騒音に悩まされる様子
すまいの知識

マンションの騒音対策!騒音の種類やトラブル解決手順を解説

マンションなどの集合住宅で避けては通れないのが、騒音トラブルです。実際に騒音に悩まされ、どこに相談するべきか、どう対処すれば良いのか分からずにお困りの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、マンションで騒音トラブルが起こりやすい理由やよくある原因、騒音の種類について解説しています。解決手順も紹介しますので、騒音でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

マンションでの騒音が問題になりやすい理由

マンションでの騒音が問題になりやすい主な理由は、次の3つです。

ここでは、それぞれの理由について詳しく解説していきます。

戸建てと比べて隣家の音が聞こえやすい

マンションは、戸建てと比べて隣家の音が聞こえやすい傾向があります。

戸建ては、自宅の外壁から隣家の外壁までに距離があり、空気の層が存在することで音が弱まります。そのため、一般的な話し声程度の音量であれば、隣家の音がうるさく感じられるケースは少ないでしょう。

一方、マンションは隣室との距離が近く、壁には音が伝わりやすい石膏ボードなどが使用されているケースが多いです。この場合、一般的な話し声程度の音量でも、隣室に聞こえてしまうことがあります。

とくに、早朝や深夜など、周辺が静かになる時間帯は余計に際立って聞こえ、トラブルにつながりやすくなります。

共用階段やエレベーターによる騒音のリスクがある

マンション特有の問題として、共用階段やエレベーターによる騒音も挙げられます。共用階段での会話や昇り降りする際の足音は周囲に響きやすく、トラブルにつながる可能性があります。

エレベーターホールも同様です。とくに、エレベーターホールに近い部屋は、エレベーター待ちをしている人たちの話し声や、昇降時の駆動音による騒音の影響を受けやすいです。

住人それぞれの生活時間が異なる場合がある

自分と異なる生活リズムの住人が上階や隣室にいると、騒音が気になりやすくなります。

とくに、睡眠時間が大きく異なる住人がいる場合、就寝中にその部屋から聞こえる生活音が気になることがあります。場合によっては、自身の睡眠中に隣家のアラーム音で起こされたり、逆に自身のアラーム音で隣家の住人を起こしてしまったりすることもあります。

目覚まし時計を止める女性

マンションでの騒音トラブルのよくある原因は?

マンションの騒音トラブルでよくある原因として、以下の6つが挙げられます。

なお、騒音に悩まされた際の対処法については、後述の「▼マンションでの騒音を軽減する方法を紹介!」で、騒音トラブルが起こってしまった際の解決手順は「▼騒音トラブルの解決手順を解説」で紹介するので、あわせてご覧ください。ここでは、主な原因について詳しく解説します。

会話やテレビなどの音声

部屋と部屋の壁が薄いマンションや、鉄筋コンクリート造(RC造)ではない建物に住んでいると、隣室の会話やテレビなどの音声が聞こえてくることがあります。

とくに、夜間や早朝など、周辺が静かになる時間帯に生じる音は、日中と比べて響きやすいため、騒音トラブルにつながりやすいです。

テレビで映画を観たりゲームをしたりする場合、作品によっては爆発音や銃撃音が鳴り響くシーンもあるでしょう。このような重低音は、振動として建物内に響く可能性があり、やはりトラブルの原因となります。

足音や物が落ちる音

足音や物の落下音は、大きな音を立てるだけでなく衝撃もあるため、不快に感じやすい音です。とくに、子どもは室内で走り回ったり足音を立てて歩いたりすることが多く、騒音トラブルにつながりやすいです。

また、自宅にトレーニング機器を設置したり、ローラーが付いたトレーニンググッズを使用したりしている場合、使用時の音や振動が階下に伝わって騒音の原因となります。

ピアノやギターの楽器音

ピアノやギターなどの楽器音は、騒音トラブルの大きな原因になります。そのため、マンションのなかには、管理規約に楽器使用のルールを明記しているところも多く見られます。

電子楽器のように音量の調整やヘッドホンなどの使用が可能な楽器もありますが、それらも使い方や設置場所によっては、振動が階下に伝わって騒音トラブルにつながるリスクがあります。

掃除機や洗濯機の音

掃除機の吸引音や洗濯機の稼働音など、家電から出る音も侮れません。多くの家電は、使用時に音が出る上、使い方によっては30分以上音が鳴り続ける場合もあります。

日中仕事をしていると早朝や夜遅くに家事をする方も多いと思いますが、家電を使用する時間帯には注意が必要です。

飲み会やパーティーの音

自宅で飲み会やパーティーなどを行うと、テンションが上がって普段よりも大きな声で会話したり、動き回ったりする可能性が高く、騒音トラブルが発生しやすくなります。

また、飲み会が深夜まで続くこともあるでしょう。しかし、多くの人にとっては眠っている時間帯のため、騒音トラブルにつながる可能性が高いです。

近隣の工事音

近隣の工事音やマンション内の設備点検・巡回時などに発生する音も、騒音トラブルの原因です。

マンションに限りませんが、集合住宅の多くは戸建てと比べて窓や壁が薄く、外部の騒音が響きやすいという特徴があります。

工事中の住宅

マンションでの騒音の種類と基準

マンションでの騒音には、「空気伝搬音」と「固体伝搬音」の2種類があります。

ここでは、それぞれの違いや騒音の基準となるレベルについて解説します。

空気伝搬音と固体伝搬音の二種類がある

空気伝搬音(くうきでんぱんおん)とは、話し声やテレビの音声、楽器音、ペットの鳴き声といった、空気を介して直接聞こえる音のことです。部屋の上下階や隣室など、隣接する部屋からは大きく、遠ざかるほど小さく聞こえる音は、この空気伝搬音に含まれます。

一方、固体伝搬音(こたいでんぱんおん)は、物が落ちたときの衝撃音や家電製品の稼働音、ドアの開閉音などによる振動が建物を伝わって聞こえる音です。

マンションは、振動が建物全体に伝わりやすい構造になっており、自室に届く個体伝搬音の発生場所は、離接する部屋とは限りません。

昼間なら55デシベル以下が騒音の基準

音量の大きさは、dB(デシベル)という単位で表します。

下表は、主な生活音と音の大きさをデシベルで表したものです。

生活音の種類 音の大きさ
家庭用設備 風呂または給排水音 約57~75dB
温風ヒーター 約44~56dB
換気扇 約42~58dB
エアコン 約41~59dB
家電製品 目覚まし時計 約64~75dB
洗濯機 約64~72dB
電話のベル音 約64~70dB
掃除機 約60~76dB
テレビ 約57~72dB
その他 犬の鳴き声 約90~100dB
人の話し声(大声) 約88~99dB
ふとんをたたく音 約65~70dB
車のアイドリング 約63~75dB
子どもの走る音 約50~66dB
人の話し声(通常) 約50~61dB

引用元:東京都環境局[1]

環境省の環境基準[2]では、昼間(午前6時から午後10時まで)は55デシベルを超える音、夜間(午後10時から翌日午前6時まで)は45デシベルを超える音が、騒音であると定められています。

ただし、基準以下の音であっても、人によっては騒音と感じる場合があり、管理会社などが警告しても改善が見られない場合は、騒音とみなされる可能性があります。

騒音トラブルの解決手順を解説

マンションは建物の構造上、騒音の発生源の特定や、証拠を用意しにくいという側面があります。そのため、個人では対応が難しく、引越しを余儀なくされるケースが多くなっています。

しかし、立地条件や金銭面などの理由から引っ越せない方もいるでしょう。ここでは、引越しができない場合の騒音トラブルの解決方法を、以下の手順で解説します。

  1. 騒音の日時や音量を記録する
  2. 聞き込み等で騒音の発生源を特定する
  3. 管理会社や行政センター・弁護士に相談する
  4. 書面での通告を行う

なお、ここで紹介するのはあくまで一例です。改善されない場合や解決できない場合は、引越しや別の方法を試す必要があります。

騒音の日時や音量を記録する

騒音トラブルを解決するには、管理会社や行政センターに提出するための証拠を集めます。

騒音を感じたときに、日時や音の継続時間、どのような音だったか、何デシベル程度だったかを、可能な限り詳しく記録・録音しておきましょう。

聞き込み等で騒音の発生源を特定する

誤解によるトラブルを避けるためにも、騒音がどこで発生しているのかを念入りに調べる必要があります。

「真上の部屋からの騒音だと思っていたら、斜め上の部屋だった」「隣室がうるさいと思っていたら、実はエレベーターの稼働音だった」というように、自分が思っていたのとは異なる場所が発生源だったケースは少なくありません。

自力での特定が難しい場合は、マンションの住人にも聞き込みを行い、自分以外にも騒音に悩まされている人がいないか調べてみると良いでしょう。

管理会社や行政センター・弁護士に相談する

発生源が特定できても、直接自分で伝えることは避けてください。できるだけ管理会社や行政センター、弁護士などに相談し、間に入ってもらいましょう。

相談する際、集めた証拠を持参していくとスムーズです。騒音を裏付ける証拠があることで、管理会社なども迅速に対応しやすくなります。

書面での通告を行う

管理会社などに相談し、対応してもらったことで解決すれば良いですが、解決しない場合もあるでしょう。そのときは、書面での通告が効果的です。

弁護士などに依頼し、「騒音調査を実施した結果、誰がどういった被害を受けているのか」「当該騒音に違法性がある」旨の警告文を送付します。

なお、自身で文書を作成し、郵便局から内容証明を送ることも有効です。

必要があれば法的措置を行う

書面で警告しても改善が見られないときは、法的措置が必要です。管理会社や弁護士と連携を取り、訴訟や調停の準備を進めましょう。

もし、相手が話し合いに応じるようであれば、お互いに感情を抑えて冷静に話し合うことが大切です。

マンションでの騒音を軽減する方法を紹介!

マンションでの騒音を軽減する主な方法は、以下の4つです。

ご自分でできそうなところから、試してみてください。

防音材を設置する

天井や壁に防音材を設置することで、騒音を軽減できます。防音材は両面テープで簡単に貼り付けられるので、手軽にできる騒音対策としておすすめです。

ただし、振動による騒音の軽減は、あまり期待できません。

耳栓やイヤホン・ヘッドホンを使う

耳栓やイヤホン、ヘッドホンを使って音を物理的に遮断する方法もあります。ノイズキャンセリング機能のついたイヤホンやヘッドホンを使うと、より音が気になりにくいでしょう。

家具の配置変えで音を響きにくくする

隣室からの騒音が気になる場合は、隣接する面の壁に家具や家電を配置すると、音が響きにくくなります。

ものが少ないと部屋に音が響きやすいため、ものを増やすことも騒音対策としては有効です。

角部屋や最上階の部屋、複層ガラスの窓の部屋に引っ越す

角部屋や最上階の部屋、あるいは窓に「複層ガラス」を採用した部屋は、マンションでも比較的騒音の影響を受けにくいです。

角部屋は隣接する部屋数が少ないため、隣室の生活音による騒音リスクが発生しにくいのが大きなメリットです。同様に、最上階の部屋も、上階から足音や落下音が聞こえることが無いため、騒音リスクは低いといえるでしょう。

また、窓ガラスは音を通しやすく、外の騒音が気になる原因になります。そのため、ガラスを二重にした複層ガラスを採用した部屋は高い防音効果が期待できます。

自分が騒音トラブルを起こさないために

自分自身が騒音トラブルの加害者になってしまわないためには、日頃から周囲への配慮が大切です。

とくに、子どもやペットがいる家庭や、騒音が発生しやすい環境では、近隣住人に挨拶回りをして事前に知らせておく、1階の角部屋に住む、などが効果的です。

もし、騒音について苦情を受けた場合は、心当たりのある行動を改めたり、吸音材を敷いたりするなどの対応をします。

心当たりがない場合でも、苦情を無視してはいけません。ただし、1人で対処しようとするとトラブルに発展する可能性があるため、できるだけ避けましょう。必要に応じて管理会社や弁護士などの第三者に入ってもらうことで、大きなトラブルに発展することを避けられます。

まとめ

マンション住人にとって、騒音トラブルは大きな問題です。ストレスなく快適に生活するためにも、度を超えた騒音には適切に対処する必要があります。1人で解決するのではなく、近隣住人や管理会社と協力して進めると良いでしょう。

また、自分自身が騒音トラブルを起こさないという意識も大切です。深夜や早朝の家電の使用を避けるなど、周囲への配慮を忘れないようにしましょう。

  1. 東京都環境局:
    生活騒音
  2. 環境省:
    騒音に係る環境基準について

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