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【2026年】春一番とは?いつ吹く?地域別の条件・基準、名前の由来を解説

ニュースや天気予報で「春一番(はるいちばん)」という言葉を耳にすると、冬の終わりと暖かい季節の訪れを感じてワクワクしますよね。しかし、春一番がどのような気象条件で認定されるのか、正確な定義を知っている方は意外と少ないかもしれません。

この記事では、例年の吹く時期のご紹介から、地域ごとの基準、子供への教え方、名前の意外な由来まで、春一番について詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

春一番とは?意味と気象庁が定める定義を解説

春一番とは、冬から春へと季節が変わる時期に、その年で初めて吹く強い南寄りの風のことです。

気象庁では、「立春(りっしゅん)」から「春分(しゅんぶん)」までの間に、日本海で低気圧が発達し、初めて吹く(やや)強い南寄りの風を「春一番」と定義しています[1]。この風が吹くと、それまでの厳しい寒さが和らぎ、気温がぐんと上昇するのが大きな特徴です。

「立春」と「春分」の日付は年によって変わります。次の表に直近の年の日付をまとめました。

立春の日 春分の日
2025年 2月3日(月) 3月20日(木)
2026年 2月4日(水) 3月20日(金)
2027年 2月4日(木) 3月21日(日)
2028年 2月4日(金) 3月20日(月)
2029年 2月3日(土) 3月20日(火)

なお、気象庁が春一番の現象を毎年発表するのは、春の訪れを告げる指標であると同時に、強風や高波への注意を促すという目的もあります。春一番は、日本の四季を感じさせる季節の便りであるとともに、防災の観点からも重要な意味を持つ気象現象なのです。

春一番と呼ばれるための「3つの基本条件」

春一番として認定されるためには、気象庁が定める基本条件[1]をクリアする必要があります。春一番の認定基準は地域によって異なります(※)が、共通するのは以下の3つの条件です。これらの要素がすべて揃った風が吹いたとき、初めて気象庁から正式な発表が行われます。

【春一番の条件】

  1. 吹いた日が「立春から春分まで」のあいだの期間であること
  2. 風向きが「南寄り」であること
  3. 風速が基準値を超え、気温が上がること(基準値は地域差あり)

※各地域の認定基準は「▼【地域別】春一番の認定基準(風速・気温)のちがい」で詳しく解説します。

1つ目の条件は、吹いた日が「立春から春分まで」のあいだの期間であることです。立春(2月4日頃)より前や、春分(3月21日頃)より後に強い風が吹いても、春一番とは呼ばれません。

2つ目の条件は、風向きが「南寄り」であることです。東南東から西南西の範囲の南風が必要であり、北風では条件を満たしません。

3つ目の条件は、最大風速が基準値を超え、気温が上がることです。この条件は、地域ごとに異なる基準が設定されています。例えば、関東地方では、風速の基準は「8m/s(メートル毎秒)以上」、気温の基準は「前日より上がること」と定義されています[1]

【地域別】春一番の認定基準(風速・気温)のちがい

春一番の認定基準は全国一律ではなく、地方気象台ごとに細かく定められています。地形や気候の特性が異なるため、地域によって必要とされる風速や気温の上昇幅に差があるのです。

以下の2つの条件については、各地域でおおむね共通となっています。

  • 吹いた日が「立春から春分まで」のあいだの期間であること
  • 風向きが「南寄り」であること

各地域における春一番の認定には、これら2つの条件に加えて以下の条件も考慮されます。

関東地方[2]
  • 風速:最大風速が概ね8m/s 以上であること。
  • 気温:昇温すること。
  • 気象条件:日本海に低気圧があること。
北陸地方[3]
  • 風速:北陸地方いずれかの気象台で風速10m/s以上の風が観測されること。かつ、それ以外のいずれかの気象台で風速6m/s以上の風が観測されること。
  • 気温:最高気温が前日より高いか、ほぼ同じであること。
  • 気象条件:日本海で低気圧が発達すること。
東海地方[4]
  • 風速:東海地方いずれかの気象台で最大風速8m/s以上を観測すること。
  • 気温:東海地方いずれかの気象台で日最高気温が平年値を上回ること。
  • 気象条件:気圧配置等の気象条件を考慮。
近畿地方[5]
  • 風速:最大風速8m/s以上であること。
  • 気温:最高気温が平年値より高い(または前日値より高い)こと。
  • 気象条件:日本海に低気圧があること。
中国地方[6]
  • 風速:最大風速10m/s以上であること。
  • 気温:気温が前日より3℃以上高くなり、10℃以上になること。
  • 気象条件:日本海で低気圧が発達すること。
四国地方[7]
  • 風速:最大風速が概ね10m/s以上であること。
  • 気温:最高気温が前日より高くなること。
  • 気象条件:低気圧が日本海付近にあって発達すること。
九州地方北部[8]
  • 風速:最大風速が約7m/s以上であること。
  • 気温:前日より気温が上がること。
九州地方南部[9]
  • 風速:低気圧の影響を受けて、広い範囲で10分間平均風速が8m/s以上となること。
  • 気温:気温が上昇すること。

なお、北海道や東北地方、甲信地方、沖縄地方では「春一番」の発表はありません。

各地で春一番が吹く時期は、北海道や東北地方、甲信地方では、まだ寒さが残っている時期です。仮に、温かく強い南風が吹いたとしても、すぐに冬の気圧配置に戻ってしまうことが多く、これらの地域の気候には「春一番」の概念はなじみません。

逆に、沖縄地方では、立春から春分にかけての時期にはすでに気温が高く、春の気候となっていることが多いです。そのため、寒い地域と同様に、春一番の発表はありません。

春一番

例年の春一番はいつ?時期の目安と過去のデータ

例年の春一番は、2月中旬から3月上旬にかけて観測されています。ただし、先述した「春一番の条件」を満たす風が吹かず、「観測なし」とされた年も多くあります。

近年、東京・名古屋・大阪・福岡で春一番が観測された日付を以下の表にまとめました。

東京 名古屋 大阪 福岡
2025年 観測なし 観測なし 観測なし 観測なし
2024年 2月15日 観測なし 観測なし 2月19日
2023年 3月1日 観測なし 3月12日 2月18日~2月19日

春一番は、その年の気圧配置や低気圧の発達具合によって、観測される時期が大きく前後します。例えば、2024年の東京では2月15日に観測されましたが、前年の2023年は3月1日で、年によって10日以上の違いがあります。

春一番の時期を予測するには、立春から春分にかけての「南からの暖かい空気の流れ」に注目することが重要です。最新の天気予報で「日本海を低気圧が通過する」という予報が出た際は、春一番の発表が近いサインかもしれません。

春一番の仕組み:なぜ暖かい強風が吹くの?

春一番が吹くメカニズムには、日本海を進む「発達した低気圧」が深く関わっています

冬から春への変わり目には、大陸からの冷たい空気と、太平洋からの温かい空気が日本付近でぶつかり合います。この温度差によって日本海で低気圧が発生し、それが急速に発達しながら東へと進んでいきます。

低気圧には、周りの空気を吸い込む性質があります。そのため、日本海側で低気圧が発達すると、太平洋側から温かく湿った空気が日本列島に向かって一気に吹き込みます。このようにして吹いた南寄りの風が、先述した条件を満たすと「春一番」と呼ばれます。

春一番図解

子供に教える「春一番が吹く理由」とわかりやすい例え

子供に春一番のことを聞かれたら、「冬と春がバトンタッチをするときの合図だよ」と教えてあげましょう。

「冬の冷たい空気の精」が帰ろうとしているときに、「春の温かい空気の精」が元気に駆け寄ってくる様子をイメージさせます。二つの空気がぶつかって、春が「今から僕の番だよ!」と大きな声を出しているのが、あの強い風の正体だと伝えると分かりやすいです。

あるいは、「空の上で冬と春が綱引きをしているんだよ」と例えるのも良いでしょう。春が力いっぱい綱を引いて、温かい風をこちらに引っ張ってきた瞬間に春一番が吹くのだと説明すれば、気象の仕組みを直感的に理解できます。

難しい言葉を使わずに、季節が入れ替わるワクワク感を共有してあげてください。

春一番の雑学:春二番・春三番はある?名前の由来は?

一度、春一番が吹いた後にも、同じような強い南風が吹くことがあり、これらは「春二番(はるにばん)」「春三番(はるさんばん)」と呼ばれます。

ただし、これらは気象庁が公式に発表する用語ではなく、あくまで俗称や一般的に使われる言葉です。春一番は「その年で最初」であることに価値があるため、「春二番」や「春三番」がニュースなどで大きく取り上げられることはあまりありません。

また、条件が揃わなければ、その年は「春一番の観測なし」として、春一番の観測が発表されないことも珍しくありません。とくに、移動性高気圧の勢力が強かったり、低気圧が日本海を通らなかったりする年は、一度も認定されないまま春本番を迎えます。

「春一番は必ず吹くもの」と思われがちですが、実はその年ごとの気象状況に左右される繊細な現象なのです。

名前の由来は「江戸時代の海難事故」だった?

「春一番」という言葉の由来には諸説ありますが、その一つに江戸時代の海難事故を由来とする説があります。

1859年(安政6年)、現在の長崎県壱岐市で、漁師たちが突風に煽られて船が転覆し遭難する事故が起きました。それ以来、春の始まりの時期に吹く最初の危険な強風を、地元の漁師たちは「春一(はるいち)」や「春一番」と呼んで警戒するようになったといわれています。

つまり、当初は春の訪れを喜ぶ言葉ではなく、命を守るために注意すべき恐ろしい風として扱われていたのです。

その後、1950年代頃からメディアで「春を告げる言葉」として広まり、現在のような明るいイメージが定着しました。言葉の歴史を知ると、天候を表す用語として以上の深みを感じることができますね。

桜吹雪

穏やかなイメージとは裏腹?「春の嵐」への注意点

春一番は温かい風ですが、実際には「春の嵐」としての激しい気象災害をもたらすリスクがあります。

まず注意すべきは、看板の落下や交通機関の乱れを引き起こすほどの「強風」です。とくに鉄道や航空機などの交通機関は風の影響を受けやすいため、春一番の予報が出ている日に外出する際は、十分に注意する必要があります。

また、空気の乾燥に伴う「火災の延焼リスク」や、気温上昇による「雪崩(なだれ)」にも警戒が必要です。さらに、強い南風は大量の「花粉」を飛散させやすくなるため、花粉症の方にとっては非常に厳しい一日となるかもしれません。

暖かさに誘われて薄着で出かけたくなる時期ですが、強風への備えと、飛散する物への注意を怠らないようにしましょう。

春一番のあとにやってくる「寒の戻り」にも備えよう

春一番が吹き抜けた直後には、「寒の戻り(かんのもどり)」と呼ばれる急激な冷え込みがやってくるのが通例です。低気圧が通過した後は、西高東低の冬型の気圧配置に戻り、大陸から冷たい北風が吹き込むためです。

前日との気温差が10度以上になることも珍しくなく、この激しい変化が体調を崩す大きな要因となります。強い風が吹いた後は気温が急降下するため、天気予報をこまめにチェックして服装を調節することが大切です。

一度片付けかけた厚手のコートや暖房器具も、すぐに使えるようにしておくと安心です。「春一番が吹いたからもう安心」と油断せず、春本番が来るまでは慎重に体調管理を行いましょう。

まとめ:春一番は新しい季節へのスイッチ

春一番は、冬の終わりと新しい季節の始まりを告げるスイッチのような存在です。春一番の認定条件や地域ごとの違い、そして防災面での注意点を知ることで、この気象現象をより深く理解できたのではないでしょうか。

たとえ一時的に「寒の戻り」があったとしても、春一番が吹いた事実は確実に春が近づいている証拠です。次に強い南風のニュースを聞いたときは、ぜひご家族や友人にその由来や雑学を話してみてください。

正しい知識を持って、安全に、そして前向きな気持ちで新しい季節を迎えましょう。

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くらひろ編集部
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