食の知識

管理栄養士監修:アボカドの栄養素とは?健康効果やレシピも紹介

アボカドは、さまざまな栄養素を含むスーパーフードとして注目されています。健康や美容に効果的とは聞いたことがあっても、「具体的にどんな栄養素が含まれている?」「どれくらい食べれば良い?」などと疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

そこで、今回はアボカドに含まれる栄養素の健康効果や食べごろのサイン、保存方法などについて解説します。おすすめのレシピも紹介しますので、ぜひトライしてみてください。

監修者

保科 琴美(ほしな ことみ)
東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士

管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。

保科 琴美

アボカドとは?どんな栄養素がある?

アボカドは、熱帯・亜熱帯気候で育つ果実で、コロンビアやエクアドル、メキシコ南部が主な原産国です。ミネラル・カリウム・葉酸・ビタミン類をはじめとする約20の栄養素を含むことから、栄養価が高いスーパーフードとして注目されています。

また、果肉の約20%を脂質が占めていることから、「森のバター」とも呼ばれています。脂質が多いため他のフルーツと比較してカロリーは高めですが、一方で糖質は少なく、糖質制限ダイエットなどで取り入れられる機会も多い食材です。

アボカドと他のフルーツとの栄養素・成分比較

アボカドは栄養素が多く含まれているフルーツです。

アボカド可食部100gあたりの栄養素・成分含有量は以下のとおりです。比較のため、他のフルーツの代表例として、バナナ・リンゴ・ブドウとあわせてご紹介します[1]

可食部100gあたり アボカド バナナ リンゴ ブドウ
食物繊維(g) 5.6 1.1 1.9 0.9
葉酸(μg) 83 26 3 19
カリウム(mg) 590 360 120 220
ビタミンC(mg) 12 16 6 3
ビタミンB群(mg) 0.58 0.47 0.07 0.11
オレイン酸(mg) 8800.0 - - 2.0
エネルギー(kcal) 176 93 56 69
たんぱく質(g) 2.1 1.1 0.2 0.6
脂質(g) 17.5 0.2 0.3 0.2

表を見ると、ビタミンC以外の栄養素・成分の含有量は、この4種類のフルーツの中ではアボカドが最も多いことが分かります。とくに、不飽和脂肪酸の一種であるオレイン酸の含有量は他のフルーツと比較して圧倒的に多いです。

ここからは、それぞれの栄養素・成分の健康効果について詳しく解説します。

アボカドの主な栄養素・成分と効能

アボカドに含まれる主な栄養素・成分は、以下のとおりです。

ここでは、それぞれの栄養素・成分について解説していきます。

食物繊維:消化吸収をサポート

アボカドに含まれる食物繊維には、消化・吸収をサポートする役割があります。食物繊維には整腸作用があり、スムーズな排便が促されるため、便秘の予防に効果的です。

また、心臓病や肥満、2型糖尿病などのリスクを軽減する効果も期待できます。

葉酸:赤血球を作る

葉酸は、赤血球を作るために必要な栄養素で、「造血ビタミン」とも呼ばれています。脳の機能を正常に保つ働きがあるほか、身体の発育にとっても重要なビタミンです。

早産や胎児の先天異常といったリスクを軽減するのに効果的なことから、妊娠中の方にはとくにおすすめの栄養素といえるでしょう。

カリウム:血圧上昇を防ぐ

カリウムには、ナトリウムを尿中に排出する役割があり、血圧上昇を防ぐのに効果的です。また、体内の水分を排出するのを助け、むくみを予防したり改善したりする効果も期待できます。

塩分が多い食事を摂取するときは、アボカドも一緒に食べると良いでしょう。

アボカドの皮をむく

ビタミンC:体の組織の成長と修復に不可欠

ビタミンCには免疫機能を向上させる役割があり、風邪やインフルエンザの感染予防に役立ちます。また、皮ふや血管などを構成する細胞のコラーゲンの生成に不可欠で、体の組織の成長と修復にも貢献します。

ビタミンCには水に溶けやすく、熱に弱いという特性がありますが、アボカドは生食可能な食材のため、無駄なく摂取できるのがメリットです。

ビタミンB群:エネルギー代謝を助ける

ビタミンB群には、エネルギー代謝を助ける働きがあります。ビタミンB群の中でも、アボカドにはビタミンB1・B2・B6が含まれており、疲労回復や生活習慣病予防といった効果が期待できます。

ビタミンB群は体内に蓄積できず、毎日摂取することが望ましいとされているため、ビタミンB群を含むアボカドを積極的に摂取すると良いでしょう。

オレイン酸:コレステロールを調整する

アボカドはオレイン酸という不飽和脂肪酸を豊富に含んでおり、コレステロールを調整する働きがあります。悪玉コレステロールが増えると、動脈硬化や血栓などのリスクにつながるため、積極的に摂りたい栄養素です。

また、オレイン酸は消化吸収に時間がかかるため、満腹感が持続しやすいといわれています。これにより、過食を防ぎ、体重管理に役立つ可能性があります。

アボカドの食べごろサイン:皮が黒く、柔らかい

アボカドが食べごろになったサインは、「皮が黒く、指で少し押したときに柔らかい」ことです。この状態のアボカドは熟していて、生の状態でもおいしく食べられます。

もし、誤って皮が緑色の未熟なものや、果実が固い状態のものを購入しても、問題はありません。アボカドは追熟(収穫後に熟成が進む現象)する果実のため、購入後に数日、常温で保管すれば、追熟が進んで食べごろになります。

一方、ヘタが取れているものや、皮と実の間に隙間があり押すとペコペコするものは熟しすぎていて、味が落ちている場合があります。

また、皮に傷がついているものや、ぶつけたような跡が見られるアボカドは劣化している可能性がありますので、選ばないようにしましょう。

アボカドを選ぶ

アボカドの保存方法

アボカドは、熟しているものと熟していないもので保存方法が異なります。ここでは、それぞれの保存方法について詳しく解説します。

熟していないアボカド:冷暗所で常温保存

熟していないアボカドは、風通しが良い冷暗所で常温保存します。アボカドは15℃以上で追熟が進むので、キッチンなどの比較的温度変化が少ない場所で保存するのがおすすめです。

アボカドが完熟する目安は、皮が緑色のアボカドは常温保存で5~7日、緑と黒の間くらいの色のアボカドは2~3日です。ただし、27℃を超える環境では追熟のスピードが早くなるため、こまめに状態を確認しましょう。

熟しているアボカド:野菜室で保存

熟しているアボカドは、乾燥させないようにポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。アボカドは、5℃以下の環境だと変色するリスクがあるので、冷蔵室よりも温度が高めに設定されている野菜室での保存が適しています。

アボカドを一度に全部使用しない場合は、皮ごと半分に切り、種が残っている方を保存します。アボカドは、空気に触れると酸化するため、切り口からラップをあてて全体を包み、ポリ袋に入れて野菜室に入れましょう。

また、切り口にレモン汁を数滴かけてから保存すると、変色を抑えられます。

健康的なアボカドの食べ方

栄養価が高く、糖質が少ないアボカドは、健康志向の方に人気の果実です。一方で、脂質が多く、食べ過ぎるとカロリーの過剰摂取につながります。

ここでは、健康的なアボカドの食べ方を紹介します。

1日半分を目安に食べる

アボカドの1日の摂取量の目安は、半分程度です。アボカド1個あたりのカロリーは、標準サイズで約249~267kcalで、茶碗1杯分のごはん(約150g)のカロリー(約234kcal)とほぼ同等です。

栄養素をたくさん摂取しようと考え、アボカドを一気に半分以上食べると1日の推奨摂取カロリーを超過してしまう可能性があります。そのため、他の食材のカロリーも考慮し、1日半分程度を目安に食べるのがおすすめです。

新鮮なアボカド

朝~昼の間に食べる

アボカドは脂質を多く含んでいるため、活動量が多い朝~昼の間に食べるのがおすすめです。夜に脂質が多く摂取すると、消化不良を起こしたり、寝つきが悪くなったりすることがあります。

また、就寝中に消化しきれなかったカロリーは脂肪として蓄えられ、肥満の原因にもなるため、健康的にアボカドを摂取したい方はなるべく夜ではなく、朝や昼に食べるようにしましょう。

アボカドのおすすめのレシピ3選

最後に、アボカドを使ったおすすめのレシピを3つ紹介します。手軽にできるので、ぜひトライしてみてください。

アボカドとトマトとサーモンのマリネ

アボカドとトマトとサーモンのマリネ

アボカドとトマトとサーモンのマリネは、オレイン酸による動脈硬化予防やトマトの抗酸化作用による美容効果、サーモンに含まれるDHA・EPAによる血栓予防などの効果が期待できます。

さまざまな栄養素を効率的に摂りたいときにおすすめの一品です。

材料(2人分)

  • アボカド(1個)
  • サーモン(150g)
  • ミニトマト(4個)
  • A) レモン汁(大さじ1)
  • B) はちみつ(小さじ1)
  • C) 塩(小さじ1/4)
  • D) オリーブオイル(大さじ1)
  • E) 黒コショウ(少々)

作り方

  1. サーモンは2cm角に切ります。アボカドは縦半分に切り、種を取り出して皮をむき、2cm角に切ります。ミニトマトはヘタを取り1/2に切ります。
  2. ボウルにA~Eを入れよく混ぜます。
  3. 2にアボカドを加えて混ぜ、サーモンとミニトマトも加え軽く混ぜます。
  4. 器に盛りつけて完成です。

このレシピの詳細はこちら

アボカドディップ

アボカドディップ

アボカドディップは、野菜やクラッカーに付けて食べるのはもちろんのこと、サンドイッチの具材やサラダのトッピングとしても使える優秀な一品です。アボカドとマヨネーズの濃厚な味わいで満腹感も得られます。

手軽に作れるため、料理をする時間がないときにもおすすめです。

材料(2人分)

  • アボカド(1個)
  • マヨネーズ(適量)
  • レモン汁(適量)
  • 塩(適量)
  • 黒コショウ(適量)

作り方

  1. アボカドを半分に切って種を取り、皮をむきます。
  2. 切ったアボカドをボウルに入れ、フォークの背を使ってペースト状になるまでつぶします。
  3. 2にマヨネーズ・レモン汁・塩・黒コショウを加え、混ぜて完成です。

アボカドとサーモンのしょう油漬け

アボカドとサーモンのしょう油漬け

アボカドとサーモンのしょうゆ漬けは、しょう油のみで味付けをしたシンプルな料理です。そのまま食べる以外にも、サラダや丼といった、さまざまな食べ方を楽しめます。

また、サーモンの代わりに、マグロやエビを使用するのもおすすめです。

材料(2人分)

  • アボカド(1個)
  • 刺身用サーモン(150g)
  • しょう油(大さじ2)

作り方

  1. アボカドに包丁で切り目を入れて半分に割り、種を取って皮をむきます。
  2. アボカドとサーモンを、それぞれ好みの大きさに切ります。
  3. ボウルに2を入れてしょう油を加え、ラップをして冷蔵庫で15分漬け込んだら、完成です。

まとめ

アボカドは食物繊維や葉酸、カリウムといった栄養素を豊富に含む食材で、ダイエットや美容におすすめです。ただし、脂質が多く、食べ過ぎると肥満につながるおそれがあるため注意しましょう。

今回ご紹介した食べ方やおすすめのレシピを参考に、日々の食事にアボカドを上手に取り入れてみてください。

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