
韓国のチュソクとは?2025年はいつ?お盆との違いや旅行の注意点も解説
韓国で最も重要な名節(祝日)の一つであるチュソクは、毎年日付が変わるため、旅行の計画を立てる上で少し注意が必要です。今回は、2025年のチュソクの具体的な日程から、その意味や由来、日本のお盆との興味深い違い、そして旅行の際の注意点や楽しみ方まで、分かりやすく徹底解説します。
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【2025年】韓国のチュソク(秋夕)連休はいつからいつまで?
2025年のチュソクは10月6日(月)で、連休期間は10月3日(金)~10月9日(木)の7日間です。
例年は、チュソク当日とその前日・翌日の3日間がチュソク連休です。しかし、2025年のチュソクは、土日や開天節(毎年10月3日)、ハングルの日(毎年10月9日)といった祝日が重なるため、前後を含む7日間が事実上の大型連休になります。さらに、10月10日(金)を休みにできる場合には、後ろの土日とつながることで最大10日間の超大型連休になります。
チュソクは毎年定められている祝日ですが、日付は毎年変わります。これは、チュソクが毎年の旧暦8月15日に設定されているためで、太陽暦を採用している現在のカレンダーでは毎年日付が変動します。
以下の表に近年のチュソクの日付をまとめました。
直近5年間のチュソクの日付
年 | チュソクの日付 |
---|---|
2024年 | 9月17日(火) |
2025年 | 10月6日(月) |
2026年 | 9月25日(金) |
2027年 | 9月15日(水) |
2028年 | 10月3日(火) |
チュソク(秋夕)とは?意味や由来をわかりやすく解説
チュソク(秋夕)は、ソルラル(旧正月)と並ぶ韓国の二大名節の一つで、「ハンガウィ」という別名でも呼ばれています。「ハン」は「大きい」、「カウィ」は「秋の中心」を示し、一言でいえば、チュソクとは「秋の真ん中に収穫を祝い、ご先祖様に感謝を伝える日」です。
この時期になると、多くの人々が故郷に帰り、家族や親戚一同で集まって過ごすのが伝統的な習わしです。都市部から地方への大規模な移動があり、その様子は「民族大移動」と呼ばれることもあります。
日本のお盆のような静かな雰囲気とは少し異なり、収穫の喜びを分かち合う、明るく賑やかな祝祭の意味合いが強いのが特徴です。
チュソクは日本でいう「お盆」とどう違う?共通点と相違点は?
「チュソクは日本のお盆みたいなもの」とよく言われますが、具体的に何が同じで、何が違うのでしょうか。どちらも「ご先祖様を供養する」という点は共通していますが、その背景や過ごし方には興味深い違いがあります。
韓国のチュソク(秋夕) | 日本のお盆 | |
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時期 |
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意味合い |
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過ごし方 |
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行事 |
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食べ物 |
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このように、チュソクはご先祖様への感謝に加え、その年の実りへの感謝という側面が強いのが特徴です。一方で日本のお盆は、ご先祖様の霊をお迎えし、ともに過ごすという供養の儀式が中心となっています。
チュソク期間中、韓国では何をする?伝統的な過ごし方とは?
チュソクの連休中、韓国の家庭ではどのようなことが行われるのでしょうか。そこには、ご先祖様や家族との絆を大切にする、韓国ならではの文化が息づいています。代表的な行事を見ていきましょう。
チャレ(茶礼):ご先祖様へ感謝を伝える儀式
「チャレ(茶礼)」は、チュソクの朝に行われる最も重要な儀式です。その年に収穫されたばかりの穀物や果物、そして各家庭で心を込めて作った料理を祭壇にずらりと並べ、ご先祖様に感謝を捧げます。
チャレでお供えする料理は、地域や家系の伝統によって様々ですが、以下の料理が一般的です。
- ソンピョン(松の葉を敷いて蒸した半月形の餅)
- ジョン(魚や野菜などに衣をつけて焼いた料理)
- ナムル(野菜や山菜を和えた料理)
- 肉料理
- 魚料理
このチャレの儀式を通じて、家族全員でご先祖様とのつながりを再確認し、子孫の繁栄を祈ります。また、チャレが終わると、そのお供え物を家族みんなで分けて食べる「ウムボク(飲福)」を行い、ご先祖様から福を分けてもらうとされています。
詳しくは「▼チュソクに食べられる代表的な伝統料理とは?」でも解説します。
ポルチョ(伐草)とソンミョ(省墓):日本のお墓参りとは少し異なる
日本のお盆と同様に、チュソクでもお墓参りが行われます。しかし、少し特徴的なのが「ポルチョ(伐草)」という習慣です。
ポルチョはチュソクの1〜2週間前の週末などを利用して、夏の間にお墓の周りに生い茂った雑草を刈り取り、きれいに整備する作業のことです。チュソクの前に行う点が特徴で、お盆の期間中に掃除をする日本のお墓参りの文化とは少し異なります。ポルチョは「ご先祖様を迎えるための準備を怠るのは子孫の恥」とされ、非常に重要視されています。
そして、チュソクの連休期間中に行うお墓参りを「ソンミョ(省墓)」と呼びます。家族や親戚が集まり、きれいにしたお墓の前でチャレと同様に簡単なお供え物をして、ご先祖様に挨拶をします。
ユンノリとカンガンスルレ:家族団らんの時間に行われる伝統的な遊び
儀式が終わった後は、家族団らんの時間です。さまざまな伝統遊びを楽しみますが、その代表格は「ユンノリ(韓国のすごろく)」や「チェギチャギ(羽蹴り)」などです。老若男女問わず楽しめる遊びを通じて、家族の絆を深めていきます。
カンガンスルレとは、チュソクの夜に女性たちが手をつないで輪になり、歌いながら踊るというもので、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。この踊りには、豊かな収穫と多産を祈願する意味が込められています。
カンガンスルレは、もとはチュソクを象徴する行事でした。しかし、今日では特定の祭りやイベントで披露されることが多く、家庭で行われる遊びというよりも、文化的な行事として位置づけられています。
チュソクに食べられる代表的な伝統料理とは?
チュソクの楽しみの一つが、この時期にしか味わえない特別な料理です。ご先祖様へのお供え物であると同時に、家族みんなで食卓を囲むご馳走でもあります。
なぜその料理を食べるのか、背景にある物語とともに見ていきましょう。
ソンピョン(松餅):美しく作ると良い伴侶に恵まれる?
チュソクを象徴する食べ物が、ソンピョン(松餅)というお餅です。米粉を練った生地で、ゴマや小豆、栗などの餡を包み、半月のような形に整えます。その名の通り、蒸す際に松葉を敷くのが特徴で、爽やかな香りが移ります。この半月形には「未来への希望」や「発展」といった意味が込められています。
昔から「ソンピョンをきれいに作れると、良い伴侶に巡り会えたり、かわいい子どもを授かったりする」という言い伝えがあり、家族、特に女性たちは願いを込めて一つひとつ丁寧に作ります。色も白だけでなく、よもぎやかぼちゃなどを練り込んで、カラフルに仕上げる家庭も多く、見た目にも楽しいお餅です。
ジョン(煎):チヂミの原型?多彩な食材の焼き物
ジョン(煎)とは、薄切りにした肉や魚、野菜などに小麦粉と卵の衣をつけて焼いた料理の総称で、日本の「ピカタ」や、より広い意味では「チヂミ」の仲間と言えます。
ズッキーニやエゴマの葉、豆腐、白身魚、ひき肉など、さまざまな食材が使われ、食卓を華やかに彩ります。チャレに欠かせないお供え物の一つで、たくさんの種類を用意するのが一般的です。
ジョンを焼く時の油の香りが、ご先祖様の霊を家に呼び寄せるとも言われています。準備は大変ですが、その分家族が集まった時の食卓は豊かになり、会話も弾みます。
【2025年】チュソクの時期の韓国旅行、お店や観光地は大丈夫?
「チュソクの連休中に韓国へ旅行したいけど、お店は閉まっている?」「『行かない方がいい』って聞いたけど本当?」と心配する声も少なくありません。
結論から言うと、注意点をしっかり押さえれば、この時期の旅行はチュソクならではの特別な雰囲気を楽しむことができます。ここでは、旅行者が直面する可能性のあるデメリットと、それを上回るメリットや楽しみ方をご紹介します。
注意点①:帰省ラッシュによる交通機関の麻痺
チュソクの時期は「民族大移動」の言葉通り、ソウルなどの都市部から地方へ帰省する人々でごった返します。とくに、連休の前日と初日は、KTX(韓国高速鉄道)や高速バスのチケットは発売と同時に売り切れてしまうことがほとんどです。
また、高速道路も深刻な渋滞が発生するため、この期間に都市間を移動する計画は避けるのが賢明です。ソウル市内や釜山市内など、一つの都市に滞在するプランであれば、大きな影響は受けにくいでしょう。
注意点②:飲食店やデパート、個人商店の休業
旅行者が最も気になるのがお店の営業状況でしょう。個人経営の食堂やカフェ、市場の商店などは、チュソク当日を中心に連休中休業する場合がほとんどです。お目当てのお店がある場合は、事前にSNSなどで営業情報を確認しておく必要があります。
一方で、デパートや大型マート、免税店、フランチャイズのカフェなどは、営業時間を短縮しつつも開いていることが多いです。また、観光客が多く訪れるミョンドン(明洞)やインサドン(仁寺洞)などでは、比較的営業している店を見つけやすいでしょう。
旅行者にとってのメリットと楽しみ方
デメリットばかりではありません。この時期にしか体験できない特別な魅力もあります。例えば、景福宮(キョンボックン)などの古宮や博物館、公園では、入場料が無料になったり、チュソクにちなんだ伝統文化体験イベントが開催されたりします。
また、街中では伝統衣装である韓服(ハンボク)を着て歩く人の姿も多く見られ、いつもとは違う華やかな雰囲気を味わえます。この機会に韓服をレンタルして、古宮などを散策してみるのも素敵な思い出になるでしょう。
現代韓国のリアルなチュソク事情
これまで紹介してきたのは、伝統的なチュソクの姿です。しかし、現代の韓国では、ライフスタイルの変化とともに、その過ごし方も多様化しています。ここでは、今の韓国のリアルなチュソク事情を覗いてみましょう。
チュソクはお嫁さんの試練?料理や準備の負担から見える本音
華やかで楽しいイメージのあるチュソクですが、その裏では多くの女性、特に結婚した女性(お嫁さん)が大きな負担を強いられているという側面があります。
伝統的なチュソクの過ごし方では、大量の料理の準備や後片付け、親戚付き合いなどがあり、精神的・肉体的なストレスを感じる人もいます。体調を崩してしまう人も少なくなく、「名節症候群(ミョンジョルチュフングン)」という言葉があるほどです。
そのため、最近では、料理を分担したり、お惣菜やケータリングを利用したりして、負担を減らす工夫をする家庭も増えています。
新しい過ごし方?「一人チュソク」や海外旅行も増加
伝統的な家族観が変化する中で、チュソクの過ごし方も大きく変わってきています。帰省せずに一人で連休を過ごす「ホンチュ族(一人+チュソクを組み合わせた造語)」を選ぶ若者も増えています。
また、この大型連休を利用して、家族で国内旅行や海外旅行に出かけるケースも珍しくなくなりました。伝統を重んじながらも、個人の価値観やライフスタイルに合わせてチュソクを過ごす。これもまた、現代韓国のリアルな姿と言えるでしょう。
チュソクに関するよくある質問(FAQ)
最後に、チュソクに関して多くの人が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。
Q1. チュソクの挨拶は?韓国語で何て言う?
チュソクの時期に使える定番の挨拶は「즐거운 추석 보내세요(チュルゴウン チュソク ポネセヨ)」です。これは「楽しい秋夕をお過ごしください」という意味で、友人やお店の人など誰に対しても使える丁寧な表現です。
もっとシンプルに「해피 추석(ヘピ チュソク)」のように、英語のHappyを組み合わせたカジュアルな挨拶もよく使われます。
Q2. チュソクに贈る定番のプレゼントは?
日本のお中元のように、チュソクにもお世話になった方へ贈り物をする文化があります。定番は、スパム缶やツナ缶、食用油などの詰め合わせセットです。実用的で日持ちがするものが好まれる傾向にあります。
その他、リンゴや梨といった季節の果物、高級な韓牛(ハヌ)のセットなども人気の贈り物です。デパートや大型マートには、立派なギフトセットが並ぶ特設コーナーが設けられます。
Q3. ソルラル(旧正月)との違いは?
チュソクとソルラル(旧正月)は韓国の二大名節ですが、いくつかの違いがあります。最も大きな違いは時期で、チュソクが秋(旧暦8月15日)の収穫祭であるのに対し、ソルラルは冬(旧暦1月1日)の旧暦の新年を祝う行事です。
また、象徴的な食べ物も異なり、チュソクにはソンピョン(松餅)を、ソルラルにはトックク(お餅のスープ)を食べます。トッククを食べると一つ歳をとると言われています。
まとめ
今回は、韓国の重要な名節である「秋夕(チュソク)」について、2025年の日程から文化的な背景、旅行の際の注意点まで詳しく解説しました。
この記事のポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 2025年のチュソクは10月6日(月)。前後の土日や祝日とつながることで10月3日(金)〜9日(木)の7連休となる。
- チュソクは秋の収穫を祝い、ご先祖様に感謝を伝える日で、日本のお盆に似た一面もある。
- 韓国旅行の際は交通機関の混雑と個人商店の休業に注意が必要。ただし、限定イベントなどのメリットも多い。
- 近年の韓国では、伝統的な過ごし方だけでなく、「一人チュソク」や海外旅行など多様な過ごし方が増えている。
2025年のチュソク期間に韓国へ旅行する際は、交通機関の混雑と多くの個人商店の休業を想定した上で、営業しているデパートや観光地のイベントを中心に計画を立てることが成功の鍵です。旅行を計画している方は、ぜひ事前に確認して韓国のチュソクを楽しんでください。
記事編集
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- 東京電力エナジーパートナー株式会社
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