季節の行事

恵方巻きの正しい食べ方・ルールとは?2025年の方角・由来も解説

節分の行事食である「恵方巻き」ですが、食べたことはあるけれど、正しい食べ方やルールは分からないという方もいるのではないでしょうか。

今回は、恵方巻きの正しい食べ方やルール、2025年の恵方、飽きずに食べられるおすすめレシピをご紹介します。節分や恵方巻きについての知識を深めていきましょう。

恵方巻きの正しい食べ方・ルール

節分の行事食である恵方巻きには、正しい食べ方やルールがあるとされています。恵方巻きにはさまざまな種類がありますが、種類や具材は問わず食べ方は同じです。

ここでは、恵方巻きの基本的な食べ方やルールについてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

恵方巻きを切って食べるのはいい?

縁起物である恵方巻きは、食べるときに切ってはいけないといわれています。切ったり、かぶりついている途中で食べるのをやめたりしてしまうと、「幸運が途切れる」ことにつながり、ご利益がなくなってしまうそうです。

とはいえ、太くて長い恵方巻を切らずに1本まるごと食べるのは大変ですよね。そういった場合は、はじめから太さや長さを調整しておきましょう。

例えば、お子さまやお年寄りが食べる場合は、短くて細めの恵方巻きをご家庭で作ったり、食べやすいサイズのものを購入したりするのがおすすめです。

もちろん、楽しく安全に食べることが一番ですから、どうしても食べ切れない場合は、無理をせず途中で切って食べてください。

恵方という方角を向いて食べる

恵方巻きを食べるときは、その年の縁起の良い方角である「恵方」を向きます。

恵方は、神様のいる方角といわれており、その年ごとに恵方とされる方角は異なります。恵方巻きを食べる際は、よそ見をせずその方向だけを向いて食べるのが基本的なルールです。恵方を向いて食べれば、ご利益を得られるといわれています。

口を離さないようにしゃべらず一気に食べる

恵方巻きを食べる際には、黙って一気に食べると縁起が良いとされています。これは、「運を逃さない」「縁を切らない」といった意味があるようです。

恵方巻きを食べている途中で話してしまうと、身体の中に取り込んだ運気が逃げてしまうともいわれています。

コンビニやスーパーでは細巻きやハーフサイズも販売されているので、通常サイズを食べきるのが難しい方にはおすすめです。または、食べきれるサイズの恵方巻きを手作りするのも良いでしょう。

恵方巻きはカットしてしまうとご利益がなくなるとされているため、頑張って切らずに1本まるごと食べるか、短い恵方巻きを用意するのが理想です。

長い恵方巻き

ルールを守って食べると願いが叶う!?

先ほどご紹介した「切らずに食べる」「恵方を向いて食べる」「喋らず一気に食べる」の3つを守り、願い事を思い浮かべて恵方巻きを食べると、願いが叶うといわれています。

ただし、地域によっても食べ方が異なるなど明確なルールはないため、食べ方にこだわりすぎず幸せを願って食べましょう。

恵方巻きの食べ方・ルールの疑問

ご紹介した食べ方のほかにも「こうして食べると良い」といわれる食べ方があります。ここからは、恵方巻きを食べるうえで気になるポイントについて詳しく解説します。

途中でしょうゆをつけるのはNG

食べている途中でしょうゆをつけるのは、恵方巻きの正しい食べ方としてはNGです。途中でしょうゆをつけてしまうと、恵方巻きから口を離すことになるからです。

しょうゆのある位置によっては恵方の向きから顔をそらすことにもなるため、最初につけるしょうゆだけで足りるサイズを作るか、あらかじめ味をつけておくなど、工夫しましょう。

食べる時間は決まっていない

恵方巻きには食べる時間のルールはなく、節分の日であれば朝でも夜でも好きな時間に食べて大丈夫です。

夜に豆まきをした後であれば、家を清めた状態で晩ご飯として恵方巻きを食べられます。

笑顔でも、目を閉じてもOK

地域によっては、恵方巻きを食べるときに「笑顔で邪気を払う」といった意味を込めて笑顔で食べる風習があるようです。ほかにも、深く願いを込める意味で、神社で参拝するように「目を閉じて食べる」のが良いとする説もあるといわれています。

ただし、これらは「必ず守るべきルール」ではありません。明確なルールは決まっていないため、それぞれの目的にあわせて、好みの方法を取り入れると良いでしょう。

2025年の恵方(方角)は?恵方の決め方を解説

恵方巻きを食べる際に向く方向・恵方は毎年変わります。ここでは、2025年の恵方について解説します。

2025年の恵方は西南西(せいなんせい)

2025年の恵方は「西南西」です。正確には、西南西のほんの少し西寄りの方角です。方角を確かめたいときは、スマートフォンのアプリなどで簡単に調べられます。

恵方とは、10年を1セットとして循環する4つの方角のことで、2年続けて同じ方角になることはありません。

恵方は、その年の甲・乙・丙などの十干(じっかん)をもとに決められています。1年の福徳をつかさどる「歳徳神(としとくじん)」がいる方位を向いて事を行うと万事において大吉といわれているため、恵方を向いて太巻きを食べると福があるとされているのです。

四方と十干の組み合わせで恵方が決まる

恵方は、その年の十干(じっかん)に応じてどの方角かが決まります。とはいえ、恵方は前述のとおり4つしかなく、それぞれ東北東・西南西・南南東・北北西です。

十干と四方の組み合わせは以下のとおりです。

甲・己の年 東北東
乙・庚の年 西南西
丙・辛・戊・癸の年 南南東
丁・壬の年 北北西

2025年の十干は「乙(きのと)」のため、今年の恵方は「西南西」となります。

また、恵方は10年ごとに循環するため、西暦の1の位でも確認できます。以下が西暦の1の位と恵方の組み合わせです。

西暦の1の位が「4・9」 東北東
西暦の1の位が「0・5」 西南西
西暦の1の位が「1・3・6・8」 南南東
西暦の1の位が「2・7」 北北西

恵方巻きの由来や発祥は?

恵方巻きの由来は、かつて節分が大晦日として捉えられていたことにあるとされています。

「春分」「夏至」「大寒」など、季節を表す言葉である二十四節気。この中で1番目、すなわち1年の始まりとされたのが「立春」です。そのため、立春の前日に当たる節分は「大晦日」としての意味も持ち、古くから大切にされてきました。

大晦日には、年越しの際、歳神さまをお迎えするのに「恵方に餅を供える」という習慣がありました。これが、現在の恵方巻きを食べる習慣につながると考えられています。

発祥は関西説が有力

「食べると願いが叶う」とされる現在の恵方巻きの起源には諸説あり、はっきりとはわかっていません。ただ、その中の一つとして、大正初期に大阪の花街で縁起担ぎのために食べられていたのが始まりだとされる説があります。

少なくとも、1932年(昭和7年)には「節分の日に丸かぶり」と書かれたチラシが大阪鮓商組合によって作られており、この頃にはすでに恵方巻き文化が広まっていたことがわかっています。

また、1970年代には、大阪海苔問屋協同組合をはじめとする海苔業界が恵方巻きを宣伝したとする記録も残されていました。

これらの歴史を見てみると、恵方巻きは元々関西の文化だった説が有力です。そして、全国的に食べられるようになったのは近年のことのようです。

全国展開は大手コンビニがきっかけ

関西から広がった恵方巻き文化の全国展開を後押ししたのが、コンビニチェーンによる商品化だとされています。

1983年になると、ファミリーマートが大阪と兵庫で恵方巻きを売り始めます。その後、セブン-イレブンが広島で恵方巻きの販売を開始。1998年には、販売エリアが全国にまで広がりました。

なお、元々は単なる「太巻き」として売られていた恵方巻きですが、コンビニで売り出される際に「恵方巻き」という名称が生まれたといわれています。

恵方巻き

恵方巻きの具材と意味

「恵方巻きの具材」というと、桜でんぶや伊達巻、しいたけ煮やかんぴょうなどが思い浮かぶ方もいるでしょう。しかし、これらの具材はあくまで基本的な具材であり、近年ではさまざまなバリエーションがあります。

ここでは、恵方巻きの基本の具材や具材に込められた意味、近年食べられている変わり種具材をご紹介します。

主な具材は七福神に見立てた7種

まずは恵方巻きの基本の具材について見ていきましょう。

元々の恵方巻きの具材には、福をもたらす七つの神様の総称である「七福神(大黒天・毘沙門天・恵比寿天・寿老人・弁財天・福禄寿・布袋尊)」をイメージした7種類の具が使われていました。

かんぴょう
細く長い形から「長生きできるように」という願いが込められています。
しいたけ煮
しいたけは傘の形が陣笠(じんがさ)に似ているため、「身を守ってくれる」という意味があります。
伊達巻(卵焼き)
伊達巻や卵焼きは、その黄色い色から財の豊かさ、金運のげん担ぎとして使われます。
うなぎ
古くからうなぎは縁起のいい食べ物です。「うなぎのぼり」という言葉からもわかるように、出世や上昇などの意味があります。また、うなぎの長い姿が長寿を表しているともいわれています。
桜でんぶ
鯛などの白味魚をほぐし、鮮やかなピンク色に仕上げてある桜でんぶ。鯛は「めでたい」という言葉にかけた縁起物であり、ピンク色が華やかさを演出してくれます。
えび
紅白の色と目玉が飛び出ていることから「めでたし」という語呂合わせに使われる縁起食材です。また、健康長寿の象徴とされています。
きゅうり
その名前から「9つの利」をもたらしてくれるといわれています。

その他変わり種具材も人気

現在、恵方巻きにはさまざまな具材が使われています。例えば、2000年代に入りコンビニやスーパーで恵方巻きが販売されるようになってからは、サーモンやマグロなどの魚介類を使った海鮮巻きが登場しました。海鮮巻きは現在も人気の商品です。

さらに、最近では、具材を米の上にのせた押し寿司風の「巻かない恵方巻き」や、海苔ではなく肉で具材を巻いた「肉巻き恵方巻き」もあります。なかには、恵方巻きに見立てた「恵方ロールケーキ」というものも存在します。

気になる方は、ぜひ調べてみてはいかがでしょうか。

海鮮巻き

おすすめ恵方巻きレシピ4選

恵方巻きはとてもボリュームがあるため、食べている途中で飽きてしまったり、食べ切れなかったりするときもあるでしょう。そのような場合は、変わり種を用意するのもおすすめです。

ここでは、飽きずに食べられる恵方巻きのおすすめレシピを4つご紹介します。

海鮮巻き

定番の海鮮巻きを作りたいなら、スーパーでも簡単に手に入りやすい以下のような具材がおすすめです。

  • マグロたたき
  • スモークサーモン
  • いかソーメン
  • とびこ
  • きゅうり
  • 大葉
  • 厚焼き卵

なお、エビフライやかにかまぼこなど、お好みに合わせて具材を入れ替えるのもおすすめです。

恵方巻の歴史

肉巻き

小さなお子さんにも人気の肉巻き寿司。海苔の代わりに、牛や豚の薄切り肉を使います。具材には、使うお肉に合う野菜などを選ぶのがポイントです。

米の中に入れる具材の一例は、以下のとおりです。

  • きゅうり
  • かんぴょう
  • かにかまぼこ
  • レタス
  • 卵焼き
  • にんじん

飾り巻き

切ったときの断面が華やかな模様になる飾り巻きは見た目もかわいらしく、1年の幸せを願う節分にぴったりです。

使いやすい具材としては、以下のようなものがあります。

  • 桜でんぶ
  • 食紅
  • ふりかけ
  • チーズ
  • 卵焼き

上記以外にも、アイデア次第でどのような具材でも使えるのが飾り巻きです。海苔をあえて使わず、薄焼き卵で巻くといった自由な発想もおすすめです。人気のアニメキャラなどを模した断面になるように工夫しても良いでしょう。

飾り巻き

デザート巻き(ロールケーキ)

ロールケーキもある意味巻き物といえます。実際に、最近は恵方ロールケーキなどの商品も増えてきています。おすすめの具材は、以下のとおりです。

  • いちご
  • キウイ
  • オレンジ
  • りんご
  • ホイップクリーム

たくさんのフルーツを入れて、豪華な恵方巻きロールに挑戦してみましょう。

恵方巻き以外の節分料理を紹介

恵方巻き以外にも、節分の行事食はたくさんあります。

ここからは、恵方巻き以外の節分料理を、レシピや由来なども交えながらご紹介します。

福茶

無病息災を願う飲み物として、豆まきをしたあとの福豆で作れる縁起物が「福茶」です。「まめまめしく働く」という意味を持つ福豆のほかに、「養老昆布」「よろこぶ」「子生」などの意味を持つ昆布や、おめでたいことの象徴として使われる松竹梅に通じる梅も使用するため、とても縁起が良いとされています。

レシピは以下のとおりです。

  • 梅干し…1粒
  • 塩昆布(または昆布の佃煮)…適量
  • 豆まきの豆…3粒

湯呑みに上記の材料を入れて、お湯またはお茶を注ぐだけでできあがります。なお、豆が3粒とされているのは縁起の良い吉数のためです。

縁起を担ぎ、これ以上でも以下でもなく3粒入れるようにしましょう。

いわしの塩焼き

節分の日には「いわしの塩焼き」を食べることも良いとされています。

節分は二十四節気で1年の最後の日、つまり大晦日にあたり、節分の翌日から新たな1年が始まるとみなされていました。そのため、1年の中で最も大きな季節の節目という捉え方もされてきました。

古くから季節の節目は邪気が入りやすいと考えられています。そのため、魔除け・厄払いの効果があるとされているいわしを節分の日に食べる習慣ができたといいます。

いわしの食べ方に決まりはありませんが、節分の当日に塩焼きで食べるのが基本です。恵方巻きの具にすれば招福祈願も兼ねられるため、恵方巻きの具材として食べるのもおすすめです。

また、関西を中心とした西日本や関東・東北の一部では、いわしの頭を柊の枝に刺して玄関に飾る「節分いわし」という文化もあります。

節分鰯

そば

二十四節気では1年が「立春」から始まると考えられており、現代で広く浸透している年越しそばと同様に、節分の日にもそばを食べる文化があります。

そばは麺類の中でも切れやすいため、厄落としの意味や、「長く伸びて細く切れる」ことから長寿の意味を持ちます。1年の節目である節分の日に縁起の良いそばを食べることで、新しい1年の幸福や長寿を祈っていたのです。

節分そばと普段食べるそばに、見た目や作り方の大きな違いはありません。食べ方にも決まりはありませんが、かまぼこやえびを入れて食べるのが定番です。

現在、節分そばを食べる地域は全国でもごく一部とされています。長野県や島根県の出雲地方を中心とする地域でよく食べられています。

節分そば

けんちん汁

関東の一部地域では、節分の日にけんちん汁を食べる文化があります。もとは、節分のほか、「初午」・「えびす講」など寒い時期の行事にふるまわれていたことが由来です。

けんちん汁そのものに縁起物の意味はなく、古くからの風習として体を温める目的で、寒い時期である節分の料理として食べられています。

なお、けんちん汁は本来精進料理です。そのため、肉や魚は使わず、大根・にんじん・ごぼう・長ネギ・こんにゃく・豆腐・油揚げなどの具材を入れるのが定番です。出汁にもかつお節や煮干しは使わず、昆布やしいたけを使用します。

はじめに根菜やこんにゃく、くずした豆腐をごま油で炒めるのが基本的な作り方です。

まとめ

今回は、恵方巻きの食べ方や歴史、最近の恵方巻きについてご紹介しました。

手軽な市販の恵方巻きもよいですが、今年の節分は自己流の恵方巻きを作り、神様にお願いごとをしながら食べてみてはいかがでしょうか。友だちや家族を誘って、みんなで一緒に具を選んで恵方巻きを作ると、より楽しい節分の思い出ができそうです。

今回ご紹介した恵方や食べ方を参考に、願いごとを思い浮かべながら恵方巻きを食べてみてくださいね。

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