食の知識

鮭とサーモンの違いは?天然・養殖の定義や鱒との違いも解説

家庭でも身近な食材の鮭とサーモンですが、「鮭とサーモンに違いはあるのか」「料理に使う際に、使い分けすべきなのか」という点は意外と知られていません。

鮭とサーモンはどちらもサケ科の魚で、色の違いはありますが、見た目はほぼ変わりません。では、なぜ呼び方が2通りあり、メニューによってサーモンと鮭を使い分けているのでしょうか。

この記事では、鮭とサーモンの違いや、呼び方、鱒(マス)との違いをご紹介します。鮭とサーモンを使った定番のレシピもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

鮭とサーモンの違いは?

鮭とサーモンは、「淡水魚か、海水魚か」「養殖か、天然か」「生食できるか、できないか」によって区分されます。

淡水/海水 養殖/天然 生食の可否
海水魚 天然が多い 加熱が必要
サーモン 淡水魚 養殖が多い 生食できる

ただし、例外もあるためこの分類は厳密ではありません。以下では、鮭とサーモンの特徴について解説します。

鮭:海水魚の天然物が多い・加熱が必要

鮭は一般的には天然の海水魚と分類されています。なお、日本における代表的な種類は以下の通りです。

白鮭(シロザケ)
  • 日本で鮭といえば白鮭を指すことが多い
  • 地域によって「アキアジ」「トキシラズ」「ケイジ」など呼び方が変わる
銀鮭(ギンザケ)
  • 国内では養殖が多く、宮城県産が主流
  • 塩鮭として出回ることが多い

天然物の海水魚は、「オキアミ」というプランクトンをエサにしています。この中にはアニサキスという寄生虫が含まれていることがあり、鮭に寄生している可能性があります。そのため、生食には適しておらず、加熱して食べるのが一般的です。

海水魚の天然物が多い・加熱が必要

サーモン:淡水魚で養殖産・生食が可能

サーモンと呼ばれる魚には大きく分けて2種類があり、それぞれに特徴があります。

国内で多く流通している「トラウトサーモン」は、淡水魚であるサケ科サケ属のニジマスを海水で養殖したものです。「サーモントラウト」とも呼ばれ、単に「サーモン」とされることも多いようです。

一方で、同じように日本でよく食べられている「アトランティックサーモン」は、サケ科タイヘイヨウサケ属の海水魚です。ただし、そのほとんどが養殖であるためか、鮭ではなくサーモンに分類されています。

そのため、日本においてサーモンと鮭を区別する際には、「養殖か天然か」をポイントにするとよいでしょう。

耳にすることも多い「ノルウェーサーモン」も、実はアトランティックサーモンの一種です。ノルウェーで育っており、かつ厳しい基準をクリアした環境で養殖されたアトランティックサーモンのみがノルウェーサーモンと称されます。

なお、サーモンは養殖であることから、飼育時のエサの管理が徹底されています。そのため、生食できるのが特徴です。

淡水魚で養殖産・生食が可能

鱒(マス)やトラウトとの違いは?

ここでは、鮭との区別が難しい鱒(マス)やトラウトについて、それぞれの特徴や違いを紹介していきます。

鱒(マス):川に住んでいる場合が多い

鮭と鱒(マス)はいずれもサケ目サケ科であり、生物学的に明確な区分はありません。そのため、鮭をマスと呼んでも間違いではありませんが、一部では育った環境や大きさによって呼び名を変えていることもあります。

育った環境については、川から海に戻ったものが鮭、川に残ったものがマスとする説があります。ただし実際には、同種であっても海に戻るもの、川に残るもの両方が存在するため、種類による区別は一概にできないようです。

大きさについては、小さい個体をマスと呼ぶケースが多いようですが、こちらも何センチ以上といった明確な区分はありません。

トラウト:一般的には淡水魚のサケ科を指す

サーモントラウトなどで耳にすることもあるトラウトですが、サケ科の中でも主に淡水魚のものを指します。一般的には「マス」と呼ばれる魚が該当します。

英語では鮭はサーモン、鱒はトラウトと呼ばれます。ただし、日本では海水魚の鱒もいるため、英名とは違いがある点に注意が必要です。

日本で代表的なトラウトとしては、「ニジマス」や「サクラマス」が挙げられます。

「サケ」と「シャケ」の呼び方の違いは?

続いて、鮭の呼び方についてです。皆さんも、「サケ」と呼ぶ人と「シャケ」と呼ぶ人、二通りに分かれるのではないでしょうか?

「サケ」も「シャケ」も正式な呼称であり、どちらで呼んでも間違いではありません。また、種類などによって呼び名が変わることもありません。

一説には、調理前と後で呼び名を区別するとされており、調理前が「サケ」、調理後が「シャケ」となります。また、アイヌ語でマスのことを「サクイベ」「シャケンべ」と呼ぶため、その名残で「サケ」「シャケ」という説もあります。

鮭は白身魚?それとも赤身魚?

赤い色が鮮やかな鮭ですが、分類としては白身魚。「言われてみれば、赤身にしてはさっぱりとした味わいだな」と感じる方も多いでしょう。

鮭の身が赤やオレンジになるのは、プランクトンに含まれているアスタキサンチンの色素が身に付着するからです。そもそも鮭は川魚ですが、約4年間、エサを求めて海に移動します。その際にプランクトンを筋肉に取り込むため、色が変わるのです。

ちなみに、鯛や蟹、海老の皮や甲羅が赤くなるのも、このプランクトンの影響です。

サーモンの刺し身

簡単に作れる定番サーモン&鮭レシピ9選!

最後は手軽でおいしい定番のサーモン・鮭料理をご紹介します。いずれも簡単に作れるので、今夜のおかずの一品にぜひ加えてみてください。

鮭クリームまんまるコロッケ

鮭クリームまんまるコロッケ

「鮭クリームまんまるコロッケ」は、形が食べやすく、子どもから大人まで楽しめる料理です。必要な材料が少なく、家にあるものでサクッと作れる点もおすすめポイントです。

「鮭クリームまんまるコロッケ」のレシピはこちら

千切り野菜の鮭ちゃんちゃん焼き

千切り野菜の鮭ちゃんちゃん焼き

「千切り野菜の鮭ちゃんちゃん焼き」は、鮭と一緒に野菜も食べられ、栄養バランスの良い料理です。フライパン1つで調理できるため、簡単で洗い物が少ない点も嬉しいポイントです。

「千切り野菜の鮭ちゃんちゃん焼き」のレシピはこちら

鮭ときのこのホイル焼きハーブレモン風味

鮭ときのこのホイル焼きハーブレモン風味

「鮭ときのこのホイル焼きハーブレモン風味」は、さっぱりとした味わいを楽しめる料理です。鮭ときのこに含まれる栄養素の組み合わせは、ビタミンB1・糖質をエネルギーに変える働きがあるため、疲労回復が期待できます。

「鮭ときのこのホイル焼きハーブレモン風味」のレシピはこちら

アボカドとトマトとサーモンのマリネ

アボカドとトマトとサーモンのマリネ

「アボカドとトマトとサーモンのマリネ」は、森のバターと呼ばれるアボカドをサーモンと一緒に食べることができる料理です。サーモンに含まれるDHA・EPAは中性脂肪を減らす働きがありますが、熱に弱いという欠点があります。そのため、生で食べるマリネなら効率良くこれらの栄養を摂取できます。

「アボカドとトマトとサーモンのマリネ」のレシピはこちら

サーモンのカルパッチョ

サーモンのカルパッチョは、夏の食卓にぴったりのイタリア料理です。生のサーモンの薄切りを、オリーブオイル、レモン汁、ハーブのブレンドに漬け込む点が特徴。レモンの酸味とハーブの香りが、サーモンの味を引き立てます。

サーモンのカルパッチョ

材料

  • サーモン(刺身用)
  • タマネギ
  • オリーブオイル
  • レモン汁
  • 砂糖

作り方

まずサーモンのマリネを用意します。小さなボウルにオリーブオイル、レモン汁、酢、塩を入れ、よく混ぜ合わせてください。その後、薄切りのサーモンとタマネギを皿に並べてマリネをかけます。

15分程度漬け込んだ後、オリーブオイルを数滴垂らして完成。お好みで、パセリなどを加えるのもおすすめです。

サーモンの生春巻き

サーモンとクリームチーズを使った生春巻きです。風味と食感を楽しむ一品で、ワインのおつまみにもぴったり。火を使うこともないので、忙しいときでもさっと作れておいしいのもポイントです。

サーモンの生春巻き

材料

  • スモークサーモン
  • クリームチーズ
  • サニーレタス
  • タマネギ
  • 人参
  • ライスペーパー

作り方

まずは具材の下ごしらえです。タマネギはスライス、人参、サニーレタスを適度な大きさにちぎりましょう。次に、ライスペーパーをぬるま湯で戻し、中央にサーモンとクリームチーズを乗せてください。

その後、残りの具材をさらに上に乗せ、ライスペーパーで巻きます。4等分にカットすれば完成です。お好みで、オリーブオイルや塩を加えるのもおすすめです。

鮭のムニエル

シンプルながらディナーの一品としても最適な伝統的フランス料理です。炙った鮭に、風味豊かなレモンバターソースをかけることで、さっぱりとした味わいに仕上がります。こちらでは日本人に好まれる、醤油を使ったレシピをご紹介します。

鮭のムニエル

材料

  • 鮭の切り身
  • こしょう
  • 薄力粉
  • サラダ油
  • 有塩バター
  • 醤油
  • みりん
  • レモン汁

作り方

下ごしらえとして、鮭に塩、こしょうをまぶし、5分程度置きます。その後、キッチンペーパーで水気を取って、薄力粉を全体にまぶします。

次はフライパンの用意です。バターを中火で熱してください。バターが溶けたらそこに鮭を入れ、中弱火で両面に焼き色が付くまで焼きます。

あわせて、別のフライパンに醤油、みりん、バター、レモン汁を加え、一煮立ちさせてソースを作ります。鮭を皿に盛り付け、ソースをかければ完成です。

鮭のホイル焼き

鮭と野菜、キノコ類をアルミホイルに包んで蒸し焼きにする料理です。鮭の脂が野菜に回りうま味が増すほか、鮭の身もふっくらと仕上がるのが魅力です。

鮭のホイル焼き

材料

  • 鮭の切り身
  • 人参
  • えのき茸
  • しめじ
  • バター
  • 刻みねぎ
  • サラダ油
  • ポン酢醤油

作り方

鮭の切り身に塩を振りかけて、5~10分ほど置きます。その間に、人参、えのき茸、しめじに包丁を入れていきましょう。人参は細めの千切りにしてください。

具材の準備ができたら、アルミホイルで包んでいきます。まず、広げたアルミホイルの中央にサラダ油を垂らします。そこに、皮を下にした鮭を置きます。鮭の上に人参、しめじ、えのき茸を盛り付けて、最後にバターをのせてください。

アルミホイルを閉じたら、魚焼き器、またはオーブンやトースターで焼いていきます。フタをしたフライパンでも構いません。中に火が通ったら、最後にポン酢醤油と刻みねぎをかけて完成です。

西京焼き

甘みのある味噌床に漬け込んだ鮭を焼いた西京焼きは、芳醇な香りが食欲をそそる日本料理。お米はもちろん、お酒のあてにもぴったりです。漬け込むのに時間はかかりますが、仕込んでおくとすぐに食べられるのでお手軽です。

西京焼き

材料

  • 鮭の切り身
  • 西京味噌(白味噌)
  • みりん
  • 砂糖

作り方

鮭の切り身に塩を振り、10分置きます。水気が出てくるので、キッチンペーパーで拭き取りましょう。その後、白味噌、みりん、砂糖を混ぜ合わせて鮭の両面に塗ります。そのまま、ラップをかけて冷蔵庫で1~2日間寝かせてください。

しっかりと漬け込めたら食べたいタイミングで焼き上げて完成です。

まとめ

私たちにとってなじみ深い食材である鮭とサーモン。両者は、基本的に「淡水魚か海、水魚か」「養殖か、天然か」「生食できるか、できないか」によって区分されますが、例外もあります。また、鮭とマスは、明確な区分はなく、同じ種類に分類されます。

スーパーの魚売り場に行った際には、「どれがサーモンとされていて、どれが鮭、マスとされているのか」をチェックしてみると、より理解が深まります。

今回ご紹介したレシピをはじめ、鮭もサーモンもさまざまな調理法で美味しく食べることができるため、ぜひお試しください。

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