くらしの知恵

知らないことがいっぱい!お金の基本を知ろう

この記事で解説するNISAに関する情報は、2023年までのNISAについての内容です。2024年1月から始まった新しいNISAについては、以下のサイト等からご確認ください。
金融庁:NISAを知る(外部リンク)

お金という言葉を聞いて、みなさんはどういうイメージを持ちますか?

「お金」という言葉は日本においてあまりいいイメージを伴わないのが現状です。ですが、人生100年時代を迎えた現代では、将来の不安や疑問を解消するためには「お金」としっかり向き合っていく必要があります。

ファイナンシャルプランナーの坂本綾子氏の著書『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版社)をもとに、「お金」にまつわる知識を一から学んでいきましょう。

意外と知らないお金の6つの機能

自分らしい人生を実現する「暮らしの道具」がお金です。まず、お金が持つ6つの機能について見ていきましょう。

【お金の6つの機能】

①稼ぐ
生きるためには自分の能力を活かしてお金を稼ぐことが基本です。
②納める
社会を維持するために税金を納めなければなりません。
③貯める
ただ貯めるのではなく、計画性が大事です。
④使う
生活や趣味のためにもお金が必要です。また、間違った使い方だと損をすることもあります。
⑤備える
病気やケガへの備えも忘れてはなりません。
⑥増やす
お金は運用によって増やすことができます。また、増やし方にもコツがあります。

親世代は参考にならない?今の時代に合わせたマネープランを立てよう!

日本人の平均寿命は男女ともに1950年から2016年の間で、約20年以上も伸びました。長生きは嬉しいことですが、生きるのに必要なお金も増えてしまいます。

少子高齢化により将来もらえる年金が減るのはほぼ確実と著者は言います。一方で、現役時代の収入はかつてほどには増えません。つまり、親世代が身に付けたお金の知識は今の時代にとってはあまり参考にならないのです。

長生きを幸せとするには、お金の稼ぎ方、使い方、ため方を長期的な目線で考え、人生の後半に向けて資産を増やしていく発想が大事です。

まずは、現状の資産や収支バランスをしっかりと把握して、6つの機能をもとに将来に向けたマネープランを作っていきましょう。

「稼ぐ」

一口に稼ぐと言ってもたくさんの方法があります。お金のもらい方では大きく3つに分けられており、①毎月あるいは毎年、決められた月給や年俸でもらう、②働いた時間に応じて時給や日給でもらう、③販売量や仕事の出来高でもらう、という方法があります。

多様な働き方が広がるこれからの日本では、ライフステージに合わせて稼ぎ方を選びながら生きていくのも重要になってきます。

会社員と個人事業主、魅力や違いとは?

働き方には会社から給与をもらう「会社員」と売上から収入を得る「個人事業主」の大きく別れています。この2つの特徴を比べて見ましょう。

【会社員】

会社員は手厚い保障と収入の安定が魅力です。給料は①毎月1回以上②一定の期日に③労働の対価として支払うよう労働基準法で定められているのです。

労働時間や休日も会社の就業規則で定められており、有給休暇も取得することができます。時間外や深夜労働をすれば割増賃金も支払われます。

さらに、万が一のときに会社員には4つの保険がかけられており、保険料の一部は会社が負担してくれます。

①労災保険…仕事中のケガや病気の治療費、休業した時の補償など
②雇用保険…失業したときや育児・介護で休業して給料を貰えないときの給付
③健康保険…労災以外での病気やケガの治療費を保障や、休業した時の手当金など
④厚生年金保険…老後の年金の他、障害、死亡したときなどの給付

【個人事業主】

個人で独立して自分で事業を行う働き方である個人事業主は、自分の判断で仕事を進めることができます。売上が増えれば収入に反映され、その上限はありません。

一方で、売上が安定せず収入が不安定な人もいるのが現実です。加入できる社会保険も少なく、退職金制度はありません。公的年金の額も少ないので、積極的に対策をする必要があります。

収入アップの方法とは?

・資格取得をする

資格を取得することで仕事の幅が広がる可能性があります。会社員であれば昇給・昇進がしやすくなりますし、転職に有利に働く可能性もあるでしょう。個人事業主としては新しいビジネスのきっかけになるかもしれません。

これからのキャリアを考えて、自分にとって有益な資格は何かを考えてみましょう。

・副業をする

親世代のような昇給が望めない今の時代、働き方も多様化して収入源を増やす人も増えてきています。隙間時間のプチ副業や、いずれ本業にするつもりで取り組むなど人それぞれですが、成功の秘訣は得意なことを活かすことです。

「納める」

税金は生活に必要なサービスを維持するために出し合う共益費です。納めた税金は義務教育、道路や公園の建設・整備、福祉や医療サービスなど身近な場所で使われています。

こんなにある?収入にかかる税金とは?

税金はあらゆる所得、消費、財産にかかっています。例えば、ガソリンを入れたらガソリン税、物を買ったら消費税、家を買ったら不動産取得税と細かく定められています。

税金は国税と地方税があり、納め方には直接税と間接税があります。所得税のようにその人に状況に応じて計算する税金と、消費税のように一律でかかる税金と計算の仕方にも違いがあります。

働く人にとって最も身近な税金は所得税ですが、所得は実は10種類にも分けられています。

①給与をもらったら…給与所得 
②預金の利子が入ったら…利子所得 
③個人事業の収入で生活しているなら…事業所得 
④株式の配当金が入ったら…配当所得 
⑤土地を貸したら…不動産所得 
⑥山林を売ったら…山林所得 
⑦資産を売ったら…譲渡所得 
⑧退職金が入ったら…退職所得 
⑨副業の原稿料が入ったら…雑所得 
⑩生命保険の満期金が入ったら…一時所得

会社員は給与所得、個人事業主は事業所得が大きな割合を占めています。この所得にかかる税金は、経済的に大変な人ほど低くなる仕組みになっています。これからの日本では、所得の種類を増やし、お金の入口を増やすのがポイントになります。

知らないと損をする?年末調整と確定申告

会社員の場合、会社が給与から所得税を計算して天引きをしています。

12月になると1年間の給与総額をもとに税金をきちんと計算しなおし、結婚や出産など個々の事情に応じた控除を行ってくれるのです。これが年末調整です。年末調整の結果、天引きしすぎていた所得税が戻ったり、足りない分が引かれたりします。

もう一つ、税金の計算をするための制度が「確定申告」です。会社員は勤務先で年末調整をするので、通常は確定申告をする必要はありません。

ただし、下記に該当する場合は確定申告を行う必要があります。

・給与が年間2,000万円を超えている
・2ヶ所以上から給与を貰っている
・副業の所得が年間20万円以上ある
・多額の遺産を相続した
・贈与を受けた
・不動産所得がある
・兼業農家である

これらは「しなければならない人」ですが、年末調整の対象である人でも確定申告にするとおトクになることがあります。代表的なのが住宅ローン控除の最初の年です。そのほか、高額な医療費が掛かった、退職して再就職しなかった場合も税金が戻る可能性があります。

「貯める」

貯めようと思ってもつい使いすぎてしまい、全然貯金ができていないという悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。どうしたら効率よくお金を貯めることができるのか、その方法を見ていきましょう。

貯める仕組み作りをしよう

手取り収入の2割程度をコツコツと貯めていくのが理想ですが、まずは実際にどれくらい貯蓄ができているのか、去年1年間の収支から確認してみましょう。

なかなか貯められていない、もっと貯蓄したいという人は、まず年間の目標貯蓄額を決めます。毎月これだけ貯める!と決めたらその分を収入から「先取り貯蓄」します。その残りで生活費をやりくりするのが、確実に貯める仕組みなのです。

銀行も使い分けて賢く貯めよう

「ふだん使い」と「貯めて増やす」銀行口座を作りましょう。ふだん使いの銀行は給与が振り込まれる口座です。公共料金、クレジットカード代金など毎月の引き落としはこの口座にしておくと手間がかかりません。貯めて増やす銀行は金利が有利なインターネット専業銀行や地方銀行のインターネット支店がオススメです。

銀行以外でのお金の貯め方とは?

個人年金保険、終身保険、養老保険、子ども保険と呼ばれる、貯蓄代わりに使える代表的な保険があります。保険料は高いですが、一定額までは所得控除により節税をすることもできます。ただし、万が一の備えとしての保障も含まれるので元本割れが生じることもあります。

「使う」

お金を使うにはメリハリが必要です。生活に必要な支出、楽しみのための支出、先取り貯金ときちんと分けて使いましょう。

賢い支払い方法とは?

キャッシュレス決済の代表、クレジットカードについて見てみましょう。

クレジットカードは後払い型の支払い方で、手元にお金がなくても商品を買うことができる便利な決済方法です。景品と交換したり支払いに使えたりするポイントが貯まるものもあり、そのメリットは大きいでしょう。光熱費など毎月の固定費をカード払いにすれば、ポイントが着実に増えていくはずです。

ですが、手数料が高いリボルビング払いをしてしまうと、気づいたら返済額が多額になってしまうこともあります。予算を決めるなどしてしっかりと管理をしなければなりません。

増える自動車の持ち方、その注意点とは?

地方では所有することが多い自動車ですが、公共交通機関が発達した都市では車を持たない人も増えています。それに伴って車の持ち方の選択肢も増えています。

・カーリース

乗りたい車を選び、年単位で借りるもので、期間が過ぎれば別の車にすぐ乗り換えることができます。駐車場の確保と任意保険の加入は自分でする必要があります。

・カーシェアリング

複数の車を会員で共同利用するサービスです。短時間利用に適しており、月に2、3度の利用ならばおトクです。カーステーションが遠いと使いにくい面があります。

「備える」

実はとってもおトク!公的医療保険とは?

普段あまり意識しないで使っている健康保険証。日本に住むすべての人は何かしらの公的医療保険に加入しています。これにより私たちが支払う医療費は原則3割負担で済んでいるのです。

ですが、大きな病気やケガの場合は3割負担だとしても支払う医療費が多くなってしまいますよね。そこで活躍するのが高額医療費制度です。高額医療費制度は月収によって上限が設けられており、上限を超えた医療費は保険から支払われます。

働けなくなったときに役に立つ制度とは?

会社員や公務員が仕事以外の病気やケガで働けず収入が減ったときには傷病手当金が給付されます。傷病手当金を貰える期間は最長1年6ヶ月で金額は給与の2/3程度、休んだ日数分が貰えます。給与が出ていても傷病手当金より少ない場合なら差額を貰うことができるのです。

ただし、個人事業主など国民健康保険に加入している人は受取ることができません。

「増やす」

お金は置く場所によって増え方が変わります。人生100年時代、時間をかけてお金を増やすためにはどうすればよいのでしょうか。

預金よりも「投資」が鉄則

日本ではお金を銀行口座に置いておくという人が多いようですが、現代の金利ではお金はほとんど増えません。

一方、増やすことを目的にする投資は、株式、債券、不動産などの資産を購入し、長いスパンでそれら資産の成長(=収益を生む)を目指しています。

ですが、お金が増える可能性がある反面、減るリスクもあるのが投資です。毎月の収支がギリギリで貯蓄がない人にはあまりおすすめできません。

また、お金があるからといって、日常生活を送るための生活費や、入院・失業など突発的な出費に備えるお金を使うのはNG。予備資金は目安として、手元に生活費の3~6ヶ月分のお金を残すようにしましょう。

自分にあった投資方法を選ぶ

たくさんある投資商品の中でどのように投資方法を選ぶためには、自己分析が大切です。

・安定した収入があるか
・運用に時間をかけたいか
・どれだけ値下がりを我慢できるか

など、自分の収入状況や性格などを考慮して投資方法や商品を選びましょう。

【初心者から中級者向け】

・投資信託

投資家から集めたお金を1つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用します。1万円程度の少額から始められるうえ、分散投資タイプなので、自分の持ち分も割合通りに分散投資されます。

毎月一定額を積立購入すれば、さまざまな価格で買い付けができ、さらにリスクを低減できます。

・確定拠出年金

60歳まで投資しながら老後資金を準備して、公的年金の不足分を補うのが確定拠出年金です。「企業型」と「個人型(iDeCo)」があり、企業型は福利厚生として導入する会社が増えています。

利用できる金融商品は運営管理機関により異なりますが、定期預金や投資信託を選べることが多いです。

・NISA

個人投資家のための少額投資非課税制度です。NISA口座内で得た株式や投資信託の利益が非課税になります。通常、利益には約20%もの税金がかかるのでとってもおトクな制度です。

通常のNISA、積立専用のつみたてNISA、未成年者対象のジュニアNISAと3種類ありますが、1人1種類しか開設できません。もし株式投資が目的ならNISA口座かジュニア口座を利用しましょう。投資信託はどの口座でも利用ができますが、非課税期間や上限金額に差があるので注意が必要です。

【上級者向け】

・外貨預金

外貨預金は円を外貨に換えて預金するもので、利息も外貨でつきます。

円に戻して受取る際には為替レートの影響を受けますので、預入時より円安なら利益がでますが、円高だと元本割れで損失のリスクが高まります。

・不動産投資

土地や建物を買って売却することで利益を得る場合と、マンションなどを貸して賃料収入を得る投資です。

場所や建物の影響が大きいため、経験や知識が無ければ収支の予想は難しく誰でも成功するとは限りません。不動産の購入金額は高く、ローンを組むのが一般的でしょう。

まとめ

ここまで6つのお金の機能を見てきました。自分がしたいことを実現するためには、お金という道具の使い方を知る必要があります。使い方がわかれば、漠然とした不安もスッキリするのではないでしょうか。1つ1つ、基本を押さえて大切なお金と向き合っていきましょう。

書籍紹介:『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(泉 美智子監修、坂本綾子著/朝日新聞出版)2018年8月出版)

出版社書籍紹介:『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(泉 美智子監修、坂本綾子著/朝日新聞出版)2018年8月出版)
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