大寒の風景
季節の行事

2025年の大寒はいつ?意味や行事・縁起の良い食べ物を解説

二十四節気のひとつである「大寒」(だいかん)は、その名のとおり、冬の寒い時期にあたります。昔から、この時期には冬の伝統行事が行われたり、その時期に合った食べ物を食べたりといった習慣がありました。

今回は、大寒の意味や大寒に行われる伝統行事、縁起物とされる食べ物について解説します。

大寒とは:【1年で最も寒い時期、2025年1月20日から2月2日】

大寒とは、1年で最も冷え込む期間に訪れる、季節を表す言葉です。日付は毎年ばらつきがあり、1月19日~21日のなかの1日が大寒となります。

2025年においては、1月20日が大寒に該当する日です(2024年も1月20日が大寒でした)。また、二十四節気は次の二十四節気までの期間を表す言葉でもあり、2025年の大寒期(大寒の期間)は、1月20日~2月2日です。

大寒は、古代中国で発明された「二十四節気」という季節の区切りの一つです。二十四節気は太陽の動きや高さに基づいて、1年を約15日ごとに24等分したものであり、日本の旧暦(太陰太陽暦)の太陽暦部分と深い関連があります。

二十四節気

大寒の時期には、昔から寒さを乗り越えるため、もしくは季節の移り変わりを楽しむため、さまざまな行事や風習が存在してきました。とくに、この寒さがもたらす季節特有の食材を使用して作られる料理や、寒さを活かした行事は、人々にとって冬の楽しみの一つとして受け継がれてきました。

大寒の時期におすすめの食べ物については、後述の「▼大寒のときに食べる物を紹介」をご覧ください。

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大寒に行う行事とそれぞれの意味

大寒の時期には、心身を清めることを目的とした行事が行われています。それぞれ、内容について簡単に見ていきましょう。

寒の水:清らかな水を汲む行事

「寒の水」とは、「寒の内」と呼ばれる小寒(1月初め)から立春(2月初め)までの期間に汲まれた水のことを指します。この時期は1年で最も冷え込むため、水に含まれる雑菌の活動や繁殖が低下します。そのため、寒の水は保存性が高く、味噌や醤油、お酒の製造に適すとされてきました。

また、そのまま飲むことで心身を清めるとも考えられています。これは、寒の水の持つ清冽さや浄化の力が、心身にも良い影響をもたらすと信じられてきたからです。

さらに、江戸時代には寒の水は美容にも活用されていました。寒中に集めた雪を壺に保存し、夏になったら白粉(おしろい)を溶く化粧水として使われていたそうです。

寒仕込み:寒の水を利用し味に深みを出す手法

「寒仕込み」とは、冬の厳しい寒さを活用した伝統的な食材の仕込み方法を指します。とくに、味噌の仕込みにおいては、前年の秋に収穫された新穀の大豆や米を原料として、1月初めから節分までの約30日間にかけて仕込むのが一般的です。

この時期は寒さが厳しく、空気中の雑菌の活動が鈍化するため、食品の仕込みや保存に最も適した期間とされています。寒仕込みの手法では「寒の水」を使用することが多く、清潔で冷たい水が仕込む食材の品質をより高めるといわれています。

なお、寒仕込みは味噌だけでなく、酒や醤油など、伝統的な日本食の製造にも用いられてきました。寒の水を使用することで、これらの食品には独特の深みや風味が生まれるとされ、多くの人に重宝されています。

寒稽古:冬に行う早朝練習の総称

厳しい寒さの中で稽古を行うことを、「寒稽古」と呼びます。大寒の早朝や夜間に、武道、スポーツ、音楽などの稽古を行います。寒さを極力活用した訓練を通じて、心身の強化や精神の鍛練を追求します。

稽古を通し寒さを乗り越えることで、自身の限界を知り、それを超える力が身につくとされます。このような稽古法は、「寒行」や「寒修行」とも呼ばれ、心の浄化や自我の克服を目的としています。

冬に運動している人

大寒のときに食べるものを紹介

大寒では昔から、その時期に採れる食材を使った料理を、それぞれの目的に合わせて食べることを慣習としてきました。

寒い時期に生まれ育った食材を取り込むことで、心身を清めようという意味合いがあったとされています。現代でも、ぜひ取り入れたい習慣です。

大寒卵:大寒の時期に産まれた卵

冬大寒卵

「大寒卵」とは、大寒の当日(大寒期の初日)に鶏が産んだ卵を指します。この卵は縁起が良いとされ、なおかつ栄養価も高いといわれています。

昔の日本では、冬の寒さの中で鶏が卵を産むことは稀で、それゆえに大寒の時期に産まれた卵は特別な価値を持つとされました。また、卵の黄身の黄色が濃くなることから金運の願いも込められています。

冬の寒さを乗り越える鶏は、寒さに耐え抜くために多くの餌を食べ、少ない水分で生活します。この生活環境が、卵に豊富な栄養をもたらすとされています。

寒餅:寒の水でついた餅

寒餅

「寒餅」とは、寒の水を用いて炊かれたお米で作られた餅のことです。寒の水を使うことで、お餅に縁起の良さが伴うといわれています。なお、地域によって「かきもち」「こりもち」「かきやま」など呼ばれ方が異なります。

寒さの中での餅づくりは、耐寒性や保存性を高めるための伝統的な手法として受け継がれてきました。その独特の風味や風土に根ざした文化として、現在にも残されています。

甘酒:寒の水で仕込んだ甘酒

甘酒

寒の水は清らかで澄んだ水であり、品質が非常に高いことから、その水で作られる甘酒は、とくにおいしさが際立ちます。

また、大寒を中心とした時期に、昔から甘酒がよく飲まれていたという伝統もあります。身体を温めるとされる甘酒の特性から、多くの人々が冬の寒さをしのぐために甘酒を求めるようになりました。

味噌:寒の水で作った味噌

味噌

寒の水で作られる味噌は、日本の伝統文化の中でも、深い味わいと高い品質で多くの人々に愛されています。

寒の水には不純物が少ないため、味噌をゆっくりと均一に発酵できます。均一な発酵環境は、麹の甘さや大豆の旨味を最大限に引き出す要因となり、深みのある味わいの味噌づくりにつながります。

また、寒い時期は空気中にも雑菌が少ないので、味噌仕込みに非常に適しています。雑菌の影響を受けにくいこの環境は、味噌の熟成が一定の条件下で進めるのに役立ちます。その結果、雑味が少なく、品質の高い味噌が完成するのです。

寒の時期の魚介類「ぶり・さば・さわら・しじみ」

魚介類

大寒の時期に差し掛かると、海や川の水温が下がります。魚たちは寒さを乗り越えるために、脂肪をため込み始めます。この脂肪は、魚たちの身体を保護する役割を持ち、寒さから身を守るのに役立ちます。

こうした性質により、大寒の頃の魚の身には脂が豊富に乗り、その食感や味わいが格段に豊かになるのです。とくに貝類や一部の魚、例えば「ぶり」や「さば」、「さわら」、「しじみ」などが非常においしくなります。

加えて、冬の寒さにより多くの微生物や藻類の活動が低下し、それが海や川の水の透明度を高めます。この環境の変化は、魚たちが摂取する餌の質を向上させ、その結果、魚の身の味わいにも良い影響を与えるといわれています。

まとめ

日本でも古くから伝統行事として親しまれてきた大寒。ご紹介したとおり、厳しい寒さの中で伝えられてきた行事や食べ物には、それぞれに納得の理由があったと言えます。

ぜひ現代でも、こうした習慣を取り入れていきましょう。

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