足がつる 予防 食べ物
食の知識

管理栄養士監修:足がつるのを予防する食べ物とは?予防・対処法も

「運動中や就寝中によく足がつって困っている」という方は、多いのではないでしょうか。足がつる原因には、水分や栄養不足、筋肉疲労などが考えられます。足がつりやすい理由や、不足している食べ物がわかれば、効果的な予防が可能です。

そこで今回は、足がつる主な原因、頻繁に足がつる人の特徴、足がつるのを予防する栄養素・食べ物、そのほかの予防法や対処法を解説します。

監修者

保科 琴美(ほしな ことみ)
東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士

管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。

保科 琴美

足がつる(こむら返り)の要因は?

筋肉のつりは、手や足などのさまざまな部位で起こります。なかでも、ふくらはぎをつって痛い思いをした経験のある方は、多いのではないでしょうか。ふくらはぎは「こむら」ともいうことから、「こむら返り」とも呼ばれます。

足がつる明確な原因は、今のところ解明されていませんが、考えられる主な要因について解説します。

水分不足・ミネラルバランスの崩れ

体内の水分不足やミネラルバランスの崩れが要因となり、足がつることがあります。ミネラルとは、マグネシウムやカルシウム、カリウムなどの栄養素です。

水分不足やミネラルバランスの崩れが起こると、筋肉の収縮や弛緩がうまくいかなくなり、痙攣しやすくなります。

血行不良

血行不良が要因となり足がつる場合もあります。ふくらはぎは、全身に血を行き渡らせる役割を担うため「第二の心臓」とも呼ばれています。

ふくらはぎの筋肉が何らかの理由で凝り固まってしまうと血流が悪くなり、結果として足がつってしまうことがあります。

筋肉疲労

筋肉に負荷がかかる状態が続き、疲労することで足がつるケースもあります。例えば、長時間の立ち仕事や運動の後などです。

特に、激しく運動した日は、汗とともに筋肉の動きを調整するミネラルが排出され、筋肉疲労が起こりやすくなります。筋肉が疲労すると、乳酸などの老廃物がたまり、筋肉の収縮が妨げられてしまいます。それが、足がつる要因だと考えられています。

足の裏を伸ばす女性

頻繁に足がつる人の特徴・原因

続いて、頻繁に足がつる人の特徴をご紹介します。また、寝ているときに足がつる場合の原因についても解説します。

食生活に偏りがある人

食生活に偏りがある人は、ミネラルバランスが崩れやすいため、足がつりやすい傾向にあります。

ミネラルには、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどがあります。これらのミネラルを十分にとるために、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

長時間座ることが多い人

デスクワークなど、長時間座った姿勢でいることが多い人も足がつりやすいと考えられます。座りっぱなしの状態は、筋肉疲労で足がむくみ、血行不良を起こしやすくなるからです。

特に、抗重力筋(地球の重力に対して姿勢を保つために働く筋肉)の一つであるふくらはぎは、座ったままだと血行不良を起こしやすい部位です。

長時間座ることが多い人は、こまめに立ち上がったり簡単なストレッチをしたりして、血流を促進すると効果的です。

激しい運動をする人

激しい運動によって足をつるケースもあります。スポーツなどで筋肉を使うとカルシウムやナトリウムなどのミネラルが急速に消費され、筋肉疲労が起きやすくなるため、足がつる可能性も高まると考えられています。

運動をする方でよく足がつるという場合は、予防としてスポーツドリンクなどをこまめに飲むようにし、ミネラルを補給すると良いかもしれません。

寝ているときに足がつる原因

就寝中に足がつるという方も多いと思います。睡眠時はさまざまな条件が重なるため、特に足をつりやすい状態です。

例えば、多くの汗をかくことによる脱水、筋肉を動かさないことによる血行不良などがあります。このような足がつりやすい状態のときに、寝返りなどで急に動くと、筋肉が刺激されて足がつってしまうことがあります。

また、寝ている部屋の室温が低かったり、布団から体が出ていたりすると、体温や血流が低下し足が冷えて、さらに筋肉がつりやすい状態になります。

足がつるのを予防する栄養素と食べ物

水分不足や血行不良、筋肉疲労などの改善に効果的な食べ物を食べることで、足がつることの予防につながります。

ここでは、足がつるのを予防する栄養素と食べ物の例をご紹介します。

マグネシウム:わかめ・アーモンド

マグネシウムはミネラルの一種で、体内の酵素の働きを助け、丈夫な骨や歯の形成を促すなど、さまざまな役割を持ちます。筋肉の収縮や神経伝達にも関わる栄養素で、不足すると筋肉が硬直しやすくなってしまうことがあります。

筋肉の硬直は血行不良を招き、足がつってしまう要因にもなるため、マグネシウムを適切にとることが大切です。

マグネシウムが豊富に含まれる食材は、魚介類や海藻類、ナッツ類、穀類などです。例えば、以下のような食材に多く含まれています。主に、和食を食べるように意識すると、マグネシウムを摂取しやすくなります。

マグネシウムを含む食べ物

  • わかめ
  • するめ
  • いわし
  • 玄米
  • アーモンド
  • 納豆 など

カルシウム:乳製品・煮干し

小魚定食
カルシウムは骨や歯を作るだけでなく、筋肉の収縮や神経の伝達に関わる働きもあるミネラルの一種です。筋肉の活動で消費されるほか、汗をかくことで体の外へ排出されます。

カルシウムが不足すると、筋肉の収縮のコントロールが乱れ、足がつる原因にもなります。バランスよく食事し、栄養素を補給しましょう。

また、厚生労働省の「令和4年 国民健康・栄養調査報告」[1]によると、日本人のカルシウムの平均摂取量は厚生労働省が定める摂取基準[2]を満たしていないと報告されています。このことからも、積極的にカルシウムを含む食材を食べることをおすすめします。

カルシウムが豊富とされるのは、以下のような乳製品や大豆製品、海藻、野菜類などです。また、骨ごと食べられる小魚も、多くのカルシウムをとりやすい食べ物です。

カルシウムを含む食べ物

  • 牛乳
  • チーズ
  • ひじき
  • 小松菜
  • 木綿豆腐
  • 煮干し など

チーズや牛乳などの乳製品

カリウム:バナナ・りんご

カリウムもミネラルの一種で、筋肉の収縮や神経伝達などにも関わる栄養素です。不足すると筋肉の収縮が適切に行われなくなることがあり、足がつる原因となる可能性があります。

一般的に、カリウムは食事から十分な量をとりやすいため、不足しにくい栄養素であるといわれています。しかし、激しい運動などにより体から水分と一緒に排出されると、体内のカリウムが減少してしまうことがあります。

カリウムは野菜や果物、魚、肉、いも、豆、海藻など、幅広い食べ物に含まれています。ただし、水溶性のため、調理すると摂取できる量が減ってしまうことがあります。カットした野菜を水にさらしたり、茹でこぼしたりするとカリウムが抜けてしまうので注意しましょう。

生で食べられる果物は、手軽に多くのカリウムをとりやすいです。果物ジュースにもカリウムは含まれていますが、糖分が多く含まれるため適量を心がけてください。

カリウムを含む食べ物

  • バナナ
  • キウイ
  • わかめ
  • りんご
  • じゃがいも
  • トマトジュース など

※上記は一例です。カリウムは野菜・果物全般に含まれています。

バナナとりんご

クエン酸:レモン・梅干し

クエン酸は疲労回復のために重要な働きをする栄養素として知られており、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を助ける働きがあります。

足のつりを予防するためには、ミネラルを含む食べ物に加え、クエン酸を含む食材もバランスよくとることがおすすめです。ただし、一度に大量にとっても体に留めておくことができず、余計な分は排出されてしまいます。回数を分けてこまめに食べるよう心がけましょう。

クエン酸が豊富に含まれている食べ物は以下のとおりです。

クエン酸を含む食べ物

  • いちご
  • レモン
  • グレープフルーツ
  • 梅干し
  • オレンジ など

レモンとイチゴ

ナトリウム:みそ汁・スポーツドリンク

ナトリウムもミネラルの一種で、筋肉や神経の働きを正常に保つために必要な栄養素の一つです。

カリウムとともに体内の塩分と水分のバランスを保つ働きがあり、不足すると筋肉が痛みを覚えたり、食欲不振になったりする場合があります。

過剰に摂取してしまいやすいナトリウムですが、激しい運動などによって大量に汗をかくと、ナトリウムも減ってしまいます。とり過ぎには注意が必要ですが、不足すると脱水症状を招いてしまうため気をつけましょう。

ナトリウムは、みそやしょうゆといった食塩を含む調味料をはじめ、ハムや練り物などの加工食品にも多く含まれています。とり過ぎを防ぎたいときは、カリウムを含む食材と一緒に食べることがおすすめです。カリウムには余分なナトリウムを排出する働きがあるため、バランスよく栄養をとれるでしょう。

ナトリウムを含む食べ物

  • スポーツドリンク
  • みそ汁
  • 漬物
  • ハム
  • かまぼこ など

野菜のお漬物

予防にはサプリメントも効果的

バランスの良い食事をとるのが難しいときは、不足した栄養素をサプリメントで補うのも有効です。ただし、サプリメントは一時的に不足した栄養素を補うものとして考え、基本的には食事からとるようにしましょう。

なお、持病があるときや薬と併用するとき、複数のサプリメントを摂取するときは、健康に悪影響を与える可能性も考えられます。飲み合わせや過剰摂取に注意し、必要に応じて医師や薬剤師に相談しましょう。

足がつるのを予防する方法

食生活の改善以外で、足がつるのを予防する方法を3つ解説します。

飲み物をこまめに飲む

先述の文章で、体内の水分不足が原因で足がつるケースがあると説明しました。水分不足による足のつりを予防するには水分摂取がとても大切です。

スポーツドリンクには、ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなど、筋肉の正常な収縮に重要な電解質も含まれているため、汗をかくときに飲めばさらに効果的といえます。ただし、糖分や塩分が入っているため、飲み過ぎには注意が必要です。

簡単なストレッチを行う

血行不良による足のつりを予防するには、ストレッチで体を動かし血流を促進するのが効果的です。立ちっぱなしや座りっぱなしの生活習慣は、血液の循環を悪化させ、老廃物が筋肉に滞留しやすい状態を招きます。

座っているときは膝を伸ばしたり足首を曲げ伸ばしたりする、立っているときは屈伸をするなど、少しでも体を動かしましょう。

体を温める

体が冷えると、血流が悪くなり、筋肉に十分な栄養や酸素が届かなくなります。寝ているときは特に、足先が冷えることで筋肉がつるリスクが高まります。

お風呂にしっかり浸かる、湯たんぽや電気毛布などで体を温めるといった方法が効果的です。

足がつったときの対処法

最後に、足がつったときの対処法をご紹介します。

足のつりが治まった後は、再発しないようにしっかり水分をとりましょう。ストレッチをして血流を整えられると、予防にも効果的です。

患部の筋肉をゆっくり伸ばす

足がつったときは、つっている箇所をゆっくり伸ばしましょう。これは一般的な対処法です。

例えば、ふくらはぎがつったときは、足の指を体の方に引っ張るようにして伸ばします。このときに膝も一緒に伸ばすと、つっている筋肉がさらに伸びやすくなります。勢いよく伸ばしたり、無理に伸ばしたりすると、肉離れを起こす可能性があるため注意してください。

患部を温める

足がつったときは、患部を温めるのも効果的です。温める方法には、手でさする、蒸しタオルを使うなどの方法があります。

足がつっている状態が治まった後に違和感が残っている場合も、気になる部分を温めると改善される場合があります。

部屋でストレッチをする女性

まとめ

足がつるのを予防する食べ物には、マグネシウムを含むわかめやアーモンド、カルシウムを含む乳製品や煮干しなどが挙げられます。日頃の生活習慣を見直すと、足がつる原因となっている行動を把握でき、予防策をうてます。

本記事でご紹介した内容を参考に、食事の栄養バランスを考えたり、日常にストレッチを取り入れたりして、生活を見直してみてください。

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