くらしの知恵

資産形成はポイ活で!? 貯まったポイントで始める「0円投資」

この記事で解説するNISAに関する情報は、2023年までのNISAについての内容です。2024年1月から始まった新しいNISAについては、以下のサイト等からご確認ください。
金融庁:NISAを知る(外部リンク)

二人暮らしや結婚を機に、将来に備えた投資を考えている人も多いことでしょう。最近では、ネットやリアル店舗で得られるポイントを元手とした「0円投資」が注目されています。

ファイナンシャルプランナー・野原 亮氏の著書『貯金がなくても資産を増やせる「0円投資」』をもとに、0円投資の基礎知識を紹介します。

日常生活で貯まったポイントを原資に投資信託や株を購入すれば、元手なしの実質0円で、投資をすることが可能です。投資において、「損をしたくない」「大きなお金がないと投資できない」「学べる場所や時間がない」と思い込んでいる人も多いかもしれませんが、0円で始められるのであれば、「とりあえずやってみてもいいかな」と思えるのではないでしょうか。

ここでは、国内の代表的なポイントサービスである「楽天ポイント」と「Tポイント」を例に挙げつつ、0円投資のノウハウをお伝えします。

資産形成とポイ活の基礎を知ろう

元手0円で始められる0円投資。具体的には、投資にまわせるポイントや現金に交換できるポイントを、投資信託や株の購入原資とすることで、0円での投資が実現します。まずは、資産形成とポイ活の基礎を理解しておきましょう。

1.資産を長期で積み立てるメリット

これから2000万円を貯めるとして、5年かけるのと20年かけるのでは、どちらが達成しやすいでしょうか。金利を考慮せずに毎月一定額を積み立てるとしたら、ひと月の額は5年なら33万円、20年なら8.4万円となり、長期でコツコツと積み立てるほうが、資産を増やせる確率が高くなるといえます。

とはいえ、銀行預金が超低金利の日本では、預貯金だけで資産を増やすことは困難であり、資産形成を目指すなら、他の金融商品を活用することが望まれます。そこで注目されるのが、0円投資です。日頃の買い物で貯まったポイントを投資信託や株に投資すれば、自分の財布からは1円も出すことなく、資産形成デビューができるのです。

2.ポイ活は賢く効率的に

QRコードやバーコードを利用したコード決済の普及により、ここ数年で「ポイ活(ポイント獲得活動)」が盛んになっています。0円投資は、100円分のポイントがあれば始められるので、まずは少額から試してみることをおすすめします。

ポイントを貯めるコツは2つあります。1つは、なるべく自動化することです。毎月自動的に積み立てられるように設定すれば、資産運用について細かく考える必要なく、投資をしくみとして自動化できます。

2つめは、なるべく一極集中することです。数種類のポイントやマイルを貯めようとはせず、獲得するポイントを同じ銘柄に集約した方が、効率良く投資にまわせるポイントを貯めることができます。

3.キャッシュレス決済を利用

0円投資の原資となるポイントは、キャッシュレス決済を活用した際に付与されるケースが一般的です。日常的な買い物では、現金ではなくクレジットカードやQRコードで決済することを意識し、カードや決済サービスに付与されるポイントを獲得しましょう。キャッシュレス決済を行うことで、財布から小銭を取り出すといった無駄な時間や行動を減らすこともできます。

とはいえ、ポイントが貯まるからと、余計な買い物をしてしまっては本末転倒です。ポイ活の目的は、賢く効率的にポイントを貯めて、家計の貯蓄残高をストレスなく増やすことにあります。ポイントを貯めるために生活スタイルを変えるような消費をしないことが、0円投資を継続するためのコツです。

0円投資を始めてみよう

O円投資は、ポイントで投資できるサービスを利用する方法と、ポイントを現金に交換してネットバンク等に送金して行う方法があります。複雑に感じるかもしれませんが、ポイントが付与されるルールを知り、ポイ活を習慣化すれば、誰でも実践できます。

大切なのは「額」ではなく「率」であること念頭に、投資額や利益額を気にせず、投資効率や利益率を上げる意識を持ちましょう。

1.ポイント獲得サイトを活用

代表的なポイント獲得サイトは、「ハピタス」や「モッピー」などです。これらのサイトを経由してサービスを利用すると、サービス本体のキャンペーンに加えて、そのサイトからも別途ポイントを獲得できます。

例えば、ハピタスを経由して楽天カードを契約したら、楽天のキャンペーンポイントに加えてハピタスのポイントを、同様に、楽天市場でショッピングしたら、楽天ポイントに加えてハピタスのポイントを獲得できるのです。おトクなポイント獲得サイトは、「どこ得?」や「ポイント獲得ナビ」などのポイント比較サイトで調べることができます。

ポイント獲得サイトのポイントをある程度貯めれば、楽天ポイントなどの別のポイントや、現金に交換することができます。生活に必要なサービスの契約やショッピングを行う際は、ポイント獲得サイトを積極的に利用しましょう。

主に、楽天ポイントは楽天証券の投資信託や株、TポイントはSBI証券やSBIネオモバイル証券(スマホ専用証券)にて、0円投資を行うことができます。

2.楽天ポイントの0円投資

楽天ポイントで投資を行うためには、楽天カードを契約し、楽天銀行と楽天証券の口座を開設します。その上で、下記で紹介する「全世界株式ファンド」などの、金融商品を選定します。楽天証券は、クレジットカード決済で投資信託を積み立てることができるので、決済額に合わせた楽天ポイントが付与される点も魅力です。

毎月の決済額は、楽天カードによる積み立て設定で行います。この際、完全に0円で投資をしたい場合は、楽天ポイントを優先的に利用する設定と、ポイント利用の上限を決める設定を行います。最初は1つの金融商品に絞り、500円程度の少額の積み立てから始めれば、無理なく継続できるはずです。

そして、コツをつかんできたら、投資額を増やしていくのも一案です。カードの利用額を概算すればポイントの動向が把握できるので、積み立てる金額を調整しながら、獲得したポイントや現金の範囲内で投資を検討することができます。

3.Tポイントの0円投資

Tカードを0円投資で活用するには、Tカード情報と「Yahoo! JAPAN ID」を取得し、「T-SITE」への登録とヤフーカードの契約を行います。さらに、住信SBIネット銀行に口座を開設し、SBI証券やSBIネオモバイル証券とTポイントを連携します。こうして環境が整ったら、どの金融商品を取引するかを決め、投資を始めます。

ちなみに、Tポイントは、「T-SITE」のメルマガバナーをクリックして獲得できたり、動画視聴やくじの当選で獲得できたりと、人によっては他のポイントサービスよりも貯めやすい設計になっています。ライフスタイルに合わせて、最適なサービスを選択しましょう。

初心者は投資信託を利用しよう

0円投資とはいえ、内容を理解しづらい商品へ投資することには、多くの人が抵抗感を持つことでしょう。これから投資を始める人におすすめなのが、もっとも一般的に活用されている投資信託です。楽天証券やSBI証券は、取り扱う投資信託の本数が充実しています。

1.おすすめ口座は「つみたてNISA」

投資信託の中でもおすすめなのが、つみたてNISAの対象となっている商品です。つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための制度です。投資から得られる分配金や譲渡益が上限内であれば非課税となるなど、投資初心者をはじめ、幅広い年代に利用しやすいしくみとなっています。

また、つみたてNISAには、40万円の年間非課税投資枠があるため、楽天ポイントなら、ひと月あたり3万3333ポイントを利用できます。投資にまわせる獲得ポイント数には個人差があるものの、毎月コンスタントに3万ポイント以上を獲得している人はほとんどいないと思われるため、一般的には十分な投資枠になると考えていいでしょう。

2.おまかせ派は全世界株式ファンド

コンセプトがシンプルな商品といえば、全世界株式へのインデックスファンドです。世界中の株式に分散投資をするスタンスの投資信託で、代表的な商品には、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」「eMAXIS Slim 全世界株式」などがあります。

これらの投資信託は、1本に投資するだけで、一定のバランスを保ちながら世界中の株式に投資できるので、初心者でも悩むことなく始めることができます。ただし、基本的には選んだ商品の規則に沿って運用されるため、各資産の運用割合を変更できないなどの制限があります。

3.これからの0円投資の動向

0円投資は、もはや投資信託だけではなく、株式投資もできる時代に突入しています。今後もさまざまな商品のリリースが予想されるので、まずは1社で0円投資を試してみて、慣れてきたら他社ポイントの獲得や利用も検討してみるといいでしょう。

現在のところ、「楽天ポイント」「Tポイント」に次ぐポイントサービスには、「dポイント」「LINEポイント」「Pontaポイント」「WAONポイント」などが挙げられます。そして、数百円単位から企業の株を買うことも可能になっているので、今後は株式投資がより身近になると考えられます。やり方次第では、効率よく資産を増やすことができるでしょう。

まとめ

楽天ポイントやTポイントほか、日頃の買い物などで得たポイントを、投資信託や株の購入原資として始める0円投資。まずは、ポイント獲得サイトを活用するなどして、賢く効率的にポイントを手に入れることを意識しましょう。

これから投資を始める初心者には、一般的に広く活用されている投資信託がおすすめです。税制の優遇がある「つみたてNISA」や、世界中の株式に分散投資ができる「全世界株式ファンド」などを中心に、商品をリサーチしてみましょう。

各社のポイントサービスは、あくまでその会社独自のサービスであり、ポイント獲得の条件などが予告なく変更されることもあるので注意が必要です。

書籍紹介:『貯金がなくても資産を増やせる「0円投資」』(野原 亮著/日本実業出版社)2021年6月出版

出版社書籍紹介:『貯金がなくても資産を増やせる「0円投資」』(野原 亮著/日本実業出版社)2021年6月出版
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