エアコン クーラ― 違い
家電の知識

エアコンとクーラーの違いとは?仕組み・機能・定義を解説

エアコンとクーラーはどちらも部屋を涼しくする機能を持ちますが、それぞれ別の家電です。しかし、エアコンとクーラーの識別方法が分からず、「何が違うの?」「仕組みに違いはある?」といった疑問を抱く方も多いでしょう。

そこで今回は、エアコンとクーラーの違いやそれぞれの特徴、冷房・暖房の仕組みについて解説します。

エアコンとクーラーの違いは?

エアコンとクーラーの違いは、以下のとおりです。

エアコンが冷房と暖房の機能を兼ね備えている家電なのに対し、クーラーは冷房機能のみが付けられています。以下からはそれぞれの違いについて、詳しく見ていきましょう。

エアコン:冷房・暖房・除湿ができる家電

エアコンは、「エアーコンディショナー:air conditioner」の略です。主に冷房・暖房・除湿の3つの機能があり、室内を涼しくするだけでなく温度や湿度の調整が可能です。商品によっては空気清浄機能が搭載されたモデルもあり、空気の質も改善できる、幅広い機能をもった家電と言えます。

エアコンが冷房と暖房の両方の働きが可能なのは、「ヒートポンプ」という仕組みで動くためです。

ヒートポンプは、冷媒ガス(熱を運搬するガス)を膨張させることで冷気を作り出すことができます。それとは逆に、冷媒ガスを圧縮することで暖気を作り出すこともできます。

これらの冷気・暖気がエアコンの室内機から放出されることで、冷房と暖房が成り立っています。

エアコン:冷房・暖房・除湿ができる家電

クーラー:冷房機能のみを持った家電

クーラーは英語で「cooler」と表記し、日本では冷房機能だけを備えた家電を指す言葉です。エアコンが誕生する前の1952年から本格的な製造が始まり、「ルームクーラー」という名称で普及していきました。

1960年から冷暖房両用のエアコンが販売されると、エアコンを使用する家庭が増えていきました。1965年には、「ルームクーラー」の名称も「ルームエアコン」へ変更され、1970年代になって現在のエアコンが普及していきました。

世の中の需要がエアコンへとシフトしていくと同時に、クーラーの生産も減少し、現在ではほとんど作られていません。今でもエアコンを「クーラー」と呼ぶ人がいるのは、クーラーが主流であった時代の名残といえます。

現在はエアコンが主流

現在では、「インバーター」という技術を搭載したエアコンが主流です。

インバーターを内蔵したエアコンは、周波数をコントロールすることで電動機の回転数を室温に応じて調整することができ、室温を一定に保ちやすい点が特徴です。結果的に、消費電力を抑えやすくコストダウンにもつながります。

そのほか、稼働音が静かであることもエアコンが普及した理由のひとつです。クーラーは、ファンを作動させて空気を冷却するため稼働音が大きくなるのに対し、エアコンは静音設計がされているため運転時も静かです。

現在はエアコンが主流

エアコンの冷房と暖房の仕組み

ここからは、冷風と温風の両方を送ることができる、ヒートポンプ式のエアコンの仕組みについて解説していきます。

冷房:液体を蒸発させて熱を奪う

冷房は、室内機で部屋の空気中にある熱を取り込んで室外機へ運び、屋外へ放出することで部屋を涼しくします。エアコンには室内機と室外機があり、パイプでつながっています。室内機と室外機、それぞれの中にあるのが、熱交換器とファンです。

それぞれの部品の役割をまとめると以下のとおりです。

熱交換器 高温から低温へ移る熱の性質を利用して、熱を移動させる場所
ファン 空気を取り込んだり送り出したりするために、風を起こす部品
冷媒ガス 室外機と室内機をつなぐパイプを循環して熱を運ぶガス

部屋の空気が室内機の熱交換器に取り込まれると、空気中の熱が冷媒ガスに移動し、空気は冷たくなります。こうして冷えた空気がファンによって再び部屋に放出されることで、エアコンは部屋を冷やしています。

その後、熱を持った冷媒ガスは室外機の熱交換器で冷却されます。このとき、熱は室外機から屋外に放出され、冷却された冷媒ガスは再びパイプを伝って室内機に戻ります。

このように、冷媒ガスを使って部屋の空気に含まれる熱を屋外に放出することで、エアコンは部屋を冷やしています。この仕組みをヒートポンプと言います。

冷房:液体を蒸発させて熱を奪う

暖房:外気から熱をもらい暖める

暖房は圧力を加えることで冷媒ガスを高温にして、部屋を暖める仕組みです。

暖房では、部屋の空気を室内機の熱交換器が取り込み、冷媒ガスの熱を伝えることで温めます。これによって温められた空気をファンが部屋に放出することで、部屋を暖かくできます。

一方、熱を奪われて冷えた冷媒ガスは、室外機で減圧されてさらに低温になることで、室外機の熱交換器で外気の熱を取り込みます。これを圧縮することで冷媒ガスは再び高温になり、パイプを伝って室内機に戻ります。エアコンは、冷媒ガスを冷房とは逆の方法で利用することで暖房として機能し、部屋を暖めています。

暖房:外気から熱をもらい暖める

まとめ

エアコンとクーラーの違いは、クーラーが冷房機能に限られるのに対して、エアコンは冷房と暖房、除湿などの働きを兼ね備えている点にあります。

クーラーは、エアコンが誕生する前に広く普及していました。その背景から、現在でもエアコンをクーラーと呼ぶ人もいますが、現在使用されている冷房はエアコンが主流です。

エアコンはクーラーと違い、空気中の熱を集めて必要な場所に移動させるヒートポンプの仕組みを使うことで、冷房と暖房の両方の働きを実現させています。

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