わることで知られていますが、味わいや食感が変化することで、料理の幅を広げてくれる点も魅力です。

ここでは、同じ種類の出世魚であるブリとハマチ、別の出世魚であるカンパチ、そして見た目がよく似ているヒラマサを使ったおすすめの料理をご紹介します。それぞれの魚の特徴を活かした絶品レシピをぜひお試しください。

ブリと大根のコチュジャン炒め

ブリと大根のコチュジャン炒め

お互いに冬が旬で相性の良いブリと大根を、コチュジャンでピリ辛に炒めた一品です。コチュジャンの唐辛子に含まれる「カプサイシン」は体を温める効果があるため、血行を良くして冷えの改善に役立ちます。

材料(2人分)

  • ぶり:2切れ
  • 大根:1/4個
  • 塩:少々
  • サラダ油:大さじ1/2
  • コチュジャン:大さじ1
  • しょうゆ:小さじ1
  • はちみつ:小さじ1/2
  • おろししょうが:1/2かけ
  • 水:大さじ1

作り方

  1. 下ごしらえをする
    ぶりは一口大に切って塩をふり、10分ほど置いた後に水分を拭き取る。大根は銀杏切りにし、下茹でする。
  2. 具材を焼く
    フライパンにサラダ油を熱し、大根とぶりを入れて両面に焼き色がつくまで焼く。
  3. 調味料で煮絡める
    フライパンにコチュジャン・しょうゆ・はちみつ・おろししょうが・水を加え、煮詰めながら全体に絡める。
  4. 仕上げて盛りつける
    味がしっかり絡んだら器に盛りつけて完成。

このレシピの詳細はこちら

ブリのカレー粉焼き

ブリのカレー粉焼き

ブリの焼き魚をカレー粉でアレンジしました。ブリには動脈硬化や高血圧の防止に役立つEPAやDHA、疲労回復効果のあるタウリンが豊富に含まれており、寒い季節におすすめです。

材料(2人分)

  • ブリ:2切れ(160g)
  • 塩:小さじ1/3
  • カレー粉:小さじ1
  • 小麦粉:小さじ1
  • サラダ油:小さじ1
  • バター:小さじ1
  • マヨネーズ:大さじ1
  • レモン:1/4個

作り方

  1. 下ごしらえをする
    ブリは3等分に切って塩をふり、10分ほど置いて水気を拭き取る。レモンはくし形に切る。
  2. 味付けする
    下ごしらえしたブリに、カレー粉と小麦粉をまぶす。
  3. 焼く
    フライパンにサラダ油とバターを入れて火にかけ、バターが溶けたらブリを加え、両面を3分ずつ目安にこんがり焼く。
  4. 仕上げる
    焼きあがったブリを器に盛り、マヨネーズとレモンを添えて完成。

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ハマチの照り焼き

ハマチの照り焼きのイメージ

脂ののったハマチに、甘辛い照り焼きだれをたっぷり絡めた一品です。ふっくらジューシーな身と、とろり甘辛だれがごはんとよく合います。フライパンだけで手軽に作れるため、時短調理におすすめです。

材料(2人分)

  • ハマチ(切り身):2切れ
  • 塩・コショウ:適量
  • 薄力粉:大さじ1
  • サラダ油:大さじ1
  • 【たれ】
    • 酒:大さじ1
    • みりん:大さじ1
    • しょうゆ:大さじ2

作り方

  1. 下ごしらえをする
    ハマチの切り身に塩をふり、10分ほど置いてキッチンペーパーで水分を拭き取る。その後、薄力粉を均一にまぶす。
  2. ハマチを焼く
    フライパンにサラダ油を熱し、中火でハマチを両面焼き、軽く焼き色がつくまで調理する。
  3. 味をつける
    調味料をフライパンに加え、弱火で煮絡めながら、たれにとろみをつける。
  4. 盛り付ける
    器に盛り付け、たれをたっぷりかけて完成。

ごまカンパチ

ごまカンパチのイメージ

脂がのったカンパチに、甘めのごまダレをたっぷり絡めた博多発祥の一品です。とろりと濃厚ながら、あと口はすっきりしています。さらに刻みのりや薬味の香りがアクセントになり、丼やお茶漬け、おつまみにもぴったりです。

材料(2人分)

  • カンパチ(刺身用):150g
  • しょうゆ:大さじ1
  • みりん:大さじ1
  • 砂糖:小さじ1/2
  • 白すりごま:大さじ3
  • お好みの薬味(青ねぎ・刻み海苔・大葉など):適量

作り方

  1. 下ごしらえをする
    カンパチは薄切りにする。薬味(ねぎや大葉など)も刻んでおく。
  2. たれを作る
    ボウルにしょうゆ、みりん、砂糖、白すりごまを入れ、混ぜてごまダレを作る。
  3. 味付けをする
    カンパチを②のたれに加え、全体によく絡める。
  4. 盛り付ける
    器に盛り、薬味をトッピングして完成。

ヒラマサの竜田揚げ

ヒラマサの竜田揚げのイメージ

ヒラマサの竜田揚げは、漬けダレでしっかり下味をつけた魚を片栗粉で包み、サクッと揚げた一品です。ふんわりジューシーな身と香ばしい衣が絶妙です。お好みでレモンやおろしポン酢などをつけてもおいしいです。

材料(2人分)

  • ヒラマサ:2切れ
  • しょうゆ:大さじ1
  • みりん:大さじ1
  • 料理酒:大さじ1
  • おろししょうが:大さじ1/2
  • おろしにんにく:大さじ1/2
  • 片栗粉:適量
  • 揚げ油:適量

作り方

  1. 下ごしらえをする
    ヒラマサを一口大に切り、塩をふり5分ほど置いた後、水で洗いキッチンペーパーで水分をしっかり取る。
  2. たれに漬ける
    漬けダレ(しょうが・しょうゆ・料理酒・みりん・砂糖)を鍋でひと煮立ちさせて冷まし、ヒラマサを30分以上漬け込む。
  3. 衣をつける
    漬け込んだヒラマサを取り出し、キッチンペーパーで軽く水気を拭き取り、片栗粉を均一にまぶす。
  4. 油で揚げて盛り付ける
    180℃に熱した油で両面がきつね色になるまで揚げ、お皿に盛り付ける。

まとめ

出世魚は、成長に応じて名前が変わる魚の総称で、地域やサイズにより呼び名が異なるのが特徴です。

今回は代表的な出世魚であるブリの成長過程と名前の変化を中心に解説しました。ハマチはブリの成長過程の呼び名で、西日本を中心に親しまれている地域名です。また、カンパチやヒラマサは見た目がブリによく似ていますが、ブリの成長過程ではなく、違う種類の魚です。

出世魚は成長に伴い味わいも変化し、調理法を変えることによってその魅力を最大限に引き出せます。ぜひ本記事を参考に、それぞれの旬や特徴を活かしたおいしい料理を試してみてください。

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