教えて家電王!Vol.11 便利さとエコは両立可能!環境のために私たちが選択すべき家電とは?
日本でも2020年11月に「気候非常事態宣言」が出され、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて様々な取り組みが始まるなど、温室効果ガスによる地球温暖化への対策は年々注目が高まっています。私たちにできることは、家庭での省エネに取り組み、温室効果ガスの排出を減らすこと。「環境のため」というとなんとなくガマンしなければという気持ちになりますが、環境への負荷が少ない家電も数多く登場しています。今回は、未来のために私たちが選びたい家電を、家電王こと中村さんに紹介していただきました。
教えてくれる人
中村 剛
(なかむら つよし)さん
東京電力エナジーパートナー株式会社 勤務
2002年に『TVチャンピオン』スーパー家電通選手権で優勝し、銀座にて体験型ショールーム「くらしのラボ」の開設と運営に従事。現在は“家電王”として動画マガジン『くらしのラボ』をFacebookとYouTubeで毎週配信しているほか、テレビや雑誌、新聞などの様々なメディアで暮らしに役立つ情報を発信している。無類のネコ好き!
目次 [CLOSE]
省エネの優等生。エアコンを使わないのはナンセンス!
皆さんもご存じかと思いますが、世界的に問題になっている「地球温暖化」。二酸化炭素などの温室効果ガスの排出がこのまま進めば、気温はさらに上昇することが予測されており、それを防ぐために温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を2050年までに達成することを日本は目指しています。
日本の二酸化炭素の排出量のうち、約14%は家庭からの排出分となっており、私たちが普段の生活の中でいかにエネルギーを効率的に使うか(=省エネ)も非常に重要です。省エネというとよく、夏のエアコン冷房が槍玉にあげられますが、経済産業省・資源エネルギー庁の「エネルギー白書2020」によれば、家庭におけるエネルギーの用途別内訳は、暖房25.4%、給湯28.4%に比べて冷房はわずか3.2%。これを考えれば、夏場、熱帯夜になどでエアコンを使わないのはナンセンスです。熱中症で亡くなるという事例まであります。それに睡眠不足による作業効率低下や、居眠り運転の事故などを考えると、きちんとエアコンを使って体調を整えることを優先するほうが、ずっと効率的に過ごすことができるのではないでしょうか。
参照:経済産業省・資源エネルギー庁の「エネルギー白書2020」
暖房と給湯は、性能が良い製品を使えば手軽に省エネ
家での省エネ方法といえば、電気をこまめに消す、冷蔵庫のドアを開けっぱなしにしない、などという方法をよく目にしますが、上記のように家庭でのエネルギーの内訳をみると、半分以上を熱利用、つまり暖房と給湯が占めていることがわかります。いかに暖房と給湯を省エネするかがキーポイントというわけです。
暖房と給湯については、性能が良い製品を買えば手軽に省エネを実践してくれます。
給湯器では、電気を使ってお湯を沸かすものでは「エコキュート」がおすすめ。従来の給湯器は水を貯めたタンクを電気ヒーターで加熱してお湯を沸かす仕組みのため、多くの電力を消費して非効率的でしたが、エコキュートは空気の熱を使ってお湯を沸かす仕組みなので、電力の消費が少なくて済みます。
また、ガスを使ってお湯を沸かすものでは、熱を無駄にしない「エコジョーズ」や電気とお湯を同時につくり出す「エネファーム」が省エネに適しています。
ポイントは、エネルギー効率の高い給湯器を選ぶこと。これは今すぐ買い換える訳にはいかないものですが、日頃から意識しておいて、いざ壊れたときに自分に合った製品を選択できるようにしておきましょう。
環境に優しく、最も効率的な暖房とは?
暖房については選択肢がいろいろありますね。火の燃えている雰囲気(ガスストーブ)が好きだという方も多く、その気持ちも理解できますが、「燃やす=空気を汚す(CO2、SOx、NOx発生 ※1)」ということも意識しておく必要があると思います。
実は暖房の中でも、エネルギー効率がとても良いのがエアコン暖房。ヒートポンプという仕組みを使うことで熱を効率的に移動させることができ、ヒートポンプを稼働させるエネルギーに対し、運ぶ熱の方が大きくなるため、電気を使う他の暖房方式よりも格段に効率がよくなります。
それと、給湯器の「エコキュート」と組み合わせた床暖房の導入もおすすめですね。エコキュートで暖めたお湯を温水式床暖房パネルに流すことによって床面を暖めるという仕組みで、とても効率的です。熱だけ与えて空気を汚さないのが一番ですね。
※1:二酸化炭素(CO2)、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)
温水式のクリーンな床暖房で足元からポカポカ♪
床暖房のメリットは、室内で火を使わず、空気を汚さないクリーンな暖房システムということ。エアコンのように温風を対流させる方式ではないため、空気の乾燥が少なく、ホコリも立ちません。送風音や燃焼音もなく、とても静かなのも魅力です。パナソニックの床暖房機器付エコキュートDFシリーズは、最大20畳の部屋まで床暖房を導入でき、省スペースで「台所・洗面」「ふろ」「床暖房」の3役をこなす優れものです。
●パナソニック エコキュート
https://sumai.panasonic.jp/hp/
古い冷蔵庫はできるだけ早くリサイクルを!
今の冷蔵庫は断熱性がかなり向上しており、省エネを考えたときに、冷蔵庫の開け閉めというのは、実はそう問題ではないと思っています。1年間で考えたときに、ドアを開放している時間の合計って1時間もあるでしょうか? 確かに昔の冷蔵庫は断熱性が悪く、冷やすのに多大なエネルギーを使用したため、開け閉めを早くするのが重要でした。ただ、今の冷蔵庫は真空断熱材を導入したため、効率的に断熱できるようになりました。ですから、もし20年とか前の冷蔵庫を使っている方はできるだけ早くリサイクルに出し、新しい冷蔵庫に買い換えるほうが世の中のためになりますね(笑)。
それよりも冷蔵庫を開けっぱなしにしておくとアラーム音がなり、焦って閉めてしまうと思うのですが、それによって冷蔵庫の中身をきちんと把握できずにフードロスになってしまったり、食品を入れる場所なのに掃除ができていなくて衛生的でないなど、そちらのほうが問題ではないでしょうか。
重量センサー+スマホでフードロスを削減!
省エネは電気に限ったことではありません。「フードロス」も家庭で気にしておきたいポイントです。皆さんは冷蔵庫の中身をきちんと把握していますか?使いきれずに捨ててしまったり、だぶって買ってしまうものがかなりあるのではないでしょうか。
廃棄された食品はその多くが可燃ごみとして焼却され、CO2を排出することに。省エネのために冷蔵庫のドアを早く閉めるより、じっくりと冷蔵庫の中を見て在庫を把握し、フードロスを出さないことの方が、各家庭でできる省エネ対策としては近道です。
そこで役立つのが、冷蔵庫内の食材の残量を重量で感知し、ストック管理をしてくれるシステム。代表的なものには以下のようなものがあります。
「重量検知プレート」とスマホの連携でストック管理をサポート「パナソニック ストックマネージャー」
パナソニックの「ストックマネージャー」は、重量検知プレートを使ってスマホのアプリでストックを管理することできます。
冷蔵庫の中に重量検知プレートを設置し、その上に食材を置きます。その重量により、在庫量を管理。離れた場所からでもキッチンポケットアプリを使ってスマホで確認できるので、「まだ冷蔵庫に残っているのにダブって買ってしまった」という食品ロスを防ぐことができるんです。
利用期限の設定や、使い忘れ通知の設定もでき、食材をダメにしてしまうのを避けられるのもいいですね。冷蔵庫で使うことを想定された商品ですが、冷蔵庫の中以外でも、例えば猫のごはんとかの管理にも使えます(笑)。
パナソニック ストックマネージャー
https://panasonic.jp/reizo/function/stock.html
残量チェックから購入までスマホで管理「日立 スマートストッカーR-KC11R」
日立の「スマートストッカー R-KC11R」は、小型のサブ冷蔵庫として使うタイプ。さまざまな空間にすっきり収まるフラットデザインで、整理しやすく使いやすい庫内が特徴です。
冷蔵庫内の2段目と5段目に重量センサーが搭載されており、スマホとつなげて、保存している食品の重さでストック管理をすることができます。
事前に購入サイトを登録しておけば、スマホから商品の購入も可能。残量を確認したうえで購入できるので、ストック切れも、ダブって購入してしまうこともありません。残量が少なくなったときの通知機能もあります。
日立「スマートストッカー R-KC11R」
https://kadenfan.hitachi.co.jp/rei/lineup/rkc11r/
今回は、地球温暖化の原因となるCO2の排出を減らすために使いたい省エネ家電を紹介しました。我慢をして生活するのではなく、省エネに適した家電を使って便利さも両立させながら、地球に優しい生活を心がけましょう。
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