
【図解】花火の種類は何がある?名前や分類、大きさなどを徹底解説!
この記事では、打ち上げ花火の種類や名前、分類、大きさなどについて解説します。自宅で気軽に楽しめる玩具花火や打ち上げ花火に関する豆知識も紹介しますので、夏の思い出作りの参考にしてください。
打ち上げ花火の種類
打ち上げ花火とは、火薬の詰まった紙製の球体である「花火玉」に火をつけて、上空に打ち上げる花火の総称で、主に花火大会で見られます。打ち上げ花火の種類は、花火玉の作り方や玉が破裂した後の開き方によって異なり、大きく分けて「▼割物」「▼小割物」「▼ポカ物」の3つに分類されます。
さらに、それぞれの花火には、開き方や散り方、色などをもとにした名前がつけられています。人や地域によって分類方法や呼び方が異なるケースもありますが、ここでは一般的な分類と花火の名称について、詳しく解説します。
割物
「割物(わりもの)」とは、花火玉が破裂する際に星が球状に飛び散る花火を指します。「星」は火薬のかたまりを意味し、花火の色や光、広がり方などに関わってきます。
代表的な割物の花火は以下の5つです。
菊(きく)
「菊」とは、星が尾を引きながら球状に飛び散る様子が菊の花に似ていることから名付けられた、日本を代表する打ち上げ花火の一つです。
「菊花火(きくはなび)」「菊先(きくさき)」といった呼び名でも親しまれています。花びらのいちばん外側の部分の色が変化する「変化菊(へんかぎく)」と呼ばれるバリエーションもあります。
牡丹(ぼたん)
「牡丹」とは、無数の光の点が球状に集まった花火の名称で、その様子が牡丹の花に見えることから名付けられました。球状に大きく花開く点は菊と似ていますが、牡丹は尾を引かず、菊よりもはっきりと光るのが特徴です。
上空で花開いた際に明るく光る種類は「ダリヤ」と呼ばれ、火薬にマグネシウムなどが使用されています。
冠(かむろ)
「冠」とは、上空で大輪の花を咲かせた後も尾を引きながら流れ落ち、地面の近くで消える花火を指します。星が燃え尽きるまでに時間があるため、このようなユニークな形状となっています。
「かむろ」という名称については、かつての日本でおかっぱ頭を「かむろ」と呼んでおり、花火が尾を引きながら流れ落ちる様子がおかっぱ頭に似ていることから名付けられたといわれています。
型物(かたもの)
打ち上げられた花火のなかに、ハートやスマイルマークを見かけたことのある方もいるでしょう。これらの花火は「型物」と呼ばれ、光の点や線でさまざまな形を表現しています。
以前の型物では平面しか描けないため、見る角度によっては、ただの線にしか見えないことも多くありました。しかし、近年は技術力が向上し、キャラクターや文字などの立体的な表現も可能となりました。
万華鏡(まんげきょう)
「万華鏡」とは、和紙で包んだ星を複数個にわけて玉に詰め込んだ花火を指します。上空で破裂すると球状に開き、まるで万華鏡をのぞいたときのような美しい形を作り出す様子から、このように名付けられました。
その特徴的な開き方により、別名「八方咲き(はっぽうざき)」とも呼ばれます。なお、この後で解説する「▼小割物」に分類される場合もあります。
小割物
「小割物(こわりもの)」とは、小さな花火玉を複数破裂させて多数の花が開くように作られた花火を指します。時間差で花開く種類など、さまざまなバリエーションが登場しています。なお、「半割物(はんわりもの)」と呼ばれることもあります。
代表的な小割物は以下の2つです。
千輪(せんりん)
「千輪」とは、上空で外側が割れて小玉が飛び出した後、時間差で一斉に開く花火を指します。小さな無数の光の花が集まっている様子が花束のように見えることから、この名が付けられました。
飛び出した小玉が菊型だった場合は、「千輪菊(せんりんぎく)」と呼ばれます。
椰子(やし)
「椰子」とは、太い花弁が中心部から開き、全方向に伸びていく花火を指します。花開いたときの形が椰子の葉に似ているため、このように名付けられました。
通常よりも大きいサイズの星を玉に詰めることで、椰子の葉のような太く大きい光の尾を演出しています。
ポカ物
「ポカ物」とは、上空で花火玉がポカッと割れ、仕掛けが飛び出す仕組みの花火を指します。一般的な花火と比較すると花開く範囲は狭いですが、不規則な開き方をしたりゆっくりと下に落ちていったりするなど、内包されている仕掛け次第でさまざまな演出を楽しめます。
代表的なポカ物の花火は以下の4つです。
飛遊星(ひゆうせい)
「飛遊星」とは、上空で星が開いた後、光が不規則に飛び回る花火を指します。花火で動きを演出する際に重要な役目を持ち、花火大会のオープニング時やクライマックス時に連続で打ち上げられる「スターマイン」などで頻繁に使用されます。
蜂(はち)
「蜂(はち)」とは、上空でねずみ花火のように回転しながら不規則な動きをする花火を指します。火薬を詰めた紙の筒がシュルシュルと音を立てるのも特徴で、その独特な動きや音が蜂に似ているため、このように名付けられました。
花雷(はならい)
「花雷(はならい)」とは、バンバンと雷のような音を出しながら強く発光する花火を指します。音や光とともに火の粉を散らしながらバラバラと咲くものを「花雷」と呼ぶのに対し、一斉に開く花火は「万雷(ばんらい)」と呼ばれます。
柳(やなぎ)
「柳(やなぎ)」とは、上空で花火玉が割れた後、柳の枝が垂れ下がるように光がゆっくりと流れ落ちてくる花火を指します。
近年は、光が流れ落ちる際に色が変化する「彩色柳(さいしょくやなぎ)」と呼ばれる種類も登場しており、場面転換や余韻を残す演出としてよく使用されています。
玩具花火(おもちゃ花火)の種類
コンビニやスーパーなどで売られている花火を、「玩具花火」といいます。煙が少ないため、一般家庭でも気軽に楽しめます。
ここでは、代表的な玩具花火として以下の5つを紹介しますので、購入時の参考にしてください。
手持ち花火
「手持ち花火」とは、火薬を薄紙や紙製の筒に包んで持ち手をつけた花火の総称です。先端のヒラヒラした部分に火をつけるタイプはススキ花火と呼ばれ、穂が垂れ下がったような明るい光が噴き出す演出を楽しめます。
火薬が直接棒に塗られたタイプはスパーク花火と呼ばれ、火花が四方八方へと弾けるように燃えるのが特徴です。
線香花火
「線香花火(せんこうはなび)」とは、先端部分のふくらんだところに火薬が包まれた花火を指します。着火してから火の玉が落ちるまで燃え方が4段階に変化するのが、大きな特徴です。
- 蕾:火の玉が次第に大きくなる。
- 牡丹:火花が一つずつ弾け出す。
- 松葉:さらに勢いを増し、たくさんの火花が無数に広がる。
- 散り菊:勢いは弱まり、火花が落ちていき、最後は光が消える。
各段階で異なる風情を楽しめるのが、線香花火の魅力といえるでしょう。
ロケット花火
「ロケット花火」とは、細長い紙や筒のなかに火薬をギュッと詰めた花火を指し、火をつけるとロケットのように飛んでいくのが特徴です。
商品によっては、「ピューッ」と笛のような音を立てて飛んでいきます。20m近く飛びますので、遊ぶ際は開けた場所に行き、周囲に電線や民家がないことを確認してから点火しましょう。
噴出花火
「噴出花火(ふんしゅつはなび)」とは、筒の形をした花火を指し、導火線に火をつけると炎や火花を吹き上げて燃えます。かつて「ドラゴン」という名前の商品が販売されて有名になった経緯から、噴出花火そのものが「ドラゴン」と呼ばれることもあります。
回転・音物花火
「回転・音物花火(かいてん・おとものはなび)」とは、火花を飛び散らしたり音を出したりしながら、シュルシュルと回転移動する花火を指します。ねずみ花火や花車・花環などが有名で、最後に「パンッ」と音を立てるタイプも多いです。
燃えているときの動きが不規則なため、周囲に燃えやすいものがないか確認したうえで遊びましょう。
花火玉の構造とサイズ
打ち上げ花火の種類や大きさは、花火玉と呼ばれる球状の玉によって決まります。ここでは、花火玉の構造とサイズについて解説します。
構造:火薬をクラフト紙で包む
花火玉は、以下の5つのパーツから成り立っています。
花火玉の構造
- 星(ほし):花火の色や光、広がり方などに関わる火薬の粒。
- 割火薬:(わりかやく):花火玉が上空で破裂した際に星を飛ばすための火薬の粒。星と星の間を埋める。
- 導火線(どうかせん):先端から内側に向かって燃えていき、割火薬に点火する。
- 玉皮(たまがわ):火薬を包んでいるクラフト紙。
- 竜頭(りゅうず):花火玉を吊る取っ手。
花火玉の内部には、星と呼ばれる火薬の粒が敷き詰められています。星が二重に敷き詰められていると二重の輪の花火が、三重だと三重の輪の花火が開きます。
火が導火線から割火薬に伝わると爆発を起こし、玉皮が破裂します。すると、中から星が飛び出し、色を出して燃えながら広がっていくという仕組みです。
サイズ:2.5号玉(直径7.5cm)~40号玉(直径120cm)
花火玉のサイズは、2.5号玉(直径7.5cm)~40号玉(直径120cm)まであります。「号」は花火玉の大きさを示す単位で、「1号」は1寸(約3cm)です。10号玉以上の大きな花火玉に関しては、「尺(1尺=約30cm)」の単位が使用されることもあります。
サイズごとの到達高度や開花直径については、以下の表をご覧ください。
号数 | 玉の直径(cm) | 到達高度(m) | 開花直径(m) |
---|---|---|---|
2.5号 | 7.5 | 80 | 50 |
3号玉 | 8.5 | 120 | 60 |
4号 | 11.5 | 160 | 130 |
5号 | 14.2 | 190 | 170 |
6号 | 16.7 | 220 | 220 |
7号 | 20.5 | 250 | 240 |
8号 | 23.5 | 280 | 280 |
10号 | 29.5 | 330 | 320 |
20号 | 58.5 | 500 | 480 |
30号 | 88.5 | 600 | 550 |
40号 | 120 | 700 | 700 |
この表からわかるように、到達高度や開花直径は花火玉の大きさに比例します。一般的な花火大会で使用されるのは3号~5号が多く、5号玉以上であれば一発でも迫力を感じられるといわれています。
良い花火とはどんなもの?
私たちの目を楽しませてくれる打ち上げ花火ですが、良い花火とはどんなものなのでしょうか。その決め手は、「座り」「盆」「肩」「消え口」の4つです。一つずつ、詳しく解説します。
座り:最高点で一瞬静止してから開く
「座り(すわり)」とは、上空で花火が開くタイミングを意味します。花火玉が最高点で一瞬静止してから開くと、きれいな円を描きます。この状態が理想的な花火であり、「玉の座りが良い」といわれます。
逆に、上がりきる前や落ち始めてから花火玉が開くと形が崩れてしまい、「玉の座りが悪い」ということになります。
盆:大きくてきれいな真円に開く
「盆(ぼん)」とは、花火が開いた状態を意味します。大きくてきれいな真円に開くのが理想であり、「盆が良い」といわれます。
その一方で、楕円形やいびつな形に開いたものは、「盆が良くない」状態です。玉に詰められている火薬の位置がずれたりデコボコしたりしていると、このように形が崩れてしまいます。
肩:開いたときの光の筋がまっすぐ伸びる
「肩(かた)」とは、星が飛び散る際に放射状に現れる光の筋を指します。花火が開いたときの光の筋がまっすぐ伸びた状態が理想であり、「肩のはりが良い」といわれます。
逆に、星が予定外の方向へ飛んだり、点火されずに歯抜けのような見た目に開いたりする花火は「星が抜けている」といわれ、良くない状態です。
消え口:燃え尽きるタイミングがそろう
「消え口(きえくち)」とは、花火の消え方を意味します。花火の色の変化や燃え尽きるタイミングがそろうのが理想的であり、このような状態を「消え口がそろっている」といいます。光が一斉に消える演出により、花火の持つはかない美しさがより強調されます。
打ち上げ花火の豆知識
ここからは、知っておくと役に立つ打ち上げ花火の豆知識を紹介します。花火大会に行った際に披露すると、場の雰囲気や会話をより楽しめるでしょう。
打ち上がったときの掛け声は何て言っているの?
花火が打ち上がったときの掛け声は、何て言っているのでしょうか。正解は、「たまやー」「かぎやー」です。
その歴史は江戸時代から始まり、当時の花火師の屋号である「玉屋」「鍵屋」が打ち上げた花火を目にした観客が、よりきれいだと思ったほうの店名を叫んでいたことに由来します。
現在では店名を比較するといった意味合いはなく、純粋に「きれいだ」と思ったときに好きな掛け声をするのが一般的です。なお、玉屋は江戸時代に失火事故により廃業してしまいましたが、鍵屋は現在も株式会社宗家花火鍵屋として存続しています。
打ち上げ花火がきれいに見える場所は?
打ち上げ花火がきれいに見える場所は、どこなのでしょうか。日本の花火玉は球状であり、上空で全方向に星が広がるように作られています。そのため、基本的には横や下、空の上からなど、どこから見ても同じように見えます。
花火を撮影したい場合は、風上から見るのがおすすめです。風が吹いている日は風下にいると煙が流れてきて鑑賞の妨げになってしまいます。花火の発射場所から400~500m程度離れた場所を確保できれば、きれいに撮影できるでしょう。
打ち上げ花火をスマホできれいに撮影したい!
打ち上げ花火をスマホできれいに撮影するには以下のコツを押さえておくと良いでしょう。
スマホできれいに花火を撮影するコツ
- フラッシュやHDR機能はオフ
- 撮影前にカメラレンズの汚れを拭き取っておく
- スマホが動かないように脇をしっかりと締めて固定
花火は、上空で開いた瞬間から消えていくまで色や形がさまざまに変化します。その一つひとつの瞬間を的確にとらえるのは難しいため、花開く少し前のタイミングでシャッターボタンを押し始め、花火が消えるまで連写し続けるのがポイントです。撮影が終わったら画像ファイルを開き、うまく撮れているベストショットを選びましょう。
まとめ
夏の風物詩として欠かせない打ち上げ花火は、花火玉の作り方や上空で破裂した後の開き方によって割物・小割物・ポカ物の3種類に分類されます。
それぞれの花火の名前や色、開き方などの特徴を知っておくと会話のきっかけにもなり、より花火大会の雰囲気や撮影を楽しめるでしょう。忘れられない夏の思い出作りに、本記事がお役に立てれば幸いです。
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