将来に向けてどれくらい貯めたらいい?目標金額の設定方法
金融庁:NISAを知る(外部リンク)
老後暮らしていくために、1人2,000万円が必要などと言われています。しかし、実際のところ、将来に向けてどのくらい貯金をすればいいのか、どのようにお金を増やしていけばいいのか不安に思っている方も多いことでしょう。老後持ち家があるか、賃貸で暮らすのか、土地を保有しているか、年金がいくらかなど人によっても変わってきます。
ファイナンシャルプランナーであり、家計再生コンサルタントである横山光昭氏の著書『知識ゼロですが、つみたてNISAとiDeCoをはじめたいです。』(インプレス)をもとに、将来に向けて貯金をすべく、目標金額やその方法について解説します。
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人生100年時代。長寿化と共に老後の資産寿命についても関心が高まっています。しかし、将来に向けてどのようにお金を貯めたらいいのか。そうした不安を持っている方に向けて、老後資金の目業金額を設定する方法を解説します。
将来に向けての目業金額を考えよう
老後に向けて不安はあるものの、具体的にいくらお金を準備していいかわからない方も多いでしょう。まずは目業金額をじっくり考えてみましょう。
老後の資産をイメージしよう
不安の一番の原因は、単に「いくらあればいいのかわからない」という知識不足にあることも珍しくないです。総務省統計局が発表している「家計調査報告(2019年)」のデータによると、老後の夫婦の生活費は毎月約3万3,000円の不足。1年間だと約39万円9,000円、20年間で約798万円が不足するという結果になっています。
老後は「取り崩す期間」、現役時代は「貯める期間」としてなるべく早く準備を始めることが大切です。老後の資産をイメージすることから始めましょう。
貯めたい金額 = 毎月の積立額 × 年数
60歳または65歳の定年退職のタイミングを「老後」の入り口として、その時点でいくらあればいいのか、貯めたい金額から逆算して毎月の必要積立額や年数を計画してみてください。
銀行預金だけではお金は貯まらない!
残念ながら、今は低金利の時代。銀行預金だけでは、お金を大きく増やすことは難しいです。例えば、100万円預けても10年後20円しか利息がつきません(金利0.002%の場合、税引き前)。
ではどうすればいいかと言うと、お金をバランスよく投資に回すことです。特に、投資の未経験者が本気で資産を増やすには、長い時間をかけて増やすことを目指した方がいいです。一攫千金を狙っても、損をする可能性が高くなるので、毎月一定額をコツコツ投資するのが基本です。
65歳を節目として考えると、投資する期間は以下の計算式で求められます。
定年退職の年齢「65歳」 − 現在の年齢「◯◯歳」 = 投資する期間「◯◯年」
収入が減少する定年退職までの年数が、基本的には投資できる期間と考えましょう。
家計を把握して、毎月コツコツ投資をはじめよう
投資でお金を増やすには、運用するための元本がないと始まりません。投資を始める前に、家計管理で投資に回すお金を準備するところから計画しましょう。
家計簿でお金の流れを見える化
まずは自分の手取り収入と支出を書き出してみましょう。1円単位で細かくつける必要はないので、住居費、食費、水道光熱費、通信費などの費目もざっくりでOKです。それができたら、支出を「消費」「浪費」「投資」の3つに分類します。
・消費:生活に必要な支出。食費や住居費、水道光熱費などが該当します。
・浪費:生活に必要ではない、嗜好品や度を超えた洋服代などが該当します。
・投資:将来の自分にとって有効な生産性の高い支出。資産運用に限らず、パソコンの購入や書籍代なども該当します。
生活に必要がない「浪費」が多いなら、そこを削って家計のバランスを整えましょう。
投資額は無理のない金額を設定する
お金の流れをざっくり把握できたら、臨時支出に備えた生活費の1.5ヶ月分と、それとは別に最低6ヶ月分の「合計7.5ヶ月分」を目標に貯蓄することから始めてください。これは、病気や事故で働けなくなった時など、何かあった時に生活を守るためのお金です。
最低7.5ヶ月分のお金が貯まったら、いよいよ投資スタート!家計のうち余った金額をすべて投資するというのも間違いではないですが、大切なのは続けること。目安としては、先述した「消費」「浪費」「投資」の3つを意識して、手取り月収の約6分の1を投資に回します。ポイントは、生活費である消費より、浪費を削減して投資に回すことです。
投資にもさまざまな種類がある
投資と一口に言っても、色々な金融商品があり、それぞれ仕組みや特徴が異なります。例えば、不動産投資は、一般的には大きな金額をローンで借りて物件を購入して、賃料や売却によってリターンを得ますが、その分リスクも大きいです。
一方で、著者は個人向け国債や銀行預金は元本が減る心配がないが、リターンは小さいと言います。他にも、株式会社の発行する「株式」を売買して、配当金などの利益を得る株式投資などがあります。
投資初心者には、「投資信託」と呼ばれる商品がおすすめです。投資信託は、ある特定の企業の株式だけでなく、複数の株式や債券が組み合わさった商品のため、投資対象を分散させると大きな損失になりにくいメリットがあります。リスクとリターンのバランスが大きすぎず、小さすぎず長い時間をかけて資産を積み上げていくのにぴったりです。
細く、長くほったらかしでお金を貯める
では、どのようにお金を増やしていけばいいのでしょうか。先に紹介した、「投資信託」の仕組みを紹介します。
複利効果を期待して長く続ける
投資信託は、運用で得た利益を再び運用することのできる「複利効果」が期待できます。投資元本に利息を組み入れるので、当初は小さな利息でも、時間をかけて積み重ねていくことで「利息が利息を生んでいく」のです。
一方、複利の反対を単利と言いますが、国債などがそれにあたります。単利式は、最初に投資した元本にだけ利息がつくため、資産は増えていきますが、複利のような効果は得られません。
例えば、同じ利回り10%で100万円の元本での運用でも、単利式の場合、1年目は110万円、2年目は120万円、3年目は130万円になります。
一方、複利式の場合、1年目は110万円、2年目は121万円、3年目には133万円と、同じ元本の運用でも複利は元本に利息が組み込まれるので、複利の運用の方が、3万円多くなります。
このように、複利式の投資信託は、雪だるまのように資産増加がどんどん加速していきます。あとは、慌てずほったらかしでいいです。ゴールは先なので、「もう儲かったからいいや」などと一喜一憂せず、長く走り続けることが大切です。
毎月1万円投資していくと、年利3%の運用で10年後で約140万円(投資金額累計120万円)、20年で約328万円(投資金額累計240万円)、30年で約583万円(投資金額累計360万円)、40年で約926万円(投資金額累計480万円)と資産は増えていきます。
つみたてNISAかiDeCoを選ぼう
投資の経験がない人でも第一歩を踏み出せるように、国は税金面の負担を軽減してくれる制度を設けています。つみたてNISAとiDeCoの2つの非課税投資制度を利用すれば、本来かかるはずの投資の利益に対する税金を気にせずに、厳選された投資信託の商品を購入することができます。
どちらも一定の投資額内で得た利益が非課税になる制度ですが、つみたてNISAは、いつでも引き出せるのが特徴で、子供の教育資金や住宅資金などあらゆる出費の備えにできます。
一方、 iDeCoは60歳まで引き出せないので老後資金をしっかり確保することができます。また、 iDeCoは掛金・運用益・受取時全ての場合で税優遇されるため、節税効果も大きいといえるでしょう。
なお、年齢要件や上限額なども変わるので、どちらかを選ぶ場合は、資金を貯める目的や会社員なのか自営業なのかなどを考慮して、自分に合う方を選びましょう。
<つみたてNISA>
加入条件:20歳以上
投資枠上限:年間40万円
運用期間:最長20年
手数料:運用時に発生 (信託報酬など)
<iDeCo>
加入条件:20歳以上60歳未満
投資枠上限:年間14万4,000円〜81万6,000円 (働き方などにより異なる)
運用期間:加入から60歳まで (2022年5月から65歳まで)
手数料:加入時、運用時、受取時に発生 (口座管理手数料、信託報酬など)
どちらも、投資できる商品は初心者におすすめの「投資信託」が含まれているので、その中から選ぶことができます。運用時には手数料が発生しますが、「長期的に投資をする」「非課税になる」といった点を考えると、メリットの方が大きいでしょう。
最後に、つみたてNISAとiDeCoに向いている人を紹介します。
<つみたてNISAに向いてる人>
・5,000円未満から始めたい
・企業型確定拠出年金に加入している
・現在50歳を超えている
・教育費やマイカー購入など必要な時に引き出したい
・厳選された商品を買いたい
<iDeCoに向いている人>
・所得控除など節税を重視したい
・ボーナスなどでまとめて払いたい
・自営業またはフリーランスだ
・老後まで手をつけないで貯蓄を用意したい
・20年以上積み立てる予定だ
どちらがいいかわからない場合は、どちらのメリットも受けて併用するのもありです。
まとめ
家計再生コンサルタントでもある著者は、家計の相談に来られる方々から、「老後のお金についてほとんど準備していないから不安だ」と聞くそうです。いくら銀行預金してもお金は増えません。老後の資金は、投資をすることで解決しましょう。
投資を始める前に、目業金額をざっくりとイメージし、家計を見直すことから始めてください。そして、毎月無理のない一定の金額をコツコツと投資することが大切です。投資の目的は、老後も安心して生活を送ること。投資を始めたら、定年退職までを一つの区切りとして、中長期の視点で、投資のゴールを見据えておきましょう!
引用書籍:『知識ゼロですが、つみたてNISAとiDeCoをはじめたいです。』(横山光昭 (著), ペロンパワークス (編集) /インプレス)2021 年 11 月出版
出版社・書籍紹介:『知識ゼロですが、つみたてNISAとiDeCoをはじめたいです。』(横山光昭 (著), ペロンパワークス (編集) /インプレス)2021 年 11 月出版
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