
【お掃除スペシャリスト監修】換気扇(レンジフード)のフィルター掃除方法!
そこで今回は、換気扇のフィルターを効率的に掃除する手順とポイントをご紹介します。
監修者
- 佐倉 玖弥(さくら くみ)
- お掃除スペシャリスト
暮らしライターとして、Webメディアで記事を執筆。日々のお掃除を「楽してキレイにしたい!」を叶えるコツをご紹介。すぐに実践できる、リアルで役立つ情報をお届けしています。

目次 [CLOSE]
換気扇(レンジフード)のフィルターが汚れる原因
そもそもなぜ換気扇のフィルターが汚れるのでしょうか。まずは、汚れの原因や放置するリスクを解説します。
汚れが頑固なのは“油汚れ”だから
換気扇のフィルターが汚れる主な原因は、料理中に使った油と空気中のホコリです。
調理中に加熱された水や油は、気体(蒸気)となって立ち上り、空気中のホコリと一緒に換気扇に吸い込まれます。換気扇のフィルターの重要な役割は、吸い込まれた油やホコリが換気扇本体に付着するのを防ぐことです。
料理の際に換気扇を使う度に、吸い込まれた油やホコリは、換気扇のフィルターでせき止められ、フィルターには少しずつ油やホコリが蓄積していきます。この汚れを放置すると、油とホコリが混ざり合い、ベトベトした汚れとして目立つようになります。
換気扇の汚れを放置するリスク
換気扇を使うたびにフィルターは汚れていきますが、この汚れを放置するとどのようなリスクがあるのでしょうか。
ここでは換気扇の汚れを放置することで起こりやすい代表的なリスクを3つ紹介します。
不快なニオイとカビの原因になる
フィルターが目詰まりを起こしたまま放置すると、換気の効率が落ちます。その結果、室内の空気を排出できなくなるため、料理中のニオイや煙が残ってしまいます。
さらに、問題はニオイや煙だけではありません。換気扇は気体になった油も吸い込んでいます。換気ができていなければ、この油が床や壁に付着し、ベタつきとなって現れるのです。
また、キッチンは水を多く使う場所であるため、うまく換気ができないと家の中に湿気がこもってしまい、結露やカビの原因になります。キッチン周りは水気も多く、こうしたトラブルが発生しやすい場所といえます。とくに、カビは健康上の問題を引き起こす可能性もあるため、十分注意しましょう。
電気代や退去費が高くなる
換気扇の動作にかかる電気代はそこまで高くありません。しかし、これはあくまでも新品の状態、もしくは正しくお手入れがされている場合の話です。汚れが放置されたフィルターや換気扇は、吸引力が下がるため、換気に要する消費電力量が増えてしまいます。
また、ニオイや湿気がなかなか排出できないと、いつも以上に長い時間、換気扇を回すことになるでしょう。これも、換気扇の電気代が上がる要因です。
1回あたりの電気代は微々たるものですが、これが年間となると決して無視できない金額になります。そのため、換気扇の清掃は節約の第一歩でもあるのです。
なお、賃貸物件にお住まいの場合には、退去時の費用が高くなるリスクもあります。通常、経年劣化による汚れは「原状回復義務」の対象ではありません。しかし、清掃・手入れを怠ったために、著しい汚れが発生した場合には、清掃費用を請求される可能性があります。
この費用は、敷金から支払われますが、状況によっては追加で費用を請求される可能性が高くなります。
故障や火事の原因になる
長年にわたりお手入れがされていなかった換気扇は、故障を引き起こす可能性があります。これは、油汚れによってファンの回転バランスが崩れるからです。
また、通常以上のパワーで動作を続けたことによる、部品の劣化が起こるケースもあります。
さらに気を付けなければならないのは、火災です。油には、酸化する際に発熱する性質があります。キッチンは火や熱を多く使う場所なので、とくに注意が必要です。
【始める前に】換気扇(レンジフード)のフィルター掃除の準備
実際に掃除を始める前に、以下の準備をしておきましょう。
必要なものを用意する
フィルター掃除には、次の道具を用意しましょう。
【換気フィルター掃除】必要なものリスト
- ゴム手袋
- 新聞紙、または不要なタオル
- スポンジ、または使わなくなった歯ブラシ
- 中性洗剤
- アルカリ性洗剤
- ゴミ袋2枚、またはフィルターが浸かる程度のバケツ(頑固な汚れ用)
電源を切ってから作業を行う
掃除中に誤って換気扇を作動させてしまうと大変危険です。感電や思わぬけがを防ぐため、作業の前には必ず電源を切り、スイッチをオフにしてから掃除を始めます。
念のためコンセントからプラグを抜いておくか、分電盤のブレーカーを落としておきましょう。
コンロに新聞紙をかけ、換気扇のフィルターを外す
換気扇のフィルターを掃除するときは、新聞紙などを敷いてコンロを保護してください。通常、換気扇はコンロの真上にあるため、掃除するときに汚れがコンロに落ちてしまったり、部品を落として傷をつけたりする可能性があります。
とくに、IHクッキングヒーターは、新聞紙ではなく厚手のタオルなどクッション性の高いもので保護することをおすすめします。IHクッキングヒーターのガラストップは、耐衝撃性に優れているものが多いですが、一般的なガスコンロと比べると割れたり傷がついたりするリスクが高いため、注意が必要です。
コンロ回りを保護したら、換気扇からフィルターを取り外します。換気扇の種類によってフィルターの外し方は違うので、説明書を確認し、安全に外してください。
ゴム手袋をつける
手荒れ防止のために、ゴム手袋を装着して掃除しましょう。ゴム手袋は滑り止めにもなるため、安全な掃除にもつながります。
【簡単な汚れ】換気扇(レンジフード)のフィルター掃除手順
換気扇のフィルターは、汚れ具合によって使用する洗剤や掃除の手順が変わります。まずは、簡単な汚れを落とす方法を解説します。
必要な工程は以下のとおりです。
中性洗剤を溶かしたぬるま湯にスポンジを浸けてぬらす
まずは、ウタマロクリーナーや食器用洗剤などの中性洗剤をバケツや桶などに張った水に溶かします。スポンジに直接洗剤を塗布すると、ムラができる可能性があるため、洗剤を溶かした水をスポンジ全体に含ませ、フィルターになじませます。
汚れにしっかり洗剤を浸透させることで、汚れが落ちやすくなります。
軽くこすって汚れを落とす
次に、フィルターをスポンジでこすって汚れを落とします。強くこするとフィルターの表面が傷んでしまうので、力を入れすぎないように、優しくこすって汚れを落とします。
もし、汚れが落ちない場合は、洗剤がしっかり汚れになじんでいるかどうかを確認してください。なじんでいないときは、汚れに直接洗剤を吹きかけて数分置いてからこすることで落ちる可能性があります。また、重曹やセスキ炭酸ソーダなど、弱アルカリ性洗剤に変えてみるのもおすすめです。
それでも落ちないときは、後述の「▼【頑固な汚れ】換気扇(レンジフード)のフィルター掃除手順」の方法を試してみてください。
水で十分に洗い流してから、乾かす
汚れを落とせたら、すすぎ残しが無いようにしっかりと洗い流しましょう。換気扇のフィルターは油汚れが主ですが、中性洗剤は水でも十分にすすぎ落とせるように作られているため、低温の水でも大丈夫です(アルカリ性洗剤を使用した場合、お湯ですすぐ必要があります)。
すすいだ後は、自然乾燥させるか、布巾や新聞紙などでしっかり水気を拭きとり乾かしてから換気扇に戻します。水分が残っていると、サビやカビの発生や故障につながるため、しっかり乾いたことを確認してから戻してください。
【頑固な汚れ】換気扇(レンジフード)のフィルター掃除手順
ここからは、先述の「▲【簡単な汚れ】換気扇(レンジフード)のフィルター掃除手順」では落ちない、頑固な汚れを掃除する際の手順を解説します。
アルカリ性の洗剤を溶かしたお湯に浸け置きする
換気扇やフィルターについている油汚れは酸性の汚れです。そのため、アルカリ性の洗剤を使うと、汚れが中和されて落としやすくなります。
まずは、二重にしたゴミ袋、またはバケツの中に40~60℃のお湯を入れ、アルカリ性の洗剤を以下の表の割合でお湯に溶かします。洗剤を溶かしたお湯に、フィルター全体を浸け置きしましょう。つけ置き時間の目安は、軽い汚れであれば30分程度、ひどい汚れは1~2時間程度です。
【参考】洗剤の量
重曹 | お湯1Lに対して大さじ3 |
---|---|
セスキ炭酸ソーダ | お湯1Lに対して小さじ2 |
粉末酸素系漂白剤 (オキシクリーンなど) |
お湯10Lに対して付属のスプーン2~3杯 |
※アルミ素材・塗装が剥げた換気扇には、アルカリ性洗剤は使えません。
スポンジや歯ブラシで汚れをこすり落とす
浸け置きが終わったらフィルターを出し、スポンジや使わなくなった歯ブラシなどで汚れをこすります。
フィルターをシンクで洗う場合、フィルターの角がシンクに当たって傷がつくおそれがあるため、シンクの底に不要なタオルなどを敷いておくことをおすすめします。
お湯で十分に洗い流してから、乾かす
軽い汚れの場合と同様、すすぎと乾燥はしっかり行いましょう。とくに、今回はアルカリ性洗剤を使用しているため、お湯で洗い流すことが重要です。
アルカリ性洗剤は油汚れを「けん化」という作用で分解しますが、 冷たい水ですすぐと、分解された油分が再び固まってしまい、ヌメリや残留物が残りやすくなります。お湯ですすぐことで油汚れを溶けやすくし、アルカリの残留物も流しやすくなります。
換気扇のフィルターの掃除頻度:3か月~半年に一度
換気扇の掃除頻度は、ご家庭の油料理の回数や量に大きく左右されます。
揚げ物や炒め物が多いご家庭であれば、換気扇のフィルター掃除の目安は3か月に1回程度が一般的です。揚げ物をほとんどしないご家庭なら、フィルター掃除は半年に1回でも良いでしょう。
なお、フィルターの汚れは目視で確認できます。汚れているなと感じたら早めに掃除をするのがおすすめです。
また、市販の不織布タイプの換気扇用外付けフィルターを取り付ければ、汚れたときに不織布だけを取り替えるだけで良いので、フィルター掃除が楽になります。市販の外付けフィルターの中には、取り換え目安を知らせてくれるものもあるので、参考にしてみてください。
換気扇(レンジフード)を掃除する際の注意点
換気扇のフィルターを掃除する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは4つの注意点をご紹介します。
換気扇のパーツをぬらさない
換気扇の内部を掃除する際、電気パーツがぬれないように注意が必要です。換気扇本体を掃除する際は水や洗剤を直接かけず、固く絞った布巾やお掃除シートなどで拭いてください。
もし、電気パーツがぬれてしまった場合には必ず水気を拭き取り、完全に乾かしてから戻してください。電気パーツが完全に乾いていない状態で使用すると、電源を入れた際に感電やショートが発生する危険性があります。
無理な力を加えない、強い洗剤や金属たわしを使わない
汚れに洗剤がしっかりとなじんでいれば、優しくこするだけで簡単に落とせます。そのため、強くこする必要はありません。
また、アルカリ性の強い洗剤や金属たわしは、塗装が剥がれたり、金属部分が変色したりしてしまう可能性があるため、おすすめしません。
換気扇のパーツを無理に外さない
隅々まで掃除をしようとして無理にパーツを外そうとすると、部品の破損や感電、けがの原因になります。取扱説明書をみながら、フィルターや整流板など、外せる範囲のパーツの掃除を行いましょう。
それでも、奥の方の汚れが気になる、ニオイが取れない、頑固な汚れが落ちないといった場合は、無理に自分で掃除しようとせず、プロに依頼しましょう。
まとめ
換気扇のフィルターは、料理中に使った油と空気中のホコリが主な汚れの原因です。油汚れが主なので、簡単な汚れであれば中性洗剤で落とせます。中性洗剤で落とせない汚れには、アルカリ性洗剤を使った浸け置き洗いが有効です。また、掃除の際にはゴム手袋を使用する、安全にパーツを取り外す、などを意識することで、掃除を安全かつ効率的に進めることができます。
定期的なフィルター掃除を怠ると、換気扇が故障したり火災の原因になったりするリスクがあるため、3か月~半年に一度のペースでのお手入れを心がけましょう。市販の外付けフィルターを活用することで、汚れを防ぎつつ掃除の負担を軽減することもできます。
換気扇のフィルターを清潔に保つことは、家の安全や快適な空間づくりだけでなく、電気代の節約にもつながります。この記事を参考に、ぜひあなたのキッチンで実践してみてください。
記事編集
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- 東京電力エナジーパートナー株式会社
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