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書くことが苦手なあなたへ 伝わる文章が書けるようになるポイントの紹介

SNSで誰もが気軽に発信でき、また、リモートワークの普及によってチャットやメールなどの文字を使ったコミュニケーションも増えました。今の時代は、自分の思いを文字だけで伝えることが求められているといえます。文章を書く力は今まで以上に重要ですが、苦手だと感じている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、藤吉 豊 氏、小川 真理子 氏の著書『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)の中から、伝わる文章が書けるようになるポイントと、文章力を上げるコツをご紹介していきます。

あらゆる人に必要な「文章力」

文章力は、プロのライターや編集者といった職業だけに必要なものではありません。インターネットが普及した今、文章でのコミュニケーションの機会は想像以上に多いものです。例えば、ブログやSNSで情報発信している方や、メールやチャットなどをベースに会話する機会が多い方にも文章力は問われています。

ビジネスの場でも、報告書、日報、議事録、提案書、稟議書、プレゼンテーション、プレスリリース、顛末書など、文章を書かなければいけない場面は意外と多くあります。その他、入学試験や就職試験での論文など、人生を左右する場面でも文章は登場するのです。

このように、文章力はあらゆる人に必要であり、それを身につけることによって「正確でわかりやすい文章が書ける」「読み手を不快にさせず、心を動かす文章が書ける」ようになります。メールなどでのミスコミュニケーションや誤解、気持ちのズレを防ぐことができるでしょう。

また、ビジネスでは、「速く書く」ことも求められます。そのための「何を書いたらいいかわからない」という悩みの解消も必須です。

最低限守ってほしい7つのルール

ここでは、多くの文章のプロが大切にしている、7つのルールを紹介します。最低限このルールを身につければ、どんな場面でもわかりやすく、正確な文章が書けます。

1 文章はシンプルに

文章はシンプルに書きましょう。シンプルに書くと、内容が伝わりやすく、またリズムも良くなります。

シンプルに書くとは、「なくても意味が通じる言葉を削る」、つまり「文章を短くする」ことです。シンプルに書くことは、小さなスマホの画面で文章を読むことが多い現代において、特に強く求められています。

シンプルにすると、主語(誰が)と述語(どうした)が近づくので、事実関係がはっきりします。また、書き手も「短い文で正しく伝える」という意識が高まり、「もっとも適した言葉」を選ぶようになるのです。

そして、削っても意味が伝わるような言葉は省略します。文章のプロの多くが、「削りやすい言葉」の候補として挙げているのが、以下の6種類です。

  1. 接続詞・・・「そして」「しかし」「だから」など
  2. 主語 ・・・「私は」「彼が」など
  3. 指示語・・・「その」「それは」「これは」など
  4. 形容詞・・・「高い」「美しい」「楽しい」「嬉しい」など
  5. 副詞 ・・・「とても」「非常に」「すごく」など
  6. 意味が重複する言葉

例えば、「思いがけないハプニング」という文章。「ハプニング」とは「思いがけないできごと」のことですから、言葉の意味が重複しています。「思いがけない」という言葉は削ることができます。

文章のプロは、例外なく「1文を短くする」ことの大切さを説いています。読みやすい1文の「長さ」は60文字以内が目安です。また、1つの文に入れる情報を1つに絞ると、内容が伝わりやすくなります。

2 伝わる文章には「型」がある

文章のプロの多くは、「型」を大切にしています。

型とは、文章の流れを示すパターンのことです。型を利用すれば、

  • 書くスピードが上がる
  • 情報の過不足がなくなる
  • 論理展開が破綻しにくい
  • 結論が明確になる

といったメリットが期待できます。

文章のプロが使っている型を3つご紹介しましょう。

1つ目は結論、説明の順に述べる「逆三角形型」です。書き進めるほど重要度が低くなるため、逆三角形と呼ばれています。代表例はニュース記事。重要な情報(もっとも伝えたい結論)を最初に提供するため、読者の関心が高くなります。

2つ目はPREP(プレップ)法です。結論→理由→具体例→結論の順に書きます。1つ目の逆三角形の「説明」の部分に「理由」(根拠、裏付け)と「具体例」(実際に何があったか)を盛り込み、最後にもう1度「結論」で締めくくります。逆三角形型よりも文章全体に説得力を持たせたいときに使います。

3つ目は序論→本論→結論の「三段型」です。逆三角形型やPREP法と違い、結論を最後に書きます。これは論文で使われることが多い型です。ビジネス文章や実用文は結論を先に書きますが、論文やレポー トでは、「結論はあと」が基本です。 論文に求められるのは「結論の正しさ」ではなく、「結論に行き着くまでの展開の正しさ」だからです。

3 文章も「見た目」が大事

画面いっぱいに文字が詰まっていると、読む気が失せてしまいませんか?文章全体の見た目によって読みやすさ、伝わりやすさが変わります。

文章の見た目とは、紙面、誌面、画面の字面(文字を並べたときの印象)のことです。

余白(白い部分)を十分に取ると、読み手に負担をかけないやさしい文章になります。行間(行と行の間隔)は文字サイズの0.5~1文字分、空白行は内容の区切り(段落)で1行とるとよいでしょう。余白が少ないと、読み手に圧迫感を与えてしまうこともあります。

また、ひらがなと漢字の使い分けも見た目の印象を大きく変えます。漢字が多めだと硬い印象を与えたり、内容が頭に入りにくくなります。かといって、ひらがなだらけでも読みにくいですよね。明確なルールはありませんが、「ひらがな8:漢字2」くらいの比率にするとバランスが良いでしょう。

4 文章は必ず読み返そう

どんなに書き慣れた人であっても、読みやすい文章を1回で書くのは難しいものです。必ず読み返して手直しをしましょう。これを「推敲(すいこう)」といいます。

書いたばかりだと客観的に読むことができないので、この作業は、時間を置いてから始めましょう。理想は1週間、最低でもひと晩は寝かせると冷静に読み返すことができますよ。

その際は、パソコン画面上ではなく、あえてプリントアウトして紙で見るとミスに気づきやすいと言われています。さらに、声に出して読めば「読み飛ばす」ことができず、チェックの精度が上がります。

5 「わかりやすい言葉」を選ぶ

わかりやすい言葉とは「中学生でもわかる言葉(単語)」 「日常的に使われている言葉」 「耳慣れた言葉」のことです。特に不特定多数に向けて文章を書くときには、難しい言葉は使わないようにしましょう。難しい言葉を一般的な言葉に置き換えると読みやすくなります。

また、専門用語を使うときには用語の説明を加えましょう。専門用語を日常的に使っていると、その言葉が専門外の人には通じないことをつい忘れてしまいがちですので、注意が必要です。

わかりやすい文章を書くには、「自分が知っているからといって、誰もが知っているとは限らない」という前提に立つことが大切です。

6 比喩・たとえ話を使おう

表現を豊かにしつつ、相手により伝える方法に「比喩(ひゆ)」があります。比喩は「ほかのものにたとえて表現する」方法です。比喩にはたくさんの種類がありますが、使いやすいものは直喩(ちょくゆ)と隠喩(いんゆ)、擬人法(ぎじんほう)です。

直喩は「まるで〇〇〇〇のような」と説明付きでたとえるものです。「彼は怒っている」と表現するより、「彼は鬼のように怒っている」と直喩を使ったほうが、「怒っていること」がより強調されイメージもしやすくなります。

隠喩は「のような」を使わず、直接の表現が隠れているものです。隠喩は、「AはBである」と断定する表現です。「あの人は繊細だ」と表現するより、「あの人はガラスの心を持っている」と隠喩を使って断言したほうが、読み手に強い印象を与えます。

擬人法は人間ではないものを人間の言動にたとえて、いきいきと描写するものです。「ついに火山が噴火した」よりも、擬人法を使って「ついに火山が怒り出した」と書いたほうが、血が通ったように感じるはずです。

比喩を使いこなすためには、まずは直喩から試してみるのが文章力向上への近道といわれています。積極的に文章に取り入れてみましょう。

7 接続詞を正しく使おう

文と文をつなぐ言葉が接続詞です。接続詞を正しく使えば、前の文と後ろの文の関係がはっきりするため、文意が理解しやすくなります。接続詞には3つのパターンがあり、接続詞を見れば後ろに続く文を予測できます。

順接
「AだからB」のように、前に述べたことがあとに述べることの原因・理由となるもの
逆接
「AだけどB」のように、Aから予想される結果とは「逆の結果」になったことがわかるもの
対比・選択
「AまたはB」のように、A以外にBという選択肢があることがわかるもの

接続詞を正しく使うと、文と文の関係性が明確になるため、文章が論理的になります。文章を書き慣れていない人にとっては便利な存在です。

一方で、接続詞が多すぎると読みにくくなってしまうことから、なくても意味が通じる接続詞は削ったほうがわかりやすくなります。削りやすいのは「だから」「それで」などの「順接の接続詞」です。

「しかし」「だけど」などの逆接の接続詞は、削りすぎないこと。逆接の接続詞は、「前の文とは反対の内容」「前の文からは予想できない内容」が後ろに続くときに使います。逆接の接続詞を削ると、前後のつながりがわかりにくくなります。

文章に慣れるには、とにかく「書く」こと

ここまで7つのルールを見てきました。では、「文章力をあげる」ためにはどうしたらよいでしょうか。結論としては、たくさん書くことしかありません。スポーツのように、やり方やルールがわかったら、あとはコツコツと練習をするしかないのです。

時間を決めて毎日書く

書き慣れるためには、書く機会を意識して増やさないといけません。日記、ブログなど20分でも30分でもいいので、毎日時間を決めて書くようにしましょう。書いたら自分の文章を褒めるようにして、やる気を高めるのが続けるコツです。

「文章がうまくならないな」とネガティブな感想を持つと、やる気がそがれてしまいます。自分で文章を書いたら、「少しだけ文豪の芽が出てきたかも」 「明日はもっとうまくなろう」のように自分をほめるつもりで読み返してみましょう。

SNSで誰かが投稿を読んでくれる環境ならモチベーションも維持しやすいでしょう。文章の感想を聞いてみると、新しい発見が得られるかもしれませんよ。

いつでもメモを取れるようにしておく

文章を書く前には「ネタ・情報を集める」というプロセスがあります。いいアイデアはいつどこで浮かぶかわかりません。しかも、アイデアは消えてしまいやすく、消えると再び浮かんでこないこともあります。

アイデアがいつ浮かんでもいいように、いつでもメモを取れるようにしておくとよいでしょう。道具はノート、メモ帳、スマホなど自分が使いやすいもので構いません。

アイデアは移動中、ベッドの中、お風呂やトイレ、お酒を飲んでいるときに浮かびやすいとも言われています。これらの行動をするときは、意識してメモを持つようにしましょう。

まとめ

メールやチャットが普及している今は、「書く」ことが避けられない時代です。文章を書く能力はより求められるようになっているのです。どう書いていいか悩んでしまうあなたでも、ここで紹介した7つのルールを意識するだけで、伝わりやすい文章を書けるようになるでしょう。

また、本当に上達するためにはスポーツと同じようにコツコツ練習することも大切です。自分を褒めながら楽しんで書くことが、伝わる文章を書けるようになる近道ですよ。

書籍紹介:「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。」(藤吉 豊、小川 真理子 著/日経BP)2021年1月出版

出版社書籍紹介:「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。」(藤吉 豊、小川 真理子 著/日経BP)2021年1月出版
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