キッチン周りの収納のコツ
執筆者
- 有賀 照枝(ありが てるえ)
- 整理収納コンサルタント/ハウスクリーニング技能士
株式会社ハート・コード代表取締役
“部屋磨きは自分磨き・職場磨きはスタッフ磨き”をモットーに家事代行・整理収納関連事業で2007年独立。自身の体験から環境を整えると色々なことが整ってくることを痛感し、個人や企業にコンサルティングやセミナーなど様々な形でその大切さをお伝えしている。ジュピターショップチャンネルほかメディア多数出演。著書『「片付けが苦手な子」が驚くほど変わる本』(青春出版)。
目次 [CLOSE]
キッチン収納の考え方
キッチン収納の整理を始める前に、ぜひ知っておきたいキッチン収納の考え方を見ていきましょう。
どういうキッチンにしたいのか目的を決めよう
いきなり収納の整理を始めるのではなくて、まずはどういうキッチンにしたいのか目的をしっかり決めましょう。「毎日の弁当作りを快適にしたい」「子どもと一緒に料理作りを楽しみたい」など、目的がはっきりすればつくりたいキッチンのイメージが明確になり、不要なキッチンアイテムを処分したり、収納するモノの優先順位を決めたりすることがラクになります。
モノの使用頻度ごとに収納する高さを変えよう
不要なモノの処分が終わったら、使うモノの頻度によって収納する場所を決めましょう。作業台が一番よく使う場所になりますが、その作業台から上下に離れていくほど使用頻度の低くなるモノを収納すると使い勝手が格段に上がります。吊戸棚のありなしや、作業台の下が観音開きか引き出しかなど、キッチンの構造によっても収納するモノは変わってくるので、下記は目安と捉えてください。
作業台~目線の高さ | 毎日よく使うモノ、キッチンツールや調味料など |
---|---|
作業台より下の高さ | 週に何度か使うモノ、鍋など重いモノなど |
目線より上の高さ | 年に数回程度使う季節のモノ、軽いモノなど |
また、使いたいモノを取り出すときのアクション数も考慮しましょう。よく使うモノは多くても2アクションまでで取り出せるようにするとストレスも少ないです。引き出しに収納した場合は、①引き出して②取り出す、で2アクションになります。アクション数が多くなると、本来使用頻度が高いキッチンアイテムも時間が経つにつれ面倒になり使われなくなってしまう可能性が出てきてしまいます。
使う場所に使うモノを収納する
使う場所に使うモノを収納するのは、収納の原則です。例えば鍋やフライパンの収納を考えたときに、コンロ下にまとめて収納するのも悪くはありませんが、実際に鍋を使うときにはシンクで水を入れてからコンロで火にかけて使うケースが多いので、コンロ下ではなくシンク下に収納したほうが作業効率がよい、という考え方です。キッチンでどのように作業するのかイメージをしながら、その時に使うモノは作業する場所に一番近い場所に収納するようにしましょう。
見せる収納・隠す収納
洗剤類などの日用品やスポンジなど出しっぱなしで使うキッチンアイテムは購入してきたボトルやパッケージのまま使うと少々生活感が出てしまう場合もあります。そんな時には、カゴやケース、リネンを使った「隠す収納」でスッキリしたキッチンを演出してみましょう。雑多なモノをなんでも隠してしまってどこに何を収納したのかうっかり忘れてしまうことがないように、収納したモノの場所をしっかり決めておくと安心です。
また逆に、お気に入りのボトルや瓶に中身を入れ替えたり、お気に入りの皿を並べたりして、統一感のあるキッチンアイテムに揃えて「見せる収納」にするのもステキです。
ただし、「見せる収納」の場合には、その場所の汚れやすさも考慮した方が良いでしょう。例えば、コンロ周りを「見せる収納」にすると、特に炒め物や揚げ物の頻度が高いと油で汚れやすくなるので、こまめなお手入れが必要になってしまいます。「隠す収納」と「見せる収納」、それぞれのメリット・デメリットを考慮しつつ、自分にあった収納を検討しましょう。
よく使うモノはセットでまとめる
弁当箱や箸ケース、カップやピック、抜型など弁当作りに必要なアイテムをまとめてケース等に収納しておくのがおすすめです。さっと取り出してすぐに戻せるので、毎日の弁当づくりもストレスがかからず、作業効率が上がります。
同様に、朝食や夕食時に必ず食卓に出す食材を1つのトレーにまとめて冷蔵庫で保管したり、お菓子作りの時に使うアイテムなどよく使うモノもセットでまとめておいたりすると便利です。
収納場所の特徴に合わせたポイント
キッチンの収納場所の特徴をつかめば、使いたいモノを見つけやすく、取り出しやすい収納をつくることができます。それぞれの特徴をみていきましょう。
引き出し収納
引き出しにキッチンアイテムを収納する場合は、引き出したときに「何が収納されているのか全部見渡せるように収納する」のが理想的です。手前から奥に向かって使用頻度が高い→低い順にアイテムを整理できると、より使いやすい収納を実現できます。
観音開き戸収納
シンクやコンロ下が観音開き戸になっている場合には、伸縮ラックを使って空間を上下に区切ると無駄なくスペースを使うことができます。スポンジや洗剤などのストックはアイテムの種類ごとにまとめ、カゴなどに入れて引き出して取り出すようにすれば、奥のほうに収納したモノも取り出せるので、使い忘れや同じものを購入することも防げます。
高い場所の収納スペース
キッチンの吊戸棚など高い場所の収納スペースには、取手付きの収納ボックスを利用しましょう。収納スペースに収めたモノをごっそり引き出せるので、収納したモノの存在を忘れてしまうことも防げます。
まだある収納スペース、扉裏・壁面
意外と見落としがちなのが、観音扉の裏側やシンクの壁面などのスペースです。メッシュパネルやフックなどを上手に使ってキッチンアイテムを吊り下げれば、まだまだ収納スペースとして使えます。キッチンが狭くてスペースがない場合などぜひ活用してみてください。
キッチンアイテム別の収納ポイント
キッチンアイテムごとにポイントを押さえれば、収納はそう難しくありません。それでは早速みていきましょう。
「気づいたら消費期限が切れていた!」をなくす
古い食材から消費できる仕組みをつくりましょう。食材は種類ごとにカゴにまとめて手前から奥に一列に並ぶように収納し、買ってきたばかりの新しい食材や賞味期限が一番長い食材が奥へ行くように並べて収納します。収納する時にほんのひと手間かけるだけで、食材の無駄を無くすことができます。
近年は防災の観点からも、日頃から口にしている食べ慣れた食材を少し多めにストックして古い食材から順次消費し、消費した分を買い足して補充する「ローリングストック」という備蓄法が推奨されています。ローリングストック法を実践する上でもすぐに役に立ちますので、ぜひ取り入れてみてください。
鍋やフライパンは重ねない工夫を
フライパンや鍋をシンク下の引き出しに収納する場合も、なるべく重ねずにファイルボックスなどを並べて使って立てて収納しましょう。使うとき、しまうときにも取り出すアクション数が減って使いやすさが格段にアップします。
食器を取り出しやすくする収納法
食器棚に食器を収納する場合、コの字ラックを使って皿が重なりすぎないようにしましょう。取り出す際に、取り出すアクション数が多いと面倒になってせっかくの食器も使われなくなってしまいます。種類の違う皿を重ねる場合は二種類程度にとどめておきましょう。
また、グラスなどを収納する場合、背の高いグラスを一番奥に、背の低いグラスを手前に横一列に並べがちですが、同じ種類のグラスを縦一列に並べて収納すると色々なグラスが使いやすくなります。
また、引き出しに収納する場合は、種類の違う食器をなるべく重ねないようにして一目見て何が入っているのかわかるように収納しましょう。深い引き出しに大皿等を収納する場合は、立てて収納できる溝つきのディッシュスタンドを活用すると簡単に出し入れできます。
調理器具の段ボール箱収納はNG
ホットプレートやガスコンロなどの調理器具を元々入っていた段ボール箱に入れて収納するのはNGです。出したりしまったりするときに手間がかかるので出番が少なくなる可能性もありますし、段ボールは水分を含みやすく、ゴキブリなどの害虫の住処になりやすいなど衛生面からもあまりおすすめできません。箱から出してキッチンの引き出しや棚に収納しましょう。
まとめ
形も種類も様々なキッチンアイテムを収納するには心理的ハードルも高くなりがちですが、コツをつかんでしまえば意外にもそう難しくはありません。キッチンの収納空間を四角く区切って、使う場所に使うモノを割り当てて、見合った収納用品に入れていくイメージです。
できるところからでもコツを取り入れて今日からキッチンを整えてみてください。キッチンが整うと、毎日の調理も楽しくなって家族の笑顔も増えますよ。
執筆者:有賀 照枝(整理収納コンサルタント・ハウスクリーニング技能士)
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