健康

医師監修:二日酔いを速攻で解消!頭痛・吐き気の治し方を解説

今回の記事は、医師監修のもと、頭痛や吐き気などの二日酔いをできるだけ速攻で解消する方法を解説します。

飲み会前・飲み会中に行いたい二日酔いの予防法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

監修者

吉良 文孝(きら ふみたか)
東長崎駅前内科クリニック 院長
さいたま胃腸内視鏡と肝臓のクリニック 和光市駅前院 理事長

平成15年 東京慈恵会医科大学 医学部医学科卒業
平成15年 東京警察病院
平成23年 JCHO東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)消化器内科医長
平成30年 内視鏡内科である東長崎駅前内科クリニックを開設

吉良 文孝

速攻で二日酔いの頭痛や吐き気を治す方法

二日酔いを改善させるためには、失った水分やビタミン、ミネラルの補給、アルコールの解毒に必要な糖分の摂取などが必要です。二日酔いを素早く解消したい方は、まず以下の方法を試してください。

  • 水やスポーツドリンクで水分補給をする
  • コーヒーや緑茶、紅茶などからカフェインを摂取する
  • 消化の良い食べ物を摂取する
  • サプリメントや栄養ドリンクからビタミンB1、ビタミンC、ミネラルを摂取する
  • 症状に適した頭痛薬や吐き気止めを服用する

ここからは、▼頭痛がひどい場合▼吐き気がひどい場合にわけて、症状をやわらげる対処法を解説します。

二日酔いで頭痛がひどい場合の対処法

二日酔いで多い症状は頭痛です。頭痛の原因はアルコールの分解過程で発生するアセトアルデヒドといわれています。そのため、体内のアセトアルデヒドの排出を促すと頭痛が改善できるでしょう。

ここからは二日酔いで頭痛がひどい場合の対処法を紹介します。

水分補給をする

二日酔いのときは、まずは十分に水分補給をしましょう。

二日酔いによる頭痛の原因の1つに、アルコールの利尿作用による脱水症状があります。お酒を飲むと、飲んだ分以上に水分が尿として排出され、水分不足になりやすいです。また、アルコールを分解する際に水分が必要になることから、脱水症状を招きやすくなります。脱水症状の状態では、アセトアルデヒドの排出が速やかに行えないため、結果として頭痛などを引き起こす要因のひとつになるのです。

水分補給をする際、特におすすめなのはスポーツドリンクです。スポーツドリンクには糖分や塩分などが含まれており、体液に近い浸透圧に調整されているため、ミネラルウォーターよりも効率よく水分を吸収することができます。

水分摂取

カフェインを摂取する

二日酔いには「カフェイン」を摂取することも効果的です。

アルコールの分解過程で発生するアセトアルデヒドには血管を拡張させる作用があり、頭痛を引き起こす一因になります。一方でカフェインには血管を収縮させる作用があるため、カフェインを摂取することで血管の拡張が抑えられ、頭痛の痛みを和らげることができます。

さらに、カフェインの利尿作用によってアセトアルデヒドを体外に早く排出できることも、頭痛の緩和に役立ちます。

コーヒーでカフェインを摂取する場合は、ミルクや砂糖を入れることで、胃への刺激を抑えられます。砂糖には肝臓のアルコール分解作用を高める効果もあるため、ミルクがない場合は砂糖だけでも入れてみてください。

頭痛薬を服用する

水分補給やカフェインを摂取しても頭痛の症状が軽減しない場合、頭痛薬の服用がおすすめです。

ただし、頭痛薬には胃を荒らす副作用があるものも多いため、二日酔いで胃が弱っているときには使用する薬の種類や量に注意しましょう。

サプリメント・栄養ドリンクでビタミン補給

ビタミンが含まれるサプリメントや栄養ドリンクの服用にも、頭痛の改善が期待できます。特に、アルコールの分解や糖質の代謝にかかわるビタミンB1やミネラル(特に亜鉛)、アセトアルデヒドの分解を助けるビタミンCの摂取がおすすめです。

ビタミンは、サプリメントや栄養ドリンクのほか、野菜ジュースなどからも摂取できます。

二日酔いで吐き気が止まらない場合の対処法

アルコールは胃の粘膜に刺激を与え、吐き気や胸焼けを引き起こすことがあります。特に、空腹状態でアルコールを摂取すると、胃に強い刺激が伝わり吐き気を起こしやすくなるでしょう。

ここからは、二日酔いで吐き気が止まらないときの対処法を3つ紹介します。

水分補給をする

頭痛と同様、アルコールの利尿作用による脱水は吐き気をもたらす原因にもなります。そのため、体内へ吸収されやすいスポーツドリンクを飲むのがおすすめです。

吐き気の症状は胃が荒れていることも原因のひとつであるため、冷やさず常温で飲むと胃への負担が緩和されます。

なお、グレープフルーツジュースのような酸味のある飲み物は、酸が胃を刺激して吐き気を引き起こしてしまう場合があるため、二日酔いの際には避けるようにしてください。

また、お酒と一緒に水分を摂取することでも二日酔いを予防・軽減できます。お酒を飲む量と同じ量の水を飲むと、より効果的です。

消化の良い食べ物を摂取する

吐き気がひどいときは胃腸が弱っているため、消化に良い食べ物を摂取する必要があります。弱った胃をいたわり、胃もたれを悪化させないためにも、脂っこいものや香辛料、酸味があるものは避けてください。

なお、二日酔いにはビタミンやミネラルが豊富な食べ物の摂取が効果的です。「二日酔いに効く食べ物」については記事後半で詳しく解説します(▼二日酔いの解消に効果的な食べ物)。

おかゆ

吐き気止めや胃薬を服用する

症状がひどいときは、吐き気止めや胃薬の服用も有効です。

市販薬には胃酸を抑える制酸薬や中枢神経を抑える吐き気止めなど、さまざまな症状に合わせた効果を持つものが存在します。食べ過ぎてしまったときは薬を併用してもよいでしょう。

サプリメント・栄養ドリンクでビタミン補給

頭痛と同様に、アルコール、アセトアルデヒドの分解を助けるビタミンB1、ビタミンCが含まれるサプリメントや栄養ドリンクもおすすめです。

二日酔いに効く市販薬の選び方

二日酔いの際に市販薬を飲む場合は、症状に合ったものを選ぶ必要があります。

市販薬の選び方

市販薬は症状に合わせて、適切なものを選びましょう。

二日酔いの症状全般をやわらげたい場合は、漢方製剤である五苓散や茵蔯五苓散を含む市販薬がおすすめです。

頭痛がひどいときは即効性のある頭痛薬や漢方薬を使いましょう。また、吐き気や胸焼けがひどいときは制酸薬や制吐剤などが向いています。

市販薬

服用する際の注意点

薬にはそれぞれ副作用があるため、服用する量やタイミングに注意してください。

特に頭痛薬は副作用として胃を荒らすおそれがあるため、吐き気や胸焼けがある際は気を付けましょう。漢方薬は空腹時に服用するものや空腹時を避けるものなど、ものによって服用するタイミングが異なります。

薬を服用しても症状が治まらない・悪化する場合は消化器内科を受診しましょう。

二日酔いに効く栄養ドリンクの選び方

お酒を飲む前と飲んだ後で、適した栄養ドリンクのタイプが変わります。

飲む前に二日酔いを予防したい場合には、肝臓の働きを維持・向上させるウコン、L-カルニチンなどの成分が有効です。

一方、飲んだ後に二日酔い対策として摂取したい場合には、失われたビタミンやアミノ酸を補給できる栄養ドリンクがおすすめです。また、カフェインが含まれているものだと、頭痛の軽減効果も期待できます。

二日酔いの解消に効果的な食べ物

つらい二日酔いから解放されるためには、適切な栄養の摂取が必要です。サプリメントや栄養ドリンクに頼り過ぎず、直接食品からも摂取してみてください。二日酔いの解消に効果のある食べ物をいくつか紹介します。

フルーツ

フルーツは水分を多く含むため、脱水症状の緩和が期待できます。また、有害なアセトアルデヒドを無害な物質に作り変えるためにはビタミンCが必要なため、オレンジやキウイ、柿などの果物もよいでしょう。

特に柿は、ビタミンCのほかアセトアルデヒドの排出に有効なタンニンも豊富に含まれており、二日酔いの解消に高い効果を期待できます。

果物

サラダ

サラダに使う野菜からは、フルーツ同様、アルコールを分解する際に必要なビタミンB1やビタミンCの摂取が可能です。

特に、ビタミンB1が豊富な豆類やビタミンCが豊富なパプリカ、ブロッコリー、キャベツなどがおすすめです。また、ネギや玉ねぎ、ニラに含まれるアリシンにはビタミンB1の吸収を促進する効果があるため、一緒に食べるようにすると良いでしょう。

しじみの味噌汁

味噌汁には塩分が多く含まれているため、水分を効率よく吸収できます。

おすすめの具材は、しじみです。しじみにはアミノ酸の一種であるオルニチンが豊富に含まれており、肝臓の分解機能を高めてくれます。また、アルコールの分解で消費される亜鉛も多く含まれており、二日酔いの解消に効果的です。

しじみの味噌汁

納豆、豆腐

納豆や豆腐などの大豆製品にはアミノ酸やビタミンB1が多く含まれており、肝臓の働きを良くします。

これらは消化も良く、アルコールで荒れてしまった胃に負担をかけることなく摂取できるでしょう。

豚肉・レバーなど

ビタミンB群やアミノ酸には肝臓の働きを高める効果があり、二日酔いの速攻解消につながります。

特に、アルコールの分解にはビタミンB1が大量に消費されるため、ビタミンB1が豊富に含まれている豚肉やレバーなどがおすすめです。お酒と一緒に食べるおつまみにこのような食材を選ぶと、二日酔いの予防も期待できます。

二日酔い解消に効果的な飲み物

二日酔いを和らげるためには水分補給が大切です。おすすめの飲み物を以下に示します。

二日酔いの体内は脱水状態です。水分不足は、頭痛やめまいなどを引き起こす原因にもなるため、積極的な水分補給を心掛けましょう。
スポーツドリンク、経口補水液
塩分や糖分で浸透圧が調整されており、水よりも体に吸収されやすいため、効果的に水分が補給できます。
緑茶や紅茶、コーヒー
カフェインには血管を収縮させる作用があり、頭痛や倦怠感を和らげます。ただし、胃への刺激にもなるため、吐き気がある際には摂取を避けましょう。

二日酔いを防ぐ方法【飲み会前】

飲み会前の行動でも二日酔いは予防できます。飲む前に対策をして、二日酔いを事前に防ぎましょう。

しっかりと睡眠をとり体調を整える

体調が悪いと二日酔いになりやすいため、睡眠をよくとり体調を整えておきます。

飲み会の当日は、その日の体調と相談して飲む量を調整しましょう。睡眠不足のときには、飲む量を減らすと二日酔いになるリスクを減らせます。

ウコン配合の栄養ドリンクを飲んでおく

飲み会前には、肝臓の働きを助けるウコン配合の栄養ドリンクを飲んでおくことがおすすめです。

ウコンにはアルコールの分解を助けたり胃腸の負担を軽減したりする効果があります。お酒を飲んだ後にウコンを服用しても効果はありますが、飲み会前に飲むことでより強い効果を発揮します。

会場に行く前におにぎりなどを食べておく

空腹時にアルコールを摂ると二日酔いになる確率が高くなります。

胃が空っぽの状態でお酒を飲むと、通常よりもアルコールの吸収率が上がります。また、胃の炎症の原因にもなるため、空腹状態での飲酒は避けましょう。

二日酔い予防のほか、酔いすぎや胃炎の予防のためにも、飲み会前に軽食を食べておくことがおすすめです。

おにぎり

二日酔いを防ぐ方法【飲み会中】

飲み会中も二日酔い対策は可能です。食べ物や水分を摂ったり、飲むペースを調整したりして、二日酔いを防ぎつつ飲み会を楽しみましょう。

先に固形物を食べる

アルコールの摂取量に対して代謝が追いつかないと、酔いが回ったり二日酔いになったりしやすくなります。

そのため、先にご飯を食べて胃に固形物を留めることで、アルコールの吸収スピードを和らげることができます。飲み会の最初にサラダを食べる、飲んでいる最中になにかをつまむなど、胃の中を空にしない工夫がおすすめです。

水(チェイサー)を飲む

アルコールには利尿作用があり、飲み続けるとトイレの回数が増えて体の中の水分を多く排出してしまいます。脱水症状にならないよう、適宜水を飲みましょう。

飲み会では、お酒の合間に水を挟むことで、ペースを抑えられ、急激なアルコール摂取を避けられます。飲み過ぎを防ぐためにも、アルコールだけでなく水を飲むようにしてください。

一気飲みをしない

一気飲みをすると体内でのアルコールの分解が追いつかず、二日酔いの原因になります。お酒は少しずつ、無理のないペースで飲んでください。

短時間で大量のアルコールを摂取すると、急性アルコール中毒のリスクもあるため注意しましょう。

二日酔いのときにNGな行動とは?

二日酔いのときには、絶対にやってはいけないことがあります。これらの行動をすると、二日酔いが逆に悪化してしまうおそれもありますので、無意識についやってしまっているという場合には、注意するようにしてください。

それでは、二日酔いの際に絶対にやってはいけない3つのNG行動を見ていきましょう。

辛いもの・脂っこいものを食べる

二日酔いのときは、胃が荒れている状態になります。そのため、辛いものや脂っこいものを食べると、胃酸が分泌されて胃をさらに荒らしてしまい、胃の粘膜の治りが遅くなるおそれがあります。カレー、脂っこい肉や揚げ物、スナック菓子など、胃に負担をかける食べ物はできるだけ避けましょう。

また、酸味のある食べ物も、胃の粘膜を刺激して吐き気をもたらすおそれがあるためNGです。マヨネーズやケチャップも酢を含んでいるため、サラダを食べるときなどは注意してください。

サウナや長風呂に入る

サウナの利用や長風呂、岩盤浴などを行うと汗をかくため、毒素が体内から排出されているように感じるかもしれませんが、これは大きな間違いです。

二日酔いのときは、前述の通り、脱水症状を起こしている場合があります。サウナで汗をかく行為は脱水症状をさらに悪化させる原因となります。脱水症状を悪化させてしまうと、アルコールが抜けるのが余計に遅くなり、二日酔いがなかなか治りません。

迎え酒

二日酔いを治すためにお酒を飲む「抑え酒」が効果的と言われることもありますが、これはただの迷信です。迎え酒によって脳が麻痺し、一時的に楽になることはあっても二日酔いの解消にはつながりません。

迎え酒をすると、まだアルコールが体内に残りアセトアルデヒドの分解が終わっていない状態で、さらにアセトアルデヒドが蓄積することになります。その結果、二日酔いの症状が悪化してしまうことがあります。

また、この習慣を続けていると、アルコール依存症になる可能性があるといわれており、危険な行為です。

迎え酒

まとめ

気心の知れた人との飲み会では、楽しくなってつい飲みすぎてしまいますよね。それでも、翌日の二日酔いは何としても避けたいものです。

二日酔いにならないためには、まずは普段の生活習慣を見直して体調を整えておくことが大切です。また、飲み会の際はアルコールを摂取する前に軽食をとったり、お酒と一緒におつまみを食べたりと、空腹状態を避けることで二日酔いを予防することができます。

もし、二日酔いになったら、水分補給を忘れずに行いましょう。二日酔いの原因になるアセトアルデヒドを体外に排出することが重要です。お酒にのまれないように、楽しくほどほどにお酒と付き合いましょう。

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