エアコンとこたつはどっちが電気代安い?メリットや節約術も解説
そこで今回は、こたつとエアコンの電気代を比較し、それぞれのメリットやデメリット、節約方法についてもご紹介します。暖かさを保ちながら、家計に優しい冬の過ごし方を考えてみましょう。
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こたつの電気代ってどのくらい?種類によって異なるの?
こたつは、テーブルの下に設置されたヒーターで布団の中を暖めており、ヒーターの種類によって電気代が異なります。こたつのヒーターには、「石英管ヒーター」「フラットカーボンヒーター」「ハロゲンヒーター」の3種類があります。
ここからは、それぞれの電気代について解説します。電気代の計算方法は以下のとおりです。
電気料金は2024年9月時点での目安単価、31円/kWh(税込)を基準として計算します[1]。
なお、こたつには「ほりごたつ」と「やぐらこたつ」がありますが、今回は一般家庭で主流である床に座って使用するタイプのやぐらこたつに着目して電気代を比較します。また、以下はすべて、1~2人向けの正方形タイプのこたつ(天板サイズ:各辺75~80cm)を使用した場合の電気代です。
石英管ヒーター
石英管(せきえいかん)ヒーターは、昔ながらのこたつに使用されており、じんわりと暖まるのが特徴です。電気代の目安としては1時間あたり、弱で約2.5円、強で約5.0円(※1)です。
石英管ヒーターは、輻射熱(ふくしゃねつ)で暖まる仕組みになっています。輻射熱とは、物体から発せられた遠赤外線などの電磁波が他の物体に当たり、その物体が電磁波のエネルギーを吸収して温度が上昇する現象のことです。
石英管ヒーターは遠赤外線を多く放出するため、体の芯から暖まるように感じられますが、他の種類のヒーターと比較すると、電源を入れてから暖かくなるまで少し時間がかかります。
フラットカーボンヒーター
フラットカーボンヒーターを使用したこたつは、内蔵されたカーボンシートに電流を流すことで、熱を発する仕組みです。電気代の目安は1時間あたり、弱で約1.6円、強で約3.4円(※2)で、3種類のヒーターの中では最も電気代が安い傾向にあります。
フラットカーボンヒーターは、広い範囲をムラなく暖められます。また、薄型でフラットな構造をしているので、こたつへの足の出し入れがしやすい点や、シーズンが終わり、使わないときには収納しやすい点も特徴です。
ハロゲンヒーター
ハロゲンヒーターは石英管ヒーターによく似た見た目で、耐久性の高いヒーターです。ハロゲンヒーターの電気代の目安は、1時間あたり、弱で約2.2円、強で約5.6円(※3)です。高出力で暖かい機種が多く、石英管ヒーターやフラットカーボンヒーターを使用したこたつよりも、電気代はやや割高な傾向にあります。
ハロゲンヒーターは、ハロゲンランプが近~中赤外線を放射し、こたつ内部を暖めます。スイッチを入れてからの立ち上がりが早く、暖かくなるまでの時間が短いのが特徴です。
※1 山善SEU-752(U字形石英管ヒーター)を参照
※2 山善ESK-MDN758(フラットカーボンヒーター)を参照
※3 山善GMK-HDN802H(U字形ハロゲンヒーター)を参照
エアコンの電気代ってどのくらい?
次に、エアコンの電気代を計算してみましょう。電気代の計算方法はこたつと同様とし、こたつと比較条件を揃えるため、1~2人向けの居室として8畳の部屋を想定します。
8畳用エアコンを暖房として使用した場合、標準出力での消費電力は635W程度です(※4)。そのため、8畳用エアコンで暖房を1時間使用したときの電気代は、目安として約19.7円と計算できます。
エアコンは部屋全体を暖めるため、限られた範囲を暖めるこたつよりも電気代は高い傾向にあります。
※4 ダイキンS253ATES-W(8畳タイプ)を参照
こたつとエアコンの電気代を他の暖房器具と比較!
以下に、10種類の暖房器具の電気代を比較した表を示しました。
この表を見ると、こたつはエアコンよりも電気代が安いことが分かります。一方で、エアコンと他の暖房器具を比較すると、エアコンも比較的電気代が安い暖房器具だといえます。
電気代を節約したい場合、全員が同じ部屋にいるときはエアコン、一人でゆっくりするときは電気毛布など、状況によって使用する暖房器具を使い分けるのがおすすめです。
暖房器具 消費電力の目安 |
電気代の目安 ※1 (1時間あたり) |
電気代の目安 ※1 (1日8時間使用時) |
---|---|---|
こたつ(石英管ヒーター) 80~160W ※2 |
2.5~5.0円 | 19.8~39.7円 |
エアコン(8畳タイプ) 635W (130W~1,290W) ※3 |
19.7円 (4.0~40.0円) |
157.5円 (32.2~319.9円) |
電気ブランケット 55~75W ※4 |
1.7~2.3円 | 13.6~18.6円 |
ホットカーペット(1畳) 120~165W ※5 |
3.7~5.1円 | 29.8~40.9円 |
カーボンヒーター 350~900W ※6 |
10.9~27.9円 | 86.8~223.2 円 |
赤外線ストーブ 330~1,150W ※7 |
10.2~35.7円 | 81.8~285.2円 |
セラミックファンヒーター 640~1,170W ※8 |
19.8~36.3円 | 158.7~290.2円 |
パネルヒーター 500~1,200W ※9 |
15.5~37.2円 | 124.0~297.6円 |
オイルヒーター 500~1,200W ※10 |
15.5~37.2円 | 124.0~297.6円 |
ハロゲンヒーター (800~1,200W)※11 |
24.8~37.2円 | 198.4~297.6円 |
※1 公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会の電気代の目安単価より、1kWhあたり31円として計算[1]
※2 山善 SEU-752を参照
※3 ダイキン S253ATES-W(8畳タイプ)を参照
※4 パナソニック DC-H5を参照
※5 パナソニック DC-1NKB1(1畳相当)を参照
※6 コロナ DH-C922を参照
※7 コロナ CH-1222Rを参照
※8 パナソニック DS-FS1200を参照
※9 デロンギHXJ60L12を参照]
※10 アイリスオーヤマIWH2-1208D-Wを参照
※11 テクノス PH-1211を参照
こたつを使うメリットは?
こたつは、エアコンに比べて消費電力効率がよく、エコな暖房器具といえます。ここでは、こたつを使うメリットをご紹介します。
部屋が乾燥しにくい
こたつはエアコンとは異なり、部屋全体ではなくこたつの中のみを暖めます。このおかげで部屋の湿度が下がりにくく、空気が乾燥しにくいというメリットがあります。
湿度が下がると喉や気管支の粘膜が乾燥し、喉を傷めたり、風邪のウイルスが体内に侵入したりしやすくなります[2]。そのほか、乾燥は静電気の発生にもつながりますので、冬を快適に過ごすうえでは大きなメリットと言えそうです。
部屋の空気を汚しにくい
こたつはエアコンのように送風機能がないため、部屋のほこりや花粉を巻き上げることがありません。ハウスダストアレルギーや春先の花粉が気になる方には、適した暖房器具といえます。
また、運転時にストーブのような燃焼を伴わず、一酸化炭素が発生するおそれがない安全な点もメリットと言えます。
燃焼時に酸素を消費するガスストーブや石油ストーブでは、定期的に換気をしていないと部屋の酸素が不足し、重い中毒症状をもたらす一酸化炭素が発生する可能性があります。
その点、こたつは運転時に燃焼を伴いません。そのため、一酸化炭素が発生する心配はなく、比較的安全な暖房器具とされています。
足元を集中的に暖められる
こたつは、熱を発するヒーターに手足を近づけて温められるので、身体が冷えやすい方におすすめの暖房器具です。
エアコンは部屋全体を暖める目的の暖房器具のため、足先や指先が温まるまでに時間がかかってしまいます。一方、こたつであれば集中的に手足を温められます。
とくに、先述したハロゲンヒータータイプのこたつなら、暖まるまでの立ち上がり時間が短く、すぐに手足を温められます。手足の冷えにお悩みの方にはおすすめです。
こたつを使うデメリットは?
こたつには、電気代が比較的安価であることや部屋が乾燥しにくいというメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。
ここからは、こたつを使用する際のデメリットや注意点をご紹介します。
部屋全体は暖めることはできない
こたつが暖められるのはこたつの内部のみで、部屋全体の空気は暖められません。部屋全体を暖めたいときは、エアコンやファンヒーターなど別の暖房器具を使用する必要があります。
ただし、こたつとエアコンを併用すると電気代が高額になるため、どちらか一方のみを稼働させるのがおすすめです。
サイズが大きく場所をとる
こたつはサイズが大きく、一定のスペースがなければ設置できません。
また、使用しない間も収納に場所を取られるため、年間を通して一定のスペースを確保する必要があります。
こたつから出づらくなる
こたつの心地よい暖かさに慣れて、こたつから出づらくなって長居してしまう点も、場合によってはデメリットです。姿勢が悪い状態で長時間過ごすと、体を痛めることもあるので注意が必要です。ストレッチなどをして体をほぐすといいでしょう。
また、使用時間に比例して電気代も増加します。タイマーを設定することで、長時間の使用を防ぐことができます。
こたつの電気代を抑える節約方法4選
こたつは、節電機能や他の暖房器具との併用、温度設定の工夫により電気代を抑えられます。ここでは、節電につながる4つのテクニックをご紹介します。
人感センサー付きのこたつを選ぶ
人感センサー機能とは、こたつ内部の人の動きを感知して自動的に電源のオンとオフを切り替える機能です。人感センサー機能付きのこたつを選べば、つけっぱなしによる無駄な電力消費をなくして節電できます。
センサーが自動で温度調節も行い、常に適切な温度を維持できるのもポイントです。
ラグやカーペット、断熱シートを併用する
こたつの下にラグやカーペットを敷くと、こたつ内部の熱が逃げにくくなります。床からの放熱をできるだけ防ぐことで、内部の温度が維持され、必要以上に電力を消費しなくなります。
また、床とラグの間に断熱シートを敷けば、床からの冷気を遮断でき、より内部の暖かさを保てます。
厚みのある大きめの掛け布団を使用する
こたつ用の掛け布団は、厚手で大きめのものがおすすめです。厚手で大きな布団は、断熱効果が高く、こたつ内部の暖かさを保ちやすくなります。
また、大きめの布団をかけることで、隙間から内部の熱が逃げるのを防げます。
設定温度を「中」「弱」に変更する
必要に応じて設定温度を調整することで、電気代を大幅に抑えられます。
こたつのスイッチを入れるときは、短時間で暖めるため最初は「強」に設定し、ある程度暖まったら「中」や「弱」にするのがおすすめです。こたつは一度暖まると、低い設定温度でも十分に暖かさを保てます。
「強」のまま放置するのではなく、状況に応じて調整しましょう。
まとめ
こたつはエアコンに比べて電気代が安く、部屋の乾燥や空気の汚れも防げる暖房器具です。ただし、部屋全体を暖めるのには向きません。
ご家庭の暖房器具を上手に使いわけ、暖かくて快適な冬を過ごしましょう。
- 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会:
よくある質問 Q&A - 東京都保健医療局:
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