すまいの知識

住まいの温度差を減らして家族の健康を守る!

地球温暖化というと環境へのリスクを思い浮かべますが、省エネをがんばりすぎることによって実は思わぬ健康リスクが潜んでいることをご存知でしょうか。省エネや光熱費の節約を気にするあまり、冷暖房の使用を抑えるといった過度な我慢をしてしまうと、思わぬ健康被害へとつながってしまうことも...!
これでは、環境のためになっても家族の健康を守ることができません。

そこでくらひろ編集部では、健康と環境両方に良い住まいのあり方について様々なことに取り組んでいるLIXILに、家族の健康も地球環境も守るために何ができるのか、お話を伺ってきました。
住まいの温度差を減らして家族の健康を守る!

決して他人事ではない、地球温暖化の影響

決して他人事ではない、地球温暖化の影響
まずはじめに、地球温暖化がどのような問題なのか見ていきましょう。
地球の大気には二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガスが含まれています。温室効果ガスは赤外線を吸収する性質があり、この温室効果ガスが熱を宇宙に逃がしにくくすることで地球の平均気温を保ってくれているのです。
しかし、人々のくらしの営みが豊かになるにつれて二酸化炭素など温室効果ガスの排出量が増え、大気中の温室効果ガスが増えてしまいました。その結果、温室効果がこれまでより強くなり、地上の温度が上昇してしまいました。この現象を地球温暖化といいます。
そこで、温室効果ガスの排出を抑えるため、家庭でも過度な冷暖房の使用を控えるなど、省エネが必要と言われているのです。

参照:環境省 COOL CHOICE 地球温暖化の現状
参照:気象庁 地球温暖化 温室効果とは

地球のためを思っても、我慢のしすぎは良くない!?


前述のとおり、地球温暖化問題の解決のためには一人ひとりの省エネ行動が重要となってきます。しかし、省エネを考えるあまり冷暖房の使用を我慢しすぎてしまったら、健康面はどうなるのでしょうか。

LIXILの「THINK HEAT 考えようヒトと地球にやさしい温度」によると、近年夏はどんどん暑さが増しており、室内熱中症で搬送される人は年間約2.7万人にもなるそうです。室内といえど、冷房を我慢しすぎることで室内熱中症のリスクが高くなってしまいます。

また、暑くない冬場なら大丈夫かというとそうとも言い切れません。冬は暖房で温まった部屋とそうでない部屋との室温差が発生します。この室温差で血圧が乱高下し、心筋梗塞や脳卒中を起こすことをヒートショックといいます。この室温差が発生しやすい冬場の浴室で、ヒートショックが要因の一つである入浴中に亡くなられる人は、なんと年間約1.9万人にものぼるそうです。これは交通事故で亡くなられる方の4倍になります。
暑さ、寒さは体に大きな負担を与え、場合によっては命を脅かすことも…。では、私たちが我慢をしすぎずにできる省エネにはどんなことがあるのでしょうか。

参照:LIXIL「THINK HEAT 考えようヒトと地球にやさしい温度」

実験からわかった「住まいと健康」の関係

LIXILが慶應義塾大学の伊香賀研究室と行った興味深い実験結果があります。
住まいの断熱性能の違いによる快適さを体感できるLIXILのショールーム「住まいStudio」には、冬の外気温0℃を想定した空間に設置された昭和55年基準の「昔の家」、平成28年の省エネルギー基準を満たす「今の家」、さらに高い断熱グレードの住宅である「これからの家」の3つの断熱性能の異なる部屋があります。

そこで、被験者がそれぞれの家の「暖房のある居間」と「暖房のないトイレ」で50分間ずつ過ごし、ヒートショックのリスクにつながる血圧・心拍・皮膚温を調べる実験をおこないました。その結果、断熱性の低い「昔の家」に比べ、断熱性に優れた「これからの家」は、部屋間の温度差が6.8℃も少なく、暖かいリビングから寒いトイレに移動したときの身体への負担が小さいことがわかりました。併せて、「部屋間温度差が1.0℃違うと、血圧上昇量は0.7mmHg小さく、皮膚温度(足の甲)低下量は0.1℃小さい」ということもわかりました。
実験からわかった「住まいと健康」の関係

つまり、住まいの断熱性能を見直すことで、我慢をしすぎることなく省エネが達成でき、さらに健康リスクも減らすことができるそうです。

今ある住まいの室温差を減らすには?

今ある住まいの室温差を減らすには?
健康と地球温暖化対策の二つのバランスをとるため、現在各住宅メーカーが取り組んでいるものが「ZEH(ゼッチ=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」です。
このZEHでは、新築住宅の屋根や外壁に断熱性の高い素材や高断熱パネル、大きな開口部となる窓には高断熱サッシを使い、熱の出入りを遮断します。そして、エネルギーの消費効率のよいエアコンや給湯器を使うことで賢く省エネし、太陽光発電などでエネルギーをつくることも行います。これよって、消費エネルギーの収支をゼロにすることができるそうです。また、このZEHは消費エネルギーが少なく、家庭でエネルギーをつくることもできるので、台風や地震などの災害時に強い住宅とも言えそうです。

とはいえZEHは新築向けの取り組み。今ある住まいではどうしようもない…?と思った方もいらっしゃるかもしれません。
いえ、そんなことはありません!今ある住まいでも、リフォームによって部屋の温度差を小さく快適にすることで、人にも環境にも優しい住まいを目指すことができます。
では、室内の温度差を減らすためには、どのような方法があるのでしょうか。

断熱材で住まいを覆って、冬は暖かく夏は涼しく

今のお住まいで、部屋ごとに室温差があったり、床下からの冷えや隙間風などを感じる場所はありませんか?実は窓や玄関などの開口部や外壁からは、せっかく作りだした熱が逃げてしまっているのです。
そのため、住まいの室温差を少なくするためには、熱が逃げないような工夫が必要になります。
LIXILでは今ある住まいに断熱材をプラスし、住宅の断熱性能を上げる「高性能住宅工法」を提案しています。その中から2つのリフォーム方法を伺いました。

1.まるごと断熱リフォーム

「まるごと断熱リフォーム」は、文字通り家をまるごと断熱改修するリフォーム方法です。今ある住まいのまま、壁や天井、床までしっかりと断熱材で覆うので、家のどこにいても快適な空間が実現できそうです。
また、改修前の住宅の断熱性能を把握し、最適な断熱改修仕様を提案する「お住まい断熱診断」も提供されています。

2.ココエコ

まるごとのリフォームではなく、お家の北側の部屋だけ寒いからココだけどうにかしたい!という場合でも大丈夫。「ココエコ」という工法は部屋を内側からリフォームするもので、外気に面する壁や床は真空断熱材のパネル「ウォール インプラス」や「フロア インプラス」で覆い、窓には断熱だけでなく防音効果もある内窓を設置します。
これにより、室内各所の温度差が小さくなって、暖房やエアコンの効率もアップするそうです。今の住まいの内側から取り付けられるため住み続けながら短い工期でリフォームできるところや、部屋単位でのリフォームのため低予算でできるところは魅力ですね。

大きな開口部、窓やドアも断熱には重要

部屋を暖めてもなかなか暖かくならない、エアコンを入れても設定温度になった気がせず涼しくない、そう感じたことはありませんか?
実は、熱は窓やドアなどの開口部から出入りしています。冬に暖めた空気が開口部から逃げてしまう割合は家全体の58%を占め、夏に屋外の熱気が開口部から入ってくる割合は73%にものぼるそうです。快適な室温を保つためには、窓やドアの断熱性・遮熱性も重要ということになります。

参照:LIXIL「THINK HEAT 考えようヒトと地球にやさしい温度」

開け閉めする窓やドアが室温を逃がしてしまっていたとは盲点でした!
LIXILの「インプラス」という商品は、今ある住まいの窓に、部屋側から内窓を取り付けることができ、一戸建てやマンション・アパートなど建物の種類を問わずリフォームができるそうです。

また、ドアのリフォームなら、「リシェント玄関ドア」という商品もあります。今あるドアの枠の上から新しい枠を取り付ける工法で、最短1日でリフォームが終わるそうです。
こもりがちな玄関の空気を入れ換えできる網戸や電子錠つきで、さまざまなデザインから選ぶことができるとのこと。断熱・遮熱のほかにも、火災被害の軽減に役立つ防火戸も選べるそうです。

夏の遮熱は窓の外が大事!

熱中症を防ぐためには窓の断熱効果だけではなく、窓から入る熱を遮る「遮熱」も重要です。太陽光をカットすることで部屋の温度の上昇を抑えることができます。

シェード

窓の上部から布製の幕を下ろして日差しを遮る日よけです。一般的な複層ガラスの窓を例にした場合、カーテンだけでは太陽の熱を45%しかカットできないのに対し、シェードを窓の外に下ろすことで83%カットできるという試算もあります。冷房費の軽減にも効果的だそうです。

参照:環境省 COOLBIZ家庭編 快適に過ごすスタイルを見る

オーニング

陽射しを和らげ、不意の雨よけにも役立つオーニング。開口部の断熱は外からの直射日光を遮ることも効果的です。窓や外壁が直射日光で温まったままだと、室温がなかなか下がらず、エアコンを使いすぎてしまいます。
オーニングで直射日光を遮り、窓や外壁に熱を持たせないようにすることで、冷房効率アップが期待できるのだそうです。

参照:環境省 COOL CHOICE 「節約アドバイザーの和田由貴先生に聞きました!エアコンの電気代を抑えるポイントとは?/COOLBIZ|COOL CHOICE 未来のために、いま選ぼう。」

「断熱」と「遮熱」で室温を適切に保って、家族の健康を守りましょう!

「断熱」と「遮熱」で室温を適切に保って、家族の健康を守りましょう!
住まいの温度差を減らすために重要なのは、冬の断熱と夏の遮熱です。壁や天井、床などに断熱材を入れること、窓や玄関ドアを高断熱にすることで、部屋の快適さだけでなく、部屋で過ごす家族の健康を守ることにもつながります。

また、家の中の熱を外に逃がさない、あるいは外の熱を侵入させないことで、過度な冷暖房の使用を防ぐことができます。それはひいては温室効果ガスの排出を抑えることにもつながり、地球環境を守ることにもなるのです。
健康と環境、どちらにも良い住まいのあり方を追求し、さまざまなリフォームを手掛けるLIXILの今後の取り組みも気になりますね。

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