光とインテリアで整えよう 最高のテレワーク空間のつくりかた
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最高のテレワーク空間をつくるポイントは、インテリアにあります。インテリアは暮らしの土台として機能し、特に照明は明るさや色によって、疲れの原因となってしまうこともあるからです。デスクワークに適したインテリアの選び方や、オンライン会議で取り入れたいライトの使い方など、ここで取り上げる内容を、テレワーク空間を作るためのヒントにしてください。
光の刺激を和らげよう
白く明るすぎる光は刺激となり、ときに片頭痛などの体の不調につながることもあります。快適にテレワークを行うためには、まず、自分の周囲の光について意識しましょう。
1.低照度&低色温度の光を利用
光の刺激をやわらげるためには、部屋の明るさ(照度)と光の色(色温度)を低くすることがおすすめです。低い色温度の照明とは、白熱電球のようなオレンジ色に近い暖色系のライトです。調光調色機能付きのLEDシーリングライトなら、明るさだけではなく光の色も調整できます。
パソコンのモニターが発する光も、目に負担を与えるので、明るさを低くするように心がけましょう。モニターと周囲に明暗差があると、眼精疲労の原因となることもあります。なるべく明暗差が生じないように心がけ、明るすぎず、暗すぎないくらいに調整しましょう。
ちなみに、色のコントラストが強いインテリアも、刺激となる場合があります。床と壁、家具などを同系色にすると、やわらかなグラデーションが生まれ、やさしい印象になります。刺激を弱めるには、空間全体をベージュ系やナチュラル系の色でまとめるといいでしょう。
2.光は自分以外に向ける
オフィスのような広い空間と違い、自宅では照明との距離が近くなりがちです。デスクライトやスポットライトが自分に向き、ときどきでも目に光が直接入ってくるようなら、向きを変えた方がいいでしょう。なぜなら、近すぎる光は、刺激となり、目を疲れさせる原因になり得るからです。
たとえば、デスクライトなら、光が自分ではなく壁に当たるように向きを変えてみましょう。すると間接照明となり、刺激をやわらげることができます。壁や天井からのスポットライトも、向きを変えることで刺激を少なくすることができます。照明は自分以外の壁や天井に当て、一定の距離を保つように心がけましょう。
3.カフェの照明をお手本に
カフェで安らいだ気持ちになるのは、照明にオレンジ系の電球色が使用されていることも、理由のひとつといえます。一般的に、「くつろぐには温かみのある電球色の明かり」「集中するにはクールな白色系の明かり」と区別されることが多く、「勉強や仕事をする空間は、部屋全体を白い光で明るくする」と考えられています。
しかし、脳科学的には「リラックスと集中が共存する空間こそ、最もパフォーマンスを高める」といわれています。つまり、目が疲れない適度の明るさがあれば、電球色の明かりでも、リラックスして作業を行うことができるのです。「仕事→オフィス→白色系の明るい照明」という感覚は、テレワークにはフィットしない場合もあります。「カフェで仕事をすると効率がアップする」と感じている人は、カフェの照明をテレワーク空間のお手本にするのも一案です。
光を上手にコントロールしよう
ライトやインテリアを利用して、部屋や机を照らす光を調整することで、作業効率がアップすることもあります。ここに紹介する項目を参考にしてください。
1.間接照明のメリット
間接照明には「光源を直接見ることがなく、まぶしさを感じにくい」「空間全体に光のムラをつくらず、均一に照らす」「手元の影をつくりにくい」などのメリットがあります。先述したように、ライトを壁や天井に向けるだけでも、間接照明になります。また、テープ状に加工されたLEDテープライトを、棚やキャビネットの背面に貼り付けて、部屋をやわらかく照らす方法もあります。
ちなみに、ひとつの空間に白色系とオレンジ系の光が混在すると、落ち着かない雰囲気になってしまうので注意しましょう。光の刺激をやわらげるためには、色の差によって生じる光のムラをなくすことも、気をつけたいポイントです。
2.リモートライトの使い方
オンラインミーティングなどモニターを通じた対話に限っては、リモートライトで顔を照らすことで、カメラ映りを良くすることができます。リモートライトは、照度が高く距離が近いほど効果を発揮しますが、比例して光の刺激も大きくなることを覚えておきましょう。使い方のポイントは、大きく3つあります。
(1)刺激と感じない程度に離して照度を抑える。
リモートライトから顔までは、40cm程度を目安に距離を保ちましょう。また、目がつらくならない程度に光を調整しましょう。
(2)光色は中間色か電球色を選ぶ。
昼光色のような白い光は、顔を白く明るく見せる効果がありますが、刺激が強すぎることもあります。刺激を避けるなら、温かみのある色を選びましょう。
(3)デスク面をレフ板(反射板)にして明るさを補う。
正面からの光は表情をのっぺりとさせ、上からの光はまつ毛などが顔に影を落とすので、おすすめできません。デスクに向いた照り返しの光が下から顔に当たるようにすれば、プロカメラマンが利用するレフ板のような効果が期待でき、表情に立体感を出すことができます。デスクの色が濃いブラウンなどの場合は、白い布や紙を置くだけでも効果が期待できます。
インテリアを見直そう
テレワークが推奨される中で、自宅で過ごす時間が長くなったという人も多いことでしょう。自宅で仕事とプライベートを両立させつつ、健やかに過ごすコツを紹介します。
1.椅子と机の差尺を意識
デスクワークで正しい姿勢を保つためには、机と椅子の「差尺(さじゃく)」を意識することが大切です。差尺とは、机の天板と椅子の座面までの、高さの差のことです。差尺が小さすぎる(椅子と机の間が狭い)と、足回りがきゅうくつで前かがみの姿勢になりやすく、大きすぎる(椅子と机の間が離れている)と、肩から机が近くなり、肩が常に持ち上がった状態になるため、肩こりの原因となることがあります。
パソコン作業をする際の理想的な差尺は、「身長(cm)×0.55÷3(小数点以下は四捨五入)」から「2〜3cmを引く」ことで求めることができます。身長が170cmであれば、「170×0.55÷3=31.16(四捨五入して31)」「31-2〜3=28〜29」で「28〜29cm」となります。高さの調節できない椅子なら、ホームセンターやECサイトで「延長脚」を購入したり、座布団やクッションを利用したりして、差尺を調整しましょう。
加えて、座っている際に足裏が床についていないと、疲れの原因となることがあります。椅子の高さは、足裏を床につけて膝が直角に曲がるくらいが理想的です。場合によっては、足置きなどを使って調整しましょう。
2.ナチュラルなベージュは万能色
筋肉は光の色によって影響を受けることがわっていて、最も緊張する色は赤で、最も弛緩する色はベージュといわれています。ベージュは大地や樹木など自然を代表する色のひとつであり、ベージュが身近にあることで、人は自然にリラックスすることができると考えられます。
先述したように、脳科学的には「リラックスと集中が共存する空間こそ、最もパフォーマンスを高める」といわれているので、ワークスペースはベージュを基本に、脳を活性化して思考能力を高めるとされる青のアイテムを加えてみるのも一案です。ワークスペースとプライベート空間が同じ部屋の場合でも、ベージュは万能色なので、どちらにも対応できます。
3.緑視率を意識して集中力アップ
副交感神経が働くとリラックスした状態になり、集中力のアップにつながります。なかでもワークスペースにおすすめなのは、観葉植物や多肉植物などのインテリアグリーンです。インテリアグリーンを置くことで室内にみずみずしさも加わり、癒しを与えます。
さらに、近年注目されているのが、インテリアグリーンによって得られる「緑視率」です。緑視率とは、視界に占める緑(植物)の割合のことで、建物や街、オフィス空間づくりの指標として用いられているものです。ある研究によると、視界に適度な量の緑を入れると仕事のパフォーマンスを向上させる効果も期待できるとのことなので、テレワーク空間に積極的に取り入れましょう。
インテリアグリーンをレイアウトする際は、デスクに座った位置から緑視率を意識して配置します。窓から庭木や街路樹などが見えるなら、デスクを窓向きにするのもいいでしょう。室内と室外のグリーンを上手に使って、いつも視界に緑がある空間がつくれれば最高です。
まとめ
光とインテリアを意識することで、快適なテレワーク空間をつくることができます。照明は、光の刺激をやわらげるために、部屋の明るさ(照度)と光の色(色温度)を低くするのがおすすめです。光の色は、白熱電球のようなオレンジ色に近い暖色系を選ぶことで、リラックス効果を得ることができます。
さらに、インテリアは、椅子と机の高さを意識して、自分に合った差尺に調整しましょう。部屋の色はナチュラルなベージュをベースにしつつ、インテリアグリーンを上手に配置することで、リラックスと集中が共存する理想的なテレワーク空間を作ることができます。
書籍紹介:『光とインテリアで整う 最高のテレワーク空間』(尾田恵著/実業之日本社)2021年10月出版
出版社書籍紹介:『光とインテリアで整う 最高のテレワーク空間』(尾田恵著/実業之日本社)2021年10月出版
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