IH 電気代
省エネ・節電

IHの電気代はいくら?ガスコンロとどっちが安い?節約術も解説

「IHを導入したいけれど、電気代が気になる」「IHはガスコンロと比べて安い?」など、IHを使い始める前に電気代について知りたい方は多いでしょう。また、すでにIHを使っている方は、ガスコンロと比べてどちらがおトクになのか、気になるところです。

そこでこの記事では、IHの電気代の1か月平均や、IHで調理する際の電気代の節約方法を解説します。IHとガスコンロの使い勝手の違いも解説しているので、IHとガスコンロ、どちらが良いかの判断にお役立てください。

記事編集

くらひろ by TEPCO
東京電力エナジーパートナー株式会社

くらひろ by TEPCOは東京電力エナジーパートナーが運営するメディアサイトです。毎日のくらしに役立つ知識から、次の一歩につながる情報まで、知りたいに答える多彩な記事を配信しています。

くらひろ by TEPCO

IHの電気代は「1か月1,170円程度」が相場

4人の家族世帯で、朝・昼・晩に標準的なメニューで調理をすることを想定します。この場合、IHクッキングヒーターの1か月の電気代は約1,170円です(※)。

※一般社団法人 日本電機工業会・IH調理器技術専門委員会調べ[1]。電気料金は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める「電気料金目安単価(2022年7月改訂)」の31円/kWh(税込)で算出しています[2]

ガスコンロのガス料金とどっちが安い?

IHはガスコンロに比べて熱効率が高いため、同じ調理をする場合には、IHの方が加熱時間を短くすることができます。ここで気になるのは、IHとガスコンロでどちらの方が光熱費を抑えられるかではないでしょうか。

例として、水1Lを同じやかんに入れてIHとガスコンロで沸かしした場合に、IHとガスコンロのどちらの光熱費が安いかを比較してみます。IHとガスコンロの光熱費は、それぞれ以下の式で計算できます。

IHクッキングヒーター
電気代[円] = 必要な電力量[kWh] ÷ 熱効率[%] × 電気料金単価[円/kWh]
ガスコンロ
ガス代[円] = 必要な熱量[kcal] ÷ 発熱量[kcal/m3] ÷熱効率[%] × ガス料金単価[円/m3]

下記の計算結果のとおり、IHと都市ガスのガスコンロでは、光熱費はほぼ同程度と言えそうです。一方で、LPガスのガスコンロとの比較では、IHの方が安いでしょう。

ただし、この結果は一般的な電気料金単価やガス料金単価に基づいた結果です。電気・ガスのプランによっては計算結果が逆転することも考えらます。

1Lのお湯を沸かす光熱費
IHクッキングヒーター 3.3円
ガスコンロ(都市ガス) 3.0円
ガスコンロ(LPガス) 5.9円

※この計算結果は参考値です。実際にはやかんの形状・材質、室温などによっても、かかる光熱費は変動します。

算出条件

必要な電力量・熱量
必要な電力量・熱量は以下の計算式により算出。

  • IH:水の質量 [kg] ×上昇温度 [℃] ×0.001162《kcalからkWhへ換算》
  • ガスコンロ:水の質量 [kg] ×上昇温度 [℃]
  • 水の質量:1kg
  • 上昇温度:83℃(水道水の平均水温17℃[3]を100℃まで上昇)
ガスの発熱量
  • 都市ガス:10,750kcal/m3 (45MJ/m3 [4]より換算)
  • LPガス:23,650kcal/m3(99MJ/m3 [5]より換算)
熱効率
一般的な機種の数値として、IHを90%、ガスコンロを50%と仮定。
電気料金単価
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が定める「電気料金目安単価(2022年7月改訂)」の31円/kWh(税込)[2]
ガス料金単価
  • 都市ガス:192円/m3(※1)
  • LPガス:843円/m3 (※2)

※1:1か月に25m3使用する家庭での1m3当たりの単価(2024年3月検針の東京地区一般契約料金での価格、基本料金・消費税込み)[6]

※2:1か月に10m3使用する家庭(LPガスの熱効率は都市ガスの2倍以上のため、同じ熱エネルギー使用量でもガス使用量は異なる)での1m3当たりの単価(2024年2月29日時点の関東地区速報値の価格、基本料金・消費税込み)[7]

IHの特徴・ガスコンロとの使い勝手の違い

IHとガスコンロの使い勝手は、どのように違うのでしょうか。IHには、以下のような特徴があるので、事前に知っておくことで失敗を防げます。

加熱のスピードが速い

IHの内部にはコイルがあり、電流を流して磁力線を発生させることで調理器具(鍋やフライパンなど)を発熱させます。調理器具自体を発熱させるため、空気を介して加熱するガスコンロよりも熱効率が高く、すぐに加熱できるのが特徴です。

IHヒーターと接する底面(鍋底)が大きい調理器具はとくに熱が伝わりやすく、加熱スピードが速くなります。

IHは加熱のスピードが速い

火災に発展するおそれが少ない

IHは火を使わないため、衣類や周囲の物に火が燃え移る心配が少ないと言えます。

ただし、油を使った調理やトッププレートに汚れ防止シートを敷いたまま調理をしたケースなどで、過去にIHでも火災が起きた事例があります[8]。火事のリスクはゼロではないため、正しい使用方法を守り、加熱中はその場を離れないようにしましょう。

トッププレートがフラットなため掃除がしやすい

IHは平面的で掃除がしやすいのが特徴です。お手入れする場合は、表面温度が下がった状態で、濡れた布巾やタオルなどで軽く拭き取ります。

時間が経ってこびりついた汚れには、クリームタイプの磨き粉がおすすめです。磨き粉を少量つけて、丸めたラップでこするとIHのプレートを傷つけずきれいに掃除できます。

トッププレートがフラットなため掃除がしやすい

IH対応の調理器具の準備が必要

一般的なIHには、使用できない素材の調理器具があります。例えば、土鍋やアルミ鍋、銅鍋などはIHヒーターで加熱できず、使用することができません。

ただし、アルミ鍋や銅鍋などの金属製の調理器具については、オールメタル対応のIHヒーターでは使用することができます。IHを使用する場合には、IHヒーターの種類と調理器具の素材を事前に確認することをおすすめします。

また、鍋底の形状にも注意が必要です。底が丸い鍋や脚がある鍋などはIHヒーターと接する面積が小さく、熱効率が悪くなります。さらに、温度センサーが正しく作動せず火災の原因になるおそれもあるため、IHでは使用しないようにしましょう。

火加減の調整に慣れが必要

IHの火加減は、ボタンやダイアルで操作します。IHの場合、ランプで加熱の強さを確認することが可能です。

使い慣れるまでは火加減が難しいため、最初は弱火で様子を見つつ、使い勝手を確認していくのが良いでしょう。

IHは火加減の調整に慣れが必要

自然災害に強い(太陽光発電+蓄電池ならなら停電時にも使える)

大規模な自然災害が発生すると、電気や都市ガスなどのライフラインが止まってしまうことがあります。その影響で加熱調理ができなくなると、美味しい食事が摂りづらくなり、心身に悪影響をもたらしてしまいます。

ただ、一般的には電気は都市ガスよりも自然災害に強いと言われています。阪神淡路大震災以降の地震での復旧にかかった日数は、電気で1週間程度、都市ガスで1~2か月程度と報告されています[9]。つまり、電気を使うIHなら、災害時にも早く利用を再開できる傾向にあると言えるでしょう。

防災の観点では、IHに併せて太陽光発電システムや蓄電池を導入すると非常に心強い存在になってくれます。日中、太陽が出ているときは太陽光で発電した電気を使うことができますし、さらに蓄電池に貯めることで、夜間や雨天時にも電気を使うことができます。

また、普段から自宅の電気を太陽光発電システムでまかなうことで、電力会社から購入する電気を削減することができます。

防災に役立ち、月々の光熱費を削減・節約できる太陽光発電は、例えば東京電力エナジーパートナーの「エネカリプラス」 なら「初期費用0円(※)」「アフターフォロー万全」で導入できます。コンセプトの詳細やサービス内容は、以下のバナーからチェックしてみてください。

エネカリプラス

※初期費用とは機器費用と標準工事費を指します。ご契約いただくサービスにより初期費用として足場費用等がかかる場合があります。また、おひさまエコキュートが住宅に標準採用されている場合、ご契約の建築会社へ直接お支払いが生じます。

IHの電気代を節約するコツ

IHで調理する際に、電気代を節約するコツを紹介します。一手間かけるだけで、節電につながるため、できることからやってみましょう。

調理器具の水滴をよく拭き取る

調理器具は水滴を丁寧に拭き取ってから使用しましょう。器具が濡れていると、その水分を蒸発させるために、無駄な電力を使います。調理器具の水滴をよく拭き取ることで、効率良く鍋を温めることができます。

余熱を利用した保温調理をする

余熱を利用した保温料理も電気代を節約できる方法のひとつです。時間と手間はかかりますが、節電につながるだけでなく、味も染みこみ仕上がりがさらにおいしくなります。

例えば、煮立てた鍋をIHから下ろして、毛布やバスタオルでくるんで数時間おいておきましょう。ゆっくりと温度が下がる過程で味が素材に染みこみます。

ただし、長時間の保温は料理が腐敗する原因になることもあるため、放置しすぎないよう注意しましょう。

鍋に蓋(ふた)をして調理をする

調理する場合は、蓋を上手に利用しましょう。鍋に蓋をすると、熱が鍋の外に漏れるのを防ぎ、熱を効率良く利用できるため余分な電力を使わずに済みます。

また、煮物を作る際は落とし蓋を使う良いでしょう。食材が早く煮え、味も染みこみやすくなります。

鍋に蓋(ふた)をして調理をする

圧力鍋を使って調理する

IHの節電方法としては、圧力鍋の使用も挙げられます。煮物や茹でもの、蒸しものなどの料理は、圧力鍋や無水調理鍋を使って調理してみましょう。

圧力鍋は鍋を密閉しながら加熱するため、鍋の中の圧力が高くなり、通常よりも高い温度で加熱できます。そのため、調理時間を短縮でき、普通の鍋と比べて3分の1程度に縮めることも可能です。

また、野菜に含まれる水分や洗ったときに付いた水分だけで調理する無水調理鍋もおすすめです。茹でものを作る際に無水調理鍋を使うとお湯を沸かす必要がなく、節電につながります。

電気代の料金プランを見直す

電気代を節約するためには、電気料金の見直しも有効です。例えば、オール電化の契約では、時間帯によって電気料金が変わるプランがあります。昼間の料金が最も高く設定され、次いで朝晩、夜間の順に安くなる仕組みです。

電気料金のプランは、各社それぞれに特色があります。自分の生活リズムに合わせた電気料金プランの見直しがおすすめです。

例えば、東京電力エナジーパートナーでは以下のようなプランをご用意しています。ご家庭の生活リズムや、ご自宅で導入されている電化機器に合わせて、最適な料金プランをご活用ください。

夜の電気使用量が多い
夜トクプラン」がおすすめです。 日中はご不在がちだったり、電化製品を夜間に使用することが多いなど、夜間の電気をおトクに活用したい方におすすめのプランです。
オール電化住宅にお住まい
スマートライフ」がおすすめです。エコキュートなどの夜間蓄熱式機器をご利用で、キッチンや空調にも電気を使用されている方におすすめのプランです。
太陽光発電+おひさまエコキュートを導入
くらし上手」がおすすめです。太陽光発電システムと、太陽光で発電した電気を活用してお湯を沸かす「おひさまエコキュート」の両方を使用されている方におすすめのプランです。

まとめ

IHの電気代は、4人家族の世帯で1か月1,170円程度が目安です。

IHの光熱費はガスコンロ(都市ガス)とほぼ同程度です。IHはガスコンロに比べて熱効率が良いため、調理時間を短縮できるというメリットがあります。調理器具の水滴を拭き取る、調理の際には蓋をするなどの工夫で調理時間を短縮すれば、電気代を節約することも可能です。

IHを使い始めたい方は、電気代の節約方法や停電時の対策も考えつつ、導入を検討すると良いでしょう。「太陽光発電+蓄電池」で停電時にも電気が使える「エネカリプラス」もぜひチェックしてみてください。

  1. 一般社団法人 日本電機工業会
    IHクッキングヒーターを快適に使うためのQ&A(2022年9月改訂版)
  2. 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会
    よくある質問 Q&A
  3. 東京都水道局
    水道水の水温
  4. 東京瓦斯株式会社
    都市ガスの種類・熱量・圧力・成分
  5. LPガス安全委員会
    LPガスとは?
  6. 東京瓦斯株式会社
    ガス料金早見表(2024年3月検針分)
  7. 一般社団法人 日本エネルギー経済研究所 石油情報センター
    一般小売価格
  8. 東京都 生活文化スポーツ局
    誤った使用方法によるIHクッキングヒーターの事故に注意!
  9. 東京都
    首都直下地震等による東京の被害想定 ―概要版―
Facebookでシェアする
LINEでシェアする