食の知識

コーヒーに含まれるカフェイン量は?一日に飲んでよい量と作用を解説

健康な成人が一日に摂取してよいカフェイン量は、400mgと言われています。これは、コーヒーカップ4~5杯分です。

この量を超えてカフェインを摂取した場合、身体にどのような影響が出るのでしょうか?また、適量を摂ることで得られる効果などについてもお伝えします。

コーヒーのカフェイン量は?

食品安全委員会(国民の健康の保護を目的に設立された科学的知見の基づく調査機関)が発行するファクトシート[1]によると、国内で嗜好品として飲まれているコーヒー100mLには、60mgのカフェインが含まれています。一方、インスタントコーヒーの場合は100mL当たり57mgと少し減ります。

上記を踏まえると、一般的な大きさの市販の缶コーヒー190gには114mgのカフェインが含まれる計算です。ただし、カフェインの量はコーヒーの濃度によっても異なります。

100mL当たり60mgというのは、コーヒー粉末10gを熱湯150mLで浸出した場合です。そのため、エスプレッソなど、濃厚な味わいの缶コーヒーの場合は、より多量のカフェインが含まれている可能性も考えられます。

同じように、500mLのペットボトルコーヒーが300mgのカフェインを含んでいるとは言い切れません。こうした製品は薄めに作られているものも多いため、なかには200mg程度のカフェイン含有量のものもあります。

コーヒーに含まれているカフェイン量を詳しく知るには、栄養成分表示で確かめるのが確実です。

その他の飲料に含まれるカフェイン量と比較

「カフェインの摂り過ぎを避けるには、コーヒーを飲まなければいい」とお考えの方も多いでしょう。しかし、紅茶や煎茶など、茶葉から抽出される飲料には、ある程度のカフェインが含まれています。また、栄養ドリンク(エナジードリンク)にも、多くのカフェインが含まれている場合があります。

代表的な飲料とカフェイン量については、以下の表のとおりです。

飲料名 カフェイン量
(100mLあたり)
コーヒー 60mg
インスタントコーヒー 57mg
紅茶 30mg
煎茶 20mg
ほうじ茶 20mg
ウーロン茶 20mg
玄米茶 10mg
栄養ドリンク
(エナジードリンク)
32~300mg(※)

農林水産省「カフェインの過剰摂取について」[3]より作成
※製品ごとにカフェイン濃度・内容量が異なります

お茶のカフェイン量は、コーヒーに比べると少ない傾向にあります。ただし、ほうじ茶などは、グビグビと飲んでしまいがちな飲料です。量が増えればそれだけ摂取するカフェイン量も多くなるので注意が必要です。

コーヒーは一日4~5杯以下(カフェイン400mg)が目安

米国食品医薬品局(FDA)やカナダ保健省(HC)、欧州食品安全機関(EFSA)では、健康な成人における一日当たりのカフェイン摂取量を400mgまでとしています[2]これはコーヒーの量にするとおよそ660mLです。コーヒーカップ1杯が約150mLなので、4.4杯分の計算になります。

一方、妊婦に対しては胎児への影響を懸念し、より少ない量が推奨されています。農林水産業でも、世界保健機関(WHO)は一日3~4杯、カナダ保健省(HC)は300mg以下、英国食品基準庁(FSA)は200mg以下を基準に、妊婦がカフェインを摂取しすぎないよう呼びかけています[3]

コーヒーのカフェイン濃度

過剰摂取は危険?カフェインが及ぼす影響

一日当たり400mgまでが目安となるカフェインですが、これを超えてしまった場合、身体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

ここからは、いくつかの可能性について解説します。

中枢神経が乱れ不眠の原因になりえる

眠気覚ましとしても知られるカフェイン。これは、脳を刺激する「覚醒作用」や「興奮作用」の働きによるものです。カフェイン摂取量が増えると、中枢神経に過剰な刺激が加わってしまいます。その結果、不眠の症状につながる恐れがあります[3]

さらに、就寝前や夜遅い時間に多くのカフェインを摂ると、寝付けない原因となります。普段から眠りが浅かったり、寝付きが悪かったりする方は、とくに注意が必要です。

下痢や吐き気の症状につながるおそれがある

前述のとおり、カフェインの過剰摂取は中枢神経に過度な刺激を与えます。この刺激が消化器官にまで及ぶことにより、下痢や吐き気などの症状につながる恐れがあります[3]

また、カフェインには胃液の分泌を促す働きがあり、こちらも過剰な量には注意が必要です[4]。とくに空腹時や食前の飲用は胃酸過多となる可能性があります。

コーヒー 体調不良

適度なカフェインで得られる良い効果

過剰摂取には注意が必要ですが、カフェインの適量な摂取は身体に良い影響を与えることも分かっています。

眠気や倦怠感を解消

人の体内には、「アデノシン」と呼ばれる神経があります。この神経の働きによりリラックスし、眠気を感じます。

カフェインは、アデノシンと似た化学構造をしています。そのため、アデノシンの代わりにカフェインが体内で結合し、リラックス効果を阻害する働きを持ちます。その結果、神経が興奮して眠気を感じにくくなるのです[3]

また、カフェインには集中力を高めて疲労を感じにくくさせたりする効果もあります。仕事や勉強など、何かに集中したいときに有効と言えるでしょう。

消化を促進

食後のコーヒーには、消化を促進する効果も期待できます。これは、カフェインが胃液の分泌を促すからです[4]

ただし、胃が弱っている際や、食前・空腹時の摂取は、胃酸の過剰摂取につながり、胃へダメージを与える可能性があるので注意しましょう。

コーヒー 消化を促進

カフェインバランスを調整したコーヒーも存在!

「カフェインの量は抑えたいけど、コーヒーを飲まないと落ち着かない」「就寝前だけれども、コーヒーが飲みたくなってしまう」こうした方には、カフェインを90%取り除いたカフェインレスコーヒー(デカフェ)がおすすめです。コーヒーの味わいを残しつつも、カフェイン量が調整されているので、過剰摂取が心配な方にも最適。飲むタイミングを問わずお楽しみいただけます。

なお、カフェインを一切含まない「ノンカフェインコーヒー」という商品もあります。いずれも、カフェイン量が気になる方にはおすすめです。

まとめ

適量のカフェインは身体に害を与えるものではありません。ただし、過剰な摂取は刺激が強すぎる傾向にあり、不調の原因にもなりえます。

一日の目安量400mL(コーヒーカップ4~5杯)を守って、コーヒータイムを楽しみましょう。

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