
管理栄養士監修:たけのこは食べすぎ注意?リスクと1日の目安量を解説
この記事では、管理栄養士の監修のもと、たけのこの食べすぎによるリスクと適切な摂取量について解説していきます。
監修者
- 保科 琴美(ほしな ことみ)
- 東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士
管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。

目次 [CLOSE]
食べすぎには注意!たけのこを食べすぎるリスク
たけのこを食べすぎることで起こる身体への影響は主に以下のとおりです。
ここからはそれぞれの詳細について説明します。
便秘や下痢を引き起こす
たけのこには食物繊維が豊富に含まれていますが、食物繊維を過剰に摂取してしまうと、消化器系に負担がかかる可能性があります。食物繊維の過剰摂取は腸を必要以上に刺激し、腹痛や下痢を引き起こす可能性があるためです。
一方で、水分摂取が不十分な状態でたけのこを大量に食べると、逆に便が腸内に長時間とどまってしまい、便秘の原因となることもあります。
シミやそばかすの原因になる
たけのこには、「チロシン」というアミノ酸が含まれており、このチロシンを過剰に摂取すると、体内でのメラニン色素の生成が活発になります。
メラニン色素の生成が活発になると紫外線の影響を受けやすくなり、シミやそばかすができやすい状態になってしまう場合があります。
アレルギー症状が出る場合がある
たけのこには、「ヒスタミン」や「アセチルコリン」といった生理活性物質が含まれています。これらの物質は、体質によってはアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
たけのこの摂取によって現れる可能性のあるアレルギー症状には、じんましんや皮膚のかゆみなどが挙げられます。
アレルギー症状が疑われる場合は、それ以上のたけのこの摂取をやめ、できるだけ早く病院を受診してください。
尿路結石のリスクを高める
たけのこには、アクの成分「シュウ酸」が含まれています。このシュウ酸の過剰摂取は、尿路結石の形成リスクを高める原因となります。特に、カルシウムの摂取が不足している場合は、シュウ酸が体内に取り込まれやすくなるため、リスクがさらに高まる可能性があります。
ただし、たけのこを調理する際に適切なアク抜きを行うことで、シュウ酸の量を減らせます。アク抜きは単に食感を良くするだけでなく、健康面でも重要な工程なので、たけのこを食べる際はアク抜きをしっかりと行いましょう。
たけのこの摂取は1日230g程度が上限
食べ合わせや一緒に調理する食材にもよりますが、一般的にたけのこの摂取目安は約200~230g(水煮1個分程度)とされています。
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2025年版)[1]」では、成人の1日当たりの食物繊維目標量を男性11g以上、女性10g以上としています。たけのこ100gあたりに含まれる食物繊維は2.8g[2]なので、2個(460g)食べるとたけのこだけで約13g摂取することになり、目標量をオーバーしてしまいます。
また、食物繊維は消化されずに大腸まで届きます。消化・吸収される栄養素と比べて体内に留まる時間が長いため、毎日継続して食べる場合は、1日の摂取量はもう少し抑えた方が良いでしょう。
たけのこは栄養豊富!含まれる栄養素と効能
「春の訪れを告げる食材」として親しまれているたけのこの旬は、3月から5月です。この時期には最も栄養価が高く、みずみずしい食感を楽しむことができます。
たけのこに含まれる栄養素
たけのこには、私たちの健康維持に欠かせない様々な栄養素が含まれています。食物繊維が豊富なことはもちろん、カリウム、葉酸、マンガンなどのミネラル類も充実しています。
また、先述したチロシンは、メラニン色素の生成を活発にするだけではなく、脳の働きを活性化しストレスを軽減する働きがあるため、現代人の健康維持に役立つ食材といえます。
たけのこに期待できる効能
たけのこには以下の表の栄養素が含まれており、様々な健康効果が期待できます。
たけのこに含まれる栄養素 | 期待できる栄養効果 |
---|---|
食物繊維 | 便秘予防 腸内環境の改善 |
ビタミンB群・ミネラル | 疲労回復 エネルギー代謝のサポート |
カリウム | むくみの解消 デトックス効果 |
さらに、低カロリーであるという特徴を活かし、ダイエット中の食材としても重宝されています。
たけのこを食べすぎたときの対処法
たけのこを食べすぎて体調が優れなくなってしまっても、適切な対処法を知っていれば安心です。ここでは、たけのこを食べすぎてしまった際の具体的な対処法について解説していきます。
しっかりと水分補給する
たけのこを食べる際は、十分な水分と一緒に摂取することをおすすめします。もし、水分を摂らずにたけのこをたくさん食べたときは、後からでも水分補給を行いましょう。
水分を十分に摂取することで、たけのこに含まれるシュウ酸を体外に排出しやすくなります。また、食物繊維の過剰摂取による体調不良も改善が期待できます。
消化の良い食べ物で胃を休める
たけのこを食べるときには、ヨーグルトや酵素を含むフルーツなどを一緒に摂取することで、消化を促進し、胃腸への負担を軽減できます。
また、たけのこを食べすぎてしまったときには、スープやおかゆなどの胃腸に優しい料理を食べることで、消化器系を休ませることができます。
アレルギー症状がでたら病院に
たけのこを食べた後に痒みやじんましんなどのアレルギー症状が現れ、それが持続する場合は、すみやかに病院を受診しましょう。
また、お子さまが初めてたけのこを食べる際は、アレルギー反応が出る可能性を考慮して、少量から食べ始めることが重要です。
たけのこを健康的に食べるためのポイント
たけのこをおいしく、かつ健康的に楽しむためには、いくつかの重要なポイントがあります。適切な食べ方を知り、たけのこの栄養を効率よく摂取しましょう。
以下でそれぞれについて解説していきます。
カルシウムを一緒に摂取して尿路結石を予防する
たけのこに含まれるシュウ酸による尿路結石のリスクは、カルシウムを一緒に摂取することで軽減できます。シュウ酸が吸収される前の腸の段階で、カルシウムがシュウ酸と結合することで、シュウ酸の吸収を抑制するためです。
具体的には、牛乳やチーズなどのカルシウムが豊富な食材を、たけのこと一緒に食べると良いでしょう。
加熱調理でアクを取り除く
たけのこの調理では、下茹でなどのアク抜きが重要な工程となります。アクを抜くことでシュウ酸の量を減らすことができ、味としても「えぐみ」を抑えられます。
もともと、たけのこは鮮度が良く生食可能な場合でも、十分に水でさらすなど、下処理を行うことが推奨される食材です。安全面を考慮してもアク抜きは大切です。
よく噛んで消化を助ける
たけのこは食物繊維を多く含むため、よく噛まずにそのまま飲み込むと、胃腸に負担がかかりやすい食材です。
よく噛んで食べることで消化を促進し、胃への負担を軽減することができるでしょう。同時に、栄養の吸収効率も高めることができます。
ほかの野菜と組み合わせてバランスよく食べる
たけのこだけを大量に摂取すると、栄養バランスが偏ってしまう可能性があります。他の野菜と組み合わせることで、より豊富に栄養を摂取できるだけでなく、たけのこの食べすぎも自然と防ぐことができます。
まとめ
たけのこは「春の味覚」として親しまれる栄養価の高い食材です。しかし、その豊富な栄養価とおいしさゆえに、食べすぎてしまうリスクもあるかもしれません。
1日の適切な摂取量を意識し、カルシウムを含む食材との組み合わせや適切な下処理、よく噛んで食べることを心がけましょう。また、他の野菜や食材とバランスよく組み合わせることで、より健康的にたけのこを楽しむことができます。体調の変化に気を付けながら、旬の味覚を楽しみましょう。
- 厚生労働省:
日本人の食事摂取基準(2025年版) - 文部科学省:
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
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