子育て

入学に向け、子ども部屋に悩む親御さんへ

小学校や中学校など入学を機に子ども部屋をつくる計画のある親御さんも多いのではないでしょうか?そんな方たちにとって、そろそろ気になる季節ですが、外出がしにくい昨今、情報が限られてくることと思います。ここでは子ども部屋をつくるにあたってのプロ目線の、具体的なノウハウをお伝えしたいと思います。

人生初めてのことであれば悩むのは当然です。それも、漠然としているなら尚更です。どんなことでも、ゴールが明確であれば、やみくもに悩む必要はなくなるでしょう。人生に何度もあることではありません。ノウハウを知り、ゴールを明確にし、せっかくならば、親子でご一緒に子ども部屋づくりを楽しみませんか。

執筆者

松田 芳枝
インテリアコーディネーター
インテリアサロンDecorte代表/椙山女学園大 非常勤講師

『豊かな暮らしを創造する』をモットーに東海3県を中心にインテリアコーディネーターとして25年以上活動。住宅や商業施設など幅広い分野を得意とする。他にも大学や専門学校でインテリア講師として授業を担当。後進の育成に励むほかに講演会にも登壇、メディア出演も多数。

まず、家具はどうする?

子ども部屋づくりのノウハウは多岐にわたりますが、まず、必要な家具を考えてみましょう。具体的にはデスクと椅子、本棚やベッドなどが挙げられるでしょう。すでにお持ちの場合もあると思いますが、ここでは新規に検討される方を対象に、それぞれ個別に見ていきましょう。

①デスクの基本

圧倒的に木製のタイプが人気です。成長に合わせ、天板の高さが上下できるものが良いでしょう。引き出しがあると便利です。もちろん、照明も重要です。手暗がりにならない位置と明るさを考慮しましょう。また、デスクの天板の幅については、両手を広げたくらいの寸法があると使いやすいでしょう。

他にも、本棚などの収納が一体になった造り付けタイプのデスクは、部屋の大きさと個々の希望にぴったり合うサイズになるので、ご予算が許せばベストの選択です。収納する物の寸法に合わせスペースを確保できれば、片付けるのもスムーズです。高い位置のものも、自動に昇降できる部材を使えば、難なく出し入れできるでしょう。これも造り付けなら可能です。

また、大げさなものでなく、単にカウンターだけでも、最低限のデスク機能はカバーできるでしょう。それにプラス、引き出しタイプのワゴンなどがあれば使いやすいはずです。複数の人数で使う時に、特に有効な方法です。ひとりだと学習が進まないお子さんには、特におすすめの方法と言えます。

②おすすめの椅子

成長とともに高さが変えられるのはもちろんのこと、長時間座っても疲れない、人間工学に基づいた椅子が良いでしょう。そのためにも「座位基準点」が重要で、可能な限り、実際に試し座りした後、購入したい家具です。

人気のある椅子は木製のキャスタータイプのものですが、お子さんの好みも可能なかぎり尊重し、勉強する時間を楽しいものにする工夫も大切です。

座位基準点とは?

椅子の機能寸法の基準となる点で、腰かけたときに左右の坐骨結節部の中央に相当します。簡単に言えば、お尻の左右を両手で押すと尖った骨に当たり、その左右の骨を結んだ直線のちょうど真ん中の点。すべての椅子はこの点を意識して作られています。

③本棚はどう?

教科書や本だけでなく、子ども部屋にはモノが多いものです。少なくとも、ランドセルやカバンなどを収納できる棚があると良いでしょう。低学年の間はまだまだおもちゃが必要なことも多いと思います。その場合は、「学習」で必要なものと、「遊び」で使うものの収納ゾーンを分けましょう。一般的には、成長するに従いモノも増えていくので、できる限り余裕をもった棚の大きさが望ましいです。

本棚についても木製のものがおすすめですが、カラーボックスで済ませている人も案外多く、成長とともに変化していくと思われるものは簡易的なもので代用するのも現実的でしょう。アドバイスとして付け加えると、よく使うものは取り出しやすい高さに収納し、重いものは下部に収納するのが人間工学の立場からも正しく、また無理がないでしょう。

④ベッドも重要

就寝だけは親や家族と一緒という場合もありますが、やはり個々で最適なベッドの硬さや好みがあるので充分に吟味する必要がある家具でしょう。ちなみに、一般的に柔らかいベッドは寝返りがしにくいため、疲れが取れにくいと言われています。

また、ベッドの脇にナイトテーブルがあればなお便利でしょう。その上に、テーブルランプなどがあると、夜中にトイレに行く場合にも過度な明るさで目覚めることもなく、また寝る前の読書にも使えます。部屋のメインの照明やエアコンのリモコンなどを置く場所があれば失くさずにすみますね。

壁紙の提案

壁紙は想像以上に効果的です。子ども部屋らしい壁紙が貼られているケースはもちろん問題ありません。壁はシンプルでも、カーテンで個性を発揮する方法も良いでしょう。

せっかく子ども部屋をつくる計画があるならば、個性的な壁紙を壁の一面だけでも使ってみると良いでしょう。アクセントウォールと呼ばれる、昨今人気の方法です。輸入壁紙にはユニークなものも多く、アニマル柄、極彩色のもの、キャラクターが描かれているものなど、子どもにしか使えない壁紙もたくさんあります。

また、職人さんにクロス張りを依頼することにハードルが高いと感じる方も、部屋の一面だけであれば自分でできるのではないでしょうか。最近は貼ったり、剥がしたりが容易なタイプの壁紙やクロス糊があるので、賃貸のお住まいでも安心です。剥がしやすいので、DIYが不得手であってもやり直しが簡単です。

その他のおすすめとしては、お絵かき可能な黒板の機能のある壁紙です。お子さんの絵の才能が思いがけず開花するかもしれませんし、他の壁を汚さないようルールを作り、その壁面で思う存分お絵かきを楽しむことができますね。(なお、チョークの粉に有害物質は含まれておりませんが、お子さんが日常的に吸うことの無いようにこまめな掃除は心掛けてください。)

それ以外にマスキングテープを使う方法もあります。等間隔にテープを貼り、ストライプ柄などを壁に表現するといった簡易的な装飾法もあります。お好きな柄のマスキングテープで気軽にできるのが魅力です。

また、さまざまな種類がある「ウォールステッカー」をワンポイントのアクセントにいかがでしょうか?ドアに貼るのも楽しそう。簡単に取り替えられるのも嬉しいですね。

最近の傾向

最近は子ども部屋を個別に設けるのではなく、ダイニングスペースやリビングスペースに子ども部屋機能をもたせるケースもしばしば見受けられます。ダイニングテーブルがデスク代わりになったり、リビングの片隅に書斎コーナーを設けたり、どこかに教科書などの収納スペースを確保しつつ、家族の顔が見える場所を子ども部屋にする選択肢もあります。さすがに高校生くらいになると無理があるかもしれませんが、必ず個室でなければいけないわけではないのも事実です。

また、リモート授業も視野に入れてネット環境を整えることも必須です。もちろん、電源などの準備もお忘れなく。

まとめ

理想の子ども部屋とは「気持ち良く、学習や遊びができる場を創造すること」だと考えます。そのためにも、「片付け」は重要です。ものが散乱していない状態は家庭内のケガを防ぐことにも繋がります。また、片付ける場所があって初めて部屋は片付きますので、部屋をつくる段階から「片付け」について考えておくことが大切です。

モデルルームと一般住宅の大きな違いは「余分な物があるかないか」です。子どもが片付ける習慣を身につけるチャンスだと思って、収納スペースまで含めた子ども部屋計画を行いましょう。

また、子どもと一緒に子ども部屋計画をおうち時間を楽しむ時間にしても良いでしょう。思いがけないお子さんの一面を知ったり、親子の絆が深まったりするかもしれません。子ども部屋計画を人生の「ハレ」のイベントにし、「困った時はプロに依頼すれば良いのだから」と心に余裕をもってぜひトライしてみてください。

執筆者:松田芳枝 (インテリアコーディネーター)

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