ヒュッゲとは?北欧に学ぶゆとりを持った豊かな暮らし方を解説!
かねてより海外の人から見て、日本人は労働時間が長く、休まないというイメージがあると聞きます。しかし、現在の日本では海外のようなゆとりのあるライフスタイルを目指す人も増えています。なかでも、近年注目されているのが北欧発の暮らし方「ヒュッゲ」です。
この記事では、ヒュッゲとは何か、ヒュッゲな暮らしをするポイントについて解説していきます。
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ヒュッゲ(HYGGE)とは?
「ヒュッゲ」という言葉は、日本ではあまり馴染みのないワードではないでしょうか。ヒュッゲとは、日本語で言うと「ホッコリ」に近い意味を持つデンマーク語です。
日本語の「ホッコリ」と聞くと、力が抜ける・癒されるなど、リラックスをして幸福感を感じるイメージが持てますよね。ヒュッゲも同じように、「心地よい居場所」や「快適な時間」を表します。また、小さな幸せを大切にする心持ちなども「ヒュッゲ」に含まれています。
北欧諸国(フィンランド・デンマーク・アイスランド・ノルウェー・スウェーデン)は、国連が調査している2022年版「世界幸福度報告書」において、幸福度ランキング上位8位以内に入っています[1]。ヒュッゲな時間を楽しむ文化が、高い幸福度につながっているともいわれています。
ヒュッゲな暮らしを楽しむために大切な7つのポイント
ヒュッゲな暮らしは居心地のよさを重視したライフスタイルです。たとえ北欧に住んでいなくても、いくつかのポイントを押さえた暮らしを送ることで、ヒュッゲな暮らしを楽しむことができます。
ここからは、日本でヒュッゲな暮らしを送るために、大切にすべき7つのポイントを解説します。
人との交わりを大切にする
ヒュッゲな暮らしでは、同じ時間や空間を人と共有することが大切です。例えば、スウェーデンでは家族や友人・パートナーと一緒に長い時間、お茶やコーヒーなどを楽しむ習慣があります。
この習慣は、国に関係なく実践できるものです。日常生活はもちろん、お正月やクリスマスなどのイベント時にも、大切な家族や友人とゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
日々の生活に自然を取り入れる
ヒュッゲな暮らしにおいては自然の温かさを感じることも重要です。デンマークは冬が長いため、夏の期間はアウトドアを楽しむ人が多いです。ピクニックやバーベキューを楽しんだり、自転車で通勤・通学をしたりして自然を感じることでヒュッゲな時間を過ごしています。
日本には四季があり、季節ごとに景色が変わります。気軽に遠出をするのは難しいかもしれませんが、まずは近所を散歩し、自然を鑑賞することで、季節の移り変わりを感じることもおすすめです。
一方で労働時間が長く、なかなか外出できず自然と触れ合う機会が少ない人もいるでしょう。そのような場合は自宅内で観葉植物やテラリウムを育てるなど、室内に自然を取り入れた空間を作ることがおすすめです。
ゆったりできる落ち着いた空間を作る
ヒュッゲな暮らしを楽しむためには、空間づくりがとても重要です。空間づくりのポイントは、お気に入りのものに囲まれた空間を作ることです。お気に入りのもの、自分が好きなものに囲まれていると、自然と気持ちが落ち着くはずです。
また、デンマークには必要最低限のものだけで暮らす、ミニマリストが多く存在すると言われています。不用な物を減らすことで、空間的なゆとりを作ることができます。とはいえ、厳密に言うとヒュッゲとミニマリストはまた別の考え方です。ヒュッゲは「心地よい空間」にすることが大切なので、ただ所持品を減らすだけでなく、自分にとって心地よいと感じるものを探すことから始めるとよいでしょう。
光の暖かさを感じるようにする
ヒュッゲな暮らしをするにあたって、気軽に取り入れやすいのが照明です。デンマークでは夜が長いため、自然と部屋の中にいる時間も長くなる傾向にあります。長時間部屋の照明に照らされることから、心地よい空間にするために、照明にこだわりを持つ方が多いとされています。間接照明やキャンドルなど、室内を温かく照らしてくれる照明は、ヒュッゲな生活に最適といえるでしょう。
キャンドルや小さな間接照明であれば、最近は100円均一ショップやディスカウントストアなどの店舗でも購入できます。部屋の雰囲気は、光源を置く位置や光の強さによっても変わるので、自分にとって心地よい光量になるように調整してみましょう。
過度に仕事に縛られないようにする
日本人は、生真面目で働き者だと言われています。時間に厳しく、一分でも遅刻してはいけないと常に気を張っている方が多いでしょう。この考え方は日本人の長所でもありますが、一方で、急がなくてもいい場面で急いでしまうなど、心の余裕を作る上では大きな短所にもなり得ます。多忙な生活が続くと、心に余裕がなくなり、つい攻撃的になったり、自分のケアが疎かになったりしてしまうでしょう。
デンマークの人々は残業をせず定時で仕事を終える方が多い傾向にあります。これは、仕事と同じくらい、またはそれ以上にプライベートの時間を大切にする文化があるからです。仕事は大切ですが、息抜きの時間や自分の趣味をする時間を確保したうえで取り組むように心がけてみてください。
とはいえ、どうしても長時間労働が避けられない場合もありますよね。そういうときは、例えば通勤時には仕事を忘れて自分の好きな本を読む、寝る前には自分の好きな香りの入浴剤を入れてお風呂に入るなど、生活のルーティンの中に自分の好きなことを組み込んでみましょう。
小さな幸せに気づけるようにする
忙しい中で忘れてしまいがちなことが、感謝の心です。現代社会には物があふれており、当たり前にさまざまなことができるでしょう。そのため、今の状況を当たり前として受け入れてしまうことがあります。今持っているものや便利さ、快適さなどを当たり前と考えてしまうと、現状に満足できなくなり、幸福感を感じづらくなってしまいます。
ヒュッゲな暮らしを送るうえでは、今あるものや小さなことを当たり前と思わず、小さな幸せに気付くことが重要です。今あるものは当たり前ではないという考えが身に付けば、新しく何かを得たときに、より大きな幸福感が得られるでしょう。
気負わず、気楽に過ごす
現代人は忙しく、些細なことをストレスに感じます。特に日本人は、「人に迷惑をかけてはいけない」という文化があるため、よくも悪くも無意識に人へ気を使う傾向にあります。東京オリンピックの招致活動でも「おもてなし」が話題になり、日本人ならではの応対が海外の方に喜ばれました。
しかし多忙なうえに他者に気を使う暮らしが続いては、誰でも疲れてしまいます。北欧の人々は、無理に他人に気を使うのではなく、できるだけ気負わず、気楽に過ごすことがヒュッゲのスタイルであるという考えを持っています。
ヒュッゲな暮らしでは、人を家に招くときも無理におもてなししようとするのではなく、普段と変わらない食事をしながら「一緒に過ごす時間」に重きを置きます。自然体で気楽に生活することが、ヒュッゲな暮らしにおいて大切なことです。
ヒュッゲな暮らしに欠かせないアイテム
ヒュッゲな暮らしをするためには、考え方を変えることが重要ですが、それ以外にも生活にちょっとしたアイテムを加えることで実現できる部分もあります。
この章では、ヒュッゲな暮らしに欠かせないアイテムをご紹介します。アイテムを取り入れるだけでヒュッゲな暮らしを実践しやすくなるため、ぜひ参考にしてください。
温もりを感じる照明器具
前述のとおり、ヒュッゲな暮らしをするにあたって最も重要で、簡単に空間への印象を変えられるアイテムが照明です。普段の照明から、光量を少し落としたり、色を変えたりするだけでも、部屋の雰囲気が大きく変わります。
ヒュッゲな暮らしに取り入れやすい照明器具の代表がキャンドルです。デンマークではキャンドルを用いて、落ち着いた空間を演出することが日常的に行われます。就寝前に明かりを消してキャンドルを灯し、ロウソクの炎が揺れる様子をただ眺めているだけでも心が落ち着くでしょう。
また、やさしく照らしてくれる暖色系の間接照明などもおすすめです。日々の生活に温もりが感じられる照明器具を取り入れることで、落ち着いた空間が作れるでしょう。
自然を身近にする観葉植物
自然には、心をリラックスさせる効果があります。家の近くに自然があればいいですが、日常的に外の自然に触れることが難しい方もいるでしょう。その場合には、部屋のインテリアとして、観葉植物やテラリウムなど、自然を身近にするアイテムを置けば、身近に自然がある空間を作れます。
エアプランツのように、土を使わず育てられるものや、霧吹きだけで水やりが済むものなど、簡単に育てられる観葉植物が増えているため、まずはそれらを取り入れてみることもおすすめです。
愛着の湧くマグカップ
ヒュッゲな暮らしを楽しむ北欧の人々は、それぞれ自分のマグカップでコーヒーやお茶を飲み、リラックスする時間を大切にしています。どれだけ古く、傷付いたものでも、愛着のある物に囲まれる生活がヒュッゲな生活です。人にもよりますが、愛着のあるものを使うことが一番リラックスにつながるということもあります。
子供のころから使っているマグカップを、何故だか気に入ってずっと使っているという方もいるのではないでしょうか。ぜひお気に入りのマグカップを見つけて、温かみのある穏やかなティータイムを過ごしてください。
日常に取り入れやすいヒュッゲな時間の過ごし方
ヒュッゲな暮らしがしたくても、「海外の文化を突然取り入れることは難しそう」と考える人もいるでしょう。しかし、特別なことをせずとも、身近な行動を通してヒュッゲな時間を過ごすことが可能です。日常生活で取り入れやすい、ヒュッゲな時間の過ごし方をご紹介します。
散歩をして自然と触れ合おう
散歩をすることは、最も簡単な自然と触れ合う方法です。多忙な生活で、散歩をすることが難しいという場合には、以下のようなことをしてもよいでしょう。
- 出勤前に10分だけ早く家を出て、1駅分緑のあるところを歩いてみる
- 休憩時間に公園でお昼ごはんを食べてみる
- 買い物ついでに遠回りして歩いてみる
このようなちょっとした行動でも、生活の中で簡単に自然と触れ合えるため、散歩はぜひおすすめしたい方法です。それでも時間がないという場合は、手が空いているときに外に出て、空を見上げながら深呼吸するだけでもヒュッゲな時間を感じられるでしょう。
読書などで自分と向き合ってみよう
読書は、自分と向き合ったり本からさまざまな世界を感じたりできる便利なツールです。本を読んでいるといつの間にか集中しており、気付けば時間が経過していたという経験がある方もいるでしょう。
読書には、読み進めるうちに没頭させ、本の世界へと引き込む力があります。お気に入りの本を見つけ、本の世界観を感じながら自分の時間を楽しむことで、リラックス効果が期待できます。また、温かいコーヒーや紅茶を片手に読書を楽しむこともおすすめです。
毎日、「仕事や家事をしているうちに1日が終わっていた」という生活をしている方は、短時間でも本を手に取ることで、自分だけの時間を楽しむことができるようになるでしょう。
家族や友人と語り合おう
事前に日程を組んで、凝った料理を食卓に並べてパーティーをすることは、日本でも行事やイベントの際に行っているでしょう。しかし、特別なパーティーだけでなく、家族や友人といつも通りの食卓を囲んで、いつものように食事を楽しんだり、ティータイムを楽しんだりすることもヒュッゲな生活をするうえでは重要です。
気を使って凝った料理を作ったり、さまざまなサプライズやゲームを行ったりするのも楽しいですが、時には、一緒に過ごす時間に重きを置いて、ゆったりと会話を楽しんでみてはいかがでしょうか。
時間に余裕があれば、キャンプやピクニックなどをして、自然に囲まれながら時間を忘れて、夜通し語り合うこともおすすめです。
まとめ
日々を忙しく生きている現代の日本人にとって、ヒュッゲな時間を過ごす北欧の人々の考え方は、ぜひ参考にしたいものです。心地よい時間を過ごすことは、自分自身を見つめ直すよい機会にもなるでしょう。
この記事では、ヒュッゲな生活をする上で重要なポイントをいくつか紹介しました。簡単にできそうだと思うことがあれば、ぜひ実践してみてください。
- 国際連合持続可能開発ソリューションネットワーク:
世界幸福度ランキング2022(World Happiness Report 2022)
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