乾燥肌 野菜
食の知識

管理栄養士監修:乾燥肌に良い食べ物は?必要な栄養素や食事のポイントを解説

冬の季節に近づくにつれ、悩ましいのが乾燥肌。カサつき・かゆみ・肌荒れを引き起こす厄介な肌トラブルですが、何から手をつければ良いのか、どのように予防すべきなのかを知りたい方も多いでしょう。

乾燥肌の予防には、適切な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。今回は健康的な肌に必要な栄養素と、効果的な摂取方法などについてご紹介します。

監修者

保科 琴美(ほしな ことみ)
東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士

管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。

保科 琴美

乾燥肌と食べ物の関係性は?

適切な栄養素を日頃から摂取することが、健康な肌を保つ秘訣です。逆に栄養バランスが偏った食事は、乾燥肌の原因につながるため注意が必要です。

ここでは乾燥肌を引き起こす原因や、食事との関係性について紹介します。

乾燥肌の原因は「乾燥」「食生活の悪化」「睡眠不足」

乾燥肌になる原因はさまざまですが、主に空気の乾燥・偏った食事の習慣化・睡眠不足により、肌のターンオーバー(肌が生まれ変わる仕組み)が乱れ、乾燥肌を引き起こします。

外気の乾燥はもちろんですが、長時間のエアコン使用でも肌は乾燥しやすくなります。特に冬は暖房をつけっぱなしにすることが多くなるので、空気が乾燥しやすくなり肌の水分が奪われてしまいます。

エアコン

また、生活習慣も肌に大きく影響します。健康的な肌を形成するためには、さまざまな栄養素が必要不可欠です。ファストフードなど偏った食生活を続けてしまうと、必要な栄養素が不足してしまい、乾燥肌を引き起こす原因となります。

不規則な睡眠も、肌荒れやニキビといった肌トラブルにつながる恐れがあることを覚えておきましょう。睡眠不足になることで、肌のターンオーバーを促進するはたらきがある成長ホルモンの分泌が減少してしまうためです。

また肌をケアする際に、スキンケアが不十分もしくは誤った方法だった場合にも乾燥肌を引き起こしやすくなります。「熱いお湯で洗顔する」「入浴してから数時間後に化粧水をつける」などの行為は、逆に肌に負担をかけてしまうため注意が必要です。

食べ物の栄養を考えたインナーケアが重要

乾燥肌の予防方法といえば、スキンケアをイメージされる方も多いでしょう。正しいスキンケアも大切ですが、食べ物の栄養を考えたインナーケアも肌にとって大切です。

人間の体や肌は、日頃から口にする食べ物の栄養素から形成されています。そのため、栄養バランスのとれた食事を心掛けることが重要です。ただし、乾燥肌に効果的だからといって、それだけを摂取することは控えましょう。こちらの理由については後ほど、詳しく説明します。

また、適度な運動や十分な睡眠もインナーケアには欠かせません。有酸素運動やストレッチを適度に行うことで、血の巡りを活発にして健康な肌を保つことができます。お風呂上りの数分ストレッチをするだけでも効果があります。

インナーケア

さらに、十分に睡眠をとることで、細胞を修復する成長ホルモンが分泌されます。質の高い睡眠をとるために、就寝前の食事やスマホを見ることは控えましょう。

乾燥肌を予防するために必要な栄養素

乾燥肌は体の中から予防するのが効果的です。

食べ物から摂れる栄養素は、それぞれ異なる役割を持っています。乾燥肌の予防のためには、さまざまな栄養素をバランスよく摂取することを心掛けましょう。

ここでは乾燥肌を予防するために必要な栄養素について説明します。

ビタミン:活性酵素の抑制

肌の乾燥を防ぐために必要な栄養素の一つにビタミンが挙げられます。計13種類に分類されているビタミンですが、中でもビタミンA・B・C・Eは、乾燥肌の予防に効果的です。

それぞれ特有の効果がありますので、バランスよく摂取することがポイントです。下記、ビタミンの効果について表にまとめました。

ビタミンA 皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。抗酸化作用があり紫外線によるダメージから皮膚を守り、新陳代謝を促します。
ビタミンB 肌の保護に役立つ栄養素です。これはタンパク質をエネルギーに変換するのをサポートし、皮膚の健康維持に役立ちます。
ビタミンC コラーゲンの生成を促進し、肌の酸化を抑えてくれる栄養素です。鉄やカルシウムの吸収をサポートしてくれます。
ビタミンD 血流を促し、肌の酸化を防ぐ効果が期待できます。ビタミンCと一緒に摂取することで、抗酸化作用の相乗効果も期待できます。

タンパク質:コラーゲンを摂取

タンパク質も、乾燥肌を予防してくれる栄養素の一つです。髪・爪・筋肉・内臓など、体の素となる栄養素で、肌のハリや弾力を保つコラーゲンを生み出す役割も担っています。

不足してしまうと体力や免疫力が低下するだけでなく、肌・爪・髪の状態が悪くなってしまうことを覚えてきましょう。

ミネラル:健康な肌作りに重要

健康な肌作りにはミネラルが必要です。その中でも特に亜鉛は重要な要素で、肌の炎症を抑制するはたらきやコラーゲンの生成をサポートしてくれます。

また、亜鉛は肌のターンオーバーを促進するために必要な酵素を作りだす役割を果たします。乾燥肌に悩まれている方は積極的に摂取すると良いでしょう。

脂質:不足すると肌や髪が乾燥

脂質は体を動かすエネルギー源で、細胞膜の主成分です。脂質が不足してしまうと肌や髪が乾燥するため、美容には欠かせません。とくに、必須脂肪酸は肌の潤いを保つのに必要な要素で、動脈硬化や高血圧、血栓やアレルギーなどを予防するはたらきもあります。

また、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は脂質と一緒に摂取しないと吸収することができないビタミンで、体に取り入れるためには脂質の摂取が必要になります。

このように、脂質は健康にも美容にも不可欠な栄養素です。脂質の摂取制限は避け、良質な油を十分に摂るようにしましょう。

摂取する際は、良質なココナッツオイルやオリーブオイル、ごま油などをできるだけ加熱せずに生で摂取すると効果的です。スナック菓子やファストフードなどで使用される揚げ油は、肌に悪影響を与える可能性があるので控えましょう。

乾燥肌を予防するおすすめの食べ物

乾燥肌を予防するにはバランスのとれた食事が大前提で、栄養バランスに配慮することが大切です。

前章では、乾燥肌を予防するために必要な栄養素という観点でお伝えしました。ここでは、乾燥肌の予防にどのような食べ物を取り入れるべきか解説します。

ビタミンを豊富に含む食べ物

前述した通り、ビタミンA・B・C・Eは、乾燥肌に効果的な栄養素です。それぞれの栄養素を豊富に含んだ代表的な食べ物は、以下をご覧ください。

ビタミンA
  • にんじん
  • 海藻類
  • レバー
ビタミンB
  • 鶏肉
  • レバー
  • 乳製品
  • 魚介類
  • 大豆製品
  • きのこ類
ビタミンC
  • ブロッコリー
  • 赤ピーマン
  • セロリ
  • キウイ
  • いちご
  • じゃがいも
ビタミンE
  • サバなどの魚介類
  • アボカド
  • ほうれん草
  • さつまいも
  • 大豆製品

このように、ビタミンを多く含んだ食べ物は実にさまざま。中でも肌のターンオーバーを整えてくれる代表的な食べ物がレバーで、ビタミンAやビタミンBを豊富に含んでいます。

卵

また卵も、レバーと同じくビタミンAやビタミンBを多く含み、たんぱく質も豊富に含んだ食べ物です。卵は、完全栄養食と例えられ、消化吸収がよく比較的低カロリーなため、健康的な食生活を送る上で欠かせません。

肌の健康維持に必要なビタミンCを特に含んでいる食品は、ブロッコリーです。ビタミンCだけでなく、食物繊維やカリウムなど、さまざまなミネラルも多く含んでいることが特徴です。

アボカド&ブロッコリー

タンパク質を豊富に含む食べ物

タンパク質は、皮膚の細胞をつくる原料となるため健康的な肌を維持するには欠かせません。

肉や魚介類、乳製品などに多く含まれており、コラーゲンの生成には充分なタンパク質が必要不可欠です。毎日摂取することが大切で、おすすめの食材としては鶏のむね肉やイワシ、大豆製品、乳製品などが挙げられます。

鶏のむね肉は、もも肉に比べて脂身が少なくヘルシーにタンパク質を摂取できます。

イワシをはじめとした青魚は、豊富なタンパク質と必須脂肪酸もあわせて摂取できる食べ物です。

大豆製品もタンパク質を豊富に含んでおり、大豆に含まれるイソフラボンには女性ホルモンに似たはたらきをしてくれるので、肌に弾力を与える効果が期待できます。

牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品にも、豊富なタンパク質が含まれています。主食でタンパク質が摂取しにくい場合は、乳製品を意識的に摂取すると良いでしょう。

ミネラルを豊富に含む食べ物

健康的な肌に必要なミネラルは、うなぎや牡蠣などの魚介類、バナナやキウイなどの果物類、ワカメやひじきなどの海藻類に多く含まれている栄養素です。

魚介類の中でも群を抜いて、亜鉛が豊富に含まれているのが牡蠣。亜鉛に加えて、ビタミンも多く摂れる食べ物です。

キウイ

果物の中ではキウイがおすすめ。ミネラルの中でもカリウムが多く含まれており、ビタミンCやビタミンEも豊富です。

ひじきは海藻類の中でもミネラル含有量がトップクラスです。タンパク質を豊富に含む大豆製品と組み合わせて、煮物などにすると効果的です。

乾燥肌の人が控えたほうが良い食べ物3選

肌を健康的に保つためには食事が大切だとお伝えしてきました。

この章では乾燥肌が気になる場合、控えた方が良い食べ物や飲み物について触れていきます。

ファストフード

ファストフードは塩分や糖分、脂質を多く含んでいます。過剰に摂取しすぎると、これらの消化・排出のために肌の代謝に必要な栄養素が消費されてしまいます。これによって、本来必要なビタミンやミネラルなどの栄養素が不足してしまうため、乾燥肌や肌荒れの原因の一つになることを覚えておきましょう。

またファストフードは塩分が高い傾向にあるので、体の水分が不足してしまいます。乾燥肌の防止には十分な水分も必要不可欠なので、ファストフードを頻繁に摂取するのは控えると良いでしょう。

アルコール類

アルコールの過剰摂取も肌に悪影響で、乾燥肌の原因の一つです。

アルコールには利尿作用があり、体内の水分を必要以上に排出してしまいます。そのため、肌の水分バランスを崩し、乾燥・くすみ・しわなどの原因につながります。

また、ほとんどのお酒には糖分が多く含まれているので、過剰に摂取しすぎてしまうと皮脂を過剰分泌させてしまいます。

さらにアルコールが体内に入ることで、健康的な肌を構成するビタミンB群が多く消費されてしまうことも覚えておきたいポイント。これにより毛穴は皮脂で詰まってしまい、ニキビや吹き出物などの肌トラブルの原因につながります。

生活習慣の乱れにもつながり、健康的な肌に大切なビタミンが多く消費されるため、アルコールを過剰に摂取することは避けた方が良いでしょう。

カフェインが過剰な飲み物

アルコール類と同様に、カフェインは利尿作用があることを覚えておきましょう。カフェインは紅茶や緑茶、コーヒーなどに含まれていますが、とくにコーヒーには多く含まれており、その影響が大きくなります。

カフェインを過剰摂取すると、胃の内部が荒れてしまい、内臓にも負担をかけてしまいます。これにより健康的な肌に必要な、ビタミンやミネラルといった必要な栄養を吸収しにくくなるわけです。

必要な栄養素が十分に行き届かないお肌は、乾燥肌やニキビなどの肌荒れの原因になります。髪の毛が抜けやすくなったり、爪が割れやすくなったりなどの症状もビタミンやミネラル不足が原因になっていることがあります。カフェインの過剰摂取には十分に注意しましょう。

乾燥肌の人におすすめの食事のポイント

乾燥肌に悩まれている方は、食事の取り方を意識しておくことも大切です。

ここでは乾燥肌の方が食事をする際のポイントについてお伝えします。

バランスよくさまざまな栄養を摂取する

乾燥肌の原因の一つに食事の栄養バランスが挙げられます。そのため栄養が偏らないように、バランスよくさまざまな栄養を摂取することがポイントです。

肌の乾燥対策のためとして、必要な栄養素ばかりを集中的に摂取してしまいがちですが、これは健康のためにもおすすめできません。

体に必要な栄養素は大きく以下の6つに分類されます。

  • タンパク質
  • 脂質
  • 炭水化物
  • ビタミン
  • ミネラル
  • 食物繊維

食事バランスガイド

画像をクリックすると拡大表示します。
出典:厚生労働省「食事バランスガイド」[1]

一度に摂取する量を急に増やしたとしても、効果はすぐには表れません。また、偏った食事を続けると、別の栄養素が不足してしまうことも考えられます。全ての栄養素を満遍なく、毎日続けて摂取することが大切です。

ビタミンやタンパク質の種類に気を付ける

乾燥肌をケアするには、バランスのとれた食事が大切だとお伝えしました。特定の食べ物ばかりではなく、さまざまな食べ物を少しずつ食べることを心掛けましょう。

同じビタミンやタンパク質、脂質でも食べ物によって成分や役割が異なります。例えば肉や魚、卵、大豆のいずれかを食べ続けた場合、タンパク質以外の栄養が偏ってしまいます。

毎日異なる食べ物を摂取し、タンパク質以外のビタミンやミネラルのバランスを意識しましょう。さまざまな食べ物から、栄養をバランスよく摂取することで効果が促進されます。

必要な栄養が得られやすい食べ方を選ぶ

食事を準備する際の調理方法によっても栄養素の成分が異なります。

例えば野菜であれば、加熱せずに食べることで栄養価が高くなることがほとんど。しかしながら生のままだと食べにくい野菜などもあるので、その場合は炒めたり揚げたりすると良いでしょう。

特にビタミンAやビタミンEは、油と一緒に摂取すると吸収率が高くなる傾向にあります。

サバ

そのため、ビタミンAを多く含むにんじんやレバー、卵、ビタミンEを豊富に含むサバなどの魚介類、アボカド、ほうれん草、さつまいも、大豆製品などは油と絡めた調理方法がおすすめです。

ただし、油の過剰摂取はカロリー過多の原因になるので、食べ過ぎには注意をしましょう。

また、食材は、旬の時期が一番栄養豊富なので、積極的に摂取すると効果的です。

乾燥肌を改善するために必要な食事以外のこと

乾燥肌を改善するには栄養のバランスが取とれた食事だけではなく、部屋の湿度や入浴方法にも気を使いましょう。

乾燥肌と聞くと冬をイメージしがちですが、夏でもエアコンなどにより室内は乾燥した状態になることがあります。人にとって適正な湿度は40%~60%が目安なので、部屋を最適な湿度に保つようにしましょう[2]

入浴する際は、お湯が熱すぎてしまうと肌が乾燥する原因になります。お湯の設定温度は38度程度のぬるめに設定すると良いでしょう。その際に、保湿効果のある入浴剤を使用したりすることもおすすめです。

また十分な睡眠時間や日頃の運動習慣などの生活習慣も、健康な肌にとって必要なポイントです。

とくに睡眠不足は新陳代謝が遅れてしまい、皮膚細胞の代謝も悪くなる原因になるので、十分な睡眠時間をとることが大切です。最低でも6時間程度は睡眠時間を確保することをおすすめします。

まとめ

乾燥肌を改善するのであれば、栄養バランスのとれた食事が必要不可欠です。肌を乾燥から守るビタミンやタンパク質、ミネラルを豊富に含んだ食べ物を摂取するように心掛けましょう。健康のためにも、肌に良いとされるものだけではなく、さまざまな食べ物をバランスよく食べることが大切です。

またバランスのとれた食事も大事ですが、日頃の生活習慣も見直すこともポイント。適度な運動や十分な睡眠も、乾燥肌を予防するためには重要です。

日々の栄養バランスがとれた食事と、正しい生活習慣を心掛けることで健康な肌を手に入れましょう。

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