
【写真解説】秋の七草とは?春の七草との違いや語呂合わせでの覚え方を紹介
秋の七草は食用ではなく、美しさや風情を楽しむものとして伝えられてきました。本記事では、秋の七草の由来や特徴、春の七草との違い、覚え方などをご紹介します。
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秋の七草とは?
春の七草はお正月に食べる「七草粥」で馴染みがありますが、秋にも「七草」があります。春の七草は「健康を願って食べる」のに対し、秋の七草は「観賞用」の美しい草花のことです。
秋の七草は、以下の7種類の草花のことを指します。
- 萩(はぎ)
- 尾花(おばな/別名:ススキ)
- 葛(くず)
- 撫子(なでしこ)
- 女郎花(おみなえし)
- 藤袴(ふじばかま)
- 桔梗(ききょう)
これらの草花は、それぞれ秋の風物詩として古くから愛され、歌や絵画、文学にも多く登場しています。その美しい姿や風情は、古くから日本人の心に深く刻まれてきました。
見た目や特徴は、後述の「▼秋の七草それぞれの特徴」で詳しく紹介しています。
秋の七草は和歌が由来
秋の七草の起源は、奈良時代に編まれた日本最古の和歌集『万葉集』にあります。万葉集に収められた、山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ2首の和歌により、秋に咲く代表的な草花として7種の花が選ばれました。
一首目では「秋の野に咲く花を数えると7種類ある」と詠まれ、続く二首目でその七草が具体的に示されています。
女郎花(おみなえし) また藤袴(ふじばかま) 朝貌(あさがお)の花
引用:「万葉集 第八巻 1538番歌」(読み下し文)
この和歌が広く知られるようになったことで、「秋の七草」が定着し、日本の季節文化の一つとして現代まで受け継がれています。
なお、「朝貌(あさがお)の花」は、現在の桔梗(ききょう)を指すとされ、当時は朝に咲く花全般を意味していたと考えられています(諸説あります)。
春の七草との違い
秋の七草が観賞用であるのに対し、春の七草は食用として知られ、毎年1月7日に七草粥(ななくさがゆ)を食べる習慣があります。これは、1年の無病息災を願う日本の伝統行事であり、春の訪れを祝う意味も込められています。
春の七草は、以下の7種類の野草・野菜です。
- せり
- なずな
- ごぎょう
- はこべら
- ほとけのざ
- すずな(カブ)
- すずしろ(ダイコン)
春の七草は、寒さを乗り越えて芽吹く生命力の象徴とされ、新年の健康や長寿を祈る目的で食されています。一方、秋の七草は食用ではなく、主に観賞用として親しまれてきました。また、薬草として用いられることもあり、日本人の心身を癒す存在として今日まで受け継がれています。
このように、春の七草と秋の七草は、どちらも日本の季節感や自然観を象徴する存在ですが、その役割や楽しみ方には明確な違いがあります。
秋の七草それぞれの特徴
秋の七草には、それぞれ独自の特徴や魅力があります。ここからは、各草花の基本情報や花言葉、古くから愛されてきた理由について詳しく見ていきましょう。
萩(ハギ)
萩(ハギ)は、マメ科ハギ属に属する落葉低木です。7~9月ごろに、1cmほどの小さな赤紫色の花を咲かせます。萩は万葉集に多く登場する植物の一つで、その美しい姿は古くから日本人に愛されてきました。
日当たりの良い場所に自生し、園芸種としても人気があります。さらに、家紋や和柄のデザインにもよく用いられ、日本の伝統文化に深く根付いています。
花言葉は「思案」「内気」「柔軟な精神」で、その優雅で繊細な姿がこれらの意味を象徴しています。
尾花(オバナ)・薄(ススキ)
「尾花(オバナ)」は、イネ科ススキ属に属する多年草で、一般的には薄(ススキ)の別名として知られています。9~10月にかけて白い花穂をつけ、風に揺れる姿は、秋の野原や河川敷に風情を添える存在です。草丈は1〜2mに達し、日当たりの良い場所に群生しています。
尾花という呼び名は、ススキの花穂が動物の尾(しっぽ)に似ていることに由来しています。白くふわりとした部分は「花穂(かすい)」と呼ばれ、開花後は綿毛となり、風に乗って種子を遠くまで運びます。
花言葉は「活力」「生命力」です。どんな環境でもしっかりと根を張り、力強く成長する姿が、これらの意味を表しています。そのたくましさと美しさから、古くから和歌や俳句にも登場し、秋の七草のひとつとしても選ばれています。
葛(クズ)
葛(クズ)は、マメ科クズ属に属する多年草で、日本各地の山野に自生しています。8月〜9月にかけて開花し、赤紫色の蝶のような花を房状に咲かせます。花からは、ぶどうジュースのような甘い香りが漂い、夏の終わりから秋の訪れを感じさせます。
葛は古来より、根に含まれる良質なでんぷん質を活用して、生薬や食品の原料として重宝されてきました。葛根湯(かっこんとう)や葛湯(くずゆ)、葛粉(くずこ)がその一例です。
葛の花言葉には、「芯の強さ」「快活」「活力」「根気」「努力」「治療」などがあり、どれもが葛の特性をよく表しています。力強く伸びる茎と、しなやかに絡みつく“つる”は、生命力と忍耐力の象徴として、秋の七草の中でも特に存在感を放っています。
撫子(ナデシコ)
撫子(ナデシコ)は、ナデシコ科ナデシコ属に属する多年草で、4~10月にかけて開花します。花びらには細かい切れ込みがあり、布の縁がほつれたような繊細な形が特徴です。その優美な姿は、日本人の美意識や感性を象徴する存在として古くから親しまれてきました。
撫子という名前は総称ですが、秋の七草として詠まれているのは、とくに河原撫子(カワラナデシコ)を指します。これは日本固有種で、野山や川辺に自生し、美しい花を咲かせます。この花の姿に由来する「大和撫子(やまとなでしこ)」という言葉は、清楚で賢く、しとやかな日本女性の理想像として現代にも受け継がれています。
花言葉は「無邪気」「純愛」「可憐」などです。可憐で優雅な姿がこれらの意味を象徴しています。
女郎花(オミナエシ)
女郎花(オミナエシ)は、スイカズラ科オミナエシ属に属する多年草で、7〜10月にかけて開花します。無数の小さな黄色い花を枝先に密集させて咲かせるのが特徴で、明るく華やかな見た目から切り花や生け花にも重宝される秋の代表的な草花です。
女郎花という名前には、美しい女性(女郎)もかすんでしまうほど美しい花という意味が込められています。その名のとおり、優雅で可憐な姿は、古くから人々を魅了してきました。万葉集や古今和歌集などの古典文学にも多く詠まれており、日本人の美意識や季節感を象徴する花として、秋の七草に数えられています。
女郎花の花言葉は、「親切」「美人」「はかない恋」などです。これは、その控えめで上品な美しさが、思いやりや奥ゆかしさを持つ女性像と重なることに由来しています。
藤袴(フジバカマ)
藤袴(フジバカマ)は、キク科ヒヨドリバナ属に属する多年草で、8〜10月にかけて開花します。花は淡いピンク〜白色で、小さな花火のような繊細な形状をしており、秋の野に可憐な彩りを添える植物として知られています。藤袴は見た目の美しさだけでなく、桜餅のような甘く優しい香りが特徴です。古代日本ではこの香りが好まれ、乾燥させた葉を衣の中に忍ばせ、香りを身に纏うという風習もあったと伝えられています。
しかし現在、藤袴は自生地の減少などにより絶滅危惧種に指定され、自然の中で見かけることが難しくなっています。こうした背景も、藤袴の儚さや貴重さを際立たせています。
藤袴の花言葉には、「躊躇」「ためらい」「遅れ」「あの日を思い出す」といった感情の揺らぎを表す言葉が並びます。淡く儚げな花の姿と、記憶を呼び覚ますような香りが、これらの花言葉と深く結びついています。まさに、過ぎ去った季節への郷愁や余韻を感じさせる存在です。
桔梗(キキョウ)
桔梗(キキョウ)は、キキョウ科キキョウ属に属する多年草で、5〜10月にかけて開花します。夏の暑さにも強く、育てやすい丈夫な草花としても知られています。最大の特徴は、風船のように膨らんだつぼみが破れて、星形の花が咲く独特の形状です。青紫色を中心に、白やピンクの花も見られます。
万葉集に詠まれた「朝貌(あさがお)の花」は、諸説あるものの、現在では一般的に桔梗のことを指すとされています。その美しい姿は古来より多くの人々に愛され、秋の七草としても知られるようになりました。
かつては日本各地の山野に広く自生していた桔梗ですが、近年は自生地が激減しています。現在では絶滅危惧種に指定されており、野生の桔梗を見ることは非常に難しくなっています。
桔梗の花言葉には、「永遠の愛」「変わらぬ愛」「気品」「誠実」があります。凛とした立ち姿と清楚な色合いは、揺るぎない信念や深い愛情を感じさせ、古くから日本人の精神性や美意識を象徴する花として大切にされてきました。
秋の七草は語呂合わせで覚える
秋の七草は、草花の頭文字を使った語呂合わせにすると覚えやすいです。代表的なものとして、『お好きな服は?』という語呂合わせがあります。
す:すすき(尾花)
き:ききょう(桔梗)
な:なでしこ(撫子)
ふ:ふじばかま(藤袴)
く:くず(葛)
は:はぎ(萩)
このように、シンプルなフレーズで覚えることでそれぞれの花の名前が頭に残りやすくなります。
まとめ
秋の七草は、「萩(はぎ)」「尾花(おばな)」「葛(くず)」「撫子(なでしこ)」「女郎花(おみなえし)」「藤袴(ふじばかま)」「桔梗(ききょう)」の7つです。春の七草とは異なり、食用ではなく観賞用として愛されてきたこれらの草花は、私たちに季節の移ろいや自然の美しさを改めて感じさせてくれます。
ぜひこの機会に、秋の七草を身近に感じてみてはいかがでしょうか。
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