季節の行事

冬至の由来は?2024年はいつ?意味や歴史など伝統行事を解説

冬至は1年で1番昼が短く、夜が長い日です。古くから多くの国で「太陽の再生」の象徴として祝われてきました。日本でもゆず湯に入ったり、かぼちゃなどを食べたりする伝統があります。

本記事では冬至について、その由来や意味、歴史を詳しく解説します。また、冬至の日付が変わる理由や、ゆず湯やかぼちゃが冬至に楽しまれる由来、冬至の楽しみ方も紹介します。冬至の伝統や風習を知り、寒い冬至の一日を楽しんでみてください。

冬至とは?2024年の冬至はいつ?

冬至は二十四節気の一つで、1年で最も日照時間が短くなる日です。冬至に向けて太陽の光が弱まり、冬至を境に再び強くなっていくことから、冬至は古くから「太陽の生まれ変わる日」として祝われてきました。

2024年の冬至は12月21日(土)です。ここからは、冬至と太陽の関係や、なぜ冬至の日付が変わるのかについて見ていきましょう。

冬至と太陽の関係

冬至の日には、北半球では正午の太陽の高さが1年中で最も低くなり、日中の時間も最も短くなります。冬至を境に再び太陽の光は強く、日は長くなっていきます。ただし、寒さは別です。

1年で一番寒いのは、冬至から1か月半ほど経った2月上旬頃です。太陽の熱が地球を暖めるには、陸と海が太陽の熱を受けてから1か月半ほどかかるとされ、冬至の頃に受けた太陽の影響は、2月上旬頃に反映されます。そのため、例年2月の立春の頃が最も寒くなります。

冬至を過ぎてから本格的に寒くなる、という意味のことわざもあります。「冬至、冬中、冬始め(とうじ、ふゆなか、ふゆはじめ)」ということわざで、「冬至は暦の上では冬まっただ中だが、本当の寒さはこれからだな」という意味を持ちます。

冬至と太陽の関係

冬至の日付が変わる理由

地球が太陽の周りを公転している周期は365日と6時間弱です。この6時間弱のずれが毎年積み重なると、カレンダー上の季節と実際の季節がずれていってしまいます。これを防ぐため、約4年に1度「うるう年」が存在し、ずれをリセットしています。

ただし、このずれはちょうど6時間ではなく、6時間には少し足りないため、4年分を合計しても24時間にはわずかに足りない時間となります。そのため、うるう年で1日が追加されたとしても、太陽と地球の位置関係は完全に4年前と同じにはなりません。

この影響で、冬至の日はときどき12月22日ではないことがあり、それがまさに2024年です。以下の表に、直近の冬至の日付をまとめました。

冬至の日付
2023年 12月22日(金)
2024年 12月21日(土)
2025年 12月22日(月)
2026年 12月22日(火)
2027年 12月22日(水)

冬至は二十四節気の一つ

冬至は二十四節気の一つです。二十四節気とは、中国で生まれた季節の変化を表す区分方法で、1年を24等分して気候の移り変わりを表しました。

次の表に、二十四節気の名と意味をまとめました。

  二十四節気 時期 意味
立春(りっしゅん) 2月4日頃 春の気配が感じられる頃
雨水(うすい) 2月19日頃 雪が雨に変わる頃
啓蟄(けいちつ) 3月5日頃 土中の虫が這い出してくる頃
春分(しゅんぶん) 3月21日頃 昼夜の長さがほぼ同じの日
清明(せいめい) 4月5日頃 あらゆるものに春の活気が満ちる頃
穀雨(こくう) 4月20日頃 穀物をうるおす雨が降る頃
立夏(りっか) 5月5日頃 夏の気配が感じられる頃
小満(しょうまん) 5月21日頃 草木が周囲に満ち始める頃
芒種(ぼうしゅ) 6月6日頃 稲などを植え始める頃
夏至(げし) 6月21日頃 昼の長さが最も長くなる日
小暑(しょうしょ) 7月7日頃 夏の暑さが始まる頃
大暑(たいしょ) 7月23日頃 一年で一番暑い頃
立秋(りっしゅう) 8月8日頃 秋の気配が感じられる頃
処暑(しょしょ) 8月23日頃 暑さもおさまってくる頃
白露(はくろ) 9月8日頃 白く光る露が草に宿る頃
秋分(しゅうぶん) 9月23日頃 昼夜の長さがほぼ同じの日
寒露(かんろ) 10月8日頃 冷たい露が草に宿る頃
霜降(そうこう) 10月24日頃 霜が降り秋が終わる頃
立冬(りっとう) 11月7日頃 冬の始まる頃
小雪(しょうせつ) 11月22日頃 雪が降り始める頃
大雪(たいせつ) 12月7日頃 雪が降り積もる頃
冬至(とうじ) 12月21日頃 夜の長さが最も長くなる日
小寒(しょうかん) 1月5日頃 厳しい寒さが訪れる頃
大寒(だいかん) 1月21日頃 一年で一番寒い頃

冬至の由来・歴史

冬至は「太陽の生まれ変わる日」として、古くから世界中で祝われてきました。

ここからは、冬至の由来と歴史をひも解いていきましょう。

東洋:新しい年の始まりとしての冬至

古代中国に起源をもつ東洋思想では、太陽の光が最も弱くなる冬至を「陰が極まる日」と考えていました。一方で、冬至を境に太陽の光は勢いを増していきます。そのため、太陽が生まれ変わるという意味で、冬至を「一陽来復(いちようらいふく)」として祝うようになったのです。

「一陽来復」は、四字熟語となって今も残っています。「冬が去り春が来ること」「新しい年がくること」という意味や、「悪いことが続いたけれども、ようやく回復して幸運に恵まれる」という意味で使われています。

東洋の夕暮れ

西洋:冬至にまつわる古代遺跡や祭礼が残る

冬至にまつわる古代遺跡や祭礼は、北半球の至るところに残っています。日々の暮らしを太陽に大いに依存していた時代、陽の光が強くなる喜びは今よりはるかに大きかったのでしょう。

その中からアイルランド、イギリス、北欧を紹介します。

アイルランド「ニューグレンジ」

アイルランドには、建設年代がエジプトのピラミッドよりも古いと推定されている「ニューグレンジ」と呼ばれる古墳があります。

この古墳には長い通路があります。年に1度、冬至の日だけ、朝日が通路に差し込むように設計されています。

ニューグレンジ

イギリス「ストーンヘンジ」

イギリスの「ストーンヘンジ」はテレビや雑誌で見たことのある人も多いでしょう。

ストーンヘンジの石の配列が描く同心円は、夏至の日の出と冬至の日の入りに合わせて配列されています。

ストーンヘンジ

北欧「ユール祭」

北欧のゲルマン人は「ユール祭」で冬至を祝いました。緯度の高い北欧では、冬至の頃には日が昇りません。その闇の中でユールログという薪を燃やし、新しい日の出を待ちました。

このユールログはクリスマスのケーキのブッシュドノエルとして、現代にも残っています。

冬至祭がクリスマスの起源であるとも

キリスト教の登場以前から、人々は「太陽の再生」として冬至を祝っていました。古代ローマの人々は、太陽神ミトラを信仰しており、冬至は太陽の復活として、「サートゥルナーリア祭」を祝っていました。

そのお祭りでは、人々は常緑樹を飾り、ごちそうを食べ、贈り物を交換していました。今日のクリスマスの起源とも考えられています。

冬至の日の森のイメージ

日本の伝統行事としての冬至

日本人は昔、冬至をどのように祝い、生活に取り入れていたのでしょうか。

ここからは、日本の伝統行事としての冬至を見ていきましょう。

遣唐使によって伝えられた冬至

古来、日本には「冬至」を祝う習慣はありませんでした。日本に冬至を伝えたのは、遣唐使として唐(現在の中国)で学んだ僧や貴族とされています。

遣唐使から伝わった冬至は、早くから貴族の儀式として定着しました。8世紀初頭の歴史書「続日本紀」には、宮中行事として冬至が祝われていたことが書かれています。

冬至の行事食:小豆・かぼちゃ・「ん」のつく食べ物

中国では、冬至に小豆粥を食べ、疫鬼を払ったという記述が6世紀の書物に見られます。このことから、古くから冬至に小豆粥を食べる習慣があったことがわかります。赤い色は魔除けとして邪を払うと考えられており、この習慣は平安時代の貴族の間にも伝えられていました。

一方、かぼちゃが日本で栽培され、食べられるようになったのは江戸時代からです。江戸時代も中期になると、冬至にかぼちゃや小豆粥を食べ、ゆず湯に入って無病息災を願うことが広がりました。野菜の少ない冬場、冬に収穫されて保存もきき、栄養価も高いかぼちゃは、風邪や中風の予防に良いとされたのです。

ゆず・かぼちゃ・小豆

また、冬至を境に「運が向いてくるように」というゲン担ぎから、「ん」がつく食べ物は、「運がつく」として、好んで食べられています。なかでも、名前に「ん」が2つある食べ物は「冬至の七種(ななくさ)」と呼ばれ、冬至に食べると縁起が良い食べ物とされています。

冬至の七種

  • なんきん(かぼちゃ)
  • れんこん
  • ぎんなん
  • にんじん
  • きんかん
  • かんてん
  • うんどん(うどん)

江戸時代から始まったゆず湯

5月の端午の節句には菖蒲湯(しょうぶゆ)に入り、12月の冬至にはゆず湯に入るという習慣も、江戸時代に広まりました。冬至に体を清めるとともに、香りの強いゆずで邪を払うと考えられていたようです。

さらにゆずの効能として、あかぎれに効く、風邪をひかない、などの経験則も広まっていました。

江戸時代から始まったゆず湯

冬至の楽しみ方

冬の厳しい寒さは冬至から本番ではありますが、戸外で、家で、冬至を楽しんでみてはいかがですか?

ここでは冬至を楽しむヒントをご紹介します。

年末詣を楽しむ

年の初めに、新たな1年の幸せを願ってお参りするのが初詣です。一方、年末に、1年間無事に過ごせたお礼を伝えるお参りは「年末詣」と呼ばれています。一般的に、冬至から大みそかの間にお参りするのが「年末詣」とされています。

古い暦では、冬至を新しい年の始めとしていた考え方もあり、冬至に行事を行う神社などもあります。冬至には神社に出向いて、この1年を振り返るのも良い過ごし方ですね。

冬至の夜空を楽しむ

1年で最も長い冬至の夜には、夜空を楽しみましょう。北風が大気中の塵を吹き飛ばしてくれるため、冬至の頃は都会でも星が見やすいとされています。

キラキラとまたたく星を「きれいだな」と見上げるだけでも楽しめますし、いくつか目立つ星を知っておくと、星空がさらに身近に思えてきます。

ゆず湯を楽しむ

年末詣に出かけたり、星を見たり、戸外で過ごした後は、ゆっくりとゆず湯で温まりましょう。

「ゆず湯もいいけれど、後片付けが…」と思われる方は、布袋を使うと浴槽が汚れたり排水溝が詰まったりすることもありません。カットしたゆずを布袋に入れて湯船に浮かべると、少ないゆずでもさわやかな香りを満喫できますよ。

まとめ

祝日である春分や秋分と比較して、冬至や夏至は意識されにくい日です。スーパーの店頭でかぼちゃやゆずが積み上げられているのを見て、「そういえば今日は冬至だった」と思い出す人も多いのではないでしょうか。

自然との調和が改めて求められる現代、冬至を境に再び強さを増す陽の光を、古代の人と同様にお祝いするのも大切なことかもしれません。ゆず湯やかぼちゃなどの行事食の習慣も、電化製品や暖房設備も限られていた時代の生活の知恵として始まったものです。

こうした習慣を今に取り入れ、冬至を機に、先人の生活や工夫に思いをはせてはいかがでしょうか。

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