
【医師監修】新生児が寝ない!寝かしつけのコツや原因を解説
本記事では、新生児が夜に寝ないケースや考えられる5つの原因、寝かしつけるコツについてご紹介します。ぜひ、今日から実践してみてください。
監修者
- 井上 信明(いのうえ のぶあき)
- 日本小児科学会専門医・同指導医/米国小児科専門医/米国小児救急専門医
日本の医学部を卒業後、日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科および小児救急の研修を行う。
目次
新生児が寝ないケース
赤ちゃんが夜に寝てくれないと、「どうして寝てくれないのだろう」と不安になってしまうママ・パパも多いでしょう。
まずは、新生児の赤ちゃんがなかなか寝ないケースとして、よくある状況をご紹介していきます。
夜に泣いて寝ない
夜に新生児の赤ちゃんが泣いてしまう理由は、空腹や排尿・排便後のおむつが交換されないことによる不快感など、日中と変わらない理由であることが多いです。最後に授乳やおむつ替えをしたときから時間が経過している場合は、様子を見て授乳・おむつ替えをしてあげましょう。
また、赤ちゃんは大人のように生活リズムが整っていないため、昼夜を問わず、起きてしまうことがあります。詳しくは後述の「▼大人のように睡眠リズムが整っていない」で解説します。
授乳したのに寝ない
授乳したのに赤ちゃんが寝てくれず、睡眠不足になってしまうママも多いのではないでしょうか。授乳をしても赤ちゃんが寝ないときは、空腹以外が原因です。詳しくは後述の「▼新生児がなかなか寝ない主な原因」を参考にしてみてください。
抱っこしないと寝ない
抱っこをしている間は寝ていても、ベッドに降ろすと赤ちゃんが起きてしまうケースもあります。寝かしつけるために抱っこを繰り返していると、ママやパパにも疲れがたまってしまいますよね。
赤ちゃんはちょっとした音や光、ニオイにも敏感で、些細な刺激でも不安に感じて起きてしまいます。その場合、ママやパパに抱っこしてもらうことで、安心して眠ることもあります。
新生児がなかなか寝ない主な原因
新生児特有の睡眠リズム以外にも、身体的な原因や周囲の環境が理由で、「眠たいのに眠れない」という状態に陥っている可能性も考えられます。
赤ちゃんがなかなか寝ないときには、以下の原因に当てはまっていないか確認してみましょう。
大人のように睡眠リズムが整っていない
赤ちゃんが夜に寝ない理由の一つに、まだ昼夜の区別がついていないことが挙げられます。新生児は1日の約18時間前後を寝て過ごしています。2〜3時間おきに起きてミルクや母乳を飲み、再び眠るというように、昼夜を問わず短いサイクルで睡眠と覚醒を繰り返します。
さらに、新生児はレム睡眠(浅い睡眠)の時間が比較的多いため、少しの外部刺激でも目を覚ましやすくなってしまいます。
夜に寝ないことや、寝てもすぐに起きてしまうことを不安に感じてしまうかもしれませんが、大人のように睡眠のリズムが整っていない新生児にとっては当たり前のことです。
お腹が空いている
赤ちゃんが眠らずに泣いているときは、お腹が空いている可能性があります。新生児は、胃の容量が大きくないため、1度の授乳では十分な量を飲むことができず、すぐにお腹がすいて目を覚まします。
また、出産直後は母乳の分泌が追いつかず、赤ちゃんが吸っても十分な量が出ないことも考えられます。必要に応じて粉ミルクも取り入れながら、赤ちゃんのお腹を満たしてあげましょう。
排尿・排便などでおむつが汚れている
赤ちゃんは睡眠中や眠りかけている途中でも、排尿や排便後のおむつの不快感から、目を覚ましてしまう場合があります。
新生児や乳児期の赤ちゃんは、排せつ機能が未熟でこまめに排尿・排便をするため、おむつが汚れる頻度も多くなります。また、赤ちゃんの皮膚は薄く、尿や便による肌への刺激に敏感です。
おむつの様子を確認して、汚れていればすぐに交換してあげましょう。
お腹に空気が溜まっている
新生児は授乳時に空気も一緒に飲み込んでしまう傾向があり、胃のなかに空気が溜まってしまいます。そのため、ゲップを出してあげないとお腹に空気が溜まって不快感を覚えてしまいます。また、胃のなかのものを吐きやすい解剖学的な特徴もあるため、胃のなかの空気が溜まりすぎると、ミルクを吐いてしまうこともあります。
授乳後は縦抱きにして背中をさすったり、軽くとんとんと叩いてあげたりして、ゲップを出しやすくしてあげましょう。
睡眠環境が刺激となっている
新生児は、音や温度、ニオイなどの周囲の環境に敏感です。わずかな刺激でも、赤ちゃんにとっては強い刺激と感じる可能性があります。
睡眠に適した環境をつくるためには、赤ちゃんの体温を確認して、赤ちゃんにとってちょうど良い室温に調節することが大切です。テレビの音や部屋の照明、スマートフォンの光も赤ちゃんの眠りを妨げる原因になるので、赤ちゃんが眠るときは暗く静かな場所を用意してあげましょう。
また、眠らずにぐずっている場合は、興奮状態になっている可能性があります。興奮状態になる原因には、テレビの音や光、食べ物や香水のニオイなどが考えられるので、必要に応じてスイッチオフや、換気をしてください。
新生児を夜に寝かしつけるコツは?
夜にぐっすり寝かせるためには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。ここからは、夜に赤ちゃんを寝かしつけるコツについて紹介します。
不快感や興奮状態につながる原因を取り除く
眠りが浅い新生児にとっては、少しの刺激さえも不快感や興奮状態につながり、眠れない原因となってしまいます。不快感を取り除くためには、「何が赤ちゃんに刺激を与えるのか」を把握しなければなりません。赤ちゃんが刺激を感じるものには、以下が挙げられます。
- ゲップが出ない
- おむつが濡れている
- 照明がまぶしい
- テレビの音や光が気になる
- 暑い、もしくは寒い
- 食べ物や香水のニオイなどが気になる
このような状態になっていないか、赤ちゃんの状態や周囲の環境を確認してください。ゲップを出させてあげたり、おむつを変えたりして、刺激を与える原因を取り除いてあげることが大切です。
睡眠環境を整える
赤ちゃんの寝室は、新生児に合わせた室温に保っておきましょう。赤ちゃんにとって適温とされる室内の温度は、夏場であれば25〜28℃、冬場なら20〜25℃[1]とされています。
また、赤ちゃんは体温調節機能が未熟なため、服の枚数を増やしたり減らしたりして体温を調節してあげる必要があります。扇風機やヒーターなどを使用する場合は、赤ちゃんに近づけすぎないように注意しましょう。
生活リズムをつくる
日中と夜間の生活リズムをつくると、夜にぐっすり眠りやすくなります。先述したように、新生児は睡眠と覚醒のリズムが整っておらず、昼夜を問わず短いサイクルで睡眠を繰り返しやすいです。
しかし、生後3か月頃から段々と日中と夜間の区別がつくようになり、生活リズムがつくられます。生活リズムが整ってくると、日中起きている時間が長くなり、夜にぐっすり眠るようになります。
また、寝る前は室内を明るくしすぎないのも1つの方法です。夜間に浴びる光は、家庭の照明であっても体内時計を遅らせる作用があるとされています[2]。赤ちゃんの生活リズムを整えるには、「朝になったらカーテンを開けて部屋に光を取り入れる」「夕方以降は部屋を暗くする」など、昼夜の区別をつける工夫が大事です。
夜中の授乳は暗い場所で行う
夜間は赤ちゃんに直接光が当たらないような暗い場所で授乳するのも、寝かしつけのコツです。うとうとしている状態の赤ちゃんに照明をあてると、目を覚ましてしまい、再び寝かしつけるまでに時間がかかってしまいます。
最近では、授乳用の小型照明として、光の調節が可能なものや、音や光で赤ちゃんをリラックスさせられる機能がついた商品も販売されています。赤ちゃんが大きくなれば、寝る前の絵本の読み聞かせや、ベッドライトとしても利用できるためおすすめです。
スキンシップをとる
授乳やミルクを済ませておむつを替えたにもかかわらず、泣いている理由がわからない場合には、抱っこをするなどのスキンシップをとってみましょう。
赤ちゃんに安心感を与えるためには、抱っこなどのスキンシップは欠かせません。なかなか寝ないときには、そばにママ・パパがいることが感じられず、泣いている可能性もあります。抱っこしたり、優しく声をかけながら背中をトントンたたいてあげたりすると、安心して気持ちよく眠りについてくれるかもしれません。
寝ないこと以外に異常がある場合は医師に相談しよう
新生児が泣いたり、寝なかったりするのは自然な現象です。ただし、「いつもと様子や泣き方が異なる」「体温が平熱よりも高く、ぐったりしていて元気がない」などの異常が見られる場合は、すぐにかかりつけの病院に相談しましょう。
また、赤ちゃんが寝ないためにママ・パパの体力や精神が追い詰められ、産後うつなどにつながるケースもあります。悩みや相談ごとがある場合は、家族や専門医などに相談して、1人で抱え込まないようにしましょう。
新生児が夜に寝なくて大変なママ・パパの対処法
1日中、目が離せない新生児と一緒に過ごすと、体力的にも精神的にも疲れがたまりやすくなります。とくに、赤ちゃんがなかなか寝てくれないとなると、大変に感じるときもあるでしょう。
赤ちゃんが夜に寝ないのは、ママ、パパが悪いわけではありません。1人で思い詰めてしまわないように、赤ちゃんが寝ている間に好きな音楽を聴いたり、動画を観たり、パートナーや家族と話す時間をつくったりしてリフレッシュしましょう。
夜に限らず、赤ちゃんが寝ているタイミングで、できるだけ一緒に睡眠を取っておくことも体力回復には欠かせません。もし赤ちゃんが寝ないでぐずっていることでイライラすることがあれば、その場から少し離れ、深呼吸をして心を落ち着けてください。
また、外出する機会が減って社会から切り離されたような疎外感を感じてしまうときは、SNSなどで同じ月齢の子どもを持つ人と交流してみましょう。共感したり、寝かしつけの方法を教えてくれたりと、心強い味方となってくれるはずです。
まとめ
新生児や乳児期の赤ちゃんが寝ないのは、睡眠と覚醒のリズムがまだ整っていないのが原因です。夜間であっても日中と同じように泣いたり起きたりしますが、多くの場合は、心配いりません。
空腹、排せつ、音や光の刺激など、何が原因で寝てくれないのか確認し、赤ちゃんの不快感を取り除いてあげましょう。成長に伴って、赤ちゃんも日中と夜間の区別がつくようになり、生活リズムも整っていくはずです。
ママやパパの体力的・精神的な負担が重くなりすぎないように、適度にリフレッシュしながら、「眠れない日もあったよね」と言える日を楽しみに成長を見守りましょう。
- くらひろ by TEPCO(東京電力エナジーパートナー):
「医師監修:新生児の赤ちゃんが快適な室温・湿度は?暑い・寒いときのサインも」 - 厚生労働省:
健康日本21アクション支援システム「快眠と生活習慣」
記事編集
- くらひろ編集部
- 東京電力エナジーパートナー株式会社
「くらひろ by TEPCO」は、東京電力エナジーパートナーが運営するWebメディアです。でんきやガスのことはもちろん、あなたの毎日に役立つ知識から、くらしを広げるアイデアまで、“知りたい”に答える多彩な記事をお届けします。

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