省エネ・節電

換気扇はつけっぱなしでも大丈夫?メリットや電気代の節約法も解説

料理中の換気やお風呂やトイレの空気の入れ替えに役立つ換気扇ですが、湿気やカビ予防のために、普段からできるだけ長くつけておきたい方も多いかと思います。

しかし、中には「換気扇はつけっぱなしにしても大丈夫?」「危険性や電気代が気になる」という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、換気扇をつけっぱなしにすることで得られるメリットや危険性、電気代について解説します。

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換気扇はつけっぱなしでも問題ない

換気扇は、つけっぱなしにしても故障や火事のリスクは低いです。また、換気扇をつけっぱなしにすることで、カビの発生を防いで家の劣化防止につながるため、メリットは大きいと言えます。

故障の心配は少ない

換気扇は、適切に設置され定期的にメンテナンスしていれば、つけっぱなしにしても故障の心配は少ないとされています。

ただし、長時間連続稼働により、部品の摩耗や劣化は少なからず進みます。通常10~15年の寿命とされている換気扇ですが、つけっぱなしにすることで2~3年程度短くなる可能性も考えられます。

火事につながる危険性は小さい

換気扇をつけっぱなしにしても、それが直接火事の原因に結び付く可能性は低いです。ただし、換気扇にホコリやゴミがたまっている場合や、換気扇から異音や異臭がする場合は注意が必要です。

ホコリやゴミが溜まっているところにファンやモーターの不具合で過熱が引き起こされると、引火して火災の原因になる可能性があります。そのため、換気扇は定期的な掃除を怠らないようにしましょう。

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換気扇を24時間つけても電気代は1.5~15円ほど

換気扇の稼働にはそれほど電力を使用しないため、1日つけっぱなしでも電気代はあまりかかりません。

設置場所や機種にもよりますが、換気扇を動かすために必要となる消費電力は、1時間あたり2~20W程度です。これを電気料金目安単価[1]で計算すると、24時間で1.5~15円程度となります。

ほかの電化製品と比べると安いため、つけっぱなしにしても電気代がかさむ心配はほとんどないと言えるでしょう。

【場所別】換気扇つけっぱなしの電気代

一般的な換気扇の設置場所ごとに、換気扇をつけっぱなしにした場合の電気代の目安をご紹介します。24時間換気扇をつけっぱなしにした場合の1日あたりの電気代は、以下の計算式で求めます。

消費電力(kW)×電気料金単価(円/kWh)×24(時間)=1日あたりの電気代(円)

なお、電気料金単価は2024年8月時点での目安単価、31円/kWh(税込)を基準として計算します[1]

ここからは、換気扇の設置場所ごとに1日の電気代の目安をご紹介します。

お風呂の換気扇:1日約14円

お風呂の換気扇の「24時間連続換気モード」での消費電力は19W程度です(※)。そのため、24時間連続換気モードで換気扇をつけっぱなしにする場合、24時間での電気代は約14円となります。

計算式に当てはめると、以下のようになります。

電気代:0.019(kW)×31(円/kWh)×24(時間)=14.1(円)

お風呂は特に湿気がこもりやすいため、換気扇をつけっぱなしにしておいた方がいい場所といえます。

※:パナソニック「家庭用バス換気乾燥機 FY-13UG5V」の「24時間連続換気」運転での消費電力(静圧0Pa時、電源周波数50Hzの場合)。

お風呂の換気扇

トイレの換気扇:1日約2円

トイレの換気扇は、お風呂やキッチンの換気扇と比べて小型の「パイプファン」を使用していることが多いため、消費電力も2.1W程度と低めです(※)。そのため、トイレに設置されている換気扇の電気代は、24時間つけっぱなしにした場合でも約2円で、非常に安いと言えそうです。

計算式に当てはめると、以下のようになります。

電気代:0.0021(kW)×31(円/kWh)×24(時間)=1.6(円)

トイレは嫌な臭いがこもりやすいため、換気扇をつけっぱなしにしておくのがおすすめです。

※:パナソニック「パイプファン FY-08PDE9D」の消費電力(静圧0Pa時、電源周波数50Hzの場合)。

キッチンの換気扇:1日約37円

料理の際の湯気や臭いを残さないため、キッチンではトイレやお風呂よりも大型で強力な「レンジフード」タイプの換気扇が多く使用されています。そのため、消費電力は風量を「弱」にしても49W程度と高めです(※1)。

キッチンの換気扇を24時間つけっぱなしにした場合の電気代は、約37円となります。計算式に当てはめると以下のようになります。

電気代(弱):0.049(kW)×31(円/kWh)×24(時間)=36.5(円)

ただし、キッチンの換気扇は主に料理中や料理後に使用することが想定されているため、24時間つけっぱなしにするケースは稀です。実際には、電気代も上記ほどかからない場合が多いでしょう。

ちなみに、24時間つけっぱなしにすることを想定して、レンジフードの機種によっては「常時運転」のモードが搭載されていることもあります。消費電力は16.5W程度(※2)のため、24時間つけっぱなしにしても12円程度に収まります。

電気代(常時):0.0165(kW)×31(円/kWh)×24(時間)=12.3(円)

※1:パナソニック「家庭用スマートスクエアフード FY-6HGC5」で「弱」で運転したときの消費電力(静圧0Pa時、電源周波数50Hzの場合)。
※2:同機種で「常時」モードで運転した場合の消費電力(静圧0Pa時、電源周波数50Hzの場合)。

キッチンの換気扇

換気扇をつけっぱなしにするメリット

換気扇をつけっぱなしにすると少なからず電気代がかかりますが、さまざまな効果が見込めます。ここでは、換気扇をつけっぱなしにするメリットをご紹介します。

嫌な臭いや壁の汚れを防止できる

換気には、部屋に嫌な臭いがこもったり壁に汚れがついたりするのを防ぐ効果があります。換気扇を回しっぱなしにしておけば、常に新しい空気が循環するため、部屋に嫌な臭いがこもることがありません。

キッチンの換気扇は、料理中に出る煙で壁が汚れるのを防いだり、料理の匂いが部屋に残らないようにしたりする効果が期待できます。臭いが気になってから換気扇を回すと空気が入れ替わるのに時間を要するため、料理中はつけっぱなしにしておくのがおすすめです。

ゴキブリが家に侵入しづらくなる

換気扇はゴキブリが侵入する経路になりやすいため、常につけっぱなしにしておくことで室内に入り込みにくい環境が作り出せます。

また、ゴキブリは湿気が高く暖かい場所を好む傾向にありますが、換気扇をつけっぱなしにしておくことで湿度が抑えられます。ゴキブリにとって好ましくない環境を作ることで、ゴキブリの侵入を未然に防ぐ効果も期待できるでしょう。

カビや結露の発生を抑制できる

換気扇をつけっぱなしにしておくことで、湿気による結露やカビの発生を抑えられます。特に、湿気が多いお風呂では必須と言えるでしょう。

キッチンの大きなレンジフードからは、臭いとともに室内にこもった湿気も排出できるため、窓の結露やカーテンのカビ防止にも効果的です。

家の傷みを遅らせることができる

換気扇をつけっぱなしにしておくことで、結果として住宅自体の寿命を延ばすことにつながります。特に、日本に多い木造住宅の場合には、湿気が骨組みである木材へ悪影響をおよぼすおそれがあります。

湿気により柱や基礎部分が傷めば、シロアリ発生の原因になるため注意が必要です。換気扇によって屋内の湿気が外に排出されれば、木材へのダメージが軽減され、住宅の延命につながるでしょう。

キッチンのレンジフード

換気扇をつけっぱなしにするデメリット

換気扇をつけっぱなしにすると、多くのメリットが見込めますが、少なからずデメリットもあります。ここでは、換気扇をつけっぱなしにするデメリットをご紹介します。

音が気になる可能性がある

換気扇をつけっぱなしにすると、常にファンが回転しているため、音が気になったりストレスを感じてしまったりするかもしれません。

特にキッチンの換気扇は大型のため音も大きく、テレビの音や会話の邪魔になってしまうこともあります。静かな環境を求める方には、大きなデメリットとなるでしょう。

お手入れ・掃除の回数が増える

換気扇は使えば使うほどホコリや油で汚れやすくなるため、つけっぱなしにするとお手入れや掃除の回数が増えます。さらに、換気扇の使用が増えると、換気口(給気口)のフィルターも汚れていきます。

換気扇や換気口が汚れたままでは換気の効率が悪くなり、故障の原因にもなってしまうため、どちらも定期的な掃除が重要です。

特に換気扇は高い位置に設置されていることが多いので、お手入れも重労働となります。掃除の頻度が増えることは、デメリットに感じてしまうかもしれません。

換気扇つけっぱなし時の電気代節約方法

換気扇は少しの工夫で電気代を節約できます。ここでは、換気扇をつけっぱなしにしながら、できるだけ電気代を節約する方法をご紹介します。

換気扇の汚れを定期的に落とす

換気扇を掃除すると、電気代の節約につながります。

換気扇が汚れると、空気を吸い込む力が弱くなり、換気効率が悪くなってしまいます。その分換気に時間がかかり、消費電力が増えることで電気代がかさむおそれがあるため、定期的に掃除をしましょう。

特に、キッチンの換気扇は料理の油が付着しやすいため、汚れの度合いに応じて3~6カ月に1度の掃除が推奨されています。換気扇を掃除する際は、作業中に誤って作動してしまわないように、事前にコンセントプラグを抜いておくと安心です。

取り外せないカバーは、スプレータイプのキッチン用洗剤を直接スプレーして汚れを浮かせてから柔らかい布で拭き上げましょう。自力で落とすのが難しい場合は、無理せず専門業者に依頼してください。

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換気扇の近くの窓やドアは閉める

換気扇を使用するときは、近くの窓やドアを閉めておくと換気効率が向上し、経済的です。

換気扇の近くの窓やドアを開けていると、窓やドアから入った空気が最短距離で換気扇に吸い込まれてしまい、部屋の空気の入れ替わりがほとんど行われません。開けておく場合には、換気扇からなるべく遠い位置にある窓やドアを開けることで、部屋全体の空気の入れ替わりが促されます。

同様に、浴室の換気扇を使用する際も、近くに窓がある場合は閉めておくのがおすすめです。ただし、浴室は密閉度が高く、空気の入口となる隙間がほとんど無いため、浴室のドアの開け閉めはドアのタイプに合わせて判断しましょう。

浴室のドアに「ガラリ」と呼ばれるスリット(細い隙間)がある場合には、ガラリが空気の入口の役割を果たします。効率的な換気を補助してくれるため、ガラリのあるドアではドアを閉めて換気すると良いでしょう。

一方、ガラリの無いドアの場合は、空気の入口ができるようにドアを数センチだけ開けておいた方が換気効率は向上します。ドアを全開にしていると、湿気が浴室の外に広まってしまうため、注意しましょう。

浴室のドア

エアコン併用時の設定は「弱」にする

エアコン使用時には、部屋の空気の入れ替わりが起こりません。空気の汚れやニオイが部屋に充満するのを防ぐため、1時間に5~10分程度を目安に換気することが推奨されています。その際、エアコンはつけっぱなしにしたまま、換気扇を短時間のみ使用すると、効率よく換気できます。

このとき気を付けたいのが、エアコンと併用する際は換気扇の設定を「弱」にすることです。「強」設定では外気が多く取り込まれるため、室温が急激に変化するおそれがあります。すると、エアコンは快適な室温に戻そうと出力を上げるため、結果的に消費電力量が増えてしまいます。

そこで、エアコンと併用する際には、換気扇を「弱」にしておくのがおすすめです。室温の急激な変化を防ぐことで、エアコンの効率を比較的下げずに済むでしょう。

劣化した換気扇は交換する

使用中の換気扇が古く、劣化が進んでいる場合は、交換することで消費電力が抑えられる可能性があります。換気扇にも寿命があり、定期的にメンテナンスをしていたとしても、使用すればするほど部品の劣化は進んでしまいます。

電化製品は、新しい機種ほど高性能なため、交換することで換気効率が上がる可能性は十分あります。換気扇の法定耐用年数は15年とされているため、換気扇の設置から15年以上経っている場合は買い換えを検討しましょう。

レンジフードの画像

まとめ

換気扇をつけっぱなしにしても故障のリスクは少なく、電気代もそれほど高くはなりません。むしろ、メリットも多いため、換気扇はつけっぱなしにしておくのがおすすめです。

また、換気扇をつけずにおくと、湿気により家に傷みが生じやすくなり、莫大な修繕費用がかかるおそれがあります。換気扇で湿気対策を行い、家の寿命を延ばしましょう。

どうしても換気扇のつけっぱなしによる電気代が気になるときは、定期的な掃除や窓・ドアを適切に開け閉めすることなどで換気効率を上げると、電気代の節約につながります。

  1. 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会
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