食の知識

【医師監修】食中毒の原因は何?原因のランキングや予防方法も紹介

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食中毒にはいくつかの原因が存在します。こちらでは、食中毒の原因をランキング形式で紹介します。さらに、原因となる細菌やウイルス、寄生虫の特徴なども解説します。また、食中毒の予防や対処法についても掲載しているので、ぜひ参考にしてください。

監修者

井上 信明(いのうえ のぶあき)
日本小児科学会専門医・同指導医/米国小児科専門医/米国小児救急専門医

日本の医学部を卒業後、日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科および小児救急の研修を行う。

食中毒の原因

食中毒が引き起こされる原因の多くは、細菌とウイルスです。また、寄生虫や自然毒が原因になる場合もあります。それぞれのケースについて、まずは概要を解説します。

食中毒の原因の多くは細菌とウイルス

細菌とウイルスはそれぞれ異なるものです。

細菌は、温度や湿度などの条件が重なることで、食べ物の中で増殖します。そのため、時期としては夏場の発生が多くなる傾向にあります。

一方、ウイルスは食べ物の中で増殖することはありません。しかし、食べ物を通じて体内に入り込み、腸管内で増殖することで、食中毒を引き起こします。また、ウイルスは低温で乾燥した環境を好むため、冬場に食中毒が多くなります。

このように、細菌とウイルスは別の性質を持ってはいるものの、食中毒という観点で見た場合には、いずれも食べ物を通じて体内に入り込むという特徴があります。

寄生虫や自然毒が原因になることもある

細菌やウイルスと同様に、体内に入ることで食中毒を起こすものとして、寄生虫や自然毒が挙げられます。

代表的な寄生虫としてはアニサキスが挙げられます。アニサキスは、その幼虫がサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類の内臓に寄生します。この幼虫は、魚介類が死亡してしばらくすると内臓から筋肉に移動します。そのため、魚を生で食べるとアニサキスによる食中毒が発生する可能性があります。とくに近年は魚介類の生食が増えたため、アニサキスの食中毒発生件数も増加傾向にあります。[1]

自然毒には毒キノコや毒草、フグといった例があります。毒キノコや毒草は、食用のキノコや山菜と見分けが付きにくく、知識なしで判断するのは危険です。自分が知らないキノコや山菜は口にせず、調理前にも必ず確認をしましょう。

その他、マグロ、カジキ、カツオなどの赤身魚を常温で放置することで生じるヒスタミンや農薬などの化学物質が食中毒を引き起こす原因となることもあります。

食中毒の原因ランキング

厚生労働省が発表している「令和3年食中毒発生状況」[2]内の食中毒を引き起こす原因の調査結果(病因物質別発生状況)から、患者数を基にしたランキングを作成しました。1位から5位はとくに食中毒リスクの高い細菌・ウイルス・寄生虫です。食事の際には十分に気をつけましょう。

1位:ノロウイルス

もっとも多く食中毒患者を発生させたのは、冬に猛威を振るうことで知られるノロウイルスです。令和3年の患者数は4,733人でした。ただし、食中毒事件数自体は72件と、比較的少ない数字となっています。これは1件の食中毒発生で、多くの人が罹患しているからだと考えられます。

ウイルス

ノロウイルスは調理者を感染源として、食品を通じて消費者に感染する傾向にあります。また、カキなどの二枚貝を使った料理が原因となるケースもあります。感染すると激しい嘔吐や下痢、腹痛といった症状を引き起こします。

2.ウエルシュ菌

ノロウイルスに比べると半数以下ですが、それでも1,916人の食中毒患者を発生させているのがウエルシュ菌です。食中毒事件数自体は30件と少なく、ノロウイルス同様に規模の大きな食中毒事件につながったことがわかります。

ウエルシュ菌は人や動物の腸管や土壌に生息し、無酸素環境でも増殖することができます。また、過熱しても菌が死滅しない耐熱性の芽胞を形成する種類もあります。主な症状には下痢や腹痛が挙げられます。カレーや煮魚、麺類のつけ汁、野菜の煮付けなどの煮込み料理が原因食品となりやすい傾向があります。

3.カンピロバクター・ジェジュニ/コリ

カンピロバクターの患者数は764人、事件数は154件と、こちらも決して小規模とは言えない食中毒要因です。牛、豚、鶏や猫、犬などの腸内に存在する細菌で、特に鶏肉を生のまま、または加熱不十分な状態で摂取することで食中毒が発生したことが報告されています。主な症状には吐き気、腹痛、水様性の下痢があり、初期段階では発熱、頭痛、筋肉痛、疲労感などが現れます。

4.アニサキス

食中毒を引き起こす寄生虫の代表とも言えるアニサキス。患者数が368人に対し、事件数は344件となり、1回あたりの規模は小さくなります。

サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカといった魚介類に寄生するため、生食には十分注意が必要です。体内に入ったアニサキスの幼虫は、胃や腸の壁に刺入するため、激しい腹痛・吐き気・嘔吐といった症状を引き起こします。

5.サルモネラ属菌

事件数は8件と少ないものの、318人の患者数となったサルモネラ属菌。主な感染源は食肉や卵で、牛、豚、鶏、猫、犬などの腸内に生息しています。ペットやネズミから食品へ菌が付着するケースもあります。感染源となる食品を口にしてから約半日~2日で激しい胃腸炎、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの症状を起こします。

食中毒を引き起こしやすい食べ物

食中毒はさまざまな食材に付着している細菌やウイルスが原因で発生します。とくに、以下のような食べ物は食中毒の原因となりやすいため、調理・食事の際には注意が必要です。

生肉・生野菜・卵

生や調理不十分な肉類は、サルモネラ菌や腸管出血性大腸菌O157の感染源となりえます。卵はサルモネラ菌が増殖していることがあります。また、生野菜にもカンピロバクターや腸管出血性大腸菌が付着していることがあり、食中毒の原因となるケースがあります。

生鮮魚介類

カキなどの二枚貝をはじめとする生鮮魚介類は、ノロウイルスなどの食中毒を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

カキ

手作りのお弁当・作り置き

加熱後に人の手に触れられる可能性のある手作り弁当は、黄色ブドウ球菌による食中毒のリスクがあります。また、作り置きの食品は細菌が繁殖しやすく、とくに夏場に食中毒が発生する可能性が高まります。

食中毒の予防方法

食中毒を予防するための3つの原則は、「つけない」「増やさない」「やっつける」です。これらを意識して、日常の食生活に取り入れましょう。それぞれ、詳しく解説します。

しっかり洗って菌をつけない

洗える食材は丁寧に洗い、調理前後や食事前後に手を洗うことが重要です。また、肉や魚をラップや袋に包んで他の食材に触れさせないようにしましょう。

すぐに保存して菌を増やさない

調理した食品は速やかに冷蔵庫や冷凍庫に入れて低温に保ちましょう。細菌は高温多湿の環境で増殖するため、冷蔵庫での低温保存が菌の増殖を抑制します。

加熱して菌をやっつける

肉や魚は十分に加熱し、生や半生の状態で食べないようにしましょう。また、調理器具も使用後に75度以上で1分以上の熱湯をかけて殺菌することが効果的です。[3]

食中毒予防のための正しい手洗い方法

食中毒を予防するためには、日々の手洗いが大切です。ただし、食前や帰宅時の日常的な手洗いでは、小さな菌やウイルスを残してしまうこともあります。

手洗い

とくに調理を行う方や、食中毒リスクが高まる時期には、以下のような徹底した手洗いを心がけましょう。なお手洗いをする前に、爪を切り、腕時計などの装飾品は外しておきます。また手に傷のある人が調理すると、ブドウ球菌による食中毒のリスクとなります。

とくに調理を行う方や、食中毒リスクが高まる時期には、以下のような徹底した手洗いを心がけましょう。なお手洗いをする前に、爪を切り、腕時計などの装飾品は外しておきます。また手に傷のある人が調理すると、ブドウ球菌による食中毒のリスクとなります。

  1. 手を濡らす
    まずは流水で、手の表面に付着したほこりや油分を洗い落としましょう。汚れを落とすだけでなく、手を濡らすことで手洗い用洗剤が泡立ちやすくなる効果もあります。
  2. 石鹸を泡立てる
    洗浄効果は泡立ちが良いほど高まります。手に適量の洗剤を取り、手全体に広げられるよう、よく泡立てましょう。
  3. 手のひらをこすり合わせて洗う
    手のひら同士をゴシゴシとこすり合わせて、しっかりと汚れを落とすイメージで洗いましょう。
  4. 手の甲を洗う
    手のひらの次は、手の甲もしっかりと洗います。とくに指の背側は洗い残しがちになるため、意識して洗ってください。
  5. 指の間と根元を洗う
    指と指を組み合わせ、指の間と根元を洗います。人差し指や小指の外側も忘れずに洗いましょう。その後は親指も洗います。
  6. 指先を洗う
    もう片方の手のひらに指先を押し当て、手のひらのしわに沿って洗います。こうすることで、しわの間の汚れもきれいに落とせます。
  7. 爪ブラシを使う
    爪の汚れが気になる場合は、爪ブラシもおすすめです。なお、爪ブラシは洗浄や保管が重要です。管理が行き届いていない爪ブラシは、逆に汚染を広げる恐れがあります。
  8. 手首を洗う
    手首の内側、側面、外側を丁寧に洗いましょう。
  9. 流水ですすぐ
    すすぎ残した洗剤が食品に混入する子を防ぐため、手をしっかりとすすぎましょう。
  10. 手順2~10を繰り返す
    より手洗いの効果を高めるためには、ここで手順2~10をもう一度繰り返しましょう。
  11. ペーパータオルで水分を拭き取る
    ハンカチは汚れている場合があります。またエアシャワーはウイルスをまき散らす恐れがあるため、ペーパータオルを使って手を拭いてください。
  12. アルコール消毒をする
    手を乾燥させた後、アルコール消毒剤を手に塗布しましょう。水分が残っていると効果が弱まるため、注意してください。アルコールは乾くまで15秒以上かかる量を使用しましょう

手洗いのタイミングは?

正しい手洗いの手順がわかったら、次は適切なタイミングについても知っておきましょう。以下は料理人や食品事業者向けの内容を基にしていますが、ご家庭でも実践することで食中毒リスクを低減できます。

  • キッチンに入る前
  • キッチンから出て戻ってきたとき
  • 食品に直接触る直前
  • 汚れたものや原材料(生野菜、食肉類、魚介類、生卵など)に触った後
  • トイレの後
  • 顔や頭を触った後

食中毒になってしまったときの対処法

食中毒になってしまった場合、適切な対処法が必要です。以下にその対処法を解説します。

水分補給

嘔吐や下痢による脱水症状を防ぐため、こまめに水分を摂取しましょう。ただし、一度に大量に飲むと胃に負担がかかるため、スプーンなどを利用して、少しずつ飲むことが望ましいです。

横向きで寝る

嘔吐のリスクがある場合、横向きに寝ることで、吐いたものが喉に詰まるのを防ぎます。

嘔吐・下痢止め薬の適切な使用

下痢や嘔吐は、体が食中毒の原因物質を体外へ排出しようとする反応でもあると考えられています。無闇に市販の薬で止めるのは避けましょう。症状が酷くつらい場合は、まずは医師へ相談の上、薬は自己判断では使用しないようにしましょう。

医療機関への受診

症状が激しい場合や長く続く場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。適切な診断と治療が必要です。

傷みにくい作り置きおかずを作るコツ

ここまで食中毒のリスクや予防・対処法をご紹介してきました。ここからは、夏場でも傷みにくい作り置きおかずを作るコツを紹介します。

弁当

お弁当を作る際は、昨晩に作り置きしたおかずをそのまま入れてしまうと、菌が繁殖している可能性があります。そのため、可能であれば直前に再加熱した後でお弁当箱に詰めるようにしましょう。

また、煮物などの水分の多いおかずは、菌が増殖しやすい傾向にあります。調理から食べるまでに時間がかかる場合は、揚げ物など水分が少ないものを選びましょう。

まとめ

毎年のように多くの患者を生み出す食中毒。完璧な対策は存在しませんが、今回ご紹介した予防法や対処法を知っておくことで、リスクや被害を低減できます。食材は適切に扱い、手洗いをしっかりとして予防を徹底しましょう。

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