バスタイムにイノベーションを! 泡を浴びる「KINUAMI U」が新たな入浴スタイルになる?
プロダクトイノベーションから生まれた製品は、これまでのくらしをもっと豊かに、快適にする可能性を秘めています。当たり前を覆すような発想とはどんなものがあるのかワクワクしますね!今回くらひろ編集部では、プロダクトイノベーションで新たなスタンダードを目指すLIXILにお話を伺いました。
クラウドファンディングで生まれた「新しい入浴体験」
今回お話を伺った製品は「KINUAMI U(絹浴み [結])」です。
「KINUAMI U」は、2019年にLIXILが子会社のNITTO CERAとともにMakuakeにてクラウドファンディングを募り、成功させた前作モデル「KINUAMI」の改良モデルで、2021年3月30日から同じくMakuakeで開発支援を募って完成させたプロジェクトだそうです。
コロナ禍でおうち時間が増えて、日常のくらしのなかに癒しや幸せを求める気運が高まっているなか、満を持して発表された「KINUAMI U」。一体どんな製品なのでしょうか。
いつものバスタイムが、極上のリラックス体験に変わる!
これまでは自宅でお風呂に入るといえば、湯船に浸かる「浴槽浴」か、シャワーでお湯を浴びる「シャワー浴」のほぼ2択でしたが、「KINUAMI U」が提案するのは、温かな泡をシャワーで大量に浴びる「泡浴」。お湯ではなく「泡」を浴びるという全く新しい発想に驚きですね。
人の手では立てられないきめ細かな泡が心地よい温かさで放出されて、たちまち全身を包み込む。これまでにない新発想の入浴スタイルは、毎日のバスタイムを少し特別で幸せな時間にしてくれそうです。
操作が簡単! 泡浴がもたらす、家族全員の癒しのひととき
「KINUAMI U」最大の特長といえば、シャワーヘッドから勢いよく放出されるきめ細かな大量の温かい泡。この泡を作るために採用されたのは、なんと消防車や消火機器に使われている泡生成技術。本体に内蔵された小型コンプレッサーが、空気と専用ボディソープをお湯に混合させて濃密泡を作り出します。「KINUAMI U」は防災機器メーカーの持つ特殊なノウハウと、LIXILの持つバスルームの知見が融合することで実現した画期的な製品なのだそう。
操作はごく簡単で、泡モードとシャワーモードの切り替えは、本体に付いているハンドルの上げ下げだけ。
身体を洗い流すときはハンドルを上げてお湯に戻します。つまみをひねって切り替える前作と比べて扱いやすく、子どもからお年寄りまでだれでも簡単に泡浴が楽しめるようになったそうです。
全身保湿が必要な方や、肌トラブルに悩む方にこそ勧めたい泡浴
泡洗浄は市販のボディソープにも浸透しつつありますが「KINUAMI U」のシャワーヘッドから吐出される泡はこれまで見たことがないほどの高密度。手で泡立てた泡(写真左)と比べると「KINUAMI U」の泡のきめ細かさがよくわかります。
この泡はシャワーで放出された後もすぐに消えることはなく、まるで肌に吸い付くように全身に密着してくれます。全身を泡で包み込んだ後は、そのまま泡を滑らせるようになで洗いするのがおすすめだそうです。ブラシやタオルでこする必要がないため、肌への負担がごく軽く、専用ボディソープには保湿成分も配合しているので肌トラブルに悩まされている方からも好評とのこと。
子どもからお年寄りまで、みんなの入浴タイムを幸せな時間に
「KINUAMI U」は入浴介助にもおすすめ。密度が高く温かい泡は保温性に優れるので洗身中の体温低下を軽減してくれる上、白い泡で全身を包み込むことで、”洗身中に肌を見られる”という心理的抵抗感を抑えながら入浴介助できるというメリットもあります。手が届きづらい背中などもたっぷりの泡でしっかり洗えるので、身体が動かしにくい、痛みのあるといった方も、泡浴ならば入浴のハードルが下がります。これはケアをする方もされる方も嬉しいメリットですね。
また、全身泡だらけの入浴は、子どもにはたまらない体験!お風呂をぐずっていた子も、率先してお風呂に入りたがるという効果もあるようです。
さらに子どもをお風呂にいれることでついつい自分は後回しになりがちなご両親も、たっぷりの泡で身体が包まれ、温かく楽しい入浴タイムに。
このように「KINUAMI U」は家族全員を幸せにしてくれるアイテムなのです。
クラウドファンディングで、ニッチなニーズをくみ取りすばやく製品化
前作の「KINUAMI」から開発に携わるプロジェクトリーダーの平田知明輝さんに、今回の大きな改善点を聞きました。
「いままでは浴室外に別置きだったコンプレッサーを今回は独自開発により小型化し、本体ユニットに内蔵しました。また、バッテリー方式なので電源工事も必要ありませんし、日本の多くの家庭でご使用いただいているユニットバスならば壁面が鋼板であることが多いので、背面のマグネットで壁にぴたっと取り付けるだけで誰でも簡単に設置できます。これらの改善により、前作では取り付けに30分以上かかっていましたが、今回は5分程度で設置できるようになりました。防水規格も満たしているので、水がかかっても安心です」。
この「KINUAMI U」はクラウドファンディングを使って製品開発されているとのこと。その狙いを聞いてみました。
「機能面やデザイン面、安全面、環境面に優れた多くの製品が出そろう昨今、クラウドファンディングを通じての製品開発には非常に手応えがありました。スモールロットで市場のニーズを探りながら製品を開発することができますし、使用された方からのコメントや要望を素早く取り入れることができます。クラウドファンディングで支援してくださる方は、製品に強い興味と期待をお持ちであることが多いため、不満や要望を細かく伝えてくれます。予想以上の情熱に驚きましたが、貴重な意見で大変ありがたかったですね。我々の励みにもなりましたし、ユーザーの皆さんと一緒に製品を作っているような一体感もありました。
すでに便利な製品は十分に揃い、一見飽和状態に見える市場ですが、まだまだ可能性はいっぱい転がっていると思っています。まだ形にならない不満や不安の芽を見つけ、そこに長年培ってきた我々の技術と経験を組み合わせ、人々の生活や心を豊かにする製品をつくる。その製品は生活習慣そのものをチェンジするようなものになるかもしれません。そんなことを夢見て、我々は日々開発に取り組んでいます」。
まとめ
「この泡浴が、浴槽浴、シャワー浴とならんで、第3の入浴スタイルになって、10年後あたりには当たり前になっているといいですね」と話す平田さん。「KIMUAMI U」が家庭や介護施設などに浸透し、「お風呂に入ろう」ではなく「泡を浴びよう」という会話が当たり前になる日は、そう遠くはないかもしれません。
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