雪国の暮らしは大変?自然を楽しむ工夫・知恵と移住者の体験
本記事では、雪国の暮らしについて、基礎知識や快適に暮らす工夫や知恵を紹介します。雪国への移住者が直面したあるある体験もまとめましたので、雪国の暮らしに興味のある方は、ぜひご一読ください。
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雪国の暮らしは大変?自然を楽しむ工夫・知恵と移住者の体験
雪国の暮らしといえばどこを連想しますか?日本の中でも、北海道・東北や北陸・山陰などの日本海側、奥日光や信州などの内陸部などは、雪の多い地域です。自然豊かでスキーやスノーボード、や温泉などのレジャースポットに恵まれた雪国に移住したいという方もいらっしゃるでしょう。
その一方で「雪国の暮らしは大変では?」という不安もあるかもしれません。本記事では、雪国の暮らしにスポットを当て、移住者の体験も交えつつ、雪とともに暮らす大変さと楽しさについてお伝えします。
雪国の暮らしの基礎知識4つ
雪の積もらない地域に住んでいると、雪国の暮らしはなかなかイメージしづらいかもしれません。そもそも、「雪国」とはどのような地域を指すのか、雪国の暮らしを可能にする工夫や知恵など、基本的な知識を整理します。
雪国の定義とは
雪が多く降る地域のことを「雪国」などと呼ぶことがありますが、法律上は「積雪地域」「寒冷地域」、あるいは「豪雪地帯」「特別豪雪地帯」の区分で指定要件が定められています。
各法律の指定要件は以下の通りです。
法律名 | 指定要件 |
---|---|
雪寒法 | 【積雪地域】2月の積雪深の最大値の累年平均が50cm以上 【寒冷地域】1月の平均気温の累年平均が0度以下 |
豪雪法 | 【豪雪地帯】累年平均積雪積算値が5,000cm/日以上 【特別豪雪地帯】豪雪地帯の中でも特に積雪が多く住民生活に大きな支障のある地域 |
これらに該当する積雪地域は、北海道・東北から日本海側の北陸・山陰まで広い地域に及び、なかには雪国特有の生活様式が残る地域も見られます。
出典: e-Gov法令検索「雪寒法(積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法)」
出典: e-Gov法令検索「積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法施行令」
出典: e-Gov法令検索「豪雪法(豪雪地帯対策特別措置法)」
出典: e-Gov法令検索「豪雪地帯の指定基準に関する政令」
大雪でも問題なく暮らせる、住居や道路の工夫
大雪が降る雪国では、降雪や積雪があっても問題なく暮らせるよう、いたるところで住居や道路の工夫が見られます。
たとえば、雪が多く降っても降り積もった雪の重みで問題が出ないよう、家の屋根や信号機は、降り積もった雪の重みを逃すよう独特の形状になっているケースが一般的です。道路は、雪が降り積もって道路が見えなくなることを予測した様々な設備があります。具体的な工夫については、後ほど詳しく見ていきましょう。
「雪かき」を指す言葉は地域によって違う
雪のない地域に住んでいると、除雪のことは「雪かき」という表現しか知らない人が多いのではないでしょうか。実は、雪質や「捨てる」の方言により、「雪かき」は様々なバリエーションのある言葉です。
たとえば、北海道では「雪はね」や「雪なげ」、新潟では「雪掘り(雪をかまう)」が雪かきを指す言葉です。岐阜では「雪またじ」、石川・富山では「雪すかし・雪どかし」が使われます。
雪国に伝わる昔ながらの知恵
秋田のいぶりがっこや信州の野沢菜漬など、雪国にはおいしい漬物がたくさんあります。冬に新鮮な野菜が食べられなくなるため、保存食としての需要が高かったことや、雪が天然の冷蔵庫の役割を果たし、長期保存が可能なためです。
また、「雪室(ゆきむろ)」を作って野菜を保存するのも、雪国ならではの生活の知恵です。野菜の保存に最適な温度と湿度が保たれるため、雪室で保存された野菜はとても長持ちします。
雪国では、田畑に木炭の粉や黒い土をまく習慣が残る地域もあります。こうすることで、黒い部分が太陽熱を吸収し、雪をより早く溶かす効果があります。この方法は、農作を早く始めるために考えらえれた昔ながらの知恵です。
雪国の暮らしは工夫がいっぱい
雪国の暮らしは、雪が多くても快適に日常生活が送れるような工夫が随所に見られます。住まいや街の中で、どのような工夫がされているのかを見ていきましょう。
外の冷気を家に入れない工夫「二重窓」
雪国では、窓を二重にすることで、冷気をなるべく屋内に入れないようにしています。二重窓は、窓と窓の間に空気の層を作り、屋外の低温が屋内に伝導しにくくする効果がある設備です。
また、窓と同様、玄関も屋外の冷気が侵入する経路です。北海道やその他の雪国では、玄関の外側に、透明の枠でドアを取り囲む「玄関フード」を設置する住宅もあります。玄関フードを設置することで、直接冷気を屋内に入れることを防げます。
給油の手間がかからない工夫「灯油タンク」
雪国の暮らしに欠かせない灯油。冬場には大量に消費します。さらに、暖房が使えないと困るタイミングで灯油を切らしてしまうと大きな問題となります。
雪国では、灯油切れを防ぐために、1年分の灯油を貯蔵できる「灯油タンク」を設置する家庭も見られます。灯油タンクは住宅内の各暖房設備に直接つながっているので、給油の手間もかからず便利です。
建物や庭の木を守る工夫「雪囲い」
雪国では、建物や庭の木を雪から守るために、建物の周りを板などで囲う工夫がありますが、これを「雪囲い」と言います。屋根から落ちてきたり雪かきでおろしたりする雪の重みで窓が割れる危険を防止します。
町の中のさまざまな工夫
街中でも、雪国の暮らしをスムーズにする工夫を数多く発見できます。雪が積もりにくいように、ゴミステーション、電話ボックスは三角屋根、信号機は縦型です。
住宅と同じように、消火栓や防火水槽にも雪囲いがあり、雪道を走る自動車のために、チェーンの着脱場も設置されています。また、道路の両側に立っている表示器や、下向きの矢印で道幅を示す「固定式視線誘導柱」も、雪国独特の設備です。
初めての雪国の暮らしで体験!移住者あるある3例
雪のない地域から雪国へ引っ越してきて初めての冬は、移住者にとって未知のことが多く、失敗しがちです。雪国の暮らし初体験の移住者のあるある体験を3例ご紹介します。
水道と車のバッテリーが使えない
寒さが強まってくると、水道管の中にある水が凍って膨張し、破裂してしまうことがあります。移住して初めての冬を迎え、水道が使えなくなるトラブルは、まさにあるある体験です。
水道のトラブル防止には、水をぽたぽたと少しずつ出しておくか、水道管の屋外に出ている部分を保温材で保護します。
また、寒さが厳しいと、車のバッテリーは上がりやすくなります。冬場は無駄な装備の電源を消して節電を意識することで、バッテリー上がりを防ぎやすくなります。
慣れないスノーダンプ
スノーダンプとは、スコップの数倍の大きさがある除雪用の道具で、雪を運ぶのに利用します。スノーダンプは雪国では必需品ですが、雪の少ない地域ではあまり使いません。使い慣れないスノーダンプでの雪かきは、移住者にとって苦労するあるある体験です。
洗濯物が乾かない
雪国、特に日本海側では冬になると曇りが多くなり、洗濯物がなかなか乾きません。雪の日や氷点下のような寒い日は洗濯物が部屋干しになり、衣類乾燥・除湿機は生活必需品です。
衣類乾燥・除湿機は、冬用(デシカント式)と夏用(コンプレッサー式)、一年中使えるハイブリッド式があります。ハイブリッド式は便利ですが、他のタイプに比べて機能が多い分価格は高めです。雪国で使用するなら、デシカント方式またはハイブリッド式がおすすめです。
雪国の暮らしならではの「楽しみ」3つ
ウインタースポ―ツや雪国ならではの景色は、雪国の暮らしに彩りを添えてくれます。雪国の楽しみ方の一部をご紹介します。
手軽に楽しめるウインタースポーツ
スキーやスノーボード、スケートなど、手軽に楽しめるウインタースポーツは雪国ならではのレジャーです。雪そりや雪合戦など、家族全員で楽しめる遊びがたくさんあります。
美しい冬景色・星空をいつでも楽しめる
あたり一面銀世界になる美しい冬景色は、眺めているだけで魅力的です。青森県の下北地方や鳥取県の鳥取砂丘など、そのエリアならではの見事な景色を堪能できます。
また、雪国は、星空観賞にも最適です。厳しい寒さは空気の中に含まれる水蒸気を凍らせて乾燥させるため、空気が澄んで星々がはっきりと見えます。
環境省は例年「星空の街・あおぞらの街」全国大会・全国協議会を開催していますが、北海道(第31回)や富山(第30回)長野(第29回)など、環境大臣賞・団体賞を受賞する雪国が多く見られます。
出典:日本気象協会「寒い冬にはよく見える?冬が天体観測に適している理由とは?」
出典:環境省「「星空を見よう」 受賞団体・個人」
白鳥など雪国ならではの動物に出会える
雪国ならではの動物や鳥類の観察が楽しめる点も、雪国の楽しみ方です。北海道や新潟には、白鳥が渡り鳥として飛来します。飛来する時期はエリアによってかなり幅がありますが、毎年出会える楽しさが魅力です。
北海道では、アザラシやオオワシなど、珍しい動物や鳥にも出会えます。自然観察や写真撮影がお好きな方は、特に楽しめるでしょう。
雪国の暮らしをより快適にする3つの知恵
最後に、雪国の暮らしをさらに快適にするために知っておくと便利な知恵を3つご紹介します。
流雪溝の使い方の心得
流雪溝(りゅうせつこう)は、雪国でよく見られる設備です。溝の中には常に安定して水が流れており、スノーダンプで除雪した雪は、すべて流雪溝に流して処分します。
流雪溝の水は、河川・湖沼・地下水などが使われますが、主な水源は河川です。流雪溝は、地域のルールを守り、協力して運用しなければならない点に留意しましょう。
流雪溝の処理能力は、様々な条件が関わるため、場所によって異なります。処理能力以上の雪を捨ててしまうと、雪が詰まって、流れている水があふれ出し、周辺住民に大きな迷惑がかかる点に要注意です。
雪道で転倒しないコツ
雪国では、路面が凍結して滑りやすくなり、転倒事故が多く見られます。転倒事故を防止するには、事前の準備や行動、歩き方などの知恵を利用しましょう。
雪道を歩く時の服装は、両手を空けるためにリュックサックとレインウェアがおすすめです。また、靴はサイズがぴったりの物を選びます。ひもでしっかりと固定できるトレッキングシューズが最適です。
雪道での歩き方は、ゆっくり小幅で前傾姿勢、靴裏全体を地面につけて歩きます。歩くときは、人や車の往来で踏み固められ、ツルツルに凍結している場所が危険です。そのほか人や車の往来が多い横断歩道やバス・タクシーの乗降場所なども、転倒しやすい場所です。
坂道ですれ違うときは登り優先
自動車の運転中に坂道ですれ違う際は、登りを優先してください。一度停止した後の再発進は、登りの方が困難なためです。この常識を知らずに登りを優先しないと、登りのドライバーに迷惑をかけてしまうため、必ず覚えておきたいマナー知恵です。
まとめ:自然と共に自分らしく生きる雪国の暮らし
雪国の暮らしは、雪の多さや低気温であっても、快適に過ごすための工夫や知恵が随所に見られ、雪国以外の人が想像するより快適です。ただ、雪かきの負担や雪道での歩き方など、注意点もいくつかあるので、雪国で暮らしたい場合は雪国の知恵を学んでおくといいでしょう。
暖房器具や衣類乾燥・除湿機など、生活をより快適にするための家電を活用することもポイントです。また、屋外の冷気を遮断する二重窓や玄関ポーチは、電気代の節約にもつながる重要な設備と言えます。
雪国での暮らしに興味を持たれた方は、ぜひ気になるエリアを訪れてみてはいかがでしょうか。
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