小学生で英検2級合格を目標に!子どもの英語力を育む「英語子育て」
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グローバル社会の中で、コミュニケーションツールである英語を使いこなすことができれば、選択肢が多くなることは間違いありません。とはいえ、徹底した英語教育となると、学習のための時間や費用など、家庭の負担も大きくなってしまいます。大切なのは、適切と思われるタイミングで適切な学習機会を与えつつ、子どもの主体性に任せることです。ここで取り上げる、「英語子育て」の方法を、子どもの英語教育に取り入れてみてください。
子どもの英語学習で目標にすべきこと
教育方針や目標を決める指針となるのは、理論です。子どもによって性格や学び方が異なるため、保護者は我が子に合った教育方針を見定める必要があります。ここでは、日本で生活する日本語を母国語とする子どもを想定しつつ、英語教育に悩んだときに役立つ理論を紹介します。
1.「バイリンガルを目指す」とは
バイリンガル(bilingual)とは「2つの言語が理解できる人」を意味します。大まかに分類すると、第二言語(英語)を使いこなせるものの母語(日本語)が優勢な「偏重バイリンガル」や、第二言語は理解できる程度で会話や書く能力に欠ける「受容バイリンガル」、2つの言語のどちらもネイティブレベルに達している「均等バイリンガル」などがあります。
いわゆるバイリンガルを「均等バイリンガル」と思っている人も多いようですが、このような人はほとんどいません。日本で育ったバイリンガルは、一般的に日本語が母語の「偏重バイリンガル」となる場合が多く、その中でできるだけ高い英語力を身につけることが、ここで紹介する英語子育ての目指すべきところです。
自分の子どもが、ある程度のアンバランスさがあるバイリンガルに育つことを受け入れておくと、過度なストレスで悩むことから解放されるでしょう。
2.英語教育は早く始めるほどいい?
英語教育のスタートが早ければ、習得までのスケジュールを立てやすくなります。ただし、幼児期に始めたらからといって、途中で英語から離れれば、ふり出しに戻ってしまうこともあります。英語子育ては、継続してコツコツと続け、英語にふれる環境を積み重ねていくことが大切です。
もちろん、小学校から英語を始めても遅くはありません。英語の習得には開始時期よりも学習時間数が重要なので、英語に十分な時間をかける方法を考えましょう。
ただし、発音に関してだけは、小さい頃から英語に接しているほうがネイティブの発音に近づくといわれています。人間のさまざまな音を聞き分ける能力は、7歳頃をピークに低下し、9歳頃に失われるといわれているからです。とはいえ、発音に関しては個人差があり、大人になって始めてもネイティブのように話す人もいれば、幼児期に聞いたサンプル数が不十分できれいに発音できない人もいます。「誰もが理解できるレベルの発音」といった現実的なゴールを設定すれば、焦らずに英語子育てができるでしょう。
3.小学校で英検2級合格を目指す
英検を目指すことで、短期的な目標ができ、英語習得に向けて行動できるようになります。英検2級の内容は「基本的なことは英語でできる」というレベルなので、小学生で合格することは決して困難ではありません。「リーディング」「ライティング」「リスニング」「スピーキング」の4技能をバランスよく伸ばしつつ、ちょっと背伸びをしたら届きそうな目標に向かって努力することができるのです。
試験を受ける前提で学習計画を立てると、あやふやなことや間違えて覚えていることを修正する機会ができます。英検のようにステップアップの段階(級)がある試験を活用すると、難易度が少しずつ上がり、一歩一歩進みながら学習項目の弱点を洗い出すことができます。
また、英検に合格すると子どもは喜び、自信を持ちます。自分には得意なものがあるという意識は自己肯定感につながり、人間形成においてポジティブな影響を与えます。たとえ不合格になったとしても、子どもにとってよい人生経験となるでしょう。
英語力の習得に必要なものは
英語子育てを行うためには、子どもに学習を促すための、自宅での環境づくりが必要です。保護者に必要な心構えを知っておきましょう。
1.保護者は家庭ではコーチに
コーチとは、学習方法を決めて課題を出し、課題が完結するように支援する立場です。保護者はコーチとして、子どもが英語に触れられる機会を提供し、英語学習を長く継続できるように工夫しましょう。保護者が英語を得意である必要はありません。一緒に活動を楽しんだり、褒めて達成感を与えたりなど、学びに並走することが大切です。
幼児期なら、日本語と英語を区別せずに単語や歌を聞かせ、子どもの頭の中に英語の音の貯金をつくりましょう。小学校に入る前なら、日本語と英語で数を教えたり色の名前を言ったりと、文字を認識できるようにしましょう。小学校に入ったら、「リーディング」「ライティング」「リスニング」「スピーキング」の4技能を向上させていきましょう。
英語子育ては、ネイティブの子どもに人気のおもちゃや絵本を教材にすると効果的です。英語に触れる時間を増やすためには、遊びに英語活動を取り入れることが近道だからです。
2.フォニックスとサイトワーズ
英語に強い子を育てるには、「フォニックス(phonics)」が必須です。フォニックスとは、音と文字を紐づけた発音と読み書きの学習法で、「a・b・c」を「ア・ブッ・クッ」のように音で覚え、音の認識力を向上させます。アメリカでは5〜6歳頃の国語教育の一環として、時間をかけて取り組まれています。
フォニックスの基礎学習におすすめなのは、スマートフォンなどのアプリです。中でも未就学児が楽しめるのは、セサミストリートのコンテンツを利用した「Elmo Loves ABCs」です。動画を見ながら英語の書き方などを知ることができ、音をなんとなく理解できる年齢に適しています。
さらに、フォニックスと並行して覚えたいのが、「サイトワーズ(sight words)」です。サイトワーズとは、「about・come・say」などの、見てすぐに理解すべき単語です。「Dolch Word List」や「Fry Word List」といった有名な教材があり、これらを覚えておけば、一般的な本の半分くらいの単語が読めるといわれています。
具体的な英語教育の学習法とは
子どもが英語学習を進めていくためには、「語彙力」「聞く力」「読む力」「書く力」「話す力」を磨くことが必要です。それぞれを伸ばすために必要なポイントを紹介します。
1.語彙力をつける
文をつくるためには、単語を知る必要があります。まずは、本格的な英語学習を始めるにあたって、物や動物、数などの幼稚園レベルの単語について、200単語を覚えていることが理想です。そして、500単語くらい覚えることができたら、英検5級に合格するのに十分な語彙力を獲得したといえるでしょう。
語彙力をつけるためには、発音をしっかりと調べることも大切です。スマートフォンで発音を確認することができるので、積極的に利用しましょう。英語を使った「しりとり」や「山手線ゲーム」など、親子で行う言葉遊びも、英単語を覚えるために効果的です。
2.聞く力をつける
幼い頃は、聞いている内容がわからなくてもストレスを感じないので、英語をたくさん聞いても苦になりません。なるべく英語を聞かせる時間を多くとりましょう。そして、文字と音をつなげて理解できるようになれば、発音がきれいになり、さらに新しい単語や用法を習得できます。
聞く力をつけるためには、英語放送のテレビをなんとなくつけておく、DVDやYouTubeで英語の映画や番組を見せる、などの方法があります。映像を活用することで、どんなときにどのような表現を使うのかについて、理解を深めることができます。
3.読む力をつける
英語に限らず、教育での学びは主に、教科書を読むことから始まります。読むことに抵抗があると、学ぶことそのものに抵抗を感じてしまうので注意しましょう。日本語と同様に英語でも、読むことが苦にならないような環境づくりを、幼少期から心がける必要があります。
読む力をつけるためには、「グレーデッド・リーダーズ(Graded Readers)」を活用するのが王道です。グレーデッド・リーダーズとは、単語数や語彙をレベル別に制限して書かれた本のことで、「Oxford Reading Tree」「I Can Read」「Penguin Readers」などの有名なシリーズがあります。大切なのは1冊目の選択なので、書店で実物を見て、親子のレベルに合ったものを選びましょう。
4.書く力をつける
学習全般において、書くことに費やす時間が少ないと、読み書きの力が弱くなってしまいます。書く力は、机上での学習時間を確保しないと身につきません。文章を書く適齢期といわれる5歳頃から9歳頃までに、しっかりと書く力を習得できるように意識しましょう。
書く力をつけるためには、英語で絵日記をつける、親子の置き手紙を英語で行う、などの方法があります。最初からスラスラと書ける子どもはいないので、基本文型を使って書くことを徹底しましょう。「I am happy」「I like to swim」「I want to drink orange juice」のように、最大でも5単語程度の文から始めると効果的です。
5.話す力をつける
英語の会話力については、リアルに話をする場面に遭遇しないと、自分に何が足りないかを把握しづらいという難点があります。話す力をつけるためには、子どもに1人でしゃべる機会を与え、楽しみながら発話できる時間をつくるのが効果的です。遊びの中で「このマイクを持ったら英語で話す」といったルールをつくるのもいいでしょう。中学生以上をイメージしたものですが、「スピークバディ」「Terra Talk」「MyET」などの英会話アプリをゲーム感覚で利用しつつ、英語を話す機会を増やすのもおすすめです。
まとめ
グローバル化が進む現代社会において、英語を使いこなせることができれば、コミュニケーションの機会が増え、さまざまなチャンスが生まれることは間違いありません。子どもの英語力を育むためには、子どもの性格や学び方、そして家庭の事情に合わせた、効率のよい英語子育てを実践しましょう。
実際の英語子育てにおいては、親はコーチとして子どもをサポートし、フォニックスやサイトワーズを利用しながら、小学校のうちに英検2級合格を目指すのが理想的です。「語彙力」「聞く力」「読む力」「書く力」「話す力」を意識しながら、目標に向かってアプローチしましょう。
書籍紹介:『小学生で高校卒業レベルに! 英語に強い子の育て方 0〜9歳児の親が今できるすべてのこと』(江藤友佳著/翔泳社)2021年9月出版
出版社書籍紹介:『小学生で高校卒業レベルに! 英語に強い子の育て方 0〜9歳児の親が今できるすべてのこと』(江藤友佳著/翔泳社)2021年9月出版
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