管理栄養士監修:足がつる予防になる食べ物は?原因と食事での対策方法
本記事では、足がつってしまう主な原因や、予防につながる栄養素などをご紹介します。また、必要な栄養素を補うためにおすすめの食べ物もお伝えします。足のつりを予防したい方は、ぜひご覧ください。
監修者
- 保科 琴美(ほしな ことみ)
- 東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士
管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。
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足がつる最大の要因は血行不良
筋肉のつりは、手や足などのさまざまな部位で起こります。なかでも、ふくらはぎをつって痛い思いをした経験のある方は、多いのではないでしょうか。ふくらはぎは「こむら」とも呼ばれるため、この部分がつることを「こむら返り」と呼ぶこともあります。
足をつる主な原因のひとつと言われているのが血行不良です。ふくらはぎは全身に血を行き渡らせるための役割を持っており、「第二の心臓」と呼ばれることもあります。ふくらはぎの筋肉が何らかの理由で凝り固まってしまうと血流が悪くなり、結果として足がつってしまうことがあるのです。
また、筋肉の収縮や神経伝達などに関わる栄養素が不足することでも、こむら返りが起きてしまうことがあります。代表的な栄養素がマグネシウムやカルシウム、カリウムといったミネラルです。
たとえば、運動することでミネラルが汗で排出され、足をつる原因のひとつになることがあります。必要な栄養素を含んだ食材を取り入れ、こむら返りを予防しましょう。
足がつる予防になる栄養素と食べ物
足をつりやすくなっていることに悩んだら、普段の食事で必要な栄養素が摂れているか確かめてみることがおすすめです。
ここでは、足がつるのを予防したいときにおすすめの栄養素をご紹介します。どんな食べ物に含まれているのかもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
マグネシウム:筋肉の硬直を緩和する
マグネシウムはミネラルの一種で、体内の酵素の働きを助け、丈夫な骨や歯の形成を促すなど、さまざまな役割を持ちます。筋肉の収縮や神経伝達にも関わる栄養素で、不足すると筋肉が硬直しやすくなってしまうことがあります。
筋肉の硬直は血行不良を招き、足がつってしまう原因にもなるため、マグネシウムを適切に摂ることが大切です。
マグネシウムが豊富に含まれる食材は、魚介類や海藻類、ナッツ類、穀類などです。たとえば、以下のような食材に多く含まれています。和食を食べるように意識することで、マグネシウムを摂取しやすくなるでしょう。
- わかめ
- するめ
- いわし
- 玄米
- アーモンド
- 納豆 など
カルシウム:神経活動を適切にする
カルシウムは骨や歯をつくるものというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、カルシウムには筋肉の収縮や神経の伝達に関わる働きもあります。マグネシウムと同じミネラルの一種で、筋肉の活動で消費されるほか、汗をかくことで体の外へ排出されていきます。カルシウムが不足することで筋肉の収縮のコントロールが上手くいかず、足をつる原因となることも。食事でバランスよく栄養素を補給しましょう。
また、厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査報告」[1]によると、日本人のカルシウムの平均摂取量は厚生労働省が定める摂取基準[2]を満たしていないと報告されています。このことからも、積極的にカルシウムを含んだものを食べることをおすすめします。
カルシウムが豊富とされるのは、以下のような乳製品や大豆製品、海藻、野菜類などです。骨ごと食べられる小魚もカルシウムを多く摂ることができるでしょう。
- 牛乳
- チーズ
- ひじき
- 小松菜
- 木綿豆腐
- 煮干し など
カリウム:筋肉の疲労を緩和できる
カリウムもマグネシウムやカルシウムと同じミネラルの一種で、筋肉の収縮や神経伝達などにも関わる栄養素です。不足すると筋肉の収縮が適切に行われなくなることもあり、足がつる原因となる可能性があります。
一般的に、カリウムは食事から十分な量を摂りやすいため、不足しにくい栄養素であると言われています。ただ、激しい運動などにより体から水分と一緒に排出されると、体内のカリウムが減少してしまうことがあります。カリウムを含む食べ物で栄養補給しましょう。
カリウムは野菜や果物、魚、肉、いも、豆、海藻など、幅広い食べ物に含まれています。ただ、水溶性のため、加熱すると摂取できる量が減ってしまうことがあります。カットした野菜を水にさらしたり、茹でこぼしたりするとカリウムが抜けてしまいますので注意しましょう。
生で食べられる果物だと、手軽に多くのカリウムを摂れるでしょう。果物を使ったジュースもおすすめですが、糖分が多く含まれるため適量を心がけることがポイントです。
- バナナ
- キウイ
- わかめ
- りんご
- じゃがいも
- トマトジュース など
※上記は一例です。カリウムは野菜・果物全般に含まれています。
クエン酸:疲労回復に効果的
クエン酸は疲労回復のために重要な働きをする栄養素として知られています。筋肉の疲労のもととなる「乳酸」を分解するほか、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を助ける働きを持ちます。
足のつりを予防するためには、ミネラルを含む食べ物に加え、クエン酸を含む食材もバランスよく摂ることがおすすめです。ただし、一度に大量に摂っても体に溜めておくことができず、余計な分は排出されてしまうことに注意が必要です。少しずつ回数を分けて食べることを心がけましょう。
クエン酸が豊富に含まれている食べ物は以下の通りで、酸味のあるものが多く見られます。
- いちご
- レモン
- グレープフルーツ
- 梅干し
- オレンジ など
ナトリウム:脱水状態を防ぐ
ナトリウムもマグネシウムやカルシウムなどと同じミネラルの一種です。カリウムとともに体内の塩分と水分のバランスを保つ働きがあると言われています。
不足すると筋肉が痛みを覚えたり、食欲不振になったりすることがあります。筋肉や神経の働きを正常に保つために必要な栄養素のひとつです。
基本的に、ナトリウムは過剰に摂取してしまうケースが多い栄養素であると言われています。ただ、激しい運動などによって体から水分が大量に出てしまうと、ナトリウムも減ってしまいます。摂り過ぎには注意が必要ですが、不足すると脱水症状を招いてしまうこともあるため気をつけましょう。
ナトリウムは、味噌や醤油といった食塩を含む調味料をはじめ、ハムや練り物などの加工食品にも多く含まれています。摂り過ぎを防ぎたいときは、カリウムを含む食材と食べることがおすすめです。カリウムには余分なナトリウムを排出する働きがあるため、バランスよく栄養を摂れるでしょう。
- スポーツドリンク
- 味噌汁
- 漬物
- ハム
- かまぼこ など
足がつるタイミングをおさらいして対策しよう
足をつるタイミングはさまざまですが、「スポーツをするとよく足をつる」「なぜか冬になると足をつりやすい」という方も多いのではないでしょうか?突然のこむら返りを予防するためにも、足をつるタイミングをおさらいしておきましょう。
激しい運動をしたあと
激しい運動をすると体内の塩分やビタミン、ミネラルが奪われてしまいます。さらに、マグネシウム・カルシウム・カリウムなどのミネラルが汗と一緒に排出されることで筋肉が疲労しやすくなり、血行が悪くなってしまうことも。
これらの要因によって、足をつってしまうことがあります。ただし、逆に運動不足になっても血流は悪くなりますので、運動をしなくても足はつりやすくなってしまいます。健康はもちろん、足をつりにくくするためにも、適度に体を動かすことが大切です。
急激に体を動かしたとき
血行が悪く、筋肉が緊張状態になっているとき、急に動かすと足がつってしまうことがあります。たとえば、長時間座って作業していたあと、急に運動しようとすると、こむら返りが生じてしまうケースがあります。
運動をする前にはストレッチをしておくことで、足がつるのを防ぎやすくなるでしょう。運動後にもストレッチすることで筋肉の疲労を軽減しやすくなります。
体が冷えているとき
体の冷えによって筋肉が硬直することで血行不良になり、足がつってしまうケースがあります。
冬はとくに足の防寒対策をしっかりと行うことがおすすめです。締め付けの少ない厚手の靴下をはく、お湯を張った浴槽につかるなどの方法で体を温めましょう。
また、冷えやすい環境のなかで眠ってしまうと、就寝中に足をつってしまう可能性があります。冬だけではなく、夏でも冷房をつけっぱなしにした状態で寝ると、体が冷えてしまうことがあるでしょう。エアコンは冷えすぎない温度設定を心がけることがポイントです。
就寝前にストレッチをして血行を良くしておくこともおすすめです。1日の疲れをいやすためにも寝る前のストレッチを習慣にしてみましょう。
まとめ
足のつりは、血行不良が要因となって生じてしまうことがあります。急に起こってしまう足のつりを予防したいときは、ミネラルやクエン酸などを含む食べ物を食べ、体の脱水を防ぐために十分な水分補給を摂ることがおすすめです。また、筋肉の硬直を緩和させ、血行不良を防ぎましょう。
加えて、足がつりやすいタイミングを把握しておき、必要に応じてストレッチや防寒対策などをすることも大切です。日頃の生活習慣を見直して、足がつりにくい体を維持しましょう。
- 厚生労働省:
令和元年 国民健康・栄養調査報告 - 厚生労働省:
日本人の食事摂取基準(2020 年版)
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