フランス料理のマナーや服装を解説!フレンチレストラン特有の注意点
恋人や家族との記念日など、特別な日にフレンチレストランでのディナーを計画する人もいるでしょう。大人な雰囲気の店内と色とりどりの料理を思い浮かべてワクワクする一方、馴染みのないフランス料理店のマナーに不安を覚える人も多いのではないでしょうか。
本記事では、フランス料理における服装、ナイフ・フォーク・ナプキンの使い方、食べ方、会計など、準備から退店までのマナーをご紹介します。急な食事でもスマートに振る舞えるように備えておきましょう。
目次 [CLOSE]
フランス料理を食べるときの基本的なマナー・注意点
フランス料理にはさまざまなマナーがあります。フレンチレストランを訪れる前に、基本的なテーブルマナーをマスターしましょう。
フランス料理店での基本的なマナーは以下の通りです。
- 服装は店の格式に合ったものを選ぶ
- バッグは小ぶりなものを選択する
- 香水や化粧品など、香りが強いものは避ける
- 席には左側から座り、テーブルとの間隔は握りこぶし2個程度あける
- 店内や料理を撮影する際は許可を取る
- お手洗いは食前・食後に行く
- ナプキンやカトラリーを落としても拾わず、スタッフを呼ぶ
- 食事はなるべく残さない
これらのマナーを意識するだけで、基本的な振る舞いはできるでしょう。
ここからは、服装や食べ方などのマナーを項目別に詳しく解説していきます。
【格式別】フレンチレストランに行くときの服装マナー
フレンチレストランにはいくつかの格式があり、格式によって服装のマナーが異なります。格式が高いレストランにはドレスコードがあることが一般的です。
ここでは、格式別の服装のマナーについて詳しく解説します。ドレスコードに沿わなければ入店できない場合もあるため、しっかりと覚えておきましょう。
グランメゾン:正装が必須
グランメゾンはフレンチレストランで最も高い格式です。基本的にはドレスコードがあり、服装のマナーが最も厳しいとされています。
男性はスーツに革靴が基本ですが、ネクタイは必要ない場合があります。靴は綺麗に磨いておきましょう。
女性はビジネス用ではないスーツやワンピース、靴はパンプスのようなヒールがあるフラットではないものを選びます。アクセサリーはネックレスやブローチなど、華やかなものを着用すると良いでしょう。
オーベルジュ:セミフォーマルな装いが必要
オーベルジュは宿泊機能付きの高級レストランで、カジュアルすぎない服装が適切です。
男性はグランメゾン同様、ジャケットと革靴の着用が基本です。
女性はパンツスタイルよりも、ワンピースが好まれます。仕事から直接向かう場合は、ジャケットやインナーを光沢のあるものへ着替えたり、アクセサリーを付けたりして華やかさを付け足すことがおすすめです。
ビストロ・ブラッスリー:カジュアルな服装でもOK
ビストロ、ブラッスリーはどちらもカジュアルなフランス料理店です。ドレスコードが指定されていることはまれで、普段着ているカジュアルな服装で問題ありません。
ただし、お店の雰囲気に即した服装をするようにしましょう。カジュアルといえど、ジャージや短パン、サンダルは避けるようにしてください。
共通:お店ごとのドレスコードを確認しておこう!
フレンチレストランは、お店によってドレスコートの有無や適切な服装が異なります。格式だけでなく、お店の雰囲気に合った装いが重要です。ドレスコードの指定がない場合も、お店に合わせた服装選びを心がけましょう。
カジュアルなお店を除いて、デニム、ハーフパンツ、サンダルなどの服装はマナー違反です。また、「スマートカジュアル」のように服装の指定が曖昧なときは、男性はジャケットと襟付きのシャツ、女性はワンピースを着用すると無難でしょう。
不安であれば、事前にお店への確認をおすすめします。
ナイフ・フォークの使い方
フランス料理では、ナイフ・フォーク・スプーンといったカトラリー(食事に使う道具の総称)を使います。テーブルに並べられたカトラリーは、外側から順に使う必要があります。
左手にフォーク、右手にナイフを持ちます。左利きの場合は逆で問題ありません。ナイフ、フォーク共に付け根部分に人差し指を添えて持ちましょう。
食事中の置き方
食事中にワインを飲む場合などは、ナイフとフォークをお皿の上で八の字に置きます。時計でいうと4時と8時の位置です。
このときナイフの刃は内側(自分の方)へ、フォークは背を上にします。
食後の置き方
食後は、ナイフとフォークを揃え、お皿の上で3時の位置に置きましょう。イギリスでは4時の位置に置くというマナーもあります。
ナイフやフォークを落とした時は、自分で拾わないようにしてください。スタッフを呼んで拾ってもらいましょう。
ナプキンの使い方
席に置いてあるナプキンは食事の前に広げることがマナーです。2つ折りにし、折り目を自分のおなかに向けてひざの上に置きます。
ナプキンは、口や手が汚れたときに使用するため、汗や鼻を押さえる使い方は避けましょう。
席を立つ時の置き方
席を立つ際は、ナプキンは軽く畳んで椅子の上に置きます。背もたれではなく、座面に置きましょう。
注文前や食事が出てくる間に席を立つことはマナー違反です。お手洗いは、なるべくデザートの前や会計の前に済ませましょう。
食後の置き方
食事を終えたら、ナプキンは簡単に畳んで机の上へ置きましょう。ナプキンを綺麗に畳まないことで、「畳むのを忘れるほど美味しかった」という満足感を表します。
逆に、綺麗に畳むと「美味しくなかった」という意味になります。感謝やマナーの意から綺麗に畳んでしまわないように気をつけましょう。
フランス料理のテーブルマナーをコースの流れに沿って解説
フランス料理には、料理の食べ方・飲み方にもマナーがあります。ここからは、フランス料理のメニュー別に、正しいお食事マナーをご紹介します。
フランス料理のマナーを把握し、綺麗な食べ方を意識しましょう。
ドリンクの注文とグラスの持ち方
フランス料理店では、初めに食前酒を注文するというマナーがあります。メニューに迷った場合は、シャンパンを注文しましょう。
グラスは、足の部分を親指・人差し指・中指の3本の指で持ちましょう。これは、グラスの上部を持つと、手のぬくもりでドリンクがぬるくなることを防ぐためです。
なお、料理の味が分からなくなるソフトドリンクは、頼まないことがベターです。お酒が苦手な場合は、ミネラルウォーターや、ノンアルコールのカクテルの注文がおすすめです。
パンの食べ方とタイミング
パンを食べるタイミングにマナーはありませんが、多くの場合はオードブルとともにいただきます。
食べ方としては、そのまま食べるのではなく、ひと口サイズにちぎって食べましょう。パンをちぎると、テーブルにパンの粉が落ちやすいですが、落ちたパンの粉はそのままにしておきます。
また、料理のソースを食べることはマナー違反です。パンとともに出されたバターを付けていただきましょう。
パンはメインのお皿とともに下げられてしまうため、メインを食べ終わるまでに食べ切るのがおすすめです。
アミューズ・前菜の食べ方
アミューズとは、お店からのおもてなしを表す小前菜のことです。ひと口で食べられるものが多く、カトラリーがない場合は手づかみで食べることもあります。
アミューズの後に、前菜が出されます。前菜は綺麗に重ねられていることが多く、美しい盛り付けを崩さないように食べると、まわりに好印象を与えられるでしょう。
例えば、ひと口分を切り分けて一度横に置き、ソースを付けて食べると綺麗に見えます。前菜のソースは少しずつ付けて味わいましょう。
スープの食べ方
スープの食べ方は、手前から奥にスプーンを動かしてすくうことが基本です。残り少なくなった時は、お皿の手前を持ち上げてすくいましょう。スープを飲むときは、音を立てずに食べることがマナーです。
魚料理の食べ方
スープの次は、魚料理が出されます。魚料理の食べ方は、ひと口ごとに切っていただきましょう。魚を切るときは、身が崩れないように筋に沿って切ると、綺麗に切り分けられます。この際、魚をひっくり返す食べ方はNGです。
多くの場合、魚は付け合わせと共に盛り付けられています。魚と一緒に食べるか、交互に食べるようにしましょう。バランスよく食べることが大切です。
肉料理の食べ方
魚料理の次は、肉料理が出されます。肉料理の食べ方も、ひと口ごとに切っていただきましょう。はじめに全て切り分けてしまうと肉汁が流れ出て、味が落ちてしまうことが理由です。
魚料理同様、筋に沿って切ると綺麗に切れます。斜めにナイフを入れるとさらに切りやすくなります。
また、肉料理にも付け合わせが付いているため、こちらも魚料理同様、どちらかが残ってしまわないようにバランスよく食べましょう。
デザートの食べ方
メインを食べ終えたら、デザート(デセール)です。スプーンとフォークが用意された場合、どちらを使わなければならないという決まりはなく、使いやすい方を使って構いません。
デザートのメニューはお店によってさまざまです。飾りに飴細工が付いていた場合は、スプーンの背で静かに割って食べるようにしましょう。
また、デザートが複数用意されている場合、味の薄いものからいただくことが基本です。味の薄いものから食べることで、全てのデザートをおいしく頂けます。
ただし、例外としてアイスクリームが付いている場合は、溶けてしまうためアイスクリームを先に食べましょう。
コーヒー・紅茶の飲み方
コースの最後にはコーヒーまたは紅茶が出されます。コーヒーや紅茶は、ひと口目はそのままいただきましょう。
ミルクを入れたら前後に2〜3回ほどまわします。このとき、混ぜすぎないようにしましょう。角砂糖は一度トングからスプーンに乗せてからカップに入れ、コーヒーまたは紅茶が飛び散らないようにします。
コーヒーの場合、右手でカップを持ち、ソーサー(受け皿)はテーブルに置いたままにしましょう。ソーサーを持ちながら飲むことはマナー違反です。紅茶の場合、テーブルが低ければ、ソーサーを持っても問題ありません。
お会計・退店時のマナー
食事を全て食べ終えてお会計する際は、席に座ったままウェイターを呼びます。ウェイターを呼ぶときは手を上げるか、視線を送りましょう。この際、ポケットから財布を出す仕草を見せると、お会計をしたいという旨を伝えられるためスムーズです。
テーブルで会計を済ませる理由は、レジで停滞することを避けるためです。また、割り勘の場合は、お店を出てから精算するようにしましょう。
また、支払い方法は現金・クレジットカード・スマホ決済などがありますが、お店によって対応している方法が異なります。カードで支払いたい場合は、お店がカード対応可かどうかを事前に確認しておきましょう。現金で支払う場合は、できるだけ細かい小銭を使わず、紙幣でまとめて払うのがスマートです。
知っておきたいフランス料理用語集
フランス料理にはさまざまな専門用語があります。メニューを見た時やお店選びで迷わないように、基本的なフランス料理用語を知っておくと安心です。
そこで最後に、知っておきたいフランス料理用語をご紹介します。
調理方法に関する用語10選
調理方法にも専門用語があります。スタッフから希望を聞かれた際、スムーズに答えられるように、調理方法に関する用語も覚えておきましょう。
フランス料理店に行く際に、特に覚えておきたい調理方法に関する用語は以下の10点です。
- ポワレ
- 肉を塊のまま香味野菜などと一緒に鍋に入れてオーブンで加熱すること
- ポシェ
- 一度沸騰させただし汁などに具材を入れて弱火で加熱すること
- フラン
- プリンや茶碗蒸しのようなイメージで、液状のものを容器に入れて蒸すこと
- ロティール
- 肉や鶏を直火にかけること。丸焼きのイメージ
- グリエ
- グリルと同様の意味で、鉄板などで焼き目を付けて調理すること
- ソテー
- 油を引いて肉や野菜を炒めること
- フランベ
- 肉または魚料理にブランデーやワインなどのお酒を入れて火にかけること。お酒の香りを楽しみたい時におすすめ
- コンフィ
- 肉などを低温の油でじっくり煮込むこと
- フリカッセ
- バターで具材を炒め、生クリームで煮込んだ白い煮込み料理のこと
- テリーヌ
- 長方形の陶器の中に肉、魚介類、野菜などを入れて調理したオードブルのこと
ソースに関する用語10選
フランス料理では、さまざまなソースが使われます。そこでここからは、ソースに関するフランス料理用語10選をご紹介します。
- ジュ
- 肉や魚であれば焼き汁、フルーツであればフルーツの搾り汁のこと
- ソース・ヴィネグレット
- ヴィネガー(酢)を使ったドレッシングのこと
- クーリ
- 野菜やフルーツを裏ごしして滑らかにしたソースのこと
- ソース・アメリケーヌ
- 甲殻類の殻を炒めてだしや酒を加えて煮て、つぶして濾した濃厚なソースのこと
- ソース・サルミ
- ジビエの内蔵や血などを赤ワインで煮込んだ濃厚なソースのこと
- ソース・ベアルネーズ
- 卵黄、澄ましバター、ビネガーなどで作った酸味のあるソースのこと
- ソース・ショロン
- ソース・ベアルネーズにトマトピューレを加えたソースのこと
- ソース・ブール・ブラン
- 白いバターソースのこと
- ソース・ヴァン・ブラン
- 白ワインで作ったソースのこと
- ソース・ヴァン・ルージュ
- 赤ワインを使ったソースのこと
- ソース・ペリグー
- ステーキなどの肉料理やフォアグラにかけるソースのこと
まとめ
特別な日に行くことの多いフランス料理店には、ドレスコードや食事の仕方など、さまざまなマナーがあります。フランス料理店の基本的なマナーを知り、正しくフランス料理を楽しみましょう。
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