エアコンの電気代が上昇
省エネ・節電

暖房を1か月つけっぱなしにしたときの電気代は?節約方法も解説

寒い時期になると、自宅で快適に過ごすために、暖房を長時間つけっぱなしにしている方も多いと思います。しかし、中には「暖房をつけっぱなしにしたときの電気代は?」「暖房の電気代を節約する方法は?」と疑問のある方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、暖房を1か月つけっぱなしにしたときの電気代や、暖房器具ごとの電気代の比較、電気代の節約方法を解説します。

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エアコンの暖房を1か月つけっぱなしにしたときの電気代

まずは、エアコンで暖房を1か月つけっぱなしにしたときの電気代と、夜間のみつけたときの1か月の電気代について計算していきます。

エアコンの電気代は、以下の計算式で求めます。

電気代(円)=消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金の目安単価(円/kWh)

電気料金の目安単価は、2024年10月時点での目安単価、31円/kWh(税込)を基準として計算します[1]

暖房を1か月つけっぱなしにしたときの電気代:9,500円程度

8畳タイプの暖房を1か月つけっぱなしにしたときの電気代は、目安として9,500円程度です

エアコンの暖房の消費電力は、使用環境によって大きく変動します。例えば、つけ始めはフルパワーで室温を上げ、その後は最小限の出力で室温を維持しようとします。また、寒い夜間は消費電力が増え、暖かい昼間は消費電力が減ります。

そこで今回は、以下のように使用条件を仮定することで、電気代の目安を計算しました。

●1日目の消費電力

  • エアコンをつけた時刻:18:00
  • つけ始めた最初の30分間(18:00~18:30):最大消費電力
  • 夜間(18:30~翌8:00):標準消費電力

●2日目以降の消費電力

  • 昼間(8:00~18:00):最小消費電力
  • 夜間(18:00~翌8:00):標準消費電力

8畳タイプのエアコンの消費電力は、最大出力時に1,290W程度、標準出力時に635W程度、最小出力時に130W程度です(※)。上記をもとに計算式に当てはめると、電気代の目安は以下のように計算できます。

●1日目の電気代

  • つけ始めた最初の30分間(18:00~18:30)の電気代:
    1.290(kW) × 0.5(時間) × 31(円/kWh) = 約20.0円
  • 夜間(18:30~8:00)の電気代:
    0.635(kW) × 13.5(時間) × 31(円/kWh) = 約265.7円
  • 1日目の電気代の合計:
    20.0(円) + 265.7(円) =約286円

●2日目以降の電気代

  • 昼間(8:00~18:00)の電気代:
    0.130(kW) × 10(時間) × 31(円/kWh) = 約40.3円
  • 夜間(18:00~翌8:00)の電気代:
    0.635(kW) × 14(時間) × 31(円/kWh) = 約275.6円
  • 2日目以降の電気代の合計(1日あたり):
    40.3(円) + 275.6(円) = 約316円

これをもとにすると、1か月の電気代の目安は以下のように計算できます。

●エアコンの暖房を1か月つけっぱなしにしたときの電気代の目安

286(円) + 316(円) × 29(日) = 約9,500(円)

以上から、エアコンの暖房を1か月つけっぱなしにしたときの電気代は、目安として9,500円程度と求められました。

※ダイキンS253ATES-W(8畳タイプ)を参照

夜間のみ暖房をつけたときの1か月の電気代:8,600円程度

8畳タイプの暖房を夜間のみつけたときの1か月の電気代は、目安として8,600円程度です

こちらも、暖房を1か月つけっぱなしにしたケースと同じ8畳タイプのエアコン(※)を想定し、以下のとおり使用条件を仮定して電気代を計算しました。

●1日の消費電力

  • つけ始めた最初の30分間(18:00~18:30):最大消費電力
  • 夜間(18:30~翌8:00):標準消費電力

上記をもとに計算式に当てはめると、電気代の目安は以下のように計算できます。

●1日の電気代

  • つけ始めた最初の30分間(18:00~18:30)の電気代:
    1.290(kW) × 0.5(時間) × 31(円/kWh) = 約20.0円
  • 夜間(18:30~翌8:00)の電気代:
    0.635(kW) × 13.5(時間) × 31(円/kWh) = 約265.7円
  • 1日の電気代の合計:
    20.0(円) + 265.7(円) = 約286円

これをもとにすると、夜間のみ暖房をつけたときの1か月の電気代の目安は以下のように計算できます。

●夜間のみ暖房をつけたときの1か月の電気代の目安

286(円) × 30(日) = 約8,600円

※ダイキンS253ATES-W(8畳タイプ)を参照

以上から、夜間のみ暖房をつけたときの1か月の電気代は、目安として8,600円程度となりました。暖房を1か月つけっぱなしにしたときの目安が9,500円でしたので、その差は意外と小さいことが分かります。

差が開かない理由は、エアコンはスイッチを入れて室温を上げるときに最も多くの電力を消費するためです。外出時など、エアコンを長時間使用しないときは運転を停止した方が電気代は抑えられます。しかし、短時間でオン/オフを切り替えるような使い方は、節電のため避けた方が良いでしょう。

暖房器具の電気代一覧!

使用する暖房器具によっても、電気代は異なります。

ここでは、エアコンのほか、ヒーターやこたつなど数種類の製品を取り上げ、1か月つけっぱなしにしたときに、どのくらいの電気代が発生するか紹介します。

なお、1か月つけっぱなしにしたときの電気代の目安は、エアコンのときと同様に、以下の条件を仮定して計算しています。

●1日目の消費電力

  • エアコンをつけた時刻:18:00
  • つけ始めた最初の30分間(18:00~18:30):最大消費電力
  • 夜間(18:30~翌8:00):エアコンは標準消費電力、その他の暖房器具は最大消費電力と最小消費電力の中央値

●2日目以降の消費電力

  • 昼間(8:00~18:00):最小消費電力
  • 夜間(18:00~翌8:00):エアコンは標準消費電力、その他の暖房器具は最大消費電力と最小消費電力の中央値
暖房器具 消費電力目安 電気代目安 ※1
(1時間あたり)
電気代目安 ※1
(1か月あたり)
エアコン(8畳用)※2 635W
(130~1,290W)
19.7円
(4.0~40.0円)
9,500円
こたつ(石英管)※3 80~160W 2.5~5.0円 2,300円
カーボンヒーター ※4 350~900W 10.9~27.9円 11,300円
赤外線ストーブ ※5 330~1,150W 10.2~35.7円 12,600円
オイルヒーター ※6 500~1,200W 15.5~37.2円 15,600円
パネルヒーター ※7 500~1,200W 15.5~37.2円 15,600円

※1 公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会の電気代の目安単価より、1kWhあたり31円として計算[1]
※2 ダイキンS253ATES-Wを参照
※3 山善 SEU-752を参照
※4 コロナ DH-C922を参照
※5 コロナ CH-1222Rを参照
※6 アイリスオーヤマ IWH2-1208D-Wを参照
※7 デロンギ HXJ60L12を参照

暖房の電気代を節約する方法

エアコンの暖房をつけると冬でも快適に過ごせますが、ずっとつけっぱなしにしていると電気代は高くなってしまいます。

ここでは、エアコンの暖房の電気代を節約するポイントを紹介します。

フィルター掃除で運転効率を上げる

エアコンの運転効率を上げるためには、こまめな掃除が重要です。とくに、フィルター部分にはほこりが溜まりやすく、運転効率が低下する原因になります。経済産業省によると、月に1~2回のフィルター掃除で、年間約990円の節約になります(※)[2]

「暖房をつけているのに、温かい風が出てこない」という場合、フィルターにほこりが溜まり、空気の通り道がふさがれてしまっていることが考えられます。エアコンは温かい空気を送り出すことによって部屋を暖めるので、吹き出し口からうまく送風できない状態だと、設定温度や風量を上げても部屋が暖まりません。

ほこりが溜まっていると、カビも発生しやすくなり身体にも良くないので、こまめなお手入れを心がけましょう。エアコンシーズンに入る前のタイミングで、専門業者に依頼してエアコン内部まで徹底的に掃除するのもおすすめです。

※:フィルターが目詰りしているエアコン(2.2kW)とフィルターを清掃した場合の比較

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自動運転モードで設定温度は20℃に

暖房は自動運転モードで、設定温度は20℃を目安にすると、電気代の節約になります。

自動運転モードを使用すると、エアコンが部屋の温度に合わせて風量を自動的に調整してくれて、無駄なく最適な風量・室温に保たれます。

また、先述のとおり、エアコンは外の気温と室内の設定温度の差が大きいほど消費電力が大きくなり、電気代が高くなります。そのため、暖房を使用するときは、設定温度を下げることで節電・節約効果が見込めます。経済産業省によると、暖房の設定温度を21℃から20に下げることで、年間で約1,650円の節約になるといいます(※)[2]

エアコンの暖房は、設定温度を1℃下げることで消費電力が10%削減されるとされています[3]。長時間使用すると大きな差が生まれますので、ぜひ取り組んでみてください。

※:外気温度6℃の時、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間:9時間/日)

頻繁にオン/オフをしない

エアコンのスイッチを頻繁にオン/オフすると、かえって電気代が高くなってしまいます。

先述のとおり、暖房は部屋を設定温度まで温めるときに、最も多くの電力を消費しますそのため、こまめにオン/オフするよりも、つけっぱなしにして、暖かい室温を保つ方が電気代の節約になるケースもあります。

外気温や部屋の断熱性能の影響も大きく、一概には言えませんが、一般的には30分程度の短時間の外出であれば、暖房をつけっぱなしにした方が電気代を安く抑えられるとされています。それ以上長く外出する際は、暖房をオフにした方が電気代の節約になる可能性があるでしょう。

他の暖房器具と併用する

エアコンは部屋全体を暖める暖房器具です。そのため、必要な場所だけピンポイントで暖める暖房器具を併用し、エアコンの設定温度や使用時間を抑えれば、電気代の節約につながります。

電気代を節約するためには、以下のような併用方法がおすすめです。

  • こたつをメインで使用し、エアコンの設定温度や使用時間を抑える
  • 暖房の設定温度を低く抑えて、ホットカーペットや電気毛布で体を暖める

エアコンの暖房だけを使うより、他の暖房器具の特徴を活かして併用する方が、電気代を節約できます。

サーキュレーターで温かい空気を循環させる

サーキュレーターを使って、部屋の空気を循環させることも、部屋全体を効率良く暖めるのに効果的です。

空気には、暖かい空気は上に溜まりやすく、冷たい空気は下に溜まりやすい性質があります。「暖房をつけても足元が冷える」といった現象が起きるのは、室内の天井付近と床付近での温度差が原因です。

上下の温度のムラをなくすには、サーキュレーターを使って、部屋全体の空気を循環させましょう。空気が循環して温度差がなくなり、暖房が効率良く運転できる環境になります。

まとめ

暖房を1か月つけっぱなしにすると、目安として9,500円程度の電気代がかかります。

ただし、こまめにスイッチをオン/オフするよりも、つけっぱなしの方が節電につながる場合があります。エアコンの仕様上、こまめにスイッチをオン/オフすると、かえって電力消費量が大きくなることがあるからです。

また、運転モードや設定温度を工夫する、他の暖房器具を併用する、こまめにお手入れをするなどの工夫で、電気代は節約できます。電気代を安く抑え、寒い季節を快適に過ごせる方法を見つけてみてください。

  1. 公共社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会:
    よくある質問
  2. 経済産業省:
    省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」
  3. 環境省:
    エアコンの使い方について
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