カビを予防するにはどうしたらいいの? 発生原因から対策まで完全解説
カビは健康被害にもつながる危険性がありますので、シーズンを迎える前に今から対策をしておきたいところ。カビが発生する原因と種類、対策を正しく知って、しっかり予防しておきましょう。
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梅雨時期は気温も湿度も高くなり、カビが発生しないか心配な季節。カビは一般的なウイルスや細菌と比べて生きる期間が長く、数カ月〜数年は死滅しないとも言われています。
一度発生してしまうと厄介なカビ。事前に対策をして、発生しないように予防をしておきたいですね。今回は、カビが発生する原因や種類、発生しやすい場所や対策をご紹介。正しく理解して、食品や住宅をカビから守りましょう。
カビはどうして発生するの?
食品や衣類、住宅などに発生し私たちの頭を悩ませるカビ。梅雨の時期は特に注意したいですよね。カビはどうして発生するのか、どんな害があるのかなど、まずは正しく理解していきましょう。
カビの発生源と構造、生えやすい時期
カビの多くは湿った土壌の中で発生しているのだそうです。土壌に発生したカビは風に乗って飛び、空中に広がっていきます。そのカビが、着ている服などに付着して家の中にも持ち込まれます。
カビの形は丸いものや細長いものなどさまざま。植物の種のような胞子と、枝のように伸びる菌糸でできています。カビは1,000分の3〜10mmの大きさしかありませんが、菌糸はどこまでも伸ばすことができ、地球上最大の生物になる潜在能力を秘めているようです。
日本では特に梅雨時期にカビが発生しやすくなります。それに加えて近年は住宅の高気密化や温暖化の影響から、秋雨の時期や、結露しやすい冬にもカビが発生しやすくなっていると言われています。
どういう条件で発生するの?
カビが生えるためには、空気と水分があることが大前提ですが、そのほかに湿度、温度、養分にも条件があります。まず湿度について、カビは湿度70%以上で生えはじめ、特に梅雨時期に発生するカビは、湿度90%以上で急速に生えてきます。
温度については20°Cが最もカビが生えやすい温度。10°C前後でもゆっくりと生えてきます。冷凍では生えることはありませんが、死滅もせず生き続けるといいます。そして、カビには養分も必要。糖質を好むため食品に発生しやすいですが、皮革、金属、樹脂なども養分になるため、あらゆる場所に発生し厄介です。
いつまで生き続ける?
カビはいつまで生き続けるのでしょうか。ウイルスや細菌などは数日〜数週間で死滅するものがほとんどだと言われていますが、カビは生命力が強く数カ月〜数年も生きるのだそう。発生する場所や素材によって生きられる期間が変わるのだそうです。
カビによる健康被害
一部のカビは真菌感染症を引き起こしたり、肺に感染したりすることがあります。ですが全てのカビがそうというわけではなく、正しい情報を理解することが大切。カビの生えたものを食べてしまった、住宅にカビが生えたなどで体調が心配な時は、まず病院で受診するようにしましょう。
身近なカビの種類と特徴
カビは、見た目の色に合わせて俗称が付けられています。例えば、黒いものはクロカビ、青いものはアオカビ、赤いものはアカカビと呼ばれています。また、麹で使われるコウジカビ、土壌に多いツチアオカビなどがあります。
中でも私たちの生活に身近なカビは、主に「クロカビ」「アオカビ」「コウジカビ」「好乾性カビ」の4種。それぞれの特徴や発生しやすい場所などについてご紹介します。
クロカビ
クロカビは湿度90%以上で発生しやすく、浴室、台所、洗濯槽などの水回りや結露、食品などを好むカビです。クロカビが生えたところは変色するという害があります。
クロカビを防ぐには、60°C以上の温湯やエタノール、塩素剤を使った消毒、市販の防カビ剤、乾燥などが有効です。
アオカビ
アオカビは湿度80〜95%、温度20°C代で発生しやすく、乾湿を繰り返す場所や物を好みます。発生しやすい場所は押し入れ、床下収納、空調機フィルターなど。そのほかホコリや皮革製品、食品などにも発生します。発生すると臭気が強くなる場合があり、たくさん吸い込んでしまうとアレルギーを引き起こすおそれがあります。
アオカビを防ぐには、60°C以上の温湯やエタノール、塩素剤を使った消毒、紫外線に当てる、市販の防カビ剤、乾燥、空調機フィルターの除カビなどが有効です。
コウジカビ
コウジカビは湿度80〜95%、温度30°C代で発生しやすく、やや乾いた場所や物を好みます。発生しやすい場所は押し入れ。そのほかホコリや穀類系食品、輸入食品、繊維製品、電気製品、樹脂などにも発生します。たくさん吸い込んでしまうとアレルギーを引き起こすおそれがあります。
コウジカビを防ぐには、熱湯やエタノール、塩素剤を使った消毒、市販の防カビ剤、乾燥、空調機フィルターの除カビなどが有効です。
好乾性カビ
好乾性カビはカワキコウジカビやアズキイロカビなどの種類があり、湿度70〜90%、温度20°C代で発生しやすく、やや乾いた場所や甘い物を好みます。皮革製品や衣類、ホコリ、穀類系食品、甘味食品に発生しやすいカビです。
好乾性カビを防ぐには、熱湯や塩素剤を使った消毒、市販の防カビ剤、乾燥、空調機フィルターの除カビなどが有効。エタノールの効果が弱いのが特徴です。
カビ対策の大原則
一度発生してしまうと厄介なカビ。生えてくる前に対策をしておきたいですよね。カビ対策のための3つの大原則をご紹介します。
定期的に掃除をする
まずは定期的に掃除をすることが大切です。ホコリに発生しやすいカビもありますので、家の中にカビを溜めないよう、掃除をしましょう。掃除の基本は、高いところから低いところへ向かって進めていくこと。水拭きの必要があるときはしっかりと絞った雑巾を使い、すぐに乾拭きするようにすると良いでしょう。
換気して室内の空気をきれいに保つ
定期的に掃除をすれば室内の空気もきれいになりますが、外から入ってくるカビやホコリを溜めないためにも、窓を開けて空気の入れ替えをしたり、空気清浄機を使ったりするなどして、室内の空気をきれいに保つようにしましょう。
湿度を管理する
カビが発生する条件となるのが、湿度と温度。特に湿度については注意したいですね。窓やドアを開けて換気をするほか、エアコンの除湿機能や除湿器を活用するなどしましょう。そのほか、クローゼットでは除湿剤やすのこを使う、お風呂を使った後は換気をするなど、湿気が溜まりやすい場所はそれぞれ対策をするようにしましょう。
参考サイト:文部科学省「カビ対策マニュアル 実践編」
食品・住宅・衣類のカビを防ぐための対策
掃除と換気、湿度の管理がカビ対策の大原則です。それでは、食品、住宅、衣類ではそれぞれどのように対策をしたら良いのか、ご紹介します。
食品のカビを防ぐには
ほとんどの食品でカビによる被害の危険性があり、間違えて食べてしまえば健康被害も気になります。食品は多量の一括購入、冷蔵庫での収容量の多さ、長期買い置きでカビが発生しやすくなります。
食品のカビ対策
・カビの生えやすいものを知り、生えやすいものはなるべく早く消費する。
・長期保存できるものや乾燥食品は正しく保管する。
・冷蔵庫に詰めすぎない。
・土のついたものはできるだけ払う。
・液体は漏れないようにする。
・一度開封したものは早めに食べる。
・冷凍庫から出したら早く消費する。
・買い置き忘れをしない。
・汚れた手で触らない。
以上を意識するようにしましょう。
(独立行政法人 国民生活センター「消費者問題アラカルト」カビ対策10カ条より引用)
住宅のカビを防ぐには
住宅の中ではあらゆる場所でカビが発生する心配があります。最も多いのが浴室で、後は台所、クローゼットや押し入れ、玄関、浴室など。梅雨時期はもちろん、冬の結露などでもカビが発生します。
住宅のカビ対策
・濡れた場所を乾燥させる。
・通気、換気をする。
・室内に空気の流れをつくる。
・掃除をする。
・日に当てる。
・室内で湿度の高い場所を知る。
・カビの生えやすい場所を知り、頻繁に掃除する。
・什器の裏や下のホコリを取り除く。
・物を整理して詰めすぎない。
・年に数回、大掃除をする。
以上を意識するようにしましょう。
(独立行政法人 国民生活センター「消費者問題アラカルト」カビ対策10カ条より引用)
衣類のカビを防ぐ
住宅の中でもカビが発生しやすい押し入れやクローゼット。その中で保管する衣類についてもカビ対策はしっかりしておきたいですね。特に礼服、 和服、長期に保管していた衣類では、カビの代謝物による褐変化(かっぺんか)が起こることがありますので注意しましょう。
まず押し入れやクローセットは換気を心がけ、ドアや襖を開けて空気の入れ替えをするようにしましょう。合わせて除湿剤やすのこを活用し湿気を溜めないようにしましょう。
また、洗濯した衣類はしっかり乾かすようにしましょう。カビは高温で乾かすと減少するそう。高温で乾燥させることができる乾燥機を使うのもおすすめです。また、自然乾燥する場合、紫外線が当たるかどうかよりも、乾燥が大切だとも言われています。風通しの良いところでしっかり乾かすようにすると良いでしょう。
参考サイト:大阪市立環境科学研究所「衣類の乾燥とその除菌効果」
食品・住宅・衣類にカビが生えてしまった時の対策
十分に対策をしていたつもりでも、湿気の多い梅雨時期はカビが生えてしまうこともありますよね。そんなときはどうしたら良いのでしょうか。食品、住宅、衣類それぞれの対応をご紹介します。
食品にカビが生えていたら
食品はそれぞれに適した方法で保存し、カビを生えさせないように心がけてください。カビが生えてしまったら、残念ですが廃棄しましょう。変色していたり臭いがする場合は特に、速やかに処分するようにしましょう。
住宅にカビが生えていたら
被害が広範囲に広がっている場合は、専門業者に相談してください。自分で対応できる範囲の被害であれば洗浄、消毒、除去などをしましょう。
衣類にカビが生えていたら
少しのカビであれば、洗濯、乾燥、消毒で対応しましょう。それでも落ちない場合、臭いが強い場合などはクリーニング店へ持っていき相談すると良いでしょう。
それぞれに対応する方法はありますが、やはりカビは生えてしまうと対応が難しいと言えそうです。なるべくカビが生えないように、事前に対策することを心がけるようにしましょう。
まとめ
いったん生えてしまうと除去するのがなかなか難しいカビ。特に住宅のあちこちに生えるカビには頭を悩まされます。カビを生えさせないためには日頃の予防が大切。梅雨を迎える前から、できることを始めていきましょう。
また、カビ対策を成功させるためには、カビのことを正しく知り、正しい方法で対策することが重要です。今回ご紹介した内容を、ぜひ参考にしてください。
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