十五夜 お月見
季節の行事

2024年:十五夜とは?由来や意味・お供え物・中秋の名月との違いも解説

日本に根付いている十五夜の文化。しかし、意味や由来についてはあまり知られていません。また、「2024年の十五夜はいつ?」「十五夜は必ず満月になる?」「中秋の名月との違いは?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、十五夜の意味や由来について徹底解説します。「必ず満月になるのか」や「中秋の名月」「十三夜」などとの違い、お供え物になる食べ物なども説明しますので、十五夜について知りたいという方はぜひご覧ください。

十五夜とは?言葉の意味を解説

十五夜は日本の伝統的な行事の一つで、「お月見の日」としてのイメージが強いのではないでしょうか?しかし、本来の意味は意外と知られていないかもしれません。

まずは「十五夜」の言葉の意味について、解説していきます。

本来の十五夜とは「旧暦の毎月15日の夜」のこと

本来の十五夜とは「旧暦の毎月15日の夜」のことを指します。秋の行事というイメージが強い十五夜ですが、本来は毎月存在する行事です。

旧暦とは「太陰太陽暦」のことで、月の満ち欠けを基準にする暦の数え方です。太陰太陽暦では新月の日を1か月の始まりとし、月が満月になって欠けていくまでを1か月とします。

そのため、月の満ち欠けを基準とする旧暦では、毎月15日の頃に満月を迎える場合が多いです(※)。つまり、毎月15日の夜である「十五夜」の頃が月を眺めるのに最適となり、のちに月見をする行事そのものも「十五夜」と呼ばれるようになりました。

※十五夜でも満月にならない日は少なくありません。詳しくは「▼十五夜は必ずしも満月になるとは限らない」で説明します。

満月の写真

現在では「旧暦8月15日の夜」のみを指すのが一般的

現在では、十五夜とは「旧暦8月15日の夜」のみを指すのが一般的です。

旧暦の8月15日は、現在使用されている暦(新暦)では9月中旬~10月上旬にあたり、月がもっとも明るく見える時期です。そのため、十五夜の月はとくに美しく見えるとされ、これを「中秋の名月」と言います。

なお、十五夜は旧暦を基準とするため、現在の暦では毎年日にちが変わります。2024年の十五夜は9月17日(火)です。詳しくは「▼十五夜の日にちが毎年変わる理由」をご覧ください。

十五夜のおさらい

「十五夜」と「中秋の名月」の違い

一般的には、「十五夜」と「中秋の名月」は同じものと考えて良いでしょう。

前述のように、本来の十五夜とは「旧暦の毎月15日の夜」のことを指し、毎月存在する行事でした。しかし、現在では「旧暦8月15日の夜」のみを指すようになっており、さらにはその日に月を楽しむ行事まで含めて捉えられるようになっています。

一方、「中秋の名月」とは「旧暦8月15日の夜の月」のことを指しますが、月を楽しむ行事そのものも「中秋の名月」と呼ばれています。そのため、「十五夜」と「中秋の名月」は同じ意味と考えても問題はないと言えそうです。

十五夜の由来は?お月見の起源を解説

現在では一般に、十五夜といえば旧暦8月15日の夜のことを指し、お月見をする日として親しまれています。

ここからは、「十五夜」の行事の由来について解説していきます。あわせて、似た言葉である「十三夜」「十日夜」についても説明しますので、十五夜について詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください。

十五夜の由来は平安時代にさかのぼる

十五夜に月を眺めて楽しむ文化は、平安時代の貴族文化に由来します。それが江戸時代に庶民に広まり、作物の収穫祭や五穀豊穣の祈願と結びついて現在まで伝わっているとされています。

旧暦8月の十五夜の月、すなわち「中秋の名月」を楽しむ文化は、平安時代に中国から日本へと伝えられたといいます。当時の貴族には、空を見上げて月を見てはいけないという風習があり、池や湖に写る月を見て楽しむ独特の文化が誕生しました。

その後、「中秋の名月」を眺める文化は江戸時代の頃に庶民にも広まっていったと言われています。中秋の名月の頃はちょうど作物の収穫時期にも重なり、秋の収穫祭と結びついて、月に対してその年の豊作を感謝し、来年の五穀豊穣を祈る風習として発展していきました。

現在の十五夜のお供え物は、この江戸時代の風習に起源があります。詳しくは「▼十五夜のお供え物」をご覧ください。

「十五夜」と「十三夜」「十日夜」の違い

十五夜に似た言葉として「十三夜(じゅうさんや)」や「十日夜(とおかんや)」という言葉もあります。これらもまた、日本の文化に根付く自然への感謝を表す年中行事です。

十三夜とは「旧暦9月13日の夜」を指します。十三夜は十五夜に次いで月が美しい日とされており、十五夜が終わった翌月、もう一度月を愛でる機会として親しまれています。

一方、十日夜とは「旧暦10月10日の夜に行われる年中行事」を指します。これは、北関東や甲信越地方を中心に行われている収穫祭で、その年の稲の収穫に感謝し、来年の豊穣を祈る行事となっています。

十三夜と十日夜も旧暦に基づいて日にちが決められるため、現在の暦では毎年日にちが異なります。以下に、十五夜・十三夜・十日夜の日にちの一覧を示します。

十五夜 十三夜 十日夜
2023年 9月29日(金) 10月27日(金) 11月22日(水)
2024年 9月17日(火) 10月15日(火) 11月10日(日)
2025年 10月6日(月) 11月2日(日) 11月29日(土)
2026年 9月25日(金) 10月23日(金) 11月18日(水)
2027年 9月15日(水) 10月12日(火) 11月7日(日)

2024年の十五夜は9月17日

2024年の十五夜(中秋の名月)は、9月17日(火)です。

以下に、2023年以降の5年分の十五夜の日にちをまとめました。

十五夜の日にち

2023年 9月29日(金)
2024年 9月17日(火)
2025年 10月6日(月)
2026年 9月25日(金)
2027年 9月15日(水)

十五夜の日にちが毎年変わる理由

十五夜は昔の暦である「旧暦」によって決められています。この旧暦と、現在使用されている「新暦」にはズレがあるため、新暦での十五夜の日にちは毎年異なります。

旧暦(太陰太陽暦)は月の満ち欠けに基づく暦です。おおよそ29.5日で1ヶ月とし、これを12回繰り返すと1年は合計354日になります。これに対し、新暦(太陽暦)は太陽の動きに基づく暦であり、1年を365日と定めています。

そのため、旧暦と新暦の「1年」の定義には約11日のズレが生じ、旧暦8月15日が指す新暦の日付は毎年変動することになります。

十五夜は必ずしも満月になるとは限らない

十五夜は「満月を眺める日」というイメージを持たれやすいですが、実は十五夜は必ずしも満月になるとは限りません。

前述のように、旧暦(太陰太陽暦)では新月を1日とし、月が満ちて欠けるまでを1か月の基準としています。しかし、実際の月の軌道は楕円形のため、新月から満月までの期間は一定ではありません。

新月から満月までの期間は平均的には14.8日程度ですが、最短で13.9日程度、最長で15.6日程度まで変動します[1]。そのため、新月から数えて15日目が満月の日とはならないことも多々あります。

2024年の十五夜は9月17日ですが、満月は9月18日です。以下に、2023年以降の十五夜と直近の満月の日を一覧で示します。

十五夜 直近の満月
2023年 9月29日(金) 9月29日(金)
2024年 9月17日(火) 9月18日(水)
2025年 10月6日(月) 10月7日(火)
2026年 9月25日(金) 9月27日(日)
2027年 9月15日(水) 9月16日(木)

十五夜のお供え物

昔から、十五夜には月の神様へお供え物を用意する慣習があります。月が見える場所にお供えものを置き、その近くでお月見を楽しみます。お月見が終わった後はお供え物を食べてしまっても構いません。

ここからは、十五夜にお供えするお供え物の代表例をご紹介します。

月見団子

十五夜に月見団子をお供えする習慣は江戸時代後期に始まりました。収穫したお米で団子を作り、それを供えることで五穀豊穣への感謝を示しています。

月見団子は月に似せて作られており、「月を見る」という事の象徴にぴったりであったため、広く受け入れられ定着しました。

また、十五夜にちなんで15個の団子を用意し、それを積み上げる慣習があります。これは、豊穣への願いや感謝の意を表しているそうです。

月見団子

ススキ

ススキのお供えは、お米の豊作を祈願し、感謝を表すために始まったものです。十五夜の時期は稲刈り前で稲穂が手に入らないため、稲穂に似た形状を持つススキを代わりに供えるという習慣が生まれました。

また、ススキには神秘的な意味も含まれています。ススキの穂の切り口は鋭く、これが悪魔や災いから農作物を守るとされています。そのため、ススキの穂をお供えすることで、「豊作を守りさらなる豊穣を祈る」という意味が込められています。

ススキ

農作物や旬の食べ物

十五夜の時期は、一部地域で里芋やサツマイモの収穫時期と重なります。そのため、中秋の名月は「芋名月」とも呼ばれ、新鮮な芋をお供えすることで、農作物への感謝と豊作への祈りが込められます

また、その時期に旬を迎える野菜や果物をお供えすることも一般的です。これらは、その年の作物の成長を祝い、自然の循環と収穫の成功を表しています。

子どもと十五夜を楽しむには?

十五夜は、子どもたちにとっても楽しみな行事のひとつです。ぜひ、十五夜のお月見の準備をして、子どもと一緒に楽しみましょう。子どもにとっても、日本の文化の勉強になります。

一緒に月を眺める

十五夜は1年でもっとも空が澄んでいて、月が美しく見える時期です。そのため、子どもと一緒に夜空を見上げて月を眺めるのがおすすめです。

月にはうさぎの模様が見えると言われていますが、それ以外に何に見えるか子どもたちに想像してもらうのも楽しいです。子どもたちの想像力を育てる絶好の機会にもなりますよ。

一緒に月見団子を作る

月見団子を子どもと一緒に作るのも、十五夜を楽しむ方法のひとつです。白玉団子の生地を丸めるなどの作業は、2~3歳の子どもでも簡単に参加できます。

親子のコミュニケーションを深めるだけでなく、子どもたちの創造性や手先の使い方を学ぶ良い機会にもなりますね。

ススキを探して飾る

月見団子を子どもと一緒に作るのも、十五夜を楽しむ方法のひとつです。白玉団子の生地を丸めるなどの作業は、2~3歳の子どもでも簡単に参加できます。

親子のコミュニケーションを深めるだけでなく、子どもたちの創造性や手先の使い方を学ぶ良い機会にもなりますね。

ススキと青空

まとめ

家族で美しい月を眺め、楽しい一時を過ごせる十五夜は、今でも秋を代表する年中行事のひとつです。

2024年の十五夜は9月17日ですので、ぜひ家族で月を眺め、お供え物をして楽しくお過ごしください。

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