季節の行事

【2026年】韓国の旧正月(ソルラル)はいつ?文化や伝統的な過ごし方を解説

韓国で最も大切な季節行事とされるのが旧正月の「ソルラル」です。家族や親戚との絆を大切にする韓国ならではの風習が今も数多く残っています。

今回は、2026年のソルラルがいつなのかという基本情報はもちろん、日本の正月との興味深い違いや、当日の伝統的な過ごし方、旅行者向けの注意点まで、わかりやすく解説します。

2026年の韓国の旧正月(ソルラル)はいつからいつまで?

2026年のソルラルは2月17日(火)です。

韓国では、ソルラルの元旦当日とその前後1日ずつ、計3日間が祝日になるのが一般的です。2026年のソルラルは公式に2月17日(火)と発表されており、前後の16日(月)と18日(水)も祝日となります。さらに、前の週末である2月14日(土)・15日(日)と合わせると、2月14日(土)から18日までの5連休となるため、多くの人にとって長期休暇となる可能性が高いでしょう。

2026カレンダー韓国の旧正月

ソルラルの日付が毎年変わるのは、ソルラルが旧暦(太陰太陽暦)の1月1日をお祝いするためです。月の満ち欠けを基準とする旧暦は、太陽の動きを基準とする新暦(太陽暦)と日付がずれるため、次の表のように、ソルラルの日付は毎年変動します。

直近5年間のソルラルの日付

ソルラルの日付
2024年 2月10日(土)
2025年 1月19日(水)
2026年 2月17日(火)
2027年 2月7日(日)
2028年 1月27日(木)

そもそも韓国の旧正月「ソルラル」とは?日本の正月との3つの違い

ソルラルは、秋の収穫祭である「秋夕(チュソク)」と並ぶ、韓国の二大名節の一つです。単に新年を祝うだけでなく、ご先祖様への感謝を伝え、家族や親戚一同が集まって絆を深める、韓国の人々にとって非常に大切な意味を持つ日です。

日本人にとって最もイメージしやすいのは「お盆と正月が一緒に来たようなもの」かもしれません。ここでは、日本の正月と比較しながら、ソルラルの特徴を3つのポイントで解説します。

違い①:日付の基準は「旧暦」か「新暦」か

最も大きな違いは、お祝いする日付の基準となる暦です。韓国のソルラルは、旧暦の1月1日を祝うため、毎年日付が変わります。

一方、日本の正月は、現在私たちが使っている新暦の1月1日です。ちなみに、韓国でも新暦の1月1日は休日になりますが、単に1年の始まりという位置づけなので、大晦日や三が日は休日ではありません。

違い②:過ごす相手は「親族一同」か「家族単位」か

新年の過ごし方にも、文化的な特徴が表れます。韓国のソルラルでは、父方の実家に親戚一同が集まるのが伝統的な過ごし方です。「帰省ラッシュ」は「民族大移動」と表現されるほどで、多くの人が故郷を目指します。これは、儒教の教えに基づき、家系や血縁の繋がりを重んじる文化が色濃く反映されています。

対して日本の正月は、核家族単位で自宅でゆっくり過ごしたり、友人や恋人と出かけたりと、より多様な過ごし方が見られます。もちろん帰省する人も多いですが、韓国ほど「親族一同で集まる」という意識は強くないかもしれません。

違い③:重要な儀式は「先祖供養」か「新年祈願」か

新年に何を行うかという点も、日韓で焦点が異なります。韓国のソルラルで最も重要な儀式は「茶礼(チャレ)」です。これは、ご先祖様の霊をお迎えし、新年の挨拶と感謝を伝える儀式、つまり先祖供養が中心です。

一方、日本の正月は、神社やお寺へ初詣に行き、新しい年の家内安全や個人の幸せを祈願することがメインイベントです。ご先祖様への感謝は、主にお盆の時期に行われます。

このように、新年を迎えるにあたって、誰に感謝や祈りを捧げるかという点に大きな違いがあるのです。

韓国の旧正月(ソルラル)当日の伝統的な過ごし方

では、韓国の家庭ではソルラルの当日をどのように過ごすのでしょうか。一般的な一日の流れを時系列で見ていきましょう。

新しい服(ソルビム)に着替えて新年を迎える

ソルラルの朝は、新しい服に着替えることから始まります。この新しい服を「ソルビム」と呼びます。伝統的には韓服(ハンボク)を着ますが、現代では新しい洋服や綺麗な普段着で済ませる家庭も増えています。

「新しい服で心機一転、清々しい気持ちで新年を迎える」という意味が込められており、日本の新年に「書き初め」をして気持ちを新たにする感覚と少し似ているかもしれません。子どもたちにとっては、新しい服を着られる嬉しい風習の一つです。

韓服を着て微笑んでいる女の子

ご先祖様に感謝を伝える儀式「茶礼(チャレ)」を行う

ソルビムに着替えたら、家族全員で「茶礼(チャレ)」という儀式を執り行います。これは、ソルラルで最も重要とされる、ご先祖様へ新年のご挨拶と感謝を伝える儀式です。

チャレでは、前日から準備したたくさんの料理をお供えします。お供え物の並べ方には「魚東肉西(魚は東、肉は西)」「紅東白西(赤い果物は東、白い果物は西)」といった細かなルールがあり、ご先祖様への敬意を表します。儀式では、家族全員でご先祖様に向かってお辞儀をし、一年の安寧を祈ります。

年長者へ新年の挨拶「セベ」をする

チャレが終わると、次は年下の者が年長者へ新年の挨拶をする「セベ」が行われます。

子どもたちは、両親や祖父母、親戚の大人たちの前で、韓国式の土下座(クンジョル)をして「새해 복 많이 받으세요(セヘ ボッ マニ パドゥセヨ/明けましておめでとうございます)」と挨拶をします。
挨拶を受けた年長者は、お返しに「徳談(トクダム)」と呼ばれる、健康や学業成就などを願う温かい言葉をかけ、お年玉である「セベットン」を渡します。目上の人を敬う心を育む大切な風習です。

ソルラルに欠かせない!特別な意味が込められた伝統料理

ソルラルには、特別な意味を持つ伝統料理が食卓に並びます。どれも一年の幸せや健康を願う気持ちが込められた、心温まる料理ばかりです。ここでは代表的な3つの料理をご紹介します。

トックク(韓国のお雑煮):これを食べないと歳をとれない?

ソルラルを象徴する料理が、うるち米で作った餅(トック)を入れたスープ「トックク」です。日本の雑煮にあたる料理で、牛肉や鶏肉でとった出汁であっさりと仕上げるのが一般的です。

このトッククには面白い風習があり、「一杯食べると一つ歳をとる」と言われています。そのため、早く大人になりたい子どもがおかわりをねだる微笑ましい光景も見られます。

純粋さや新年を清く始めるという意味を持つ真っ白な餅と、長寿を願う細長い餅の形が特徴的な、縁起の良い一品です。

トックク

ジョン(チヂミ):種類豊富で彩り豊かな名脇役

ジョンは、広い意味では日本でいう「チヂミ」の仲間です。チャレのお供え物としても欠かせない存在で、ソルラルの食卓を華やかに彩ります。

ジョンは薄切りにした魚や肉、ズッキーニ、豆腐などに衣をつけて焼いたもので、非常に種類が豊富です。たくさんの種類のジョンを準備するのは手間がかかるため、「名節(ミョンジョル)労働」という言葉が生まれるほどですが、その彩りの豊かさは新年の食卓にぴったり。家族みんなで少しずつつまむ、名脇役的な存在です。

ジョン

カルビチム(牛カルビの煮込み):家族が集まるご馳走

カルビチムは、牛の骨付きカルビを醤油ベースの甘辛いタレでじっくりと煮込んだ、豪華な肉料理です。

親族が大勢集まる特別な日に食べるご馳走の定番で、その美味しさは子どもから大人まで大人気です。柔らかく煮込まれたお肉は、まさに絶品。手間暇かけて作られるカルビチムは、家族の健康や幸せを願う気持ちが込められた、お祝いの席にふさわしい一品と言えるでしょう。各家庭に秘伝のレシピがあり、「我が家の味」として受け継がれています。

カルビチム

【日韓比較】子どもが主役!お年玉と伝統的なお正月遊び

子育て世代にとって気になるのが、お年玉や新年の遊びではないでしょうか。ここからは、子どもが主役になるソルラルの文化を、日本の正月と比較しながらご紹介します。

韓国のお年玉「セベットン」とは?

前述の「セベ」の後に子どもたちがもらえるお年玉は「セベットン」と呼ばれます。日本と同じように、子どもたちにとってはソルラル最大の楽しみの一つです。

日本のような絵柄の入った「ポチ袋」はあまり一般的ではなく、白い封筒や祝儀袋に入れて渡すことが多いようです。

家族みんなで盛り上がる!韓国の伝統的な正月遊び3選

食事が終わると、家族団らんの時間です。韓国にも昔ながらの伝統的な正月遊びがあり、世代を超えて楽しまれています。

ユンノリ(윷놀이)
すごろくによく似た、韓国で最も代表的なボードゲームです。サイコロの代わりに「ユッ」と呼ばれる4本の木の棒を投げて、出た目に従って駒を進めます。ルールが簡単で、2チームに分かれて遊ぶため、家族や親戚みんなで白熱した戦いを楽しめます。
ヨンナルリギ(연날리기)
日本と同じく、韓国でも凧揚げは人気の正月遊びです。凧に「送厄迎福(悪いものを送り、福を迎える)」という文字を書き、空高く揚げて厄払いをします。
ペンイチギ(팽이치기)
日本のコマ回しにあたる遊びです。紐を巻きつけて回したコマを、さらに紐で叩きながら勢いをつけて、誰が一番長く回し続けられるかを競います。子どもたちが夢中になる、昔ながらの遊びです。

ユンノリの道具

旅行前にチェック!ソルラル期間中の韓国に関するQ&A

「ソルラルの連休中に韓国旅行を計画したい!」と考える方もいるかもしれません。しかし、多くの人が帰省や休暇に入るため、普段とは街の様子が異なります。旅行者が快適に過ごすためのポイントをQ&A形式でまとめました。

Q1.ソルラル連休中、お店や観光地は閉まっていますか?

お店によりますが、主要な観光地や大型商業施設は営業していることが多いです。

個人が経営する食堂や商店、市場などは休業する傾向にあります。とくに、ソルラル当日は休むお店が多いので注意が必要です。

一方で、デパートや大型マート、免税店、フランチャイズのカフェやレストランなどは、営業時間を短縮しつつも開いている場合がほとんどです。また、景福宮(キョンボックン)などの古宮や博物館、テーマパークといった主要な観光施設は、むしろソルラルに合わせた特別イベントを開催することが多く、旅行者でも楽しめます。

Q2.交通機関は混雑しますか?移動の注意点は?

地方へ向かう長距離交通機関は「民族大移動」で非常に混雑します。

ソルラル連休の前後は、帰省する人々で高速鉄道(KTX)や高速バス、国内線の飛行機が満席になります。この期間に地方都市への移動を計画している場合は、チケットの早期予約が必須です。

一方、ソウル市内の地下鉄やバスなどの公共交通機関は、帰省で都心から人が少なくなるため、普段より空いている傾向にあります。ただし、連休中は運行本数が減る可能性もあるため、移動の際は事前に運行情報を確認しておくと安心です。

すぐに使える!新年の挨拶で使う韓国語フレーズ

最後に、韓国人の友人や知人、ビジネスパートナーに使える新年の挨拶フレーズをご紹介します。ぜひこの機会に覚えて、コミュニケーションに役立ててみてください。

새해 복 많이 받으세요(セヘ ボッ マニ パドゥセヨ)
「明けましておめでとうございます」の最も一般的な表現です。「新しい年に福をたくさん受け取ってください」という意味があり、相手の幸せを願う気持ちが伝わります。目上の方にも友人にも使える万能なフレーズです。
행복한 새해 되세요(ヘンボッカン セヘ ドェセヨ)
「幸せな新年になりますように」という意味で、よりカジュアルで親しみやすい表現です。友人や親しい同僚などに使うと良いでしょう。
올 한 해도 잘 부탁드립니다(オル ハネド チャル プタットゥリムニダ)
「今年もよろしくお願いいたします」という意味の丁寧な表現です。ビジネスシーンや目上の方への挨拶に添えると、より気持ちが伝わります。

まとめ

2026年の韓国の旧正月「ソルラル」は2月17日(火)で、直前の週末と合わせると14日(土)~18日(水)の5連休になります。

ソルラルは単なる祝日ではなく、ご先祖様への感謝と家族の絆を再確認する、韓国の文化と心が凝縮された大切な期間で、日本の正月とは異なる文化が色濃く残っています。次の旅や交流のきっかけに、一味違う新年の過ごし方を楽しんでみてください。

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