季節の行事

土用の丑の日の食べ物は?うなぎ以外の行事食やレシピを紹介

土用の丑の日は、うなぎを食べるのが定番です。しかし、うなぎ以外にも「う」がつく食べ物や黒い食べ物などを食べる習慣もあることを知っていますか?

この記事では、土用の丑の日の意味・由来や、うなぎ以外の行事食について解説します。おすすめのレシピもあわせて紹介しますので、土用の丑の日の食事作りの参考にしてください。

土用の丑の日の意味・由来

土用の丑の日とは、「土用」と「丑の日」の2つの意味が合わさった言葉です。

まず、「土用」とは季節の変わり目を指す言葉で、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の直前の約18日間がこれにあたります。

次に、「丑の日」の「丑」は十二支の一つです。昔の日本では日付を十二支で数える方法が使われており、日付に順番に割り振られているため、12日ごとに「丑の日」が訪れます。

つまり、「土用の丑の日」とは、季節の変わり目である「土用」の期間中に、十二支の「丑」にあたる日を指します。

土用の丑の日と聞くと、夏をイメージする方も多いでしょう。しかし、実は春夏秋冬それぞれに存在しています。次の「▼土用の丑の日は夏だけじゃない」で詳しく解説しますので、参考にしてください。

土用の丑の日は夏だけじゃない

土用の丑の日は夏だけの行事ではありません。以下の表は、2024年~2027年の季節ごとの土用の丑の日をまとめたものです。

2024 4月19日(金)
5月1日(水)
7月24日(水)
8月5日(月)
10月28日(月) 1月26日(金)
2025 4月26日(土) 7月19日(土)
7月31日(木)
10月23日(木)
11月4日(火)
1月20日(月)
2月1日(土)
2026 4月21日(火)
5月3日(日)
7月26日(日) 10月30日(金) 1月27日(火)
2027 4月28日(水) 7月21日(水)
8月2日(月)
10月25日(月)
11月6日(土)
1月22日(金)
2月3日(水)

上の表からもわかるように、土用の丑の日は各季節に1回とは限りません。丑の日は12日に1回のサイクルで訪れるため、約18日間ある土用の期間中に丑の日が2回来ることもあります。

一つの季節のなかで土用の丑の日が2回訪れる場合、最初の丑の日を「一の丑」、2回目の丑の日を「二の丑」と呼びます。うなぎを食べるなどの土用の行事は「一の丑」に行うのが一般的です。

土用の丑の日の食べ物

土用の丑の日の食べ物といえば、うなぎを真っ先に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、うなぎ以外にも、「う」がつく食べ物も縁起物とされています。

ここでは、おすすめの食べ物について解説します。

うなぎ

土用の丑の日にうなぎを食べる風習は、一説によると、江戸時代に平賀源内の知恵と宣伝効果によって生まれたとされています。

当時、旬ではない夏場はうなぎが売れず、うなぎ屋は商売に困っていました。そこで、平賀源内に相談したところ、丑の日に「う」から始まる食べ物を食べると縁起が良いという語呂合わせを提案されたそうです。

このアイデアをもとに、うなぎ屋が「本日土用丑の日」という張り紙を出してうなぎを販売した結果、店は大繁盛しました。以来、土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が全国に広まりました。

うなぎは、縁起が良いからという理由だけでなく、現代では夏バテを防ぐ目的でも食されています。うなぎに含まれるビタミンやミネラル、たんぱく質などの栄養素が疲労回復に役立つとされていることから、土用の丑の日にうなぎを食べるのは、理にかなっているといえます。

うなぎを家庭でおいしく食べるコツ

土用の丑の日にご家庭でうなぎを食べるという人も多いでしょう。そこで、スーパーなどで購入したうなぎをおいしく調理するコツをご紹介します。

  1. 水でうなぎを洗い、タレを取り除く
  2. キッチンペーパーでうなぎについた水分を拭き取る
  3. 付属のタレを刷毛で丁寧に塗る
  4. アルミホイルに載せ、グリルで2~3分焼く

スーパーなどで売られているうなぎは、見た目をよくするためにタレが多めに塗られています。そのまま焼くと焦げる原因になるので、先に余分なタレを洗い流してから塗り直すのがポイントです。

うなぎのかば焼き

「う」がつく食べ物:うどん、梅干し、牛肉など

土用の丑の日には、「う」のつく食べ物を食べると良いという風習があります。この風習も、うなぎと同様に平賀源内が考案した「土用の丑の日に『う』から始まるものを食べると縁起が良い」という語呂合わせが起源とされています。

土用の丑の日に食べたい「う」がつく食べ物の代表例は、以下のとおりです。

  • うどん
  • 梅干し
  • 牛肉(=うしの肉)
  • ウリ(瓜)
  • ウチワマメ(団扇豆)
  • ウコン(鬱金)
  • ウズラ(鶉)

さらに、「う」がつく食べ物には、夏バテを防止する効果が期待できるものが多数あります。

例えば、うどんは消化が良く、栄養価が高いため、夏の暑さで食欲が落ちる時期の食事にぴったりです。また、梅干しには食欲を増進するはたらきや抗菌作用があり、夏の食中毒を予防する効果が期待できます。

もともとは「土用の丑の日」の「うし」にちなんだ言葉遊びでしたが、暑い夏を乗り越えるための食べ物として理にかなっている一面もあるようです。

ざるうどん

行事食・伝統食:土用シジミ、土用卵、土用餅など

土用の丑の日に食べる行事食・伝統食としては、以下の食べ物も有名です。

  • 土用シジミ
  • 土用卵
  • 土用餅

土用シジミは栄養価が高く、アミノ酸やミネラルを豊富に含んでいます。これらの成分には肝機能の向上や疲労回復を促すはたらきがあり、夏バテ防止の食材として古くから親しまれてきました。また、土用の丑の日に食べると縁起がいいとされる「黒色の食べ物」の一つでもあります。煮物や汁物などにしてうなぎと一緒に食べるのがおすすめです。

土用卵とは、土用の期間中に産み落とされた卵を指します。栄養価が高く、うなぎと同様に精がつく食べ物として知られており、土用の丑の日に食べる習慣が生まれました。うなぎや土用シジミとセットで食べるのもおすすめです。

土用餅とは、土用の日に食べるあんころ餅のことで、主に北陸地方や関西地方で食べられています。力が出るとされる「餅(もち)」と、厄除けの意味がある「小豆(あずき)」を食べることで、暑さに負けずに過ごせるようにという願いが込められています。

黒色の食べ物:どじょう、なす、黒豆など

土用の丑の日の行事食としては、「黒い食べ物」も挙げられます。これは、中国で「丑」の方角(北北東)を守る伝説上の神獣が「玄武」であり、玄武を象徴する色が「黒色」であることに由来しています。

土用の丑の日に食べられる代表的な「黒い食べ物」は、以下のとおりです。

  • どじょう
  • なす(茄子)
  • 黒豆
  • 黒ゴマ
  • ひじき

どの食材も栄養価が高く、滋養強壮に効果的です。特に、初夏から初秋にかけて旬を迎えるなすは、土用の丑の日の「黒い食べ物」として古くから食べられてきました。

黒い食べ物の黒豆

春秋冬の土用の食べ物

夏以外の季節でも、土用期間中に食べると良いとされる食べ物があります。ここでは、春秋冬の土用の食べ物について解説します。

春の土用:「い」のつく食べ物

春の土用は、「戌(いぬ)の日」に「い」のつく食べ物や、「白い食べ物」を食べるのがよいとされています。

「い」のつく食べ物は、イチゴやイワシ、インゲン豆、イカ、イクラなどです。白い食べ物としては、豆腐や大根、白米、しらすなどが挙げられます。

秋の土用:「た」のつく食べ物

秋の土用は、「辰(たつ)の日」に「た」のつく食べ物や、「青い食べ物」を食べるのが良いとされています。

「た」のつく食べ物は、たけのこや玉ねぎ、大根、タコなどがおすすめです。青い食べ物についてはイメージが湧きにくいかもしれませんが、サバやサンマなどの青魚が該当します。

また、近年ではブルーベリーを使った「青い食品」が注目されており、青いスムージーや青いモンブラン、青いケーキなどがSNSで話題を呼んでいます。

冬の土用:「ひ」のつく食べ物

冬の土用は、「未(ひつじ)の日」に「ひ」のつく食べ物や、「赤い食べ物」を食べるのがよいとされています。

「ひ」のつく食べ物としては、ひらめやひじき、干物などがよく食べられています。赤い食べ物には、トマトやパプリカ、赤身肉、リンゴなどがあります。

「ひ」がつく食べ物のヒラメの刺身

土用の丑の日のおすすめレシピ

ここからは、土用の丑の日にぜひ食べておきたい食材を使った、くらひろおすすめのレシピをご紹介します。

いずれも手軽に作れて栄養満点ですので、丑の日だけではなく、夏場の定番メニューとしてもぜひ食卓に取り入れてみてください。

豚しゃぶ梅干しうどん

豚しゃぶ梅干しうどん

土用の丑の日に食べたい「う」のつく食べ物の代表例でもある「うどん」。ビタミンB1を豊富に含み、炭水化物との相性が良い豚肉、梅干しのさっぱりとした後味が癖になる一品です。

作り方

  1. 材料を準備
    うどんを茹でて冷やし、水気をきる。豚バラ肉に片栗粉をまぶし、小松菜は4cm幅に切って茹でて水気をきる。
  2. 豚バラ肉を茹でる
    豚バラ肉を茹でて冷水で冷まし、水気をきる。
  3. めんつゆを作る
    醤油・みりん・砂糖・かつお節を電子レンジで加熱し、めんつゆを作る。
  4. 盛り付け
    器にうどん、小松菜、豚バラ肉などを盛り付け、めんつゆをかけて白ごまをふる。

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梅しそ焼き餃子

梅しそ焼き餃子

「梅」も、「う」がつく食べ物のひとつ。さらに、食欲増進を助けてくれる「しそ」を組み合わせて、餃子のあんに混ぜ合わせます。

使うお肉も豚肉や牛肉より消化しやすい鶏肉にすることで、食べ応えがありながらもヘルシーな味わいに仕上がっています。夏の食欲が湧かない時期に、ぜひお試しください。

作り方

  1. 材料を準備
    キャベツと青じそをみじん切りにし、生姜はすりおろす。梅干しは種を取り、包丁でたたく。
  2. 餃子の具を作る
    ボウルに鶏ひき肉、準備した具材、調味料を入れてよく混ぜる。
  3. 餃子を包む
    餃子の皮に具を小さじ1杯程度のせて包む。
  4. 餃子を焼く
    フライパンで餃子を焼く。焼き色がついたら水を加え、蓋をして蒸し焼きにし、最後に強火で水分を飛ばして仕上げる。

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ニラと牛肉のチャプチェ

ニラと牛肉のチャプチェ
こちらも、「う」がつく食べ物である「牛肉」を使ったレシピです。牛肉に含まれるアミノ酸は、疲労回復やスタミナ補充にぴったり。さらに、ビタミンB1の吸収を促す効果を持つニラも加えられています。

うなぎと同様に、しっかりと体力をつけたいときにおすすめの一皿です。

作り方

  1. 材料を準備
    春雨を茹でて水気を切る。野菜を食べやすい形にカットし、にんにくはみじん切りにする。牛肉に醤油・砂糖・にんにくを揉み込む。
  2. 野菜を炒める
    フライパンにごま油を熱し、野菜をしんなりするまで炒めて一度取り出す。
  3. 牛肉を炒めて味付け
    同じフライパンで牛肉を炒め、色が変わったら春雨と醤油、砂糖、すりごまを加えてさらに炒める。
  4. 仕上げ
    2の野菜を加え、さっと炒めて完成。

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チキン南蛮コーンきゅうりタルタル

チキン南蛮コーンきゅうりタルタル
夏野菜としても人気のきゅうりは、ウリ科に属すということで土用の丑の日にもぴったりな食べ物です。利尿作用を促すカリウムや抗酸化力を持つビタミンCも含まれています。

こちらのレシピでは、とうもろこしと合わせてタルタルソースにし、チキン南蛮の味付けにしました。お子さまでも食べやすい一品なので、ぜひ家庭の食卓に並べてみましょう。

作り方

  1. 材料を準備
    鶏もも肉にフォークで穴をあけて塩こしょうをまぶす。茹で卵、きゅうり、玉ねぎをみじん切りにし、調味料と混ぜてタルタルソースを作る。
  2. 鶏肉を揚げ焼きにする
    卵、小麦粉、水を混ぜ合わせ、鶏肉をくぐらせてフライパンで揚げ焼きにする。
  3. ソースを作る
    醬油、みりん、酢、砂糖を電子レンジで加熱してソースを作り、鶏肉に絡める。
  4. 盛り付け
    鶏肉を食べやすい大きさに切り、器に盛り付けてタルタルソースをかける。

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かぼちゃのそぼろあん

かぼちゃのそぼろあん

きゅうり同様、かぼちゃも「ウリ科」の仲間です。含まれる栄養素にはβカロテン(ビタミンA)やビタミンC、ビタミンEなどがあり、栄養も満点。また、抗酸化作用が高いとされています。

そぼろあんにしてあるので、冷房で冷えた体を温めるのにもおすすめです。

作り方

  1. 材料を準備
    かぼちゃは皮をところどころむいてひと口大に切り、生姜をすりおろす。
  2. 鶏ひき肉を炒める
    鍋に油と生姜を入れて火にかけ、鶏ひき肉を加え色が変わるまで炒める。
  3. かぼちゃを煮る
    鍋に水、塩、砂糖、みりんとかぼちゃを加え、落とし蓋をして柔らかくなるまで煮る。
  4. 仕上げ
    醤油を加えてひと煮立ちさせ、水溶き片栗粉でとろみをつける。

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黒豆ココナッツミルクぜんざい

黒豆ココナッツミルクぜんざい

土用の丑の日には、黒色のものを食べるという習慣もあります。そこでおすすめなのが、黒豆を使ったこちらのレシピ。夏バテで食欲がない時には、甘いスイーツで栄養補給をしてみましょう。

レシピで使用しているさつま芋には、便秘の予防・改善、抗酸化作用なども期待できます。

作り方

  1. 材料を準備
    さつま芋を1cm角に切り、レンジで加熱する。バナナを輪切りにしてレモン汁をまぶし、キウイを銀杏切りにする。
  2. 餅を焼く
    切り餅を1/4に切り、オーブントースターで焼く。
  3. ソースを作る
    黒豆煮、ココナッツミルク、牛乳、砂糖をボウルに入れてよく混ぜる。
  4. 盛り付け準備
    2を器入れ、具材を乗せたら完成。

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土用の丑の日には「丑湯」の風習も

土用の丑の日には、「丑湯(うしゆ)」に入る風習もあります。丑湯とは、土用の丑の日に入るお風呂を指し、その日に入ることで疲れを癒すとされています。

丑湯には、桃の葉やその他の薬草を入れるのが一般的です。桃の葉には邪気を払う力が、薬草には自然の力で体を癒す効果があるといわれており、古くから用いられてきました。

なお、地域によっては柿の葉や石菖(セキショウ)、実葛(サネカズラ)などの薬草を入れる場合もあります。また、「丑浜」という海水を浴びる行事が行われる地域もあります。

薬草

まとめ

土用の丑の日の食べ物はうなぎが有名ですが、うどんや梅干しといった「う」がつく食べ物や、シジミ・卵などの行事食、どじょうやなすなどの黒い食べ物を食べる習慣もあります。

土用の丑の日は、うなぎはもちろんのこと、それ以外の縁起物とされる食べ物も食べて、暑い夏を元気に乗り切りましょう。

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