季節の行事

2023年の冬至はいつ?起源や歴史・意味など伝統行事を分かりやすく解説

冬至は1年で1番昼が短く夜が長い日です。古くから多くの国で太陽の再生として祝われてきました。日本でもゆず湯に入ったり、かぼちゃなどを食べたりする伝統があります。本記事では冬至について理解を深めると共に、家族や親しい人と冬至を楽しむヒントをご紹介します。

冬至を祝う伝統と習慣!意味と由来を知り次世代に伝えたい

冬至は、北半球が1年で最も太陽から離れる日です。日照時間は短く、太陽の光は弱くなります。この日を境に、再び北半球は太陽に近づくため、冬至は古くから「太陽の生まれ変わる日」として祝われてきました。

本記事では冬至と太陽との関係や「冬至の日」が決まっていない理由、また古来から世界中で祝われてきた冬至のお祭りを紹介します。現代では「冬至」というと、多くの人はかぼちゃやゆず湯を連想するでしょう。本記事では、かぼちゃやゆず湯の習慣が始まった時期や由来も説明します。

冬至とは?2023年の冬至はいつ?

冬至とは?2023年の冬至はいつ?
2023年の冬至は12月22日(金)です。ここからは、天文の世界から冬至とはどんな日なのかを見てみましょう。

冬至と太陽の関係

冬至と太陽の関係

冬至は、北半球では正午の太陽の高さが1年中で最も低くなり、日中の時間も最も短くなります。

冬至を境に再び太陽の光は強く、日は長くなっていきますが、寒さは別です。というのも、気温が上昇するには陸と海が温められなければならず、温められるまでには1か月半ほどかかってしまうからです。そのため、冬至の最も弱い太陽が気温に反映されるのは、2月上旬。立春の頃が最も寒くなってしまうのですね。

一番寒いのは冬至から1か月半ほど経った頃です。太陽の光が地球を温めるには、陸と海が太陽の熱を受けるまで45日かかるため、冬至の最も少ない熱は、2月上旬に反映されます。そのため立春の頃が最も寒いのです。

冬至を過ぎてから本格的に寒くなる、という意味のことわざもあります。「冬至冬中冬始め(とうじふゆなかふゆはじめ:冬至は暦の上では冬まっただなかだが、本当の寒さはこれからだな)」ということわざです。

出典:出典:国立天文台「季節とは」

二十四節気とは?

二十四節気とは?

二十四節気とは、中国で生まれた季節の変化を表す指標です。1年を24等分して、それぞれを約15日の「節気」にし、気候の移り変わりを表しました。四季ごとの6つの節気があり、節気の名と意味を以下の表にまとめました。

  二十四節気 時期 意味
立春(りっしゅん) 2月 4日頃 春の気配が感じられる頃
雨水(うすい) 2月19日頃 雪が雨に変わる頃
啓蟄(けいちつ) 3月5日頃 土中の虫が這い出してくる頃
春分(しゅんぶん) 3月21日頃 昼夜の長さがほぼ同じの日
清明(せいめい) 4月5日頃 あらゆるものに春の活気が満ちる頃
穀雨(こくう) 4月20日頃 穀物をうるおす雨が降る頃
立夏(りっか) 5月5日頃 夏の気配が感じられる頃
小満(しょうまん) 5月21日頃 草木が周囲に満ち始める頃
芒種(ぼうしゅ) 6月6日頃 稲などを植え始める頃
夏至(げし) 6月21日頃 昼の長さが最も長くなる日
小暑(しょうしょ) 7月7日頃 夏の暑さが始まる頃
大暑(たいしょ) 7月23日頃 一年で一番暑い頃
立秋(りっしゅう) 8月8日頃 秋の気配が感じられる頃
処暑(しょしょ) 8月23日頃 暑さもおさまってくる頃
白露(はくろ) 9月8日頃 白く光る露が草に宿る頃
秋分(しゅうぶん) 9月23日頃 昼夜の長さがほぼ同じの日
寒露(かんろ) 10月8日頃 冷たい露が草に宿る頃
霜降(そうこう) 10月24日頃 霜が降り秋が終わる頃
立冬(りっとう) 11月7日頃 冬の始まる頃
小雪(しょうせつ) 11月22日頃 雪が降り始める頃
大雪(たいせつ) 12月7日頃 雪が降り積もる頃
冬至(とうじ) 12月21日頃 夜の長さが最も長くなる日
小寒(しょうかん) 1月5日頃 厳しい寒さが訪れる頃
大寒(だいかん) 1月21日頃 一年で一番寒い頃

気候などの変化で現代の日本とは少しずれているものもありますが、農作業では目安として使われています。また、改まった季節のあいさつでも「〇〇の候…」と使われます。

出典:国立天文台「二十四節季とは」

冬至はなぜ毎年変わるの?

地球が太陽の周りを公転している周期は365日と6時間弱です。この6時間弱のずれのために、少しずつずれていきます。そして4年に1度うるう年でリセットされるのですが、6時間には少し足りないため、うるう年があっても完全に4年前と同じにはなりません。このずれが積み重なって、冬至の日は時々12月22日ではないことがあるのです。最近では2020年の冬至が12月21日でした。

出典:国立天文台ニュース「質問3-2)春分の日はなぜ年によって違うの?」

冬至の歴史

冬至の歴史

冬至は「太陽の生まれ変わる日」として、古くから世界中で祝われてきました。冬至の歴史をひも解いていきましょう。

新しい年の始まりとしての冬至

古代中国では、陽の光が最も弱くなった冬至を「陰が極まった日」と考えていました。しかし、冬至を境に太陽は勢いを増していくため、太陽が生まれ変わるという意味で、冬至を「一陽来復」と祝ったのです。

この言葉は四字熟語となって今も残っています。冬が去り春が来ること、新しい年がくること、という意味から、「悪いことが続いたけれども、ようやく回復して幸運に恵まれる」という意味で使われます。

世界中で祝われてきた冬至

冬至を祝った遺跡は、北半球の至るところに残っています。農耕でも日々の暮らしでも太陽に依存するしかなかった時代、陽の光が強くなる喜びは今よりはるかに大きかったのでしょう。その中からアイルランド、イギリス、北欧を紹介します。

アイルランド

アイルランド
アイルランドには、建設年代がエジプトのピラミッドよりも古いと推定されるニューグレンジ古墳があります。この古墳は年に1度だけ、冬至の朝日が長い通路に差し込むように設計されています。

イギリス

イギリス
イギリスのストーンヘンジはテレビや雑誌で見たことのある人も多いでしょう。ストーンヘンジの同心円は、夏至の日の出と冬至の日の入りに合わせて配列されています。

北欧

北欧のゲルマン人は「ユール祭」で冬至を祝いました。緯度の高い北欧では、冬至の頃には日が昇りません。その闇の中でユールログという薪を燃やし、新しい日の出を待ちました。このユールログはクリスマスのケーキのブッシュドノエルとして、現代にも残っています。

冬至祭がクリスマスの起源であるとも

キリスト教の登場以前から、人々は「太陽の再生」として冬至を祝っていました。古代ローマの人々は、太陽神ミトラを信仰しており、冬至は太陽の復活として、サートゥルナーリア祭を祝っていました。そのお祭りでは、人々は常緑樹を飾り、ごちそうを食べ、贈り物を交換しており、今日のクリスマスの起源とも考えられています。

日本の伝統行事としての冬至

日本の伝統行事としての冬至
日本人は昔、冬至をどのように祝い、生活に取り入れていたのか、日本の伝統行事としての冬至を見ていきましょう。

遣唐使によって伝えられた冬至

日本には古来から「冬至」を祝う習慣はありませんでした。日本に冬至を伝えたのは、中国で学んだ僧や貴族でした。遣唐使として派遣され、帰国した僧や貴族たちが冬至を紹介し、8世紀初頭の続日本紀には、宮中行事として冬至が祝われていたことが書かれています。

冬至の行事食~小豆、かぼちゃ、「ん」のつく食べ物

中国では6世紀の書物に、冬至に小豆粥を食べ、疫鬼を払ったという記述が見られることから、古くから小豆粥を食べる習慣があったことがわかります。赤い色は魔除けとして邪を払うと考えられており、この習慣は平安時代の貴族の間にも伝えられていました。

かぼちゃが日本で食べられるようになったのは江戸時代からで、江戸時代には広く栽培されるようになっていました。江戸時代も中期になると、冬至にかぼちゃや小豆粥を食べ、ゆず湯に入って無病息災を願うことが広がりました。野菜の少ない冬場、冬に収穫されて保存もきき、栄養価も高いかぼちゃは、風邪や中風の予防に良いとされたのです。

また、冬至を境に「運が向いてくる」ということから、大根、人参、レンコンなど「ん」がつく食べ物は、「運がつく」として、好んで食べられていたようです。

江戸時代から始まったゆず湯

江戸時代から始まったゆず湯

5月の端午の節句には菖蒲湯(しょうぶゆ)に入り、冬至にはゆず湯に入るという習慣も、江戸時代に広まりました。冬至に体を清めるとともに、香りの強いゆずで邪を払うと考えられていたようです。さらにゆずの効能として、あかぎれに効く、風邪をひかない、などの経験則も広まっていました。

冬至の楽しみ方

冬の厳しい寒さは冬至から本番ではありますが、戸外で、家で、冬至を楽しんでみてはいかがですか? ここでは冬至を楽しむヒントをご紹介します。

年末詣を楽しむ

年末詣を楽しむ
年の初めにこの1年の幸せを願ってお参りするのが初詣ですが、年末に、この1年、無事に過ごせたお礼を伝えるのが年末詣です。一般的に冬至から大みそかの間にお参りするのが「年末詣」とされています。

特に、古い暦では冬至を新しい年の始めと考えていたため、冬至には神社などでイベントが用意されているところもあります。冬至には神社に出向いて、この1年を振り返るのも良い過ごし方ですね。

冬至の夜空を楽しむ

1年で最も長い、冬至の夜空を楽しみましょう。北風が大気中の塵を吹き飛ばしてくれるため、冬至の頃は都会でも星が見やすくなっています。キラキラとまたたく星を「きれいだな」と見上げるだけでもいいのですが、いくつか目立つ星を知っておくと、星空が身近に思えてきます。国立天文台のWebサイトでちょっと予習をするだけで「あれが金星」「あれが木星」「あれが冬の大三角形」とわかりますよ。

出典:国立天文台ニュース「2021年12月の星空情報」

ゆず湯を楽しむ

年末詣に出かけたり、星を見たり、戸外で過ごした後は、ゆっくりとゆず湯で温まりましょう。

「ゆず湯もいいけれど、後片付けが…」と思われる方は、布袋を使うと浴槽が汚れたり排水溝が詰まったりすることもありません。カットしたゆずを布袋に入れて湯船に浮かべると、少ないゆずでもさわやかな香りを満喫できますよ。

まとめ:季節と共にある生活を楽しみ、冬至をお祝いしよう

祝日である春分や秋分と比較して、冬至や夏至は意識されにくい日です。スーパーの店頭でかぼちゃやゆずが積み上げられているのを見て、「そういえば今日は冬至だった」と思い出す人も多いのではないでしょうか。

自然との調和が改めて求められる現代、冬至を境に再び強さを増す陽の光を、古代の人と同様にお祝いするのも大切なことかもしれません。ゆず湯やかぼちゃなどの行事食の習慣も、電化製品や暖房設備も限られていた時代の生活の知恵として始まったものです。こうした習慣を今に取り入れ、冬至を機に、先人の生活や工夫に思いをはせてはいかがでしょうか。

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