二日酔い 対策
健康・美容

二日酔いの対策・予防方法は?飲酒前や飲んだ直後に効果的な食べ物・飲み物を紹介

お酒を飲んだ次の日に頭や体が重くなってしまう「二日酔い」。「飲み過ぎが原因なのは分かっているけれど、どうしたら防げるのだろうか?」とお悩みの方も多いでしょう。

そこで今回は、二日酔いのメカニズムや原因に加えて、対策・予防方法をご紹介。具体的にしておきたいことや、二日酔いに有効な食べ物なども解説しています。

監修者

保科 琴美(ほしな ことみ)
東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士

管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。

保科 琴美

二日酔いのメカニズム・原因

一般的に、二日酔いは前日にお酒を飲み過ぎた際に起こるとされています。しかし、そのメカニズム自体はまだ解明されていません。一つの要因によるものではなく、複合的な要因によるものとも考えられています[1]

ここでは、いくつかの説の中から、有力とされるものをご紹介します。原因と考えられる現象を知っておくことで、対策・予防に活かせます。

アセトアルデヒドの蓄積

飲酒時に体に入る「アセトアルデヒド」という物質は、タバコの煙などにも含まれている毒性を持った有害物質です。この毒性が原因で、吐き気や動悸、頭痛、胃痛や胃もたれ、胸焼けといった症状を引き起こすと考えられています[1]

アルコールを摂取した際に、私たちの身体で何が起こっているかを簡単に見てみましょう。

  1. アルコールが体内に入り、肝臓へ運ばれて代謝される
  2. 肝臓の酵素などの働きで、アルコールがアセトアルデヒドという物質に分解される
  3. アセトアルデヒドがアセテート(酢酸)へと分解される
  4. アセテート(酢酸)が血液を介して全身を巡る
  5. アセテート(酢酸)が筋肉や脂肪組織で水と二酸化炭素に分解される
  6. 水と二酸化炭素が息や汗、尿になり排出される

通常は、上記の流れ[2]でアルコールが分解・排出されます。しかし、自分が代謝できる量以上のアルコールを摂取した場合は、アセトアルデヒドがアセテート(酢酸)に分解しきれず、そのまま血液に含まれて全身に運ばれます。それにより引き起こされる症状が二日酔いだと考えられています。

水分および電解質の喪失

お酒を飲むとトイレが近くなるという方も多いでしょう。アルコールには利尿作用があり、排尿を促進します。この働きによって失われる水分が、二日酔いに関わっている可能性があります。

体内から水分が失われると、体のだるさや立ちくらみなど、脱水症状を引き起こします[3]。就寝中には大量の汗もかいているので、アルコールの利尿作用が原因で起床時に脱水症状になるというケースは十分に考えられるでしょう。

また、排尿によって電解質(ナトリウム・カリウムなど)が失われたために、体内の電解質濃度が下がるという現象も、脱水症状を引き起こす原因の一つです。通常の電解質濃度を保つためには、電解質を補充するか、相対的な比率に調整するために水分を排出する必要があるからです。

前項で解説したアセトアルデヒドの分解にも、多くの水分が使われます。体内が乾燥していると、アセトアルデヒドの分解にも時間がかかるようになり、結果として二日酔いになりやすい状態を招きます。

体の水分 減少

睡眠の妨害

お酒を飲むと眠くなる、という方は少なくありません。これは、アルコールが持つ中枢神経抑制作用によるものと考えられています。そのため、眠りに就くこと自体はできるのですが、実は睡眠の質が低下する恐れがあると言われています。

アルコールは、神経伝達物質に作用して、睡眠に影響します[4]。その結果、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)のバランスが崩れてしまう恐れがあるのです。

また、睡眠時の中途覚醒が増えることも、睡眠の質低下につながります。前述のレム睡眠が多いことに加えて、アルコールの利尿作用がその理由です。お酒を飲んで帰宅した日、夜中にトイレへ行く回数が増えるという方は注意が必要です。

そのほかにも、代謝しきれなかったアセトアルデヒドの毒性による頭痛や吐き気などによって寝苦しいという状態に陥っている可能性もあります。

二日酔いの対策・予防方法

二日酔いになってしまう大まかな原因が見えてきたところで、次はより具体的な対策・予防方法について見ていきましょう。

以下では、飲酒前・飲酒中・飲酒後といったシチュエーションごとに心がけたいポイントをご紹介します。

飲酒前:水分摂取・お酒の飲み方・体調が重要

まずは水分をしっかり摂取しておくことです。体内の水分量が多ければ、アセトアルデヒドの代謝がスムーズになり、脱水の予防にもなります。

また、先に食べ物を食べてからお酒を飲むこともおすすめです。空の状態の胃にお酒が入ると、アルコールの吸収が急速に行われてしまい、肝臓の代謝が間に合わなくなるおそれがあります。加えて、胃炎や胃痛の原因にもなるので注意が必要です。

ビタミンB群やビタミンCのサプリメントを飲むという方法もあります。これらの栄養素は、アルコールの分解を助けてくれる働きを持ちます。

そのほかにも、前日に十分な睡眠をとって体調を整えたり、ウコンドリンクなど、胆汁の分泌を促進する栄養ドリンクを飲んでおいたりといった対策があります。

【飲酒前の対策方法まとめ】

  • 事前に水分補給をする
  • 空の胃にお酒を入れない
  • ビタミンB群/ビタミンCのサプリメントを飲んでおく
  • 前日に十分な睡眠をとる
  • ウコンドリンクなどの栄養ドリンクを飲んでおく

飲酒中:アルコールと水を交互に飲む

お酒を飲んでいるときにもいくつか気をつけたいポイントがあります。まずは、アルコールだけを摂取し続けないことです。できれば水を間に挟みながら、胃の中のアルコール濃度を下げるようにしましょう。これにより、血中アルコール濃度の急上昇を抑えられる可能性があります。

とくに、酔いが回ってきたと思ったタイミングでは、水をたくさん飲むように心がけてください。肝臓によるアセトアルデヒドの分解が助けられ、二日酔い対策になります。

同じ意味で、飲酒のペースを見極め、適度に休憩をとることも重要です。自分が飲める量を把握し、無理な飲酒は控えましょう。

その他、おつまみを選ぶ際は、代謝を手助けしてくれるタンパク質が豊富なものを選びましょう。たとえば、豆腐や肉、魚などがおすすめです。

【飲酒中の対策方法まとめ】

  • 水を挟みながら飲酒する
  • 適度な休憩をとる
  • おつまみはタンパク質がおすすめ

飲酒後:十分な休息と栄養をとる

飲酒後は、しっかりとした休息が大切です。帰宅後は早めに就寝するようにしてください。しっかり寝ると、その間に肝臓が活発に働いてくれて、アルコールを分解してくれるでしょう。

また、脱水予防のための水分補給も欠かせません。コップ一杯の水を飲むか、スポーツドリンクなどもおすすめです。糖分やミネラルが含まれているため、失われた栄養素の補給にも役立ちます。

【飲酒後の対策方法まとめ】

  • 十分な睡眠をとる
  • コップ1杯の水/スポーツドリンクを飲む

二日酔い対策に有効な食べ物・飲み物一覧

次に、二日酔い対策として有効だとされる食べ物や飲み物をご紹介します。

二日酔い対策に有効な「食べ物」

ジンジャー(生姜) 嘔吐感を和らげてくれる効果が期待できる。
バナナ カリウムやマグネシウムなどの栄養素を補給できる。胃を保護したり、血糖値の上昇を緩やかにしたりする働きもある。
トーストやクラッカー 胃への刺激が少なく、胃の不快感を和らげる効果がある。
鶏のスープ 水分だけでなくアミノ酸やミネラルを含んでおり、脱水症状を緩和し体力を回復させる助けになる。
玄米やオートミール 栄養価の高い食品であり、胃腸の働きを正常化する働きが期待される。

二日酔い対策に有効な食べ物

二日酔い対策に有効な「飲み物」

アルコールによる脱水症状を予防。
経口補水液
スポーツドリンク
スムーズな水分補給だけでなく、電解質も取り込めるため、脱水予防になる。
ココナッツウォーター 水分と電解質をバランスよく補給できる。
グリーンティー 抗酸化作用があり、身体をリフレッシュしてくれる。
フルーツジュース 飲酒によって失われたビタミンや糖分を補給できる。

二日酔い対策に有効な飲み物

日常の行動でも二日酔い対策が可能!

二日酔いを防ぐためには、普段からの行動も重要です。とくに、肝機能を高めることを意識しましょう。

まずはバランスの取れた食事から始めましょう。野菜や魚介類など、高タンパク低脂肪な献立はおすすめです。脂肪の多いものは避け、量は腹八分目程度を目安にしてください。

また、体調や自律神経を整えるために、規則正しい生活を送ることも重要です。健康的な生活は、肝臓を含む内臓にもよい影響を与えます。逆に、不規則な生活は内臓への負担にもなるため、肝機能の働きを悪くする原因にもなり得るでしょう。

上記を踏まえた上で、過度な飲酒は控えるなど、肝臓をいたわる生活を心がけてください。

日常生活 二日酔い対策

それでも二日酔いになってしまったら?

その日の体調や時間帯などによっては、気をつけていても二日酔いになることは十分あり得ます。この際は、まず十分な休息をとるように心がけてください。

また、頭痛や吐き気に苦しむ場合には、市販薬を服用して症状を抑えても構いません。そのほか、おかゆやうどんといった、消化のよい食べ物をとり、胃を落ち着かせましょう。

加えて、果物やサラダ、味噌汁、納豆、豆腐なども二日酔いに効果的です。

一方、以下のような行動はさらに二日酔いの症状を悪化させる可能性があるため避けてください。

  • 辛いものを食べる
  • 脂っこいものを食べる
  • サウナに入る
  • 迎え酒

まとめ

辛い二日酔いは仕組みを理解して注意を払えば、十分に予防できる可能性があります。今回ご紹介した内容を踏まえて、おいしくお酒を楽しんでください。

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット
    アセトアルデヒド
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット
    アルコールの吸収と分解
  3. 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット
    脱水症状
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット
    睡眠
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