スタートアップとは?特徴やベンチャーとの違いを解説!
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スタートアップとは?
スタートアップとは、イノベーションにより短期急成長を目指す企業のことです。イノベーションとは、新しい商品やサービス、ビジネスモデルなどを生み出すことを指します。
「スタート」という単語が含まれていることから、“起業したて”のようなイメージを持たれることもありますが、それは誤りです。確かに、起業後すぐに事業規模を拡大しているスタートアップも多いですが、たとえば創業50年を超えた老舗企業だったとしても、イノベーションを起こし急成長しているのであればスタートアップに含める、というのが正しい認識です。
スタートアップの特徴
次に、より具体的なスタートアップの特徴について見ていきましょう。ポイントとなるのはイノベーション・成長力・出口戦略の3つです。
革新的なイノベーションを起こしている
従来になかった技術やアイデアを活用することで、社会に新たな価値観を提供することをイノベーションと呼びます。スタートアップは、このイノベーションがなくては始まりません。
後述するもう一つの特徴である「成長力」の規模は、このイノベーションでどれだけ社会に大きなインパクトを与えられるか、という点に左右されます。インパクトが大きく、多くの人の関心を集めるイノベーションを起こしている企業は、その分成長も早くなる傾向にあるからです。
成長力が非常に高い
スタートアップの特徴のひとつに、成長力の高さが挙げられます。
イノベーションが生んだ新たなビジネスモデルの先には、競合のいないブルーオーシャンが広がっています。ファーストペンギン(リスクを恐れず、新しい分野に挑戦する人)の特権とも言うべき需要の独占が叶うため、事業を軌道に乗せることができれば、大きな収益や成長につながる可能性があるのです。
また、自社が独占する市場でさらなるサービス拡大ができれば、より急速な成長が見込めるでしょう。
短期間での出口戦略(EXIT)を持っている
経営者の考え方次第ではありますが、多くのスタートアップは短期間で結果を出すことを目的とした出口戦略(事業から撤退し、収益化するための戦略)を持っています。いわゆる「EXIT」です。
株式を売却して利益を得られれば、次のチャレンジに進めます。スタートアップの創業者は、新しい事業を創ることにやりがいを見出すタイプが多いため、EXITをゴールとしている傾向にあるのです。なお、スタートアップがEXITを行う際は、M&A(株式譲渡・売却)もしくはIPO(株式公開)の手法を用いることが多いです。
スタートアップとベンチャーの違い
ここからはスタートアップと関連性のあるキーワードに対して、その違いを解説していきます。まずはベンチャーとの違いから見ていきましょう。
ベンチャーには明確な定義があるわけではないため、スタートアップと混同されて使われることも多いです。しかし、一般的には、ビジネスモデル・成長の仕方・資金調達方法において以下の違いがあるとされています。
スタートアップ | ベンチャー | |
---|---|---|
ビジネスモデル | イノベーティブなアイデアで新規事業を創出 | 既存のビジネスモデルを基に、新しいアイデアや工夫を加える |
成長の仕方 | 赤字を厭わずサービスの拡大を優先 | 長期計画で黒字を維持しつつ少しずつ成長 |
資金調達方法 | ベンチャーキャピタルなどの投資家から調達 | 助成金や補助金、銀行融資などで調達 |
ベンチャー起業は、既存のビジネスモデルを基とした新しい事業を展開する事業です。既存事業に何らかの変化や改良を加えることで、小規模ながらも確実な成長を目指すのが特徴。安定的な利益を積み重ねていきます。
一方、スタートアップはイノベーションが前提です。既存のビジネスモデルにとらわれない新たな事業を興すことを重視します。そのため、創業初期は大幅な赤字などを抱えるケースも多いですが、最終的に急激な成長とサービス拡大で利益を生み出します。
スタートアップとスモールビジネスの違い
スモールビジネスとは個人事業主やフリーランス、小規模事業者などを含む小規模のビジネスを指します。前項のベンチャーも、大きく分けるとここに含まれるでしょう。スタートアップとの違いは以下のとおりです。
スタートアップ | ベンチャー | |
---|---|---|
ビジネスモデル | イノベーティブなアイデアで新規事業を創出 | 既存のビジネスを基に、小規模でフットワークの軽い事業を行う |
収益性 | 赤字を厭わずサービスの拡大を優先 | 少額ではあるものの安定した売上を目指す |
資金調達方法 | ベンチャーキャピタルなどの投資家から調達 | 自己資産や制度・銀行融資など |
スモールビジネスは名称のとおり、少人数による事業です。スタートアップの場合は、短期で急成長を目指すため、数年後には大人数を抱える企業規模になる可能性があります。
収益性についても、スモールビジネスは小規模です。イノベーティブな事業を手がける企業もありますが、比較的少数でしょう。また、資金調達は自己資金、もしくは制度融資や銀行融資がメインです。
スタートアップの事例
ここからは実際のスタートアップの事例をご紹介します。
- 2004年に、アメリカマサチューセッツ州ケンブリッジで創業したFacebook。CEOのマーク・ザッカーバーグは、当時まだハーバード大学在学中の学生でした。とくにイノベーティブだったのは、実名制の学生交流サービスを、一般層にまで広げたことです。この革新的なサービスは世界中に広まり、2023年現在でも利用され続けています。
- SmartNews(スマートニュース)
- 国内の事業についても見てみましょう。2012年にサービスを開始したSmartNews(スマートニュース)は、天気から世界情勢まで、幅広い情報を無料で届けるニュースアプリです。無料で使えるほか、豊富なコンテンツやパーソナライズされた配信方法などで、Webニュースの読み方をイノベーションしました。
- メルカリ
- メルカリも大きな革新をもたらしたサービスのひとつです。かつて、ネットを使った中古品の売買はオークションなどが主流で、出品・売買に多大な手間がかかっていました。メルカリはスマホひとつで簡単に売買できる、というイノベーションをリユース市場に巻き起こし、2023年現在も多くのユーザーに利用されています。
スタートアップの現状と課題
次に、日本におけるスタートアップの現状と課題についても解説していきます。現状、アメリカや中国に比べると、日本のスタートアップは小規模かつ少数で、成功例も少ないと言えます。この原因は2つのポイントに集約されます。
ひとつはベンチャーキャピタル(VC)の規模です。日本のVCはアメリカの1/100程度のスケールと言われており、2020年度のアメリカのVCによる投資額が16.7兆円なのに対して、日本は0.15兆円です[1]。そのため、提供できる資金も少なく、スタートアップが抱える創業初期の体力不足が解消できません。
加えて、日本の雇用情勢にも要因があるとされています。日本では新卒雇用が重視されているため、起業して失敗するリスクを負うよりも、就職活動をして企業に入社する人が多い傾向にあります。
しかし、こういった状況を打破し、人々が新しい事業に挑戦しやすくするため、さまざまな取り組みが行われています。
経済産業省の取り組み
経済産業省では、新規開業支援資金や新創業融資制度など、さまざまなスタートアップ支援策を実施しています[2]。
また、内閣府にあるイノベーション・エコシステム専門調査会では、以下のような施策を検討しています[3]。
- ベンチャーキャピタルの機能強化
- 起業家の支援・保護
- 起業家マインドの教育
- 企業からの人材流出を容易にする
- 政府や自治体によるスタートアップ支援策のさらなる強化
※2023年2月時点
こういった施策によって、これまでよりも起業家がチャレンジしやすい環境が整えば、日本においてもスタートアップが広がるかもしれません。
スタートアップに向いている人の特徴
スタートアップに対する支援策が拡充される中、「自分もチャレンジをしたみたい」と考える人も増えていくでしょう。そこで、スタートアップに向いている人の特徴についてご紹介します。ご自身に当てはまるかどうか、ぜひチェックしてみてください。
新しいものに注目する好奇心がある人
登場したての技術や、まだ表面化していない社会課題などは、スタートアップにとって大きなビジネスのヒントです。そのため、新しい物事に対するアンテナの感度と好奇心がある人は、スタートアップに向いているといえます。
アイデアをすぐに実行に移せる人
資金もノウハウも少ないスタートアップの武器は行動力。フラッシュアイデアであっても、実行に移せるかどうかが重要です。多少リスクがあっても、すぐに実行に移せる人は、スタートアップに向いているでしょう。
成功するか不確実でも前に進んでいける人
まだ誰も歩んでいない道を歩むのは誰でも不安なもの。しかし、それでも前に進む力がスタートアップには必要です。あくまでも安定を求め、現状維持を考える人には難しい歩みと言えるでしょう。
発想力があり既存のビジネスにとらわれない人
スタートアップは、既存のビジネスを転換するような新たな発想力が必要です。別の角度から物事を見ながら当たり前を覆し、世の中にインパクトを与えるようなアイデアを考える必要があります。
スタートアップで働くには
自ら起業をするだけがスタートアップに参画する方法ではありません。すでに創業しているスタートアップ企業で働くことも手段のひとつです。
スタートアップ企業を探す方法としては、転職サイトの活用、スタートアップが発信するイベントへの参加、インターンシップへの参加、VCからの紹介といった方法があります。ただし、スタートアップは起業間もないためインターネットなどに情報がまとまっていないことも多く、企業研究が難しいという側面もあります。そのため、たとえば登記簿謄本を取り寄せて会社の目的や発行株数、ストックオプションの状況などを確認してみるのもよいでしょう。
また、資金調達方法はスタートアップに関する情報を発信している「BRIDGE」や「TechCrunch」などのサイトを見るのがおすすめです。ここに公開されていない場合も、ビジネスSNSの「Wantedly」の情報やタグなどに“資金調達済み”と書いてあるか確認することで、ある程度状況が把握できるかもしれません。そのほか、VCのサイトにある投資先一覧などをチェックしてみてもよいでしょう。
SNSを使った求職活動も効果的
気になっているスタートアップの創業者や人事担当者などのSNSアカウントを見つけたなら、コンタクトを取ってみるのもおすすめです。自分から直接連絡するという点で、熱意が伝わりやすくなるため、採用の可能性も高まるかもしれません。
ただし、「相手も自分のSNSを見ることができる」という点は忘れないでおきましょう。スタートアップの採用はスキルや経験だけでなく、ビジョンに共感できる人間性なども大きな判断材料になります。過去の発言も含めてご自身のポートフォリオだという意識を持ちましょう。
まとめ
スタートアップは、イノベーションと成長によって社会に変化を与える存在です。まだまだ日本では根付いていない側面もありますが、今後さまざまな支援によって活性化する可能性があります。起業を目指す方はもちろん、これから転職を考える方も、ぜひ選択肢のひとつとして情報収集してみてはいかがでしょうか。
- 内閣官房 成長戦略会議事務局:
基礎資料 - 経済産業省:
スタートアップ支援策 - 内閣府:
イノベーション・エコシステム専門調査会
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