くらしの知恵

【時期別リスト】春の季語一覧!いつ使う?俳句や手紙での正しい意味・使い方

春の陽気を感じると、ふと誰かに手紙を書きたくなったり、目にした景色を言葉に残したくなったりしませんか?そんなとき、「春の季語」をさらりと使いこなせたら素敵ですよね。しかし、「この言葉はいつまで使えるの?」「意味を間違えていないかな」と不安になることもあるでしょう。

この記事では、春の季語を時期別・テーマ別に分かりやすく解説します。俳句や手紙に季節の彩りを添える、美しい春の言葉を探してみましょう。

春の季語とは?その時期と分類を知って季節の移ろいを感じよう

春の季語とは、暦(こよみ)の上での「春」を表す言葉のことです。一般的に、春の季語は「立春(2月4日頃)」から「立夏の前日(5月5日頃)」までの間に使われる言葉を指します

俳句歳時記では、この3か月間を「三春(さんしゅん)」といい、時期によって以下のように分類しています。

初春(しょしゅん)
立春から啓蟄(けいちつ)の前日まで(2月頃)
仲春(ちゅうしゅん)
啓蟄から清明(せいめい)の前日まで(3月頃)
晩春(ばんしゅん)
清明から立夏の前日まで(4月頃)

注意が必要なのは、旧暦と現在の新暦(太陽暦)には約1か月のズレがある点です。旧暦から新暦への移動により、旧暦の明治5年12月3日が新暦の明治6年1月1日になりました。このため、新暦ではおよそ1か月季節が早くなります。

2月はまだ冬の寒さが厳しく、現代の感覚では冬の印象が強いですが、暦の上では春の始まりとなります。

【時期別】春の季語一覧と意味:いつ使うかがひと目でわかる

ここからは、実際に使える春の季語を時期別にご紹介します。「いつ使う言葉なのか」を明確に分類し、さらに「気候・植物・動物・行事」のカテゴリに分けてご紹介します。手紙や俳句を作る際にもご活用ください。

三春(春全体)の季語:春の暖かさやのどかさを表す言葉

まずは、2月から4月にかけての春全体を通じて使える季語です。特定の時期を限定せず、春らしいのどかな雰囲気や暖かさを表現したいときに適しています。

【気候・空・景色】

春風(はるかぜ/しゅんぷう)
春に吹く穏やかで温かい風。
陽炎(かげろう)
晴れた日に地面から立ち上る空気の揺らめき。
朧月(おぼろづき)
霧や霞(かすみ)でほのかに潤んで見える春の夜の月。
春の雨(はるのあめ)
しとしとと静かに降る、風情のある優しい雨。俳句では「春雨(はるさめ)」という季語もよく使われる。
霞(かすみ)
春、遠くの景色が白くぼやけて見える現象。夜は「朧(おぼろ)」という。
春日(はるひ)
春ののどかな一日。または春の日差し。俳句では「春日影(はるひかげ)」といういい方もある。
日永(ひなが)
春になって昼間の時間が長くなったこと。

【動物・植物】

囀(さえずり)
繁殖期を迎えた鳥たちの美しい鳴き声。とくにウグイスなどが代表的。
蝶(ちょう)
春になって舞い始める蝶全般。「胡蝶(こちょう)」ともいう。
帰る雁(かえるかり)
冬を日本で過ごし、北国へ帰っていく雁。
春の草(はるのくさ)
春に萌え出る草花全般。「芳草(ほうそう)」ともいう。

【生活・気分】

春眠(しゅんみん)
春の夜の心地よい眠り。
のどか
空が晴れて気候がよく、のんびりとしている様子。
春愁(しゅんしゅう)
春特有の、なんとなく心がふさぐような物憂げな気分。

初春(2月頃)の季語:冬の寒さの中に春の兆しを見つける言葉

立春(2月4日頃)から啓蟄(3月5日頃)までの時期に使われる季語です。実際にはまだ寒さが厳しい「早春」の時期ですが、その中にある微かな春の気配や喜びを表現します。

【気候・空・景色】

立春(りっしゅん)
暦の上での春の始まり。
春一番(はるいちばん)
立春後に初めて吹く強い南風。
春浅し(はるあさし)
立春を過ぎてもまだ寒さが残り、春の気配が整わない様子。
余寒(よかん)
立春の後に残る寒さ。手紙の挨拶(余寒見舞い)によく使われる。
雨水(うすい)
雪が雨に変わり、氷が解けて水になる頃(2月19日頃)。
薄氷(うすらい)
春先に薄く張った氷。解けやすいことの象徴。俳句では「薄氷(うすらひ)」と書くこともある。

【植物】

梅(うめ)
百花に先駆けて咲く花。「春告草(はるつげぐさ)」の別名もある。
椿(つばき)
冬から春にかけて咲く花。落ち椿の情景も詠まれる。
福寿草(ふくじゅそう)
お正月の鉢植えとしても親しまれる黄色い花。
猫柳(ねこやなぎ)
銀色のふさふさした花穂をつけた柳。

【動物】

鶯(うぐいす)
「ホーホケキョ」と鳴く春告鳥(はるつげどり)。初音(はつね)はその年初めての鳴き声。
白魚(しらうお)
春に川を遡る、体が透き通った魚。

【行事・生活】

バレンタインの日
2月14日。古典歳時記にはないが、現代俳句では定着した季語。
野焼(のやき)
春の芽吹きをよくするために枯れ草を焼くこと。
建国記念の日
2月11日。現代季語として歳時記に載ることがある。

梅の花

仲春(3月頃)の季語:生命の息吹と本格的な春の訪れを喜ぶ言葉

啓蟄(3月6日頃)から清明(4月4日頃)までの時期に使われる季語です。虫たちが動き出し、花々が咲き競う、生命力に溢れた季節を表します。

【気候・空・景色】

啓蟄(けいちつ)
冬ごもりしていた虫が地上に出てくる頃(3月6日頃)。
麗か(うららか)
日が燦々(さんさん)と降り注ぎ、すべてが輝いて見える様子。
春分(しゅんぶん)
昼と夜の長さがほぼ同じになる日(3月21日頃)。
彼岸(ひがん)
春分の日を挟んだ前後3日間。秋にもあり、「暑さ寒さも彼岸まで」といわれる。
花曇(はなぐもり)
桜が咲く頃の、空が薄く曇っている天気。
菜種梅雨(なたねづゆ)
菜の花が咲く頃に降る長雨。
雪解(ゆきげ)
積もっていた雪が解け始めること。「雪解水(ゆきげみず)」という言葉もあり、春の訪れを象徴する季語。

【植物】

桜(さくら)
日本の春を象徴する花。単に「花」といえば桜を指します。
桃の花(もものはな)
雛祭りの花としても知られる、明るいピンクの花。
菜の花(なのはな)
一面に咲く黄色い花畑は春の代名詞。
菫(すみれ)
道端にひっそりと、しかし可憐に咲く紫の花。
蒲公英(たんぽぽ)
鮮やかな黄色で春の野を彩る花。
土筆(つくし)
スギナの胞子茎。春の野原探しの定番。
沈丁花(じんちょうげ)
強い香りを放ち、春の訪れを鼻で感じさせる花。

【動物】

燕(つばめ)
南の国から渡ってくる鳥。家の軒先に巣を作る。
蛙(かわず/かえる)
冬眠から目覚めて鳴き始める蛙。
雉(きじ)
日本の国鳥。「妻恋う(つまこう)」と形容される鳴き声が特徴。

【行事・生活】

卒業(そつぎょう)
別れと旅立ち。
雛祭(ひなまつり)
3月3日の桃の節句。
ホワイトデー
3月14日。現代季語として歳時記に載ることがあるが、古典にはない。
春休み(はるやすみ)
子供たちの進級前の休み。

桜と菜の花

晩春(4月頃)の季語:散りゆく花と春を惜しむ情緒的な言葉

清明(4月5日頃)から立夏の前日(5月4日頃)までの時期に使われる季語です。ゴールデンウィーク頃までを含み、過ぎ去る季節を惜しむ日本的な美意識が凝縮されています。

【気候・空・景色】

行く春(ゆくはる)
過ぎ去ろうとしている春を惜しむ言葉。
花吹雪(はなふぶき)
桜の花びらが雪のように乱れ散る様子。
春の暮(はるのくれ)
春の夕暮れ。または春という季節の終わり。
八十八夜(はちじゅうはちや)
立春から数えて88日目。茶摘みの時期。
花冷え(はなびえ)
桜の咲く頃に、寒さが戻ること。花見の時期に感じる冷え込み。

【植物】

葉桜(はざくら)
花が散り、若葉が茂った桜の木。初夏への移ろいを感じさせます。
藤(ふじ)
紫色の房を垂らして咲く優雅な花。
チューリップ
春の花壇を彩る代表的な花。晩春の現代的な季語である。
山吹(やまぶき)
鮮やかな黄色(山吹色)の花。
牡丹(ぼたん)
「百花の王」と呼ばれる豪華な花。

【動物】

鳥雲(とりぐも)
北へ帰る渡り鳥の群れが、雲のように見えること。
蝌蚪(かと)
オタマジャクシのこと。やがて足が生え、蛙になる。

【行事・生活】

入学(にゅうがく)
新しい生活のスタート。「入社」も同様。
昭和の日(しょうわのひ)
4月29日。
緑の週間(みどりのしゅうかん)
4月23日から29日まで。現代季語として扱われる。
憲法記念日(けんぽうきねんび)
5月3日。現代季語として扱われる。
茶摘み(ちゃつみ)
新茶を摘む作業。

茶摘み

【テーマ別】表現の幅を広げる春の季語:美しい・かっこいい・簡単

季語には、その言葉自体が持つ響きやイメージがあります。

ここでは、用途や好みに合わせて選べるよう、テーマ別に再編集しました。「美しい表現を使いたい」「子供と一緒に俳句を作りたい」といったシーンに合わせて活用してください。

響きが美しい春の季語:手紙や文章に品格を添える表現

季語をさらりと使ってみたい方が手紙やメール、あるいはSNSで使うのにふさわしい、洗練された言葉です。言葉の響きそのものが美しく、相手に上品でおしゃれな印象を与えます。

花あかり(はなあかり)
満開の桜の白さで、夜でもあたりがほのかに明るく見えること。
風光る(かぜひかる)
春の日差しの中を吹き渡る風が、キラキラと光り輝いているように見える様子。
春暁(しゅんぎょう)
春の夜明け。「春眠暁を覚えず」で知られる、心地よい明け方です。
山笑う(やまわらう)
草木が芽吹き、山全体が明るく色づいている様子を擬人化した表現。

これらの言葉には、視覚的な美しさだけでなく、季節の空気を肌で感じるような繊細な感性が宿っています。

凛としてかっこいい春の季語:情景を鮮やかに切り取る言葉

ありきたりな表現ではなく、少しユニークで力強い言葉を使いたい方におすすめです。情景をスパッと切り取るような、かっこいい季語を集めました。

東風(こち)
春に東から吹く風。氷を解かす風として、春の訪れを告げます。
春雷(しゅんらい)
春の雷。冬眠していた虫を目覚めさせる「虫出しの雷」とも呼ばれます。
春疾風(はるはやて)
春に吹く激しい風。春の嵐の力強さを表します。
目借時(めかりどき)
春の眠気を「誰かが目を借りに来たようだ」と表現したユーモラスな言葉。

言葉の選び方ひとつで、文章全体にリズムとインパクトが生まれます。

小学生にもわかりやすい春の季語:親子で楽しむ俳句や宿題に

お子様の俳句の宿題や、親子で季節を楽しむときに使いやすい、身近で覚えやすい季語です。動物や植物など、日常生活の中で見つけやすいものを中心に選びました。

植物
チューリップ、つくし、たんぽぽ、すみれ、ふきのとう
動物
うぐいす、つばめ、おたまじゃくし、猫の恋(春の発情期の猫)
行事・生活
入学、遠足、ブランコ、しゃぼん玉、春休み

これらはすべて立派な「春の季語」です。「今日はつくしを見つけたね」「しゃぼん玉も春の言葉なんだよ」と会話を弾ませながら、親子で俳句作りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

春の季語を使った俳句と手紙の書き方:日常に季節の彩りを

季語を知ったら、次は実際に使ってみましょう。ここでは、名句の鑑賞と、日常で使える手紙の挨拶文の書き方をご紹介します。

有名な俳句から学ぶ春の表現:芭蕉や虚子の名句を味わう

先人たちがどのように春を切り取ったかを知ることは、表現の大きなヒントになります。

「古池や蛙飛びこむ水の音」
  • 俳人
    松尾芭蕉
  • 季語
    蛙(春)
  • ポイント
    静寂な古い池に蛙が飛び込む音だけが響く、春の静けさを強調した有名な句です。
「春の海終日(ひねもす)のたりのたりかな」
  • 俳人
    与謝蕪村
  • 季語
    春の海(春)
  • ポイント
    一日中ゆったりと波打つ春の海の、のどかな情景を見事に描いています。
「遠山に日の当たりたる枯野かな」
  • 俳人
    高浜虚子
  • 季語
    枯野(冬・春待つ心)
  • ポイント
    枯野は冬の季語ですが、遠くの山に当たる光に春の兆し(早春)を感じさせる句として鑑賞されることもあります。

これらの句のように、見たままの景色や音を素直に言葉にするだけで、季節感あふれる表現になります。

春の時候の挨拶と結びの言葉:相手への心遣いを季語に込めて

手紙やビジネスメールの冒頭で使う「時候の挨拶」は、相手への心遣いです。時期に合わせて使い分けることで、より丁寧な印象になります。

【2月(立春〜梅の頃)】

上旬(立春:2/4頃)
  • 書き出し
    立春の候、寒さの中にも春の兆しを感じる季節となりました。
  • 結び
    まだ寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください。
中旬(梅の花が咲き始める頃)
  • 書き出し
    梅のつぼみもほころび始め、春の訪れが待ち遠しい今日この頃です。
  • 結び
    春の足音を感じるこの頃、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
下旬(春の気配が濃くなる頃)
  • 書き出し
    余寒も和らぎ、日差しに春のぬくもりを感じる季節となりました。
  • 結び
    季節の変わり目ですので、どうぞお体にお気をつけください。

【3月(啓蟄〜桜の頃)】

上旬(啓蟄:3/6頃)
  • 書き出し
    早春の候、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
  • 結び
    季節の変わり目ですので、くれぐれもご自愛ください。
中旬(春分・お彼岸)
  • 書き出し
    春暖の候、いよいよ春めいてまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
  • 結び
    心浮き立つ春、皆様の毎日が笑顔で満たされますように。
下旬(桜の盛りの頃)
  • 書き出し
    陽春の候、桜の花も今を盛りと咲き誇っております。
  • 結び
    新年度のスタートにあたり、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。

【4月(桜散り〜新緑)】

上旬(桜散り始め)
  • 書き出し
    春光うららかな季節となり、桜花も名残を惜しむ頃となりました。
  • 結び
    新生活の始まりにあたり、皆様のご活躍をお祈り申し上げます。
中旬(新緑が芽吹く頃)
  • 書き出し
    若葉が芽吹き、清々しい春風が心地よい季節となりました。
  • 結び
    爽やかな春の日々を健やかにお過ごしください。
下旬(新緑深まる頃)
  • 書き出し
    新緑の候、木々の緑がいよいよ鮮やかさを増してまいりました。
  • 結び
    初夏を迎えるこの頃、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

「書き出しで季節の移ろいに触れ、結びで相手の健康や多幸を祈る」基本構成に季語を添えるだけで、温かみのある文章になります。

春の季語に関するよくある質問

ここでは、春の季語を使う際によくある疑問や誤解について、Q&A形式で解説します。

Q. 「小春日和」は春の季語ですか?間違えやすい言葉は?

「小春日和(こはるびより)」は冬の季語です。晩秋から初冬にかけての、春のように暖かい日のことを指します。春に使うのは誤りなので注意しましょう。

同様に間違えやすいものとして、以下があります。

五月晴れ(さつきばれ)
本来は「梅雨の合間の晴れ間」を指す夏の季語です。新暦5月の晴れの日という意味で使われることも増えましたが、厳密には夏です。
新春・迎春
これらは新年(1月)を表す言葉です。

Q. 春を表すおしゃれで美しい季語のおすすめは?

春を表すおしゃれで美しい季語は、例えば以下のような言葉がおすすめです。

花筏(はないかだ)
散った桜の花びらが、水面に帯のように浮かんで流れる様子。
桜隠し(さくらかくし)
桜が咲く頃に思いがけず雪が降ること。
風車(かざぐるま)
春風を受けて回るおもちゃ。ノスタルジックな春の風情がある。

これらの季語を挨拶や文章にさりげなく取り入れると、ぐっと粋で上品印象になります。

Q. 一つの俳句に春の季語が複数入っても大丈夫?

基本的には、俳句では主役となる季語を一つに絞るのがルールとされています。

季語は季節を象徴する言葉なので、複数入れると焦点がぼやけやすくなります。初心者の方は、まず「一つの句に季語は一つ」を意識すると、すっきりした句が作れます。

なお、一つの俳句に複数の季語が入ることを「季重なり(きがさなり)」といいます。しかし、有名な俳句の中には季重なりの作品もあります。どうしても表現したい情景がある場合は、工夫次第で成立しますが、難易度は高めです。

俳句を書く人

まとめ

春の季語は、単なる言葉のリストではなく、私たちが季節の移ろいを感じ、日々の暮らしを慈しむためのツールです。この記事で出会った美しい日本語を、ぜひ明日の手紙や挨拶の中で使ってみてください。

言葉が変われば、目に映る春の景色がもっと輝いて見えるはずです。心豊かな春の暮らしを、言葉から始めてみませんか。

記事編集

くらひろ編集部
東京電力エナジーパートナー株式会社

「くらひろ by TEPCO」は、東京電力エナジーパートナーが運営するWebメディアです。でんきやガスのことはもちろん、あなたの毎日に役立つ知識から、くらしを広げるアイデアまで、“知りたい”に答える多彩な記事をお届けします。

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