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【図解】紅葉と楓の違いとは?見分け方から語源まで徹底解説

秋が深まり、山々が赤や黄色に染まる季節。紅葉狩りを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。色鮮やかな木々を眺めていると、「紅葉(もみじ)と楓の違いって何だろう?」と、ふと疑問に思った経験はありませんか。

見た目は似ているけれど、呼び名が違うこの二つの植物。本記事では、もみじと楓の違いや見分け方、言葉の由来など、誰かに話したくなる豆知識をわかりやすく紹介します。この記事を読み終える頃には、今年の紅葉狩りが何倍も楽しくなっているはずです。

もみじと楓は「植物学的には同じ仲間」

実は、植物学的には、もみじと楓はどちらも「カエデ科カエデ属」に分類される同じ仲間です。つまり、植物の世界では両者に明確な区別はありません。

では、なぜ私たちは違う名前で呼んでいるのでしょうか。それは、日本独自の文化や感性に基づき、葉の見た目の特徴によって慣習的に呼び分けているからです。

ここからは、そんな「もみじ」と「楓」の具体的な見分け方から、語源まで、その違いをひとつひとつ丁寧に解き明かしていきます。この知識があれば、秋の景色がもっと深く、興味深いものに見えてくるでしょう。

【図解】一目でわかる!もみじと楓の3つの見分け方

植物学的には同じ仲間のもみじと楓ですが、私たちは見た目の印象でなんとなく呼び分けています。ここでは、誰でも簡単に見分けられるようになる3つのポイントを、写真やイラストのイメージと共にわかりやすく解説します。

このポイントさえ押さえれば、お子さんに「どう違うの?」と聞かれたときも、自信を持って答えられるようになりますよ。さっそく、紅葉狩りで役立つ見分け方をマスターしましょう。

見分け方①:葉の「切れ込みの深さ」が最大の違い

最も一般的でわかりやすい見分け方が、葉の「切れ込みの深さ」です。葉の形をじっくり観察してみてください。

もみじ
葉の切れ込みが深く、葉の根元近くまで裂けているのが特徴です。まるで、指を大きく広げた手のひらのように見えます。代表的な「イロハモミジ」は、裂けた葉の数を「いろはにほへと…」と数えたことが名前の由来とも言われています。
葉の切れ込みが比較的浅いのが特徴です。その形がカエルの手(蛙手)に似ていることから、この名前が付きました。

慣習的に、葉の切れ込みが深いものを「もみじ」、浅いものを「楓」と呼ぶのが一般的です。紅葉狩りに行ったら、ぜひ地面に落ちている葉を拾って、切れ込みの深さを比べてみてください。違いがはっきりとわかり、面白い発見がありますよ。

見分け方②:葉の縁にある「ギザギザ(鋸歯)」の有無

次に注目したいのが、葉の縁の形です。専門的には「鋸歯(きょし)」と呼ばれる、ノコギリの歯のようなギザギザがあるかないかも、見分けるためのヒントになります。

もみじ
イロハモミジやヤマモミジに代表されるように、葉の縁に細かく、複雑なギザギザ(鋸歯)が見られます。この繊細なギザギザが、もみじの葉の美しい印象をより一層引き立てています。
トウカエデ(唐楓)のように、葉の縁にギザギザがほとんどなく、比較的つるりとしている種類が多く見られます。切れ込みが浅く、縁も滑らかなのが楓の特徴と覚えておくと良いでしょう。

すべての種類に当てはまるわけではありませんが、「切れ込みが深くて、縁がギザギザしているのがもみじ」と覚えておくと、見分けがつきやすくなります。

もみじと楓の違い

見分け方③:樹木全体の大きさと印象も違う?

葉っぱだけでなく、木全体の姿にも違いの傾向が見られます。

一般的に「もみじ」と呼ばれるものは、樹高がそれほど高くならず、枝ぶりが繊細で優美な印象を与える種類が多いです。そのため、古くから日本庭園などで観賞用として親しまれてきました。

一方、「楓」と呼ばれる種類の中には、イタヤカエデのように樹高20mを超える大木に成長するものもあります。がっしりとした幹や大きな樹形から、公園樹や街路樹として利用されることも多いです。

もし庭木を検討しているなら、繊細な美しさを楽しみたい場合は「もみじ」を、シンボルツリーとして大きく育てたい場合は「楓」の種類を選ぶなど、樹木全体の印象も参考にすると良いでしょう。

【一覧】代表的な「もみじ」と「楓」の種類と特徴

日本には多くの種類のカエデ属の植物が自生しています。ここでは、一般的に「もみじ」「楓」と呼ばれる代表的な品種を取り上げ、それぞれの特徴を比較してみましょう。

もみじと楓の代表的種類の特徴一覧

もみじ
  • イロハモミジ:切れ込みが非常に深く、5〜9つに裂ける。縁には細かいギザギザがある。主な紅葉の色は鮮やかな赤色。
  • ヤマモミジ:イロハモミジより葉がやや大きく、ギザギザも大きめ。主な紅葉の色は赤色や黄色。
  • オオモミジ:葉が大きく、手のひらサイズになることも。切れ込みは7〜9つ。主な紅葉の色は赤色や橙色。
  • トウカエデ:切れ込みが浅く、主に3つに裂ける。縁にギザギザがない。主な紅葉の色は黄色~橙色。
  • イタヤカエデ:切れ込みが浅く、7〜9つに裂ける。天狗の団扇のような形。主な紅葉の色は黄色。

このように代表的な種類を知っておくだけで、公園や街路樹、紅葉の名所などで見かける木々の名前がわかるようになり、散策がより楽しくなります。特にイロハモミジは日本の庭園でよく見られる代表的なもみじなので、ぜひ探してみてください。

なぜ呼び名が違うの?「もみじ」と「楓」言葉の由来と歴史

植物学的には同じ仲間なのに、なぜ日本では二つの呼び名が定着したのでしょうか。その背景には、日本の豊かな自然観や言葉の歴史が深く関わっています。それぞれの言葉が持つ美しい由来を知ることで、先人たちの感性に触れることができます。

日本人ならではの繊細な感覚が生んだ「もみじ」と「楓」という言葉のルーツを紐解いていきましょう。

「もみじ」は秋に葉が色づく様を指す美しい日本の言葉

実は、「もみじ」という言葉は、もともと特定の植物の名前ではなく、秋に草木の葉が赤や黄色に色づく現象や、その葉自体を指しています。

語源には諸説ありますが、一般的には、葉が色づく様子を表す動詞「もみつ」「もみづ」に由来するとされています。さらに古くには、紅花を揉んで色素を抽出する行為を「揉み出づ(もみいづ)」と呼び、その色合いが秋の紅葉に似ていたことから、「もみつ」という表現が使われるようになったといわれています。

また、昔の人々は、秋の霜や時雨(しぐれ)に揉み出されるように葉が色を変える様子を「もみづ」と表現し、そこから色づいた葉全般を指す名詞「もみじ」が生まれたともいわれています。

とくに、カエデの仲間は際立って美しく紅葉(こうよう)するため、いつしかカエデ属の植物を指して「もみじ」と呼ぶようになりました。植物の名前の前に、まず美しい自然現象そのものを愛でる名前があったというのは、とても日本的で素敵な感性ですよね。

「楓」は葉の形がカエルの手に似ていることが由来

一方、「楓」という言葉の由来は非常にユニークで、その見た目から来ています。先ほども見分け方で触れましたが、「楓」の葉の形が「カエルの手(蛙手)」にそっくりなことから、「かえるで」と呼ばれ、それが転じて「かえで」になったと言われています。

このように、「もみじ」が色の変化という現象から生まれた情緒的な名前であるのに対し、「楓」は形の類似性から生まれた即物的な名前であるという対比も面白いポイントです。

もっと知りたい!もみじと楓に関するQ&A

もみじと楓の違いがわかってくると、さらに色々な疑問が湧いてきませんか?ここでは、多くの方が気になるであろう質問にQ&A形式でお答えします。メープルシロップのことから花言葉まで、知っているとちょっと自慢できる豆知識をご紹介します。

Q1. メープルシロップが採れるのはどの楓?

パンケーキにかけると美味しいメープルシロップ。楓から採れることは有名ですが、日本の楓でも作れるのでしょうか?それとも、特定の種類の楓だけが使われているのでしょうか?

答えは、「特定の種類の楓」です。メープルシロップの原料は、主にカナダや北米に自生する「サトウカエデ」という種類の楓から樹液を採取して作られます。カナダの国旗に描かれている葉は、このサトウカエデのものです。サトウカエデは、他の楓に比べて樹液に含まれる糖度が非常に高いのが特徴です。

日本のイロハモミジやイタヤカエデからも樹液は出ますが、糖度が低く、採取できる量も少ないため、メープルシロップ作りには適していません。美味しいメープルシロップは、遠い北米の楓からの贈り物なのですね。

Q2. もみじや楓の花言葉は?

秋の紅葉が美しいもみじや楓ですが、実は春に小さく可憐な花を咲かせます。そんなカエデ属に共通する花言葉は「美しい変化」「大切な思い出」「調和」などです。

「美しい変化」という花言葉は、春の芽吹き、夏の緑、秋の紅葉、冬の落葉と、四季を通じて姿を変える様子に由来します。また、秋に大切な人と過ごした紅葉狩りの情景が「大切な思い出」という言葉を連想させます。そして「調和」は、周囲の木々とともに景色を彩りながら、季節の移ろいに寄り添うように変化する姿から生まれた花言葉です。

他にも「遠慮」「自制」といった花言葉もあります。派手さはないですが、季節の移ろいに合わせて静かに、しかし劇的に美しく変化する姿が、こうした奥ゆかしい言葉のイメージにつながったのかもしれません。

まとめ

この記事では、多くの人が疑問に思う「もみじ」と「楓」の違いについて、様々な角度から解説してきました。最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。

植物学的には同じ仲間
もみじも楓も、どちらも「カエデ科カエデ属」の植物です。
見た目の違いで呼び分ける
日本では慣習的に、葉の「切れ込みの深さ」や「縁のギザギザ」で呼び分けています。一般的に、切れ込みが深いものが「もみじ」、浅いものが「楓」です。
言葉の由来が違う
「もみじ」は葉が色づく様子(動詞)から、「楓」は葉の形がカエルの手に似ていることから名付けられました。

これらの知識があれば、次の紅葉狩りは、ただ景色を眺めるだけでなく、葉を一枚一枚観察する楽しみが加わるはずです。ぜひ今年の秋は、ご家族や友人と葉っぱを手に取り、「これは切れ込みが深いから、もみじだね!」なんて会話を弾ませてみてはいかがでしょうか。違いを知ることで、日本の美しい秋を、より深く、豊かに味わってみてください。

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くらひろ編集部
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