家電の知識

【医師監修】寝るときの暖房はつけっぱなしでOK?設定温度やコツも

寒い時期は、就寝中に暖房をつけたままにする方もいるでしょう。しかし、つけっぱなしにすると、電気代や乾燥が心配という人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、就寝中に暖房をつけるときの工夫や、注意点について解説します。冬の睡眠のNG行動も紹介しますので、快適な眠りのためにも、ぜひ参考にしてください。

監修者

井上 信明(いのうえ のぶあき)
医師/公衆衛生学修士(MPH)

日米豪にて小児科医・小児救急医として勤務。子どもたちとその家族に、根拠のある安全と安心を提供することを信条に日々診療している。日米小児科専門医、米国小児救急専門医。

井上 信明(いのうえ のぶあき) プロフィール写真

寝るときの暖房は"つけっぱなし"ではなく"工夫する"

寝るときに暖房をつけっぱなしにすると、室温が上がりすぎたり湿度が低下したりして、喉や肌の乾燥の原因となります。暖房はつけっぱなしにするのではなく、工夫して使用することが大切です。

ここでは、就寝中に暖房をつけるときの工夫を解説します。

暖房使用の目安:室温が20℃を下回るとき

暖房をつけるタイミングは、室温が20℃を下回ったときを目安にしましょう。室温が20℃を下回ると寒さを感じやすく、眠りにくくなります。

室温が20℃に達していても寒いときは、エアコンの設定温度はそのままで、毛布や布団を複数枚使用するなど工夫しましょう。

ベッドではなく、床に布団を敷いて寝ている場合は、敷布団の上に毛布を1枚重ねると、床から伝わる冷気が遮断できるので、さらに暖かさを感じられます。

つけるタイミング:布団に入る30分前

就寝する30分〜1時間前を目安に、エアコンのスイッチをオンにして部屋を暖めておきましょう。

部屋が冷えていると体がリラックスできず、目が冴えてしまったり、深い眠りにつきにくくなったりする可能性があります。部屋が十分に暖まるには時間がかかるため、寝る時間よりも早めに暖房をつけておくのがおすすめです。

なお、リラックスした状態で布団に入るには、入浴時間の調整も有効です。厚生労働省は、寝付きを良くするために、就寝の1~2時間前に入浴を済ませておくことを推奨しています[1]

設定温度:室温を20℃前後に保てる温度

冬の寝室は、室温20℃前後に保つのが理想です。環境省も、省エネのために冬の室温を20℃にすることを推奨[2]しています。

ここでいう20℃とは暖房の設定温度ではなく、部屋の温度を意味します。デジタル温湿度計などを使用して室温を測り、20℃前後になるよう調整しましょう。

20℃前後でも寒いと感じる場合は、衣類を重ねたり、湯たんぽを使用したりしましょう。暖房の設定温度を上げると電気代の上昇や肌の乾燥の原因となるので、暖房に頼りすぎないことが大切です。

湿度:40~60%に保つ

暖房を使うと室温は快適になりますが、室温が上がることで湿度が低下し、空気が乾燥してしまいます。そこで加湿器を使用したり、洗濯物を室内で干したりして、湿度を40~60%に保ちましょう。

湿度が過度に下がると喉を痛めたり、ウイルスが増殖したりする原因にもつながる[3]ため、快適な睡眠環境には加湿が必要不可欠です。

加湿器の適応面積はさまざまで、部屋全体を加湿できる製品もあれば、本体を設置した周辺に限られているものもあります。加湿量も製品によって異なるので、部屋の広さや環境にマッチした加湿器を選ぶことが大切です。

オフタイマー:就寝後2~3時間後に設定

冬の就寝時は、暖房のオフタイマーを2〜3時間で設定するのがおすすめです。暖房を一晩中つけっぱなしにすると室温が上がりすぎたり、湿度が下がりすぎたりするため、オフタイマーを使って自動で暖房が切れるようにしましょう。

暖房が停止した後に肌寒さを感じないようにするためには、保温性の高い寝具やパジャマを用意しておくと安心です。フリース素材のパジャマや羽毛布団などを活用すれば、暖かさを保つのに役立ちます。

オンタイマー:起床の1時間前に設定

起きてすぐ布団から出られるようにするには、起床の1時間前にエアコンの電源がオンになるように、オンタイマーを設定しておくのがおすすめです。

人は朝になると体温が上昇して目覚めますが、室温が低いと体温が上がりにくく、すっきりと目覚められません。起きる前にあらかじめ快適な室温にしておけば、目が覚めやすくなります。

また、暖房を起床時間に合わせてオンにし、あらかじめ室温を上げておくようにすれば、「寒くて布団から出られない」という悩みも解消されるでしょう。

寝るときに暖房をつける場合の注意点

真冬など、暖房を切ると寒すぎて目が覚めてしまう場合は、つけっぱなしでも問題ありません。ただし、いくつか注意点があるため、対策をしておきましょう。

それぞれの注意点について詳しく解説します。

部屋が乾燥してしまう

冬の空気は乾燥していますが、暖房をつけるとさらに乾燥しやすくなります。暖房をつける際には、加湿機能付きのエアコンを利用するか、暖房と加湿器を併用するのがおすすめです。

湿度は40〜60%の間になるように設定し、暖房の風が体に直接あたらないように風向を調整すると、乾燥を抑えられ、快適な睡眠環境が作れます。

部屋が暖まりすぎる

寝るときに暖房をつける場合は、室温が20℃前後になるように調整しましょう。暖房の設定温度が室温になるとは限らないので、調整しながら室温が20℃前後になる設定温度を見つけてください。

とくに、乳幼児は体温調節機能が未発達で、まだ自分で体温をうまく調節することができません[4]。そのため、乳幼児がいる家庭では、部屋が暖まりすぎないように、暖房の設定温度を適切に調整する必要があります。

電気代が高くなる

冬にエアコンの暖房を使用すると、夏の冷房よりも電気代は高くなる傾向にあります。

エアコンは、外気温と設定温度の差が大きいほど、必要な電力消費量が大きくなります。気温が下がる冬の夜はその差が特に大きく、暖房をつけっぱなしにすると、夏の夜に冷房をつけっぱなしにするよりも電気代は高くなりやすいです。

火災・やけどの可能性がある

発火のおそれがある石油ストーブや、電気ストーブ、ファンヒーターなどの暖房器具は、寝るときに必ず消しましょう。寝ているときにこれらの暖房器具をつけたままだと、火災や事故につながるリスクが高くなります。

また、室内で火を使う暖房器具を使い続けると、十分な換気ができない睡眠中は一酸化炭素が発生するおそれもあります。安全のために、暖房器具のスイッチは消しておくと安心です。

寒くて眠れない場合は、火を使わないエアコンの暖房やオイルヒーターを使用したり、寝具やパジャマを保温性の高いものに変えたりするなどの工夫をしましょう。

また、寝具を温めるときは、湯たんぽや電気毛布も便利ですが、低温やけどの危険があり、十分に注意が必要です。湯たんぽは直接肌に触れない位置に置き、電気毛布は布団に入ったら消す習慣をつけましょう。

冬の睡眠のNG行動

冬場の睡眠の質を向上させるためには、エアコンの設定温度や室内の湿度を意識することが大切です。

ここでは、冬の睡眠でやってはいけないNG行動について解説します。

就寝直前の「食事」「飲酒」

就寝前に食事をとると、消化器管の動きが活発になるため、眠りにくくなってしまいます。食べたものの消化には、2〜3時間ほどかかるといわれているため、遅くとも就寝の3時間前までには食事を済ませておくのが理想です。

どうしても食事の時間が遅くなってしまう場合は、胃腸への負担が少ない食べ物を選ぶか、食べる量を減らすなどの工夫をしてみてください。

就寝前の飲酒も、控えるべき行動の一つです。アルコールは睡眠の導入を助ける効果がある一方で、睡眠の質が低下することもあるので注意が必要です。また、アルコールには利尿作用もあるため、夜中にトイレに起きる回数が増え、結果として睡眠の質が低下してしまう場合もあります。

個人差はありますが、350mL缶のビールに相当する14〜15gのアルコールを分解するには、おおよそ2〜3時間かかるといわれています。分解時間から逆算して就寝の3〜4時間前までには、飲酒を終えるよう意識しましょう。

お酒を飲む女性

就寝直前の「熱いお風呂」

寒い日は就寝の直前まで熱いお風呂に入り、体を温めてから布団に入りたくなりますが、かえって眠りにくくなる場合があるため、避けたほうが良いでしょう。

人間は、体温が下がると眠気を感じやすくなるといわれています。寝る直前に熱いお風呂に入り体の芯まで温まってしまうと、体温が下がるまでに時間がかかり、結果的に寝付くまでに時間がかかる可能性があります。

就寝の直前に入浴する際は、できるだけぬるめのお湯にゆっくりと浸かりましょう。

「厚着」「靴下着用」をしたままの就寝

極端に厚着のパジャマや、靴下を着用したままの状態は、快適な睡眠を遠ざけてしまうためNGです。厚着をすることで体温が上がりすぎてしまい、眠りにくくなります。

快適な睡眠のためには、寝具の中で体を温めながらも、適度に熱が放散されることが理想です。厚着は熱の放散を妨げるので、快適な睡眠のためには避けたほうが良いでしょう。

また、靴下を着用したままの就寝もNGです。足先からの熱の放散を妨げてしまい、体が熱く感じます。足先が冷えると眠れないという方は、前述した暖房の適正温度や湿度を意識して、快適な睡眠へと導く「環境づくり」にも目を向けてみてください。

靴下を着用した足

まとめ

寝るときは暖房をつけっぱなしにするのではなく、以下のポイントを抑えて使用してください。

  1. 室温20℃を下回るときにつける
  2. 就寝の30分前からつけ始める
  3. 室温は20℃前後に保つ
  4. 湿度は40~60%に保つ
  5. オフタイマーを就寝2~3時間後に設定する
  6. オンタイマーを起床の1時間前に設定する

適切な室温と湿度を意識しつつ、エアコンのタイマー機能や加湿器を活用することで快適な睡眠を実現できるでしょう。無理のない範囲で、ぜひ実践してみてください。

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くらひろ編集部
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