暖房20℃では寒い？暖かくするコツ・電気代節約術も紹介！

暖房は寒い冬には欠かせないアイテムですよね。環境省では、快適性を損なわない範囲で省エネルギーを目指すため、暖房時の室温を20℃にすることを推奨しています[1]。これを参考に、暖房の設定温度を20℃にしている方もいるでしょう。

しかし、「暖房を20℃に設定しても寒い」「設定温度は上げずに暖かく過ごすコツを知りたい」など、暖房にまつわるお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか？

そこで今回は、暖房の設定温度を20℃にしても寒い理由や、電気代を節約しながら暖かく過ごすコツについて紹介をします。

暖房時の室温の目安は20℃！この温度でも寒くない？

東京都の「健康・快適住居環境の指針（平成28年度 改訂版）」[2]によると、夏の快適な室温は25～28℃が目安とされ、外気との温度差を7℃以内にすることが体に良いとされています。

一方、冬の快適な室温については、東京都の同指針では17～22℃が目安とされています[2]。また、快適性を損なわない範囲で省エネルギーを目指すため、環境省では冬の暖房時の室温の目安を20℃にすることを推奨[1]しています。

一般的に、冬のエアコン代は夏よりも高くなりがちです。例えば東京の場合、8月の平均最高気温は33.6℃、2月の平均最低気温は4.1℃（2024年）です[3][4]。そのため、快適に過ごすためには、夏であれば外気温から9℃ほど室温を下げるだけで済みますが、冬の場合には、18℃ほど室温を上げなければなりません。

エアコンの消費電力はさまざまな条件によって変動しますが、一般的には外気温との差が大きいほど増える傾向にあります。このことから、冬のエアコン代は夏と比べて高くなりやすいといわれています。

使用条件にもよりますが、環境省では暖房の温度を1℃下げることで、年間で53.08ｋWhの省エネ、約1,430円の電気代節約効果がある[5]としています。節電は節約につながるのはもちろん、CO₂の削減にも効果的です。

暖房の設定温度を上げても寒いと感じるのはなぜ？

暖房の設定温度を上げても肌寒く感じてしまう経験をしたことはありませんか？

例えば、暖房の設定温度を20℃にしていても、実際の室温は20℃に満たないということは多々あります。また、実際の室温が20℃でも、体感的にはそれより寒く感じることもあります。

ここからは、設定温度を上げても寒いと感じる原因について、解説していきます。

窓の断熱が不十分

設定温度を上げても寒く感じる原因の1つは、窓の断熱が不十分であることです。

例えば、1992年の省エネ基準に沿って建てられた戸建て住宅の場合、窓を閉めている状態でも、冬は室内の熱の約50%が窓から流出してしまうといいます[6]。そのため、とくに窓付近の室温は外気温の影響で低くなりやすいといえるでしょう。

目安として、外気温の影響を受けやすい窓や床に結露が付きやすかったり、窓の近くが妙に冷えたりする家は、窓の断熱性があまり高くない可能性があります。

室内の温度差が大きい

設定温度を上げても寒く感じるもう１つの原因は、室内の温度差が大きいことです。

空気には、温かいと軽く、冷たいと重くなるという性質があります。そのため、温かい空気は天井付近にたまり、冷たい空気は床付近にたまりやすくなります。このことが原因で、暖房をつけても暖かさを感じにくかったり、足元が冷えやすくなったりします。

湿度が下がっている

体感温度には、湿度が高いほど暑く感じやすく、湿度が低いほど寒く感じやすい傾向があります[7]。そのため、暖房によって部屋の湿度が低下し、空気が乾燥する冬は、実際の室温よりも体感温度が低く感じられやすくなります。

このことも、暖房をつけていても寒さを感じやすくなる原因の一つです。

電気代節約術7選！暖房20℃でも暖かく過ごせるコツ

室温20℃を目安にして、暖房の温度を20℃に設定する方も多いのではないでしょうか？しかし、設定温度を20℃にしても、室温が20℃になるとは限りません。また、室温が20℃でも肌寒く感じることもあるでしょう。

このとき、寒いからといって暖房の設定温度を上げすぎると、窓に結露が発生したり、空気が乾燥したりする原因になります。さらに、電気代もその分上がってしまいます。

暖房20℃の設定で寒く感じるときは、無理をしない程度に体感温度を上げる工夫をするのがおすすめです。ここでは、節約しながら体感温度を設定温度以上にする、選りすぐりの方法を7つご紹介します。

• ▼運転モードを「自動運転」にする
• ▼空気を循環させ、室内の温度差をなくす
• ▼エアコンや室外機周りを掃除し、暖房の効率をあげる
• ▼湿度を上げる
• ▼窓の断熱性能を向上する
• ▼温かい食べ物・飲み物で体の中から温める
• ▼重ね着やひざ掛けで体を外から温める

運転モードを「自動運転」にする

「自動運転」とは、室温が設定温度になるまでは強い風量で運転し、設定温度に達したら弱い風量（弱運転）に自動で切り替わる機能です。

エアコンは、室温が設定温度に到達するまでの間に多くの電力を消費します。自動運転モードでは、設定温度に到達するまでは強い風量で運転して部屋を一気に暖め、設定温度に達したら弱い風量で室温を維持するという効率的な暖め方ができるため、結果的に節電につながります。

最初から風量を「弱」にした方が消費電力は少なく済むと思われがちですが、風量が弱いと室温が設定温度に到達するまでの時間が長くかかります。そのため、自動運転モードと比べて電気代が余計にかかってしまう可能性があり、注意が必要です。

空気を循環させ、室内の温度差をなくす

室内で温度差が大きいと場所によっては寒く感じてしまうため、空気を循環させて部屋全体の温度差をなくす工夫が必要です。

空気の循環を生み出す方法としておすすめなのは、エアコンの風向きを下向きにすることと、サーキュレーターを活用することです。

風向きを下向きにする理由は、床付近にたまる冷たい空気に暖房の温風を送り込んで天井付近に追い出すことで、部屋の空気循環を促すためです。温かい空気を床付近に送り込むと、足元が冷えにくくなるというメリットもあります。

また、サーキュレーターも、部屋の空気循環を加速させるために使います。サーキュレーターを置くときのポイントは、部屋の隅からエアコンに向けて対角線上に設置することです。このように置くことで、床付近にたまる冷たい空気を部屋の天井の方へ追い出し、エアコンから送り出された温かい空気を部屋全体に拡散させることができます。

部屋の空気を循環させ、室内の温度を均一にすることで、設定温度を上げなくても暖かく感じやすくなります。

エアコンや室外機周りを掃除し、暖房の効率をあげる

エアコンを汚れたまま使っていると、暖房の効率が落ちてしまいます。電力も余計に消費しますので、電気代が高くなる原因にもなります。

エアコン掃除は「いつもの掃除」と「シーズン前の大掃除」を行うようにすると良いでしょう。

「いつもの掃除」は定期的にフィルター周りを掃除するものです。環境省では、暖房をよく使用するシーズン中は、月に1回程度を目安にフィルターを掃除すること推奨しています[5]。

さらに、夏や冬にエアコンを使い始める前に行う「シーズン前の大掃除」では、フィルター周りの掃除に加えて、吹き出し口やルーバーなど、できる範囲で大掃除をしましょう。入り込んだホコリやカビを除去することで、冷暖房の効率が上がるだけでなく、健康への悪影響も抑えられます。

また、室外機の吹き出し口の前に物が置かれていると、室外機が空気を取り込みにくくなりエアコンの効率が低下してしまいます。室外機周りはエアコンを使い始める前に整理整頓し、周りに物を置かないようにしましょう。

エアコンのフィルター掃除については、以下の記事も参考にしてください。

なお、エアコンの大掃除の際には、専門業者によるエアコンクリーニングの利用もご検討ください。専門業者なら、エアコンを分解して専用高圧洗浄機でホコリ、カビ、ハウスダストを徹底的に掃除できます。

事前に室内の養生もしっかりと実施してくれるため、部屋も汚れません。年2回のシーズン前の大掃除の際には、とくにおすすめです。

湿度を上げる

部屋の湿度が上がると体感温度が上昇します。湿度が10％下がると、体感温度は約1℃下がる[8]といわれており、空気が乾燥する冬場はとくに肌寒く感じてしまいます。そのため、加湿器を用いて適度に部屋の湿度を上げることが重要です。

東京都福祉保健局の「健康・快適居住環境の指針」[2]によると、湿度は40〜60%ほどで快適に感じるとされています。加湿器の利用は乾燥対策になるだけでなく、心地よい空間づくりにも寄与するといえます。

もし加湿器がない場合は、以下の方法で代用することがおすすめです。

• 洗濯物を部屋干しする
• ポット・やかんの蓋を開けてお湯を沸かす
• お風呂の戸を開けておく

窓の断熱性能を向上する

暖房の熱は窓から逃げやすいため、寒さ対策として窓の断熱性能を上げることも効果的です。窓の断熱方法としては、以下のようなものがおすすめです。

• 厚いカーテンに替える
• 断熱シート・フィルムを窓に貼る
• 断熱ボードを窓の下にとりつける
• 二重窓にする
• 断熱ガラス・複層ガラスに取り換える

他にも、断熱カーテンで部屋を仕切り、暖める部屋の範囲を小さくすることもできます。また、夜中とは反対に、昼間の場合はカーテンを開けて日光の温かさを取り入れると部屋が効率よく暖まります。

さまざまな方法があるため、自分の部屋の構造に合った断熱方法を実践しましょう。

温かい食べ物・飲み物で体の中から温める

温かい食べ物や飲み物を摂取すると代謝がよくなり、体温を上げられます。また、食事を摂ることで、吸収された栄養素が分解され、その一部から熱エネルギーが生み出されます。

とくに、タンパク質はほかの栄養素と比べて代謝量が大きいとされているため、積極的に摂取しましょう。タンパク質の摂取効率がよい食材としては、ラム肉や鮭がよく挙げられます。

飲み物では、ルイボスティーや生姜湯、ココアなどが身体を温める効果が期待できるとされ、おすすめです。

重ね着やひざ掛けで体を外から温める

体感温度の違いから、自分は寒くても一緒にいる家族やパートナーは暑いと感じていることがしばしばあります。

そういった理由で、暖房の設定温度を上げにくい場合には、重ね着して暖をとりましょう。ひざ掛けや、ブランケットを活用することもおすすめです。

とくに、「首元」「足首」「手首」の3つの首を温めると血流が良くなり、温まりやすいとされています。3つの首はそれぞれ、靴下やスリッパ、ストール、手袋などを使って温められます。

まとめ

今回は、暖房の設定温度を20℃にしても寒く感じる理由や、暖房代の節約術、設定温度20℃でも肌寒いと感じる場合の対策についてご紹介しました。窓の断熱が不十分な場合や、室内に温度差がある場合には、設定温度20℃でも寒いと感じやすくなります。

電気代を節約しつつ暖かく過ごすには、エアコンを「自動運転モード」にしたり、サーキュレーターで空気を循環させたりするのがおすすめです。自身や家族の体調に配慮しつつ、無理せず暖房代の節約に取り組みましょう。